【公開:短編集】書置き集   作:satikaze

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※本二次小説は現在作中の【連載中僕は前世の記憶を用いって無双?する!】とは関係なく、原作中の新入生代表挨拶のIFルートです。
※王侯貴族・平民の全てに教育を受ける権利が保障されてません。


【転生貴族:転生貴族の異世界冒険録〜自重を知らない神々の使徒〜】
【単話】新入生代表挨拶


 皆様、初めまして。先程、御紹介に預かりました、本年度入学主席及び新入生代表挨拶を行わせて頂く、カイン・フォン・シルフォードです。

 今日この良き日に、保護者に見守られ、御来賓の方々に御臨席頂き、学園職員及び在校生の方々に迎えられ、このエスフォート王国王立学園に入学出来た事を大変光栄であり、また嬉しく思います。

 

 私を含み此処に折られる新入生は、王侯貴族や庶民などの身分の差関係なく、倍率五十倍以上にも及ぶ受験生から、上位の者達が入学した事になります。

 筆記試験の歴史科目にありましたように、本学園は初代国王様の理念の一つであり形骸化しつつある「全ての王国民に対して学ぶ機会を与える事」を目的に設立されており、遂行なる理念を持っている学園に入学でき感極まります。

 

 しかし、今になっては失伝されてますが、初代国王様は何故故(なぜゆえ)に、身分の差関係なく学ぶ機会を与える事を目標にしたのでしょうか?同級生の皆様、保護者や御臨席の皆様、学園職員及び在校生の皆様、又は新聞記者の皆様は考えた事が有りますか?

 

 私はあります。

 

 これから話す事は私の持論とはなりますが、その為には王国制度の根幹である「王侯貴族と庶民」について考える必要があります。

 

 皆様に問います。「王侯貴族」とは何でしょうか?

 

 十人十色だとは思いますが、概ねは「(たっと)き者」「選ばれし者」「領地を治める者」「国を守る者」「家と血を守る者」又はその類似事項が思い浮かんだと思います。私も概要としてはそう思います。

 

 しかし中身は異なり、大きく分けて二つあります。

 

 では一つ目です。

 

 先程、「(たっと)き者」「選ばれし者」などと言いましたが、それは何時からですか?

 

 私及びシルフォード家を具体例に出してみましょうか。私の場合は何時から「貴き者」「選ばれし者」などになったのでしょか?

 

 それは生まれつきです。「(たっと)き者」「選ばれし者」などの血を持つ父ガルム辺境伯から生まれたからに他なりません。では、父ガルム辺境伯の血は何時から貴くなったと思いますか?

 

 それもまた、同じように生まれつきです。辺境伯家に生まれた子が貴い事などは親が貴いなどから。簡単な理屈です。では、その血筋を辿って行くと最終的には何処に行き着くと思いますか?

 

 初代当主リジェ・フォン・シルフォードに辿り着きます。では、リジェ・フォン・シルフォード初代当主は何時から「(たっと)き者」「選ばれし者」などになりましたか?

 

 そう、当代国王陛下に見いだされ時からです。しかし、見いだされる前は、しがないスラム出身の冒険者でした。となりますと、スラム出身の冒険者リジェの血はどの時点から貴くなりましたか?

 

 それは、単独ロック・ドラゴン討伐を行い、隣国からの脅威を跳ねのけた時からになります。

 

 知力か、筋力か、魔力か、只の時の運か。無名の庶民が功績を立て名を上げる。「(たっと)き者」「選ばれし者」など呼ばれる血を遡れば必ずここに到達します。

 

 要は「(たっと)き者」「選ばれし者」など呼ばれる者の先祖を辿ると庶民又はそれ以下に行き着く訳です。

 

 現在、エスフォート王国の総人口は三百万人以上と言われ、その九・九九割以上の二九九万七千人以上は庶民でです。

 つまり、今現在、王侯貴族とふんぞり返っている又は自負している私達は、元を辿ればただの庶民であり、ならば現在、庶民と侮られている二九九万九千人以上の庶民は王侯貴族になり得るという事です。

 これは歴史的に証明されている事であり否定する事は決して出来ません。

 

 また、彼ら庶民は受動的な存在ではなく、私達王侯貴族の言動の一つ一つを監視する『次なる王侯貴族候補者』とも言えるでしょう。

 

 二つ目です。

 

 王侯貴族は何を持って王侯貴族たり得るのか。そして耕しもしていない畑から収穫された作物を口にし、職人が作った家具やアクセサリーなどを享受でき、領地が与えられ、徴収権が与えられ、権力の行使が許され、何故王侯貴族よりも圧倒的に多い庶民達がそれを是としているのでしょうか?

 

 恐らくですが、多くの者達は「選ばし者であり、貴族の特権であり、権利だから」と口を揃えると思います。

 

 私は「前提として間違っている」と考えます。

 

 王侯貴族が領土を治める事が出来るのは、権力や特権と言った力を行使し、領民を守るからであり、だからこそ税金が納められる。このような王侯貴族と庶民の間での「暗黙の合意」が王国建国以前から続いて来たからです。

 王侯貴族が持つ地位・権威・権力・特権は権利ではなく、私的に国家三原則としている国土・国民・主権を維持し、安定させ、又は繫栄させる為の「道具と統治手段」に過ぎずません。

 また、それら持つ事を庶民がそれを許し、受け入れているからであり、故に得た物事は姿や形を変えど、庶民に還元するべきだと考えます。

 

 では、最初の質問である「初代国王様は何故故(なぜゆえ)に、身分の差関係なく学ぶ機会を与える事を目標にしたのでしょうか?」に対する回答です。

 

 王侯貴族であろうと、庶民であろうと、等しく人であり、又は誰にでも王侯貴族や庶民になり得る可能性があるから他にならないと思います。

 また、王侯貴族であろうと、庶民であろうと、学び得た物事は必ず何かしらの形で国家に還元されるとからだと考えます。

 

 統治方法を学べば政治・経済・軍事として、医業を学べば医術として、農林水産業を学べば食料生産として、還ってき、また、王侯貴族よりも人口が多い庶民が富まなければ税も増えず、税が増えなければ国は富まないと思います。

 

 誤った統治及び、王侯貴族がその権力・権威・血などと言った権力を私利私欲に身まれる為に振るえば、かつて初代国王が起こしたように庶民が立ち上がりクーデターや革命が起こる事でしょう。

 逆に良き統治を及び、王侯貴族がその権力・権威・血などと言った権力を正しく使えば、多くの者達を幸せに導く事が出来ると思います。

 王侯貴族の一筆が何千何万もの庶民を救う事があれば殺す事もあると思います。

 

 しかし、人間は奉仕し続ける事は心理的負担が大きい故に、奉仕の対価として王侯貴族に特権があるのだと思います。奉仕の権力と特権は同等の存在ではなく対になる存在であり、また奉仕の権力の行使を怠り、特権のみの行使は子供の我儘と何も変わりないと思います。故に、科せられている責任を放棄するならば、その家を継ぐ資格はないと思います。

 

 誤った医術を学べば何千何万もの人々を殺し、正しい医術を学べば何千何万もの人々を救い出す事が出来ると思います。

 誤った農林水産業を学べば何千何万もの人々を殺し、正しい農林水産業を学べば何千何万もの人々を救い出す事が出来ると思います。

 

 王侯貴族の無知は民への裏切りであり、罪になり得ると思います。

 しかし、それは王侯貴族のみならず庶民も似たようなモノであり、自身が就く職務に対する無知は家族・友人・彼女・仲間への罪になり得ます。

 

 学園は知識を蓄え、交流を増やし、視野を広げ、将来的に何かしらの職務に就いた時、正しい選択を行う為、誤っても大事にはならない選択を行う為に学ぶ場だと思います。

 その為に、初代国王陛下ユウヤ・テラ。ヒラサワ・エスフォート様は「学ぶ権利」を広げようとしたのかもしれないと考えてます。

 

 王国では学ぶ権利が浸透してません。その中で私達は入学を許されたのです。

 先程も言いましたが、学園は知識を蓄え、交流を増やし、視野を広げ、将来的に何かしらの職務に就いた時、正しい選択を行う為、誤っても大事にはならない選択を行う為に学ぶ場だと思います。

 

 最後に申し上げます。本年度入学された同級生の皆様は、門地・身分・性別に囚われる事無く、この学園生活を通して、友人を見つけ、自らの存在意義や将来について考えるべきだと思います。

 

 入学主席及び新入生代表カイン・フォン・シルフォード

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