萌えもん~wandering Journey~   作:未来琴音

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そういや名前同士で読んでねーな?
そんな思い付きで書いてみました


後、なんか胸糞展開もつきました。
どうして?
※知りません


新しい仲間とあらためまして

 

 

 「んしょっと……」

 

 

 傷だらけで衰弱している萌えもんを背負って、月の光とヒートの灯している尾の炎だけを頼りに暗い森を進む。

 あの後、ユノをボールに戻し、この子を萌えもんセンターに運ばないといけなくなり、ナズナが半分以上はもう森を進んでいるとリュックから取り出したタウンマップを見ながら先導して貰っている。

 

 後を続くように、私も背負いながら同じ場所へ目指す。

 今動ける萌えもんはヒートのみ。

 夜の間に再びロケット団が襲い掛かってきたらマズイとのことで、一刻も早く森を抜けることになった。

 

 

 「ロケット団はカントー地方では有名の悪の組織で、目的のためなら手段を問わないという話を聞いたことがある」

 

 

 ナズナがさっきついでと聞いた話の内容を口にした。

 それは、彼が先早にトキワシティに着いた時のこと。

 萌えもんトレーナーというのについて、萌えもんセンターで説明を受けてカードを作り、外に出た後の二十二番道路へ向かう途中、道端で倒れていた老人を助けた後にその話を聞いたとか。

 

 

 「目的はなんなのか分からない気味の悪い集団とも言ってたけど、その子が助けてって言ってるのが見えたからおそらく、何か悪いことを考えてる奴らなんだと思う」

 

 

 目線は依然とマップに釘付けのまま、続ける。

 

 

 「そういや、ミナが背負ってる萌えもんってピカチュウだよね?」

 「そうだね。図鑑にそう載ったよ」

 

 「トキワの森で出現するピカチュウはレアなケースが多くて、捕まえておくのに損はないという萌えもんらしいよ」

 「リコ博士が言ったの?」

 「ううん、オーキド博士がここを調べて分かったことだってさ」

 

 

 急に真面目になってペラペラと自分の考えを主張しているナズナ。

 流石、研究員の息子だけはある。

 

 ナズナは、ここで遭遇するピカチュウを捕まえてどうするかまでは分からないと結論付け、ため息をついた。

 横で見てその姿に少し感心して惚けていると、背負っている子の意識が戻ったのか背後でもぞもぞと動きながら唸り声を小さく上げる。

 歩きながらその子に声をかけると、ぼやけた眼を覚ますように瞬きを数回繰り返し、意識がはっきりと戻ると急に暴れ始めた。

 

 

 「ちょっ、こら!」

 「に、人間……! やめて、もう私は捕まりたくないっ!」

 

 

 背中を後頭部を殴りつけてくるが、力は弱い。

 だが離さずに太腿を持ち直すと、その攻撃は突然止まり悲痛な声を上げて背中にもたれかかった。

 

 

 「君、足に怪我してるんだから暴れないでよ。痛いなぁ」

 「うるさい。どうせお前達も私が目的なんでしょ」 

 

 

 萌えもんセンターに連れて行くっていう面では、確かにこの子を連れる必要があるけど。

 

 

 「目的だけど、少なくともさっきの男のように乱暴とか痛めつける事は無いよ、安心して」

 「……ふん、どうだか」

 

 

 とは言葉で強気になっていても身体はどうやら限界に近いらしく、口から出る言葉に覇気を感じなかった。

 そこへ、先導で歩いていた彼が私達の出来事に気づいて足を止めていたので、背中にいる子が起きたと返事する。

 状況が分かったのか、そのままナズナは足を進め出口へ目指した。

 私も同じように歩いていく。

 

 

 「助けてくれて、ありがと」

 

 

 背後から小声で発したその言葉は、私の耳にはしっかりと届いたのは内緒にしておこう。

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 「逃がすなんて、甘いんじゃないの?」

 

 

 トキワの森の何処かの奥。

 第一声に目の前で燃えるように赤い前髪を少し指で弄りながら退屈そうにしている赤髪と耳のような癖毛、両側におさげを編んでいない赤い萌えもんが仲間にダメ出しをする。

 それを流すように目を伏せ、九本のふっくらとした尾と琥珀色の髪色のロングで耳のような癖毛をした釣り目の萌えもんがそっぽ向いた。

 

 

 「最初の目的の基準はとうに超えておる。妾は目の眩んだ団員を縛り上げただけのこと」

 「屁理屈ねぇ」

 

 

 貴様ほどではない。

 赤い眼でへらへらとした顔を睨むと肩を竦んで後退した。

 

 

 「怖い怖い。んで、この団員はどうするの?」

 

 

 脚で差された先を見ると、疲弊してだらしなく口から涎を流しながら仰向けに気絶していた先程までの男が横で倒れていた。

 さっきまで少年少女と対峙していた奴で、萌えもんを主の名よりも残酷に捕まえて手柄にしていた者だった。

 視線を前へ戻し、一つため息をついた後、男から離れる。

 

 

 「知らぬ。貴様の好きにしろ」

 「はーい」

 

 

 そう吐き捨てて、自分の仕える主人の元へ向かう。

 取り残された男の意識が戻り、視界を手にするとそのすぐ真上に見知らぬ足裏が見えていた。

 

 

 「お、おいなんだこれは」

 「ねぇ、人間って、ちょっとだけ力の強い萌えもんにどれくらいで耐えられるか知ってるぅ?」

 

 「ま、まさかお前。やめ、やめろ」

 「私はね、それが気になって気になって仕方ないの。だから……」

 

 

 えい。

 

 

 簡単な言葉と断末魔が背後から聞こえたのは気のせいだろう。

 加虐心を持ったあいつには何を言っても聞かない。

 

 

 「悪趣味め……死なぬ程度に仕置きせい」

 

 

 振り向いて忠告をした後に、主人がいるであろう出口の先へ一人で戻っていった。

 

 

 「あははははははははははは! ほら、ほらほらほらぁ!」

 

 

 狂気に満ちた笑い声と男の悲痛と潰れた声だけがその場で響き合うのが残っているだけだった。

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 方向感覚を失うくらいに変わらない景色を進み、やがて獣道の途切れが見える。

 その先には昼ぶりに見た人工的に整備された煉瓦の道路が迎え入れてた。

 やっとの思いで出口から外へ出ると当然ながら空は暗く、星明りが輝き始めていたので、私達は、駆け足でニビシティへ到着した。

 

 看板が見えた北西すぐに萌えもんセンターを発見し、そのまま転がるように踏み入れてカウンターのジョーイさんに背負ってる萌えもんを治療して貰うように懇願すると、真っ先に隣からラッキーが数人飛び出してきて、攫うようにピカチュウを抱きかかえ足早に奥へ駈け込んでいく。

 その後、ボールに入ったままのユノをジョーイさんに渡し、すぐ隣にある簡易型の回復装置にボールを置いて起動した。

 

 萌えもん達が完全に回復するのは一晩掛かることだったので、ジョーイさんの厚意によって二階の宿泊部屋は自由に使っていいとのことだったので身体を休めることになった。

 ナズナと別々の部屋へ向かい、ベッドに身を投げて横になる。

 

 本来なら夕方辺りに到着していたのだけど、森での一件があったせいで所々身体が動かなくなっていた。

 更に、張り詰めていた気分がベッドによって解かれたので、遅れてきた疲労が一気に押し寄せてくる。

 同時に眠気も襲い掛かって来たので、身を任せるように目を閉じ、意識を放り投げた。

 

 

 

 翌日。

 室内の光量が朝の陽射しによって明るみ始めた頃。

 部屋の扉が叩く音で目が覚め、身体を起こし背伸びをする。

 どうぞ、と招き入れるとラッキーがボールとピカチュウを連れてぞろぞろと入って来た。

 

 何人いるんだろう、この子達。

 

 

 「ふっかーつ。ピカチュウ復活。元気一杯」

 

 

 突然の事に目を丸くして呆然しているピカチュウの周りで全員が親指を立てて突き出した。

 更に、前にいたラッキーにユノが渡された。

 

 

 「疲労回復おっけー。萌えもんの無理強いだめ」

 「あたっ」

 

 

 軽いデコピンも追加で貰った、結構痛かった。

 そそくさに自分の持ち場へ戻っていくラッキー達を見届けると、その場に取り残されたピカチュウと目が合ってしまう。

 

 

 「状態はどう?」

 「身体は何処も痛くないし、元気になったわよ」

 

 

 それは良かった。

 安堵した言葉を投げると、頬を染めながら明後日の方へ視線を逸らされた。

 

 

 「別に頼んでないし、余計なお世話だけど」

 「はいはい」

 

 

 素直じゃない性格だなぁ。

 他愛のない返事をすると今度は頬を膨らまして睨まれてしまった。

 表情をころころ変えそうな面白い子だなぁ。

 それはさておき。

 

 

 「それで、君は森に戻るの?」

 

 

 意表を突かれた言葉だったのか、目の前の萌えもんはきょとんとして見つめている。

 だけどそれは一瞬で、すぐに表情を曇らせて俯いた。

 

 

 「いい。帰りたくない」

 「そっか」

 

 

 小さく呟いた言葉は、この静かな部屋の中ではしっかりと聞こえて来たので返事する。

 そこから数分の間の沈黙が続いた。

 私はこの子を助けただけなので、どうするかはこの子次第でもあった。

 

 

 「あんたについて行っていい?」

 

 

 彼女は顔を上げて、不安そうである目を向けながらもまっすぐに仲間になりたいと言ってきた。

 私は、君を雑に扱っていたあの男と同じ人間だよ、と若干の脅しも含めると首を横に振る。

 

 

 「あんたは悪い人間じゃなさそうだし、助けてくれた恩もあるから返したいのよ」

 

 

 続けた彼女の言葉が心に響いた。

 気づいた時には、その子の手を握って縦に頷いていた。

 咄嗟の行動で、彼女の頬を真っ赤に染めてあたふたしてたので本当に面白いなぁと改めて感心していた。

 

 

 

 

 

 

 *

 

 

 「新しい仲間!? いいなぁ」

 

 

 ナズナを起こしに隣の部屋に出向き、その後二人で一階に降りて萌えもんセンターの待合場所まで到着する。

 そこから、彼にさっきまで一緒にいたピカチュウを仲間にしたことを伝えると、羨ましそうな声を漏らしていた。

 

 

 「朝方に仲間になりたいって言って、さっき部屋でボールに入れた所だよ」

 「いいなぁ、ねぇ僕にも見せて欲しいな」

 

 

 夜であまり見られなかったと悔しそうに伝えてきたので、仕方なく新しい仲間となった子を外に出す。

 

 

 「出ておいで、リセ!」

 

 

 黄色いセミロングの髪を揺らしながら、その姿を彼の前に見せる。

 リセ、というのは私がさっき名づけたピカチュウの名前。

 

 

 「ボールの中って退屈よね。トレーナー、ユノも呼んでくれる?」

 「トレーナーじゃなくてミナ。これからは名前で呼んでよ」

 

 

 と朝の事を思い出して指摘しながらも、もう一つの紅白のボールからユノを出す。

 並んで現れるユノは欠伸を一つしながら眠そうな目で私を見てきた。

 

 

 「ユノもこれからはミナって呼んでいいよ」 

 「では……ミナ」

 「うんうん、改めてよろしくね」

 

 

 名前を改めて伝えてこれから楽しくなる二人の頭を撫でた。

 

 

 「これがピカチュウかぁ、ほうほう」

 「なんなのこいつ」

 「一応、一緒に助けた人間の一人だよ」

 

 

 目を輝かせながら観察していたナズナを、リセが複雑そうな表情で眉を引きつらせていたので、彼にその辺にするよう説得するのだった。

 ちなみに、ナズナも自分の手持ちのヒートから名前呼びでいいよと言って改めていたのはすぐ後だった。





4000文字言ってました。はい。
駆け足気味のような気がする。
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