俺はライダーの戦車で兄達と歩調を合わせていた頃とは比べ物にならない速さで65階層へと向かった。え?道の魔物?全部ライダーで轢き殺しました。
65階層に着くと、ベヒモスとその取り巻きであるトラウムソルジャーを完膚なきまでに倒すためにさっさと兵士を配置する。
「全兵士、収納より解放、コンビネーションを取りながら攻撃を開始せよ。基軸にするのはキャスターとアーチャー、ヒーラーはタンクの回復に勤しめ、ランサーとアサシンはベヒモスの皮膚を裂きながら遊撃、セイバーはコマンダーの護衛、コマンダーはそれぞれの区間の兵士をまとめろ!ライダーはトラウムソルジャーに突撃ぃぃぃぃ!!!」
俺の命令はすぐさま兵士達に伝達され、兵士達はすぐに動き出す。程なくすると、俺の目の前にベヒモス、後ろにトラウムソルジャーが現れる。
トラウムソルジャーはライダーが轢き殺していくから問題ないにしろ、問題はベヒモスだ。俺の武装は国から与えられた宝剣。聖剣のような能力はなく、聖剣のように煌びやかではないが、とても頑丈な剣だ。
俺は余りある魔力からまずは小手調べとばかりに火属性の斬撃技を選ぶ。
「燃やせ、その赤々と滾るその斬撃で来るもの全てを焼き付くし、切り伏せろ!!『焔斬撃波』!!!」
放つは俺のオリジナル魔法。兄の放つ天翔閃を元にした切り口を燃やし尽くして治すことを難しくする技だ。俺はその技で厄介なベヒモスの角を切り落とす。
「グゥルガァアア!?」
「地面を砕き、その岩を敵にぶつけよ!『崩岩』!!」
今度は地面を宝剣で砕いてそれをベヒモスにぶつける崩岩。それはベヒモスの動きを少し停滞させる。そこを逃さないのが俺の兵士だ。ランサーが槍を投げることでベヒモスに確かなダメージを、アサシンが切り傷を与えることで小さなダメージを与えていく。
トラウムソルジャーの方に援護が必要かと思って後ろを向けば、ライダー達が普通に出てきても轢き殺しているので関係なかった。
そんなふうに俺の兵士達はベヒモスとトラウムソルジャーを料理をするように処理していく。赤熱化して突進してくる要因である角も折った上で冷却し続けることで無効化する。
「……弱いな」
何故あの日あんなに苦労したのか分からない。そう思えるくらいには俺はベヒモスとトラウムソルジャーを処理していた。もうこれは戦闘ではなく、駆除と言っても差支えがないくらい、簡単にベヒモスやトラウムソルジャーを倒している。
「俺だけでやってるからか?」
それは大いにありそうだ。俺の命令を全て聞くコマが何十もいれば、実力さえ合っていれば誰でさえも倒すことができると俺は思う。
「闇よ、この一撃を持って全ての敵を暗闇へ沈めたまえ!!『暗黒斬撃波』!!!」
その黒い斬撃は俺の兵士によって疲れ果てたベヒモスを真っ二つに切り分け、そのまま爆散させた。もはや叫び声すらなかった。
「…………うそ」
その声を聞いて俺は後ろを振り返ると、俺の後ろには雫がいた。兄の愚痴を吐き出す仲ではあるが、ほかのことではあまり話さない雫がいた。雫は驚愕の表情を浮かべていた。
雫の後ろには出遅れてきた勇者パーティーや他の隊の面々、メルドさんが率いている騎士達が立っていた。全員が、俺の事を呆然と見ている。
「……遅かったな、あれだけ俺に大口叩いたくせに俺のスピードにも追いつけないのか?兄」
兄に対して俺はそう言い放つ。実際、だらけているとか言ってきたから俺はこのようなことをした。仕事が遅い人間は嫌いだ。
この天職は本当に天職だ。俺の思う通りに動かせる。俺のスピードに合わせられる。俺はとてもこの天職が大好きだ。
「あれは俺たちをお前が置いていったらからで……!」
「それはあるが………………はぁ、やっぱり兄と俺は合わないよ」
「……そうかもしれないなッ!」
「ベヒモスを倒したいならもう1回入り直そうか?俺はもう帰らせてもらうよ。俺の戦い方は君たちに合わないようだし……メルドさん、お好きなようにご報告を。俺は帰らせてもらいます」
「……ああ」
俺はライダーに戦車を走らせて65階層から高速で入口まで戻る。最初は1階層から65階層まで来るのに3日掛かったのに、3時間で帰れた。
そして俺はホルアドの王国直営の宿屋に戻らずに、ライダーの戦車でとっとと王宮に戻る。宿屋に戻らなかったのは、戻ってしまえばまたあの気まずい感じになってしまうかと思ったからだ。
「……俺は、悪くないと思うんだけどな」
単独で行動、もしくは気があって俺と同じくらい仕事に忠実で動くスピードが早いやついないかな……いるわけないか……そんな人がいれば、俺は喜んでその人と仕事だろうと戦い方だろうとなんでもするんだけどな……
そんな人いないよなーと思いながら俺はライダーの戦車が発生させる気持ちの良い風に吹かれながら王宮へと帰ることにしたのだった。
帰ったあと、俺を待っていたのは2週間の謹慎と単独でのオルクス大迷宮攻略の任務だった。…………あれ?2週間の謹慎ってことは教会行って資料1日中見てていいの?
……普通にダメだったよ
クラスメイトとの交流も最低限になっていく予定です。それとこの分だとカトレア戦は主人公だけでやる感じになりそうではありますね。
ノイントとの逃避行エンドが考えつきました。……魔王様から一生逃げないといけないのと地球に帰れなくなりますが。
これからもよろしくお願いします。