GSガレージ 〜夜奔る少女たち〜   作:ぬんちゃくティッシュ

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こちらの作品はフィクションです。実際の運転ではきちんと交通ルールを守り、安全運転でドライブを楽しみましょう。


宣戦布告

 

 

 

 

─────神石高原町 GSガレージ─────

 

 

 

霊夢が中国自動車道で謎のスープラと対峙して1週間が経った。いつまでも引き摺る性格ではないが、やはりインパクトがあるだけ、かの光景が脳裏から離れないのだ。

あれから霊夢も自分の腕を過信せず、やはりプラクティスは大事だと言うことを改めて知り、時には峠を走り、時には中国道を走り、コーナリングとは何たるかを再び学習することが出来た。

ここまで来ても、車のパワーを上げるということは、霊夢の頭には一切ないらしい。あくまで自分のスタイルで勝ちたいこだわりだ。

 

それを客観的に見ている魔理沙だが、魔理沙自身もスープラを目の当たりにし、パワーと安定感、そしてトータルバランスをモットーとしたスタイルで走っているだけあって、かなりチューンナップを施した愛車が歯も立たない事実を突きつけられ、悠長としているほど無神経では無い。

 

霊夢の敗北を聞かされ、現実味を増した対スープラの気合いは魔理沙も霊夢と同等である。

 

 

 

 

「この1週間、今まで以上に神経尖らせて走ったわ…。私のFDのコーナーは日本最強だと思ってたのに」

 

 

 

 

 

「確かにお前のコーナーは私ですら追いつけないぜ。日本最強かは知らんが、パワーもコーナリングも、私ら2人の車を遥かに凌ぐとは…な。私も思い知らされたぜ」

 

 

 

 

出された麦茶の氷がカランカランと洒落た音を出し、昼過ぎのゆったりした時間を過ごす3人。ちなみに豊上はPCに向かってカーオークションサイトを見ていた。それぞれ客がいない事を良いことに自由気ままだ。

 

 

 

2人の敗北は無駄な敗北ではないが、これからの生活のうちにスープラのことがチラつくのは間違いない。それがいい影響を及ぼしてくれるなら良いのだが、すべからくそうかと言えばそうではない。霊夢のような直感で生きてる人間なら影響は少ないだろう。だが、魔理沙のような物事を筋立てて頭を使うタイプには足枷に成り得る。

まぁ2人の性格からしてこのまま終わらすわけ無いだろうが、魔理沙はこれから目標が見えるプラクティスが出来る。これは非常に大きいことで、闇雲に走り込むより、相手がどんな走り方で、ライン取りは? 走りのクセ? 弱点? 色々データがある今は有意義な走り込みが出来よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2人してショップのテーブルに突っ伏している最中、外の駐車場に1台の車がやってきた。やはりその場全員が来客に目を向ける。何分、ここら辺では見ない車が止まったのだ。シルバーのレクサス RCF、パッと見では軽めだが手が入っている。新規のお客さんと思っていた。

だが、その予想とは裏反し、RCFから降りてきたのは霊夢も魔理沙もよく知る人間だった。

 

 

 

「「咲夜!?」」

 

 

 

2人がほぼ同時に咲夜の名前を呼び、久しい再会を喜ぶ女子学生のように駆けて行った。なんだかんだ女の子なんだなぁとボケェ〜と見守る豊上。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――数分後――――

 

 

 

 

 

一旦全員落ち着いてからお客さんである咲夜を店内へ案内し、上座へ腰を下ろしてもらった。お茶を出すついでに2人のも新しく淹れ直した。

やはりお茶を美味しく入れるのは営業をするに当たって基本中の基本だよなぁ。

 

さて、全員腰を下ろして顔を合わせられるようになった。それぞれが聞きたいこと話したいことあるだろうが、店主である豊上が要件を伺わないことには始まらない。

 

 

 

 

「今日はおいで下さってありがとうございます。お客さん。今日はどう言ったご要件でしょうか?」

 

 

 

客に対してまず言うことはこれだろう。来てくださったことへの挨拶とお礼を述べ、要件を聞くこと。

豊上が要件を聞くと、咲夜は1回小さくため息を吐き、霊夢と魔理沙を交互に見つめた。そして決意を固めた様に言葉を切り出す。

 

 

 

「今日は2人に伝言を預かって来たの。お嬢様からの伝言よ」

 

 

 

切り出された言葉は、やはりメイドであるためかお嬢様からのパシリで来たということ。それを聞いた2人も、アイツから? みたいな顔をし、伝言を待っている。豊上もこれは面白いことになりそうだと思い、内心笑みを浮かべていた。

 

 

 

「あなたたち、ウチの紅魔館メンバーがチームとして組んでるって知ってるわよね?」

 

 

 

「知ってるぜ!『スカーレッツ』って名前だろ?」

 

 

 

「相変わらずネーミングセンスないわねぇ…あと熟哉笑いすぎ」

 

 

 

 

だって仕方ないじゃないか!こうやって挑戦状を叩きつけてくるぐらい速いであろうチームが、スカーレッツってアメリカ野球のマイナーリーグのチーム名みたいな名前で来ると思わんかったしさぁ。

 

 

 

笑っている豊上は置いといて、咲夜の伝言でバトルが決まってしまった。どういう相手かは豊上は知らないが、誰が相手をするかは、2人は予想着いていた。

 

 

 

 

 

「ウチのお嬢様と妹様を相手に勝負していだだきたい。来週の日曜日の夜、私たちのホームコースで」

 

 

 

 

「あんたらの姉妹と走るっての? 確かあんたら六甲じゃなかったかしら?」

 

 

 

 

六甲。兵庫県神戸市にそびえる六甲山。その山には六甲山スカイラインという峠道がある。場所が場所なため、都会からすぐの場所にあるというのもあり、彼のお嬢様が考えそうなことである。そのためか土地はあまり広くなく、道も急コーナーに急勾配がかなり多めのコースとなっており、走りの名所であると思い知らされる峠だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

咲夜と2人が話し合って、バトルが決まった。

状況としては、こちら側からしたらアウェイでの勝負。向こうは六甲を走りまくっており、その地方じゃ負け知らずになったから退屈だとのこと。それでわざわざ神戸から福山まで来てくれたそう。人使い荒いよなぁ。

日時は来週の日曜日、夜の10時に1回落ち合う約束になった。走る相手はお嬢様と妹様の2人だけで、咲夜は不参加で、ほかのメンバーはサポートに回るそうな。

ちなみに、相手の車種はバトル寸前まで明かさないのがスタイルらしい。行ってからのお楽しみってことだ。

 

 

 

 

 

話もまとまり、咲夜も用事を済ましたため、若干のお茶の片付けをしつつ立ち上がり帰ろうとしている。

が、それを魔理沙が引き止めた。

 

 

 

「なぁ咲夜!せっかく神石まで来たんだから、ゆっくりしていけって」

 

 

 

「これは凄くいいお申し出だけど、そんな長居出来なくてね…。今日中には帰らないといけないし」

 

 

 

「なら、1回私と走らないか? 何も本気のバトルじゃなくてエキシビションだと思ってさ」

 

 

 

魔理沙が咲夜を走りの相手に、勝負の相手へと誘った。

この1週間ひとりで走り続けてて寂しさと走り相手欲しさに声をかけたのだろう。エキシビションと言っている以上、本気の勝負というワケでは無さそうだが、2人は性格上手を抜くような人間ではない事も、豊上は漂うオーラで直感した。この勝負は受けさせた方がいいと思い、咲夜に発破をかける。

 

 

 

「俺からもお願いしてもええですか? どんな走りをするんか気になるんで、どうか!」

 

 

 

咲夜はあたふたしながら魔理沙と豊上を見つめ、少し悩んだ素振りを見せて、少しツンデレっぽく頬を赤らめて…。

 

 

 

「分かりました。そこまで言われると弱いので、1回だけ!1回だけお付き合い致します。その代わり、本気で負かせに行きますよ」

 

 

 

 

「望むところだぜぇ!咲夜なら受けてくれると思ったよ!こんなワクワクする瞬間ないぞっww」

 

 

 

 

霊夢はまた始まった…と言わんばかりにタイヤカタログを眺めていてこちらに干渉してこない。あくまでマイペースに物事を進める。

 

 

 

「受けてくれてありがとうございますね咲夜さん。さぁこんなレベルの高い人同士の戦いはそう見れんぞ。さて、それじゃコースの説明を…」

 

 

 

 

 

 

 

豊上の説明は長いので、語り部が説明致す。

 

今回の勝負は、福山市加茂町〜神石郡神石高原町さんわ182ステーションの国道182号線を登るコースとなっている。(実在)

スタート地点は麓にある信号機の停止線から、ゴールはさんわ182ステーションと言う道の駅の駐車場に入ったらゴールとなる。道幅は広いのでよーいドン方式を採用。

 

状況としては、魔理沙はこのコースはよく走っており、ショップに行くにもこのコースを通らなければならないから、経験は豊富。

一方、咲夜はと言うとこのコースは初走行で、スタート地点に向かうまでの道の様子しか見れていないため、かなり不利な状況だが、咲夜は洞察眼と瞬時判断力が長けていて、コースに対する実力は魔理沙と遜色ない。サーキットと峠上りを専門とする咲夜にとっては大した問題ではない。

 

 

 

 

ここまで紹介してなかったが、2人の車を軽く紹介しよう。

 

霧雨魔理沙 トヨタ 86G エンジン:2UR-GSE

4968cc V型8気筒 NA FA20から換装

トルク太らせバランス重視チューン 510馬力

速ドリ用アクセルどアンダー仕様足回り

TRD製前後スポイラー、サイドスカート

GRMN純正GTウィングスポイラー流用

Weds(ウェッズ)製 SA55Mホイール

トーヨータイヤ プロクセスR1R

 

 

十六夜咲夜 レクサス RCF エンジン:2UR-GSE

4968cc V型8気筒 NA

レスポンスと伸び重視チューン 550馬力

アンチスリップ用グリップ重視足回り

FIA GT3フルエアロ流用

Fifteen52製 FormulaGTホイール

ヨコハマ ADVAN NEOVA A052

 

 

 

 

 

 

 

満を持してバトルに向けてショップからスタート地点である麓の交差点へ向かう直前に、豊上は霊夢にある提案をした。

 

 

 

 

 

「霊夢。あの二人はかなりハイレベルだ。魔理沙は言わずもがな、咲夜さんも見れば分かる…ただ者ではないオーラがひしひしと伝わって来る」

 

 

 

 

 

 

「咲夜の反射神経と洞察力には目を見張るものがあるわ。私には劣るけどね」

 

 

 

 

 

「そんな霊夢お墨付きの咲夜さんと魔理沙の走り、後ろから見てみたくはないか? あの2台を追うのに良いデモカーがあるんだ」

 

 

 

 

豊上が提案したのは、魔理沙と咲夜の滅多に起きないハイレベル同士のバトルを、ギャラリーとして道中に立って見るわけではなく、後ろから観察すると言う特等席へのお誘いだった。

単純に賑やかしで提案したのも1部、本来は前を走る2台がどういう攻め方をしてライン取りやスタイルに沿った走り方をよく見れるから勉強にというのが目的。

もっとも、咲夜に関しては初めて走るコース。この戦いは一見、魔理沙が有利かと思われるが実はそうではなく、先述の通り、咲夜の反射神経と洞察力は磨き切られたもの。ましてやサーキットでも全国でクラスベストタイムを塗り替える程の実力者である。見たことない走ったことの無いコースなど腐るほどある。プラクティスを使ってコースを何周も走り身体で覚えるのは最早素人技。ショップから麓へ降りるまでコースを逆向きに走るため、コースの特徴を頭に叩き込んで臨むまでが当たり前、その先の作戦はグリッドから放たれた時に明かされる。

 

 

 

 

 

 

「ぜひ乗せて欲しいものね。この機にアイツの走りを研究しておくわ。咲夜だって、あのレミ…スカーレッツの仕え役なんだから、いくらか走りの教育を受けてるだろうし、ヒントになればね」

 

 

 

 

 

それを聞くと豊上は嬉しそうに微笑み、( *˙ω˙*)و グッ!って感じでグッドサインを送りながら奥のガレージに消えていった。

霊夢の頭に?が浮かんだ数秒後、?が!に変わった。ガレージからとんでもない轟音が聞こえたのだ。

何の音かと困惑している霊夢に一切意識を向けることなく、ガレージから1台の車が轟音と共にゆっくりと出てきて、霊夢のそばに停止。

 

 

 

 

 

 

「カローラ…スポーツ…?」

 

 

 

 

 

「よく分かったな。これがウチのデモカーの1台、トヨタ カローラスポーツだ。こいつで追っかけるぞ」

 

 

 

 

「待って待って!この車ってハイブリッドじゃないなら1.2Lターボでしょ? いくら手が入ってる感満載でも500馬力超に2台には追いつけないわよ」

 

 

 

 

 

 

その通り。本来のカローラスポーツは、ハイブリッドとフルガソリンの2種類が存在(日本仕様)し、ハイブリッドの場合だと1.8L直4エンジンですべからくAT。フルガソリンではMTがあるが、ダウンサイジングの流れを組み、1.2Lターボで100馬力程。どれだけチューンしようが、そもそもスポーツエンジンではないし排気量の限界がある。エンジンを鍛造ブロックにチタンピストンやら、超剛性なパーツが揃えばヘビーチューンが出来るが、現実的ではない。そう…本来なら…だ。

 

 

 

 

 

 

「侮るなかれ。エンジンルームを見てみぃ。どんなドーピングがされているかよく分かるだろ」

 

 

 

 

 

そう言われるがまま、霊夢はカローラのフードを開けてエンジンを覗き込んだ瞬間に豊上の言っていたことが理解出来た

 

 

 

 

 

「これは…2JZ?」

 

 

 

 

「ご名答。2JZ-GTEを換装させたカローラスポーツだ」

 

 

 

 

 

その通り。このカローラスポーツには2JZと言う猛毒がドーピングされていたのだ。

そもそもカローラスポーツはFFベースで、エンジンは横置き前提。ボディはそれに合わせて作られるので、3Lの、ましてや直6を横置きにセットするのは不可能。ならばボディを切って加工して、エンジンマウントやらワンオフで揃え、カローラのエンジンルームを縦置きエンジン用にリメイクしてやる事で、2JZと言う長いエンジンを収める事ができた。

実際にも、HKSさんにもGRヤリスに2JZを載っけたモデルがあるので、それをモチーフに作ったという。

 

 

横置きから縦置きになり、FFからFRに駆動方式も変わったため、足回りにもスペースの余裕が出来た。そのため、フロントのマクファーソンストラット式を一新し、ワンオフでダブルウィッシュボーン式に変更。リアに至っては元々のダブルウィッシュボーンをそのまま使用して、全て強化品を装備。ボディ剛性課題も対応し、3.4L化された2JZが絞り出す1000馬力超のパワーを一身に受け止める。

 

 

 

 

 

 

「またおっかないマシン造ったわね…でも嫌いじゃないわ」

 

 

 

 

 

「ツンデ霊夢ごっそさん。じゃあ、2人も向かうようだし、俺達も向かおう。この戦い、182号線史上最アツな展開になるぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3台とも麓に到着し、2台は既にスタートラインに並んでそれぞれエンジンを回していた。カローラは1歩後ろで2台が出発するのを待機している状態。緊張が走る。

 

かなりの実力者が集った戦いに勝利の女神はどちらに微笑むか、予想すら出来ないレースが今始まる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

続く

 

 




今回の登場車種

マツダ RX-7 タイプRB FD3S
博麗霊夢の愛車。コーナーで勝負をかけることが全て。そのため、軽量化のためにRX-8のNAのREを換装して低馬力にしている。



トヨタ 86G
霧雨魔理沙の愛車。ジャパニーズマッスルカーを目指している。改造を前提に乗るのでGTではなくG。


レクサス RCF
十六夜咲夜の愛車。ハード&長距離と言う過酷な環境で走るため、信頼性の高い高性能なマシンとして乗っている。


トヨタ カローラスポーツ
GSガレージのデモカーNo.13。豊上の悪い所であり良い所である部分が出まくった車。誰もが走りに使わないマシンを持ってきたら面白いのでは無いかと検索の結果がこのマシン。猛毒感染済み。

トヨタ スープラRZ JZA80
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