神の尖兵となって   作:排他的

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帝国襲来

俺が紅茶をすすりながら資料を読んでいると、珍しくノイントさん以外の人が来た。確かクゼリー・レイルっていうこの国のお姫様の護衛騎士……だったかな?

 

その人が言うには、勇者パーティーが帰ってきたとのこと。まぁぶっちゃけ俺はもう勇者パーティーから離れているし、謹慎処分中だから会えないんだけど。

 

俺はそれに対して無視を決め込んで、クゼリーさんは諦めて帰って行った。会っても気不味いだけだし、あったらあったでなんかまた言われそうだし……。

 

「どうすべきなのかなぁ……」

 

その問いに答えるものはいない。ノイントさんはこういう問いには答えてくれないし。ただ歴史とかは答えてくれるけど。

 

兄の価値観は一般的に見れば特殊だ。自分が見てそれが正しいのか悪いのか決める……でも一旦決めてしまえば、正しいと決めたものが悪くなっても擁護するし、悪いと決めたものが実は正しかったとしても悪いと思い続ける。

 

それに他者の意見を一方的に聞いて他の人の意見は聞かないなんてものもあった。昔小学校のいじめっ子の意見を聞いていじめられていた子を悪と決めつけたこともあった。何とか証拠とか集めてその子が悪くないと証明して見せたけど……兄は僕を少しの間邪険にするようになった。

 

あと一度誰かを救ったらあとはもう大丈夫……なんて考えもある。雫の時もそうだった。

 

……まぁそんな欠点も兄の類まれなるカリスマと容姿でプラスな要素へと変えてしまうんだけど。

 

「……仲直りは難しそうだよな」

 

今回は俺と兄、2人に悪いところがあると俺は考える。兄は俺が真面目に仕事してないと決めつけて俺を悪し様に罵ったこと。俺は兄達を置いて単身ベヒモスのところまで行ってベヒモスを倒したことか……いやベヒモスを倒したのは悪くない。置いていったことかな?

 

……兄に会うのはほとぼりが冷めてからにしよう。それかみんなのオカンである雫が仲介に入ってからにするか……正直今会ってもオルクスの二の舞になる未来しか見えないや。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、朝起きてノイントさんが来て、資料を読んで、少し経ったら勢いよく扉が開かれた。開いたのは昨日訪問に来たクゼリーさん。

 

「……何事かな」

 

「天之河一輝様、私と謁見の間に来てください!」

 

「……何故です?私は謹慎処分中だから出れませんって」

 

「エリヒド王が少しの間謹慎処分を解除しました!」

 

「……一体全体何があったんですか?」

 

「帝国の使者が訪れたんですが、その方が帝国の皇帝陛下で……模擬戦を行なったんですが、その……一輝様と戦いたいと」

 

「……すぐ向かいます」

 

明らかに面倒事だからパスしたいんだが、帝国の皇帝陛下となると無視を決め込むとその面倒事より面倒臭い事になる。

 

「……」

 

ノイントさんはそんな俺を静かな目で見ながら見送って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、お前さんがベヒモスを単独で撃破したとかいう神の使徒であっているか?」

 

「ええ。確かに俺はベヒモスを単独で撃破し……まぁ単独ですね。一人でやりましたよ」

 

俺の目の前に相対するのは帝国の皇帝ガハルド・D・ヘルシャー。ガハルドは訓練用の大剣を装備して俺の目の前に立っている。

 

対する俺はいつも通りの学生服。戦いづらいっちゃ戦いづらいけど、どうせ戦うのは俺ではないし……

 

「行かせてもらいましょう……ランサー!」

 

俺が呼び出すのはランサー。だがいつものランサーとは違い、このランサーはいつものランサーとは違い、俺がグリューエン大火山を攻略するために改造した兵士だ。

 

兵士が保有する魔力をブースターとして利用してスピードを上げる機能を組み込んだランサー。そのスピードはライダーよりも早い!

 

「お前さんが戦うんじゃねぇのかよ!」

 

「俺の天職は統制者……俺自体は戦いませんよ」

 

「ちっ、まぁいい、さっさとぶっ倒せばいい話だ!」

 

「兵を守れ、聖絶!」

 

詠唱が短い為か出力が低い小さな聖絶がランサーに振られる剣を受け止め、ランサーが持つ長い棍棒の刺突がガハルド陛下の腹を貫く。

 

「グォ!?」

 

腹をすごい勢いで押し込まれてガハルド陛下が呻き声を上げるが、その痛みを我慢してランサーを倒そうと剣を振るってくるけど……

 

「『赤熱化』」

 

そう言った俺の言葉に反応するかのように、ランサーが身体を燃やしてガハルド陛下の剣を溶かしていく。

 

「な、なんだと!?」

 

「ベヒモスの魔石を組み込んで、ベヒモスの力を得させた……まぁ能力持ちの兵士ですね。とても苦労しました。わざわざ兵士の身体に反応するように魔石と身体を繋いだり、魔法陣を書いては直したりと……」

 

なんか泣きそうになってきた。苦労しまくった記憶しかない。完成した時なんか泣き叫んで……

 

 

「地球在住の一輝くんの科学力は世界一ィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!!!」

 

こんなことを叫んじゃった。恥ずかしい……。

 

というかさっきからガハルド陛下が俺の事をとんでもないやつを見る目で……というか変態を見る目で見てくる。ムカついたからライダーを呼び出す。

 

「……お前は何をしようとしてるんだ?」

 

「……ガハルド陛下の目つきで傷ついたのでライダーに突撃させようかと」

 

「ちょ、やめろ。マジでやめろ。死ぬから!俺死ぬから!」

 

「行ってこい!」

 

ガハルド陛下は空中できりもみ回転しながらそのままどこかへと飛んでいった。なんか落ちたら骨が何本か逝ってたらしいけど俺には関係ないね。俺を変態を見る目で見たのが悪いよ…………メルドさんとエリヒド王からめちゃくちゃ怒られたけど……別に後悔はしてない。

 

その後なんかガハルド陛下にこっちに来ないか?って言われたけど断っておいた。まだここの資料全部読み終わってないし。

 

……というかさっき吹き飛ばされたのに懲りずに話しかけてくるのは素直にすごいと思うよ、俺は。




ありふれた学園で世界最強のブラック企業に絶望しているノイントさんも可愛いと思う。完結出来たらそっちをifで書いてみたいな。

次回からグリューエン大火山攻略編に移行します。
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