神の尖兵となって   作:排他的

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グリューエン大火山とペンダント

『グリューエン大火山』

 

それはアンカジ公国という砂漠の中にある国より北方に進んだ先、約百キロメートルの位置に存在している。

 

このグリューエン大火山は七大迷宮の一つとして周知されているが、オルクス大迷宮のように、冒険者が頻繁に訪れるということはない。それは、内部の危険性と厄介さ、そしてオルクス大迷宮の魔物のように魔石回収のうまみが少ないから……というのもあるが、一番の理由は、まず入口にたどり着ける者が少ないからである。

 

まぁなんでこんな長ったらしい説明しているのかはおれには分からないが、特徴を学び直せてるからまぁいいか。

 

そんな中、俺は兵士をグリューエン大火山へと送り出した。というより、感覚同調を使って最上位のコマンダーに憑依しながら100名ほどの兵士をグリューエン大火山に向かっていた。俺の身体?王宮においてノイントさんに見てもらってるよ。

 

「……なんかどう見てもラピュタ、だよな……」

 

俺が調べたところによると冒険者がたどり着けない理由には、ラピュタを包み込む巨大積乱雲のように、グリューエン大火山が巨大な渦巻く砂嵐に包まれているというのがあるらしい。

 

しかも、この砂嵐の中にはサンドワームや他の魔物も多数潜んでおり、視界すら確保が難しい中で容赦なく奇襲を仕掛けてくるんだとさ。

 

まぁ、俺はその難題をいつも通りの攻略方法で突破することにした。皇帝陛下にもやったけど、ライダーによる突貫、これしかないだろう。

 

「砂漠仕様のライダー!これでサンドワームやらなんやらを全て蹴散らしながら飛んでいく!」

 

この時のためにライダーの戦車を砂漠仕様に変えてきたのだ。

 

サンドワームはでかいが、それを倒せない兵士たちでは無い。俺の指示の元、全ての兵士達がライダーの戦車に乗り込んでグリューエン大火山へと直進する。

 

砂嵐の内部は、まさしく赤銅一色に塗りつぶされた閉じた世界だった。砂嵐も酷い。

 

「人間のままだったら突破は難しかったが、兵士なら視界とか砂嵐とか関係ない!そのまま突っ切れ!!」

 

途中サンドワームが出てきて一輝達の進行を邪魔してきたが、俺やほかのキャスターが放つ魔法やランサーの槍、アーチャーの弓によって蹴散らされていく。

 

サンドワームの切り身やらミンチやら消し炭やらが兵士たちの攻撃によって出てきて道には血がずっと滴っていた。……腐臭もしてきたけど、まぁどうせ砂嵐とかでどっか消えるよね。

 

冒険者達は砂嵐に入った瞬間に進むことがままならなくなるというのに、俺の作る兵士はその問題を軽く超えてきている。俺の作る兵士が冒険者よりも普通に強いことがよく分かるな!

 

俺は軽々と冒険者を阻んできた巨大砂嵐を突破した。そして目の前に巨大な岩山が出てきた。あれこそグリューエン大火山なんだろう。

 

「侵入しようか」

 

俺は頬を叩いて気合いを入れてグリューエン大火山の中を攻略しに向かった。まぁ兵士の身体に頬みたいなところないんだけどさ。

 

 

 

 

俺はまだ知らなかったんだ、グリューエン大火山の魔物の特徴を。所詮俺は美味い話に釣られた馬鹿でしかなかったということを。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……このペンダントの秘密を漸くじっくり調べられる日がきました……」

 

ノイントは一輝がグリューエン大火山に行くために意識を兵士に移動させている間にペンダントの解析を行なっていた。

 

「……光魔法のような力の塊のようですが……」

 

ノイントが調べているとどんどん情報が溢れかえってくる。光属性の力を基礎に、火属性、風属性、水属性、土属性の力が集まっていることと、どこか聖なるオーラがあるような感じがすること、そしてほかの力が眠っていることがノイントには知ることが出来た。

 

だがノイントに理解できないことも沢山あった。主であるこの世界の神、エヒトルジュエから与えられた知識では知りえない鉱石でできていること、どのような魔法が使われているのか、そもそもこれを作ったのはどういう存在なのか。ノイントは理解しえないものを知るためにさらに深くこのペンダントについて調べ出す。

 

そんなことをしていると、一輝の身体が光り、ペンダントが赤、青、緑、黄色に輝き始めた。

 

「!何事ですか」

 

そしてペンダントが一輝の身体から放出された光に包まれて光の玉を形成、空に浮き上がった。そしてソニックブームを起こすほどのスピードで窓を突き破ってグリューエン大火山の方向へ向かっていく。一輝の身体も光の玉に吸収されている。

 

「……一体、何が起きて」

 

ノイントはペンダントが最初自分の調べに反応して自分を攻撃してそれを中止させようとしているのかと思っていた。だが、今起きたのはペンダントの移動だけ。

 

「まさか、あのペンダントが移動したということは何か問題が起きたのでしょうか」

 

ノイントは何故か少し寒気がした。一輝が死ぬかもしれないということに対しての恐怖ではない、何かとんでもないものが生まれるのではないか、ということに対しての恐怖だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……まぁ、オルクスほど難しくないだろうと侮っていたけれどさ……こんなことになるなんてな」

 

俺は火山の岩壁に叩きつけられていた。グリューエン大火山に侵入し、攻略を始めた頃はとても簡単に思えた。敵も最初は何故か倒せないことを疑問に思っていたが、核が存在することに気づけば容易に倒すことが出来た。

 

周囲を流れるマグマも兵士たちの耐性を考えれば簡単に突破できるものであり、温度も気にしなくても良いものだった。

 

だが敵の数が多くなるにつれて苦戦が多くなっていた。核を探して敵を倒さなければならないのだが、核を探す方法がとても時間がかかるため、大量に出てくると倒すことが困難になってきていた。

 

兵士たちも階層を超える事に倒されていき、最終階層に着く頃には10も残らなかった。改造した兵士も倒され、残りはキャスター数体、アーチャー数体、セイバーくらいのもので、ライダーなどの便利な兵士は燃え尽きていた。

 

そして最終階層の敵はマグマの魔物を人数分10体倒さなければならないというものなのが俺にとって辛いものだった。

 

兵士の数×10なので50を超えるマグマの魔物の軍勢が俺達に対して攻撃を仕掛けてきた。さらに足場がほぼなく、下がほぼマグマということもあって、俺と兵士たちは徐々に数が減っていき、最終的には俺しか残らなかった。

 

「あ〜愛ちゃん先生の言葉が染みるなー」

 

『天之河くんや八重樫さんは実力者ではありますが、協力しないとやられてしまいます。貴方が抜けたらその穴を埋めるのは大変だと思いますよ?』

 

俺は前愛ちゃん先生が言っていた言葉を思い出した。本当にその通りだと、俺はその言葉から目を、耳を背けたことを今更ながらに後悔した。

 

『それはあるが………………はぁ、やっぱり兄と俺は合わないよ』

 

『……そうかもしれないなッ!』

 

兄と喧嘩して兄のチームから離れ、1人で攻略することになってしまったあの日のこと。

 

『離して! 南雲くんの所に行かないと! 約束したのに! 私がぁ、私が守るって! 離してぇ!』

 

南雲を助けに行こうとする香織を一生懸命に留め、自分も南雲を助けることが出来なかった後悔に打ちのめされたあの時。

 

『うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!』

 

兄がこの世界を救うことを決断した時、何も言うことが出来なかったあの時。

 

……俺、いつも失敗してたんだな。1人で団体から離れて、学友を助けることも出来ず、面倒事を引き受けようとした兄を止めることすら出来なかった。

 

意気揚々とグリューエン大火山を攻略しようとしたのが懐かしいな、過去に戻れるならマジであの時の決断を止めたいんだが……まぁ無理だよな。

 

兵士の体に宿っている俺の意識はまた俺の身体に触れないと戻れねぇし……

 

あぁ、俺にマグマの魔物が近寄ってくる。……じゃあね、兄、雫、香織、龍太郎、それに俺を世話してくれたノイントさん。俺は一足先に誰にも知られることも無いまま、あの世に行くことに─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ココがあの世かな?辺り一帯白いし……なんか昔転生した時が懐かしいな、もしかしたらまた転生させてくれんのかな。

 

……おれの、身体か?あれ……なんかすごい雑な置き方だな。

 

それに俺の身体の上にあの謎のペンダントが置いてあるし…………もしかして俺まだ死んでないのか?

 

「……なら、俺は生き返りたい。生き返って、敵を倒して、いつか、元の世界に。家族がいる元の世界に戻りたいな」

 

そう思ったら、俺の身体が俺を、俺の意識をすごい勢いで吸い込み始めた。そして俺の身体と意識がひとつになると俺の身体が光り輝く。何故か、強くなっていく感覚があるのが少し不思議だった。

 

 

 

 

 

 

 

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天之河 一輝 17歳 男 レベル:1

 

天職:勇者 王 光の戦士

 

筋力:1000

 

体力:1000

 

耐性:1000

 

敏捷:1000

 

魔力:1000

 

魔耐:1000

 

技能:王の証[+兵士作成][+王の勅命]・光の戦士[+オーブカリバー][+オーブリング]・全属性適正・全属性耐性・物理耐性・魔法耐性・環境耐性・気配感知・魔力感知・複合魔法・剣術・高速魔力回復・限界突破・言語理解

 

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強化イベントです!ぼかしの内容はもう決まっているので安心してください。グリューエンがあと1話です。とりあえず王都襲撃までを早く終わらせたいですね。
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