「皆様、御待たせしました。週一で開催されている、ドリントル領立学園生による私、カイン・フォン・シルフォード・ドリントル辺境伯に対する質問時間です!いつも通り、私と私の仲間で開発した音声放送魔道具によって公開されます。では、早速ですが私が注目した質問便りを読み上げていきたいと思います!
質問です!領主様は私達の事を警戒し、同時に尊重しているように見えます。もし理由があるのならば、その理由を教えて下さい!
ドリントル領立学園鍛冶師科専攻六年制六年生
ゼノ・ミーラ(性別:女/年齢十二歳)
という質問が箱に入ってました。この質問を書いた鍛冶師科専攻のゼノ・ミーラさん壇上に上がって来て下さい。」
ゼノ・ミーラは壇上に向かう。
まさか自分の質問が読み上げられるとは思っても見なかった為、心の準備が出来ておらず、彼女の心像の鼓動は早くなっていた。
四肢が震え、全身から冷や汗が流れ、ぎこちない動きになる。会場の視線はカインからゼノに移っている為、視線を感じ呼吸すら忘れそてしまいそうになっていた。
そして壇上に上がる。
「君の家は確か、貴族証明用の短剣を作っている一族だよね?」
「は、はい!覚えてもらえて光栄です。」
声が少し裏返る。
まさか、自分やその一族の事を覚えて貰っているとは思っても見なかったからだ。また、顔には喜びと緊張が入り混じった複雑な表情が浮かんでいた。
「あ、そうそう。君にお願いして作ってもらった短剣は未だに使っているよ。切れ味も耐久力も非常に良いし、若干だけど神気も感じられる。」
「あ、有難う御座います!」
ゼノはまさか、自分が製作した短剣をべた褒めしてもらえるとは思っても見なかった為、声が少々裏返ってしまった。
「うんうん。では君の質問に答える前に幾つか質問をしよう。」
「質問ですか・・・」
カインはゼノに告げる。その言葉にゼノは困惑し、又は何を聞かれるのか疑問に思ったが、仕切り直して表情を変えた。
「ゼノさん。私に流れる貴族の血は貴いと思いますか?」
カインの問いかけに、講堂にはどよめきが走り、一瞬で静かになる。また、ラジオで聞いている全ての人々も息を呑んだ。貴族の血の尊厳について、公の場で問われるなど前代未聞の珍事な為だ。
ゼノは一瞬、言葉に詰まったが、すぐに気を取り直し迷いのない声で答えた。
「勿論です!貴族の血が貴いのは万人が知る所であります。」
ゼノの言葉は講堂にいる者達や、ラジオの先で聞いている者達の共感を呼んだ。貴族の血が貴いのは王制や貴族制をとっている国ならば常識であり、それ以外の国でも知識として広く知れ渡っており、そして揺るぎない真実であると誰もが信じて疑わなかったからだ。
「では、貴族の血はどの時点で貴くなったと思いますか?例えば僕の場合は、ドリントル領の辺境伯であり、又はグラシア辺境伯の三男です。僕の血は何時から貴くなったのでしょうか?」
カインは更にゼノに問いかける。その質問は、単純のようでいて、深く根源的な問であり、今まで誰も感じなかった事からだ。ゼノは考え込み、頭の中では緊張と思考で一杯であった。
「ドリントル辺境伯様としてならば、陛下より爵位を承った時、グラシア辺境伯様の三男としてならば生まれた時、又はそれ以前からでしょうか?」
ゼノは王侯貴族社会の常識に則った答えを導き出す。
「私が求めている以上の回答でした。では、「生まれつき」とおっしゃいましたが、何故、生まれつきなのでしょうか?」
カインの追及は止まらず、ゼノは貴族の尊厳たる血の根源を問われている事から、背筋が凍った。
「それは・・・貴い貴方様の父様である、ガルム・フォン・シルフォード・グラシア辺境伯様より御生れになったから他になりません。また、最近では第二夫人様がミシンガ領領主様の子である事が判明した事から、尚更だと思います。」
ゼノの言葉に、会場は納得の空気に包まれた。
父の血を受け継ぐ子として、又は名声が高いミシンガ領の娘の子としてカインもまた貴い血を持つのは当然の事だと考えた。及び、それはこの世界の貴族社会における最も基本的な認識であった。
「その通りですね。貴い血を持つ父母から生まれたからこそ、その血を引く子である僕も貴くなり、又は親が貴いのはその親が貴いからになります。非常に単純的であり簡単な理屈ですね。」
カインの口から出た言葉は、普段の人物像からは想像も出来ない程、傲慢であり、保守的貴族を体現したような言葉だった為、講堂やラジオの先では騒めきが広がった。
カインの事をよく知っている者達はその発言に裏があると察し、あまり知らない者達はその発言に困惑した。
後者の者達はカインがこのような露骨までに貴族の優位性を肯定するような話をするなど想像もつかないのであった。
しかし、彼の表情はあくまで真剣で、言葉には一切の迷いが見られなかった。
「では、僕の父系の血筋を辿っていくと最終的には誰に辿り着きますか?」
カインの問いかけに、ゼノは迷うことなく答えた。
「王国の英雄が一人、ジェル・フォン・シルフォード様です。」
ジェル・フォン・シルフォードの功績は、王国中の誰もが知る人物であった。
「その通りです。この王国では殆どの方々が知っている、シルフォード本家初代当主に辿り着きます。しかし、シルフォード家開祖のジェル当主は、当時の国王陛下と貴族院により見いだされるまで、スラム出身の駆け出し冒険者だったのも周知の事実だと思います。また、その親も、親の親もスラム出身だったとされます。と、なるとジェル当主は何時どの時点から貴くなったのでしょうか?」
ジェル・フォン・シルフォードはスラム出身の冒険者だった事は歴史書や物語、伝記として受け繋がれている話であり、かつ事実に基づく。
また、カインの言葉に、会場からまばらではあるがはっとする者が現れ始めた。
しかし、それらの事実と貴い血の関連を意識した者は少なく、これらの問いで気付く者も少ない。それ故に講堂やラジオの向こうで演説等を聞いている人達は、この問いに意味があるのだろうかと深い溜息を漏らすものも多い。
カイン辺境伯は、一体何を言いたいのだろうか。彼の言葉の真意を探ろうと、誰もが耳を澄ませていた。
「それは・・・冒険者として天災級でありSSSランク級の魔物であるロック・ドラゴンの亜種である、ダーク・ロック・ドラゴンを単独討伐し、また王国民の一人として対バイサス帝国戦で先頭に立ち、又は失った将軍の代わりに指揮を取り撃退した事などの数々の功績によって当時の国王陛下及び貴族院に見いだされ、貴族位を承った時でしょうか?」
ゼノの言葉は、ジェル当主の偉業を正確に物語っており、その言葉にカインは満足げに頷く。
「僕もその通りだと考えてます。では、功績出す以前はどうなりますか?」
カインの問いにゼノは一瞬躊躇するが、カインの真剣な眼差しに促され覚悟を決めた。
「不敬になるかも知れませんが・・・」
「構いません。」
カインは、ゼノの言葉を遮るように告げる。その声には、一切の迷いも躊躇いもなかった。
「それ以前は・・・無名のスラム出身の冒険者です。」
「そうなりますね。それに先程も言いましたし・・・知力か腕力か魔力か、又は時の運か・・・無名の者が功績を立て名を上げる。「貴い血」を辿ると必ずここに行き着く訳です。と、同時にその功績と、受け継いで来た歴史や伝統によって貴族の権威が構成されているのです。」
カインの言葉は、まるで鋭い剣のように聴衆の心に突き刺さった。直接聞いていた、又はラジオの先で聞いていた貴族達は、自分達の血統の根源を改めて突き付けられ、複雑な表情を浮かべるのであった。
「理解出来ますが、それが私の質問とどう関係するのですか?」
ゼノは、カインの言葉の真意を掴み兼ねていた。ゼノの質問は、「領主が民を警戒し尊重する理由について」だからだ。それが、貴族の血統の歴史とどう繋がるのかイマイチ分からず疑問を投げかけるゼノに対し、カインの表情はさらに真剣なものへと変わっていった。
その瞬間、会場全体に張り詰めたような緊張感が走り、その緊張は、壇上のカインとゼノの間だでなく、講堂にいる聴衆やラジオを通して王国中に広まっていった。
この演説を聞いている他の学園の生徒達、そして貴族達もが固唾を飲んでカインの次の言葉を待っていた。
「最初の質問に対する回答はもう少し先になるね。取り合えず今の質問に対する回答だけど・・・詰まる所、今現在、王侯貴族とふんぞり返り、又は自負している私達の元を辿れば、名も知られて無かったただの民草であり、ならば今現在、民草と侮られている君達も王侯貴族になり得る可能性があるのです。」
カインの言葉が講堂に響き渡ると、今日一番のざわめきに包まれた。
貴族の階級意識が蔓延するこの王国や世界で、辺境伯生れであり、自身が辺境伯という高位の貴族であるカインが、民草にも貴族になり得る可能性があると公言した事によって、これまでの常識を根底から覆す程の革新的な発言になった。
ラジオ越しでも、その言葉は大きな衝撃を与え、平民達は、自分達にも細くも道が開かれている事を自覚し、細くも希望の光が見えたのだ。しかし、既存の貴族達は、その言葉に激しく反発し、長年築き上げて来た自分達の地位が脅かされるのではないかという危機感から怒りの声が上がった。
「そ、それを由緒ある上級貴族家出身であり、自身の功績によって辺境伯になった貴方様の口から言っていい事なのですか!?」
彼の言葉は、保守的考えを持つ貴族達の代弁でもあった。
会場のざわめきが収まると、カインはゆっくりと口を開いた。彼の言葉は、聴衆の心を落ち着かせ、再び彼の演説に引き込む力を持っていた。
「無論、王侯貴族になる事は容易ではありません。しかし、領土や王国へ功績を無視できるものではありません。その為、ドリントル領では「功労叙勲制度」を設けている訳です。」
カインは、王侯貴族になる事への困難さを認めつつも、王国や領土への功績の重要性も認めなければならないと強調した。及び、ドリントル領では数年間から導入されている「年間功労叙勲制度」によって、領民の功績を正当に評価し、褒章を与える事で、彼らに名誉と領内のみで有効の地位を与える事を目的としていた。
そして、ドリントル領が独自に導入している「年間功労叙勲制度」について言及した。この制度は、領民の功績を正当に評価し、勲章を与えることで、彼らに名誉と地位を与えることを目的としていた。
因みに勲特等>勲一等>勲二等>勲三等>勲四等>勲五等で運用されており、勲一等以下は必ず選択するが、勲特等は出ないもある。
カインは会場のざわつきが収まるまでまった。
「王侯貴族に慣れない代わりにの制度という事ですか・・・」
「概ねその通りです。因みにこの制度導入後に、陛下やマグナ宰相閣下、エリック公爵閣下、父ガルム辺境伯、王国騎士団団長ティファーナから「目ぼしい者」を聞かれる事が度々ありまして、叙勲された中から各国家的要人の御耳に入れる事があります。確か・・・直近の叙勲式で叙勲されたAランク級冒険者レオは、ガルム辺境伯騎士団の対魔物戦闘の特別顧問をする事になったみたいです。また、鍛冶師カリスは鉄を浮かべる技術を発見した事によって陛下より騎士爵を承ってます。」
また会場がざわつく。実質的な引き抜き行為が既に前例としてあり、また既に貴族位を貰っている者もいるのだから。
カインの言葉に、講堂やラジオの先は再びざわめいた。
国王陛下やその他国家的要人に直接報告される可能性があるという事実は、叙勲制度の持つ価値を飛躍的に高めるものだった。
それは、単なる名誉だけでなく、将来的に貴族への道が開かれる可能性を示唆していし、既にそれにより貴族位を貰っている者もいた。
「そして、最初の質問である、私が民を警戒し敬う理由だけど・・・今、ドリントル領の人口は王都より多く、また、父ガルム辺境伯が納めるグラシア領よりも多い、凡そ二十五万人。領内だけで二十五万人、他の王侯貴族や王国民、又は他国民を含めればそれ以上になり、それだけの名の無き潜在的な王侯貴族候補達が、僕の
カインの統治に対する深い洞察を示していた。二十五万人という膨大な人口が、辺境伯の統治を監視しているという言葉は、彼がどれほどの重圧を感じながら領を治めているかを物語っていた。
彼の言葉は貴族達や平民達など身分に囚われず全体に響き、改めて統治者の責任の重さを認識させるモノだった。ラジオを通してこのメッセージは王国中、又は隣国に広がり、カインや貴族に対する新たな評価を生み出していった。
「しかし、貴方様の統治は安定して・・・」
ゼノは、カインの統治の手腕を称えようとするが、カインは首を横に振ってその言葉を遮った。
「違うよ。統治が安定しているのは今現在の話。万が一にも、僕が失政を犯し、経済を悪化させ、治安を悪化させ、権力や特権などの乱用及び過大な私利私欲に走り、辺境伯として他国と戦争になったとして、万が一にも敗北した時はどうなると思いますか?」
カインの問いかけに、ゼノは息を呑んだ。彼の言葉は、現実の厳しさを突きつけるものであり、統治者及び貴族ならば恐れる、起こり得る最悪の事態を想定したものだった。
会場は再び静まり返り、誰もがカインの言葉に耳を傾け、息を飲んだ。
「そうすれば統治が安定しなくなり、民草の心は離れていく。だからこそ、警戒し敬い、最善の選択を行い、誤った選択をした時は修正をしなければならない。それに軍を編成できる事から国王陛下には及ばないものの、他の貴族位よりも重責を背負っていると言っても過言ではないと思う。それが示す事は何だと思う?」
少し考える時間が出来る。
カインの言葉は、辺境伯という立場の重責を明確に示していた。
ゼノは、カインの問いに深く考え込んだ。辺境伯の一筆が示すもの。それは、単なる命令以上の意味を持つはずだ。しかし、彼の頭の中では答えがまとまらなかった。
「わかりません。」
正直に答えるゼノに対し、カインは静かに告げた。
「分からない事を分からないと言えるのは勇気が必要な事だ。」
ゼノの発言を肯定する。
「さて、それが示す事は・・・僕の辺境伯としての一筆には、最低でも全領民に値する二十五万人もの生死を預かっている事になり、同時に監視されている事にもなる。」
カインの言葉に、ゼノやラジオの先の平民達や平民思いの貴族は息を飲んだ。
彼の言葉は、辺境伯の権力と責任の重さを、具体的な数字をもって突きつけるものであり、二十五万人もの生命が、自分の一筆にかかっていると言ってのけた。
その事実を突きつけられ、ゼノや講堂にいる者、ラジオの先の平民達や平民思いの貴族は、その言葉の重みに静かに耳を傾け、そのこの言葉は大きな衝撃を与え、カインの統治に対する真摯な姿勢が王国中に伝わった。
また平民思いの貴族達には自身の責任を再認識させ、領民には統治者への信頼を深めさせた。
ゼノを始め講堂にいる者やラジオの向こうでは、カインの言葉に深く感銘を受ける者、そして真剣に考え込む者など、様々な反応が見られた。彼の言葉一つ、判断一つが、領民の生活に大きな影響を与えることを、彼は常に意識しているのだ
ゼノは、もし自分がカイン辺境伯と同じ立場だった場合、二十五万人もの重さに耐えられるのか、一種の尊敬と恐怖を覚えた。
「だからと言って、警戒と敬い事すれど、恐れはして無い。貴族の統治的行為は民草に認められてこそ価値を持つと思っている。王侯貴族は民によって作られ、民は王侯貴族によって作られる。又は王侯貴族は民によって滅ぼされ、民によって王侯貴族は持ち上げられる。及び、王侯貴族と民草は相互関係で成り立っていると思っている。」
会場が静まりかえる。
カインの言葉は、講堂響き渡り、ラジオの先にも響いた。
彼の言葉は、これまでの貴族社会の常識を根底から揺るがすものであった。
王侯貴族の存在意義は民草に認められてこそ成り立つ。そして、その関係は相互的なものであり、どちらか一方だけでは成り立たない。
この言葉に、会場は静まり返った。誰もが、カインの言葉の深遠な意味を理解しようと、息を潜めていた。
ラジオの向こうでも、この言葉は大きな波紋を呼び平民達は、自分達の存在が王侯貴族にとって不可欠である事を知り、誇りを感じた。一方、保守派貴族達は、自分達の地位の脆弱性を突きつけられ、複雑な感情を抱いた。
カインの言葉は、王国中の人々の心に深く刻み込まれ、新たな議論の種を蒔いた。
「しかし、同時にあらゆる歴史と伝統は蔑ろにしてはならない。とも思っている。歴史や伝統を蔑ろにした場合は、滅びるのが早くなるだけと思っている。エスフォート王国が建国される以前の王国は、貴族社会から大幅に粛清を行い、実力至上主義になり過ぎた故に、反発が相次ぎ、エスフォート王国初代国王ユウヤ・ヒラサワ・テラ・エスフォート陛下が反発勢力をまとめ上げた事によって崩壊に繋がったと思っている。」
カインの言葉に、会場の誰もが驚きを隠せないでいた。
先程までの、民草にも貴族になる可能性があるという革新的な発言とは裏腹に、歴史と伝統の重要性を説く言葉だったからだ。
聴衆は、彼の言葉の真意を理解しようと、再び真剣な表情で耳を傾けた。
ラジオの向こうでも、この発言は大きな衝撃を与え、平民たちは困惑し、貴族達はその言葉の奥に隠されたメッセージを探ろうとした。
エスフォート王国建国以前の歴史は、ドリントル領学園では詳しく教えられているが、一般的にはあまり知られておらず、王立学園でも教えられてない。
その歴史を引き合いに出すことで、カインは自身の主張に説得力を持たせようとしていた。
「だからこそ、功績と伝統、実力と歴史の折衷やバランス、統合や融合が大切だと思いながら、僕はこのドリントル領を統治しているんだ。過去の過ちを犯さない為にも、ドリントル領立学園では王国建国以前の歴史を世界史として学び、それが必修科目であるのも、それが理由だ。」
ドリントル領立学園では建国以前の歴史も学ぶ。何故なのか多くの人が疑問に思ってた事も一緒に解決する。
カインの言葉は、彼の統治手法の核心を突くものだった。
功績と実力だけを重んじるのではなく、歴史と伝統も尊重する。その両者のバランスを取りながら、カインはドリントル領を治めているのだ。
その言葉は、ドリントル領立学園で建国以前の歴史を学ぶ理由についても、明確な答えを与えてくれた。多くの人々が抱いていた疑問が、今、一つに繋がったのだ。
彼の言葉は、単なる演説ではなく、彼自身の信念から語られた真実だった。
ラジオの向こうでも、この言葉は深い感動と共感を呼び、カイン辺境伯に対する評価を一層高める結果となった。
「ゼノさん。「質問です!領主様は私達の事を警戒し、同時に尊重しているように見えます。もし理由があるのならば、その理由を教えて下さい!」に対する回答だったけど、納得いく回答になったかな?」
カインの問いかけに、ゼノは満面の笑みを浮かべ、深々と頭を下げた。彼の心の中には、これ以上ないほどの納得と感動が満ち溢れていた。
「私には貴方様みたいに二十五万人以上に及ぶ重責は背負えません。しかし、私は私に出来る事を行おうと思いました!とっても貴重な回答を有難う御座います!」
「ならよかったかな。」
ゼノの声は、会場に響き渡り、拍手喝采が巻き起こった。
ゼノの言葉は、聴衆全員の気持ちを代弁するものであり、カインへの感謝と敬意が込められていた。
ラジオの向こうでも、多くの人々が聞き及び、カイン辺境伯の演説は、王国中に大きな影響を与えることとなった。