【公開:短編集】書置き集   作:satikaze

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【No.2/2】 今世

「「遥凪!3歳の誕生日おめでとう!」」

 

 今日は11月10日。

 私は、今日、記憶を取り戻した。

 父母にどう接すればいいのか分からない。

 

「・・・」

 

 反応が出来ない。

 前世が医療福祉系専門学生であった為、3歳の発達段階は知ってるけど、それ通りに反応が出来ない。

 

「遥凪、どうしたか?」

「どうしたの・・・?」

 

 話すべきなのか、話さないべきなのか・・・

 この記憶がいつ失われるか分からないのに。

 私は何者なのか、その境界線が曖昧になったのに。

 

「・・・(ニコッ)」

 

「愛想笑いだよね」

「そう見えるね」

 

 これで誤魔化せるとは思って無いし、現に両親は話をしている。それに、今さっき気付いたが前世でのクラスメイトや旧友の面影があるし、父に限っては旧友と同性で同姓同名だ。

 

「問いただしてみる?」

「いや・・・遥凪の口から話すまでは辞めておこう」

「うん。そうする」

「ハル、何があったか分からないけど、いつか教えてよな」

「うん」

 

 誤魔化せては無かったみたいだが、どうやら乗り切れたようだ。

 7歳の誕生日の時に覚えてたら言おう。

 

 本格的な冬に入り、春が過ぎて、夏が来て、秋が来て、季節は(うつ)ろいでいった。

 

 7歳までになる間、色々な事があった。

 

 前世と同じ大海原(おおうなばら)幼稚園への入園と卒園、役園台南(えきそのだいみなみ)小学校への入学、友好関係の構築、または前世では考えられなかった物事に対して才能が開花していった。特に絵を描くのが好きで、事前準備の意味合いを含みながら、前世の町を思い出しながら描く事が多かった。特に変わる前の役園町(えきそのちょう)の風景や各建物の姿、前世の友好と遊んでた姿などを描いてた。

 

「「遥凪!7歳の誕生日おめでとう!」」

「ありがとう。」

 

 今日が言う日だ。

 

「お父さん、お母さん、3歳の誕生日に僕が黙り込んで「何があったか分からないけど、いつか教えてよな」と言ったよね?」

「ん?・・・あぁ・・・そうだな。」

「そうね。教えてくれるの?」

「7歳までは人の子ではなく神の子。いつ、また失われてしまうか分からなかった。でも7歳過ぎたからね。だから今日まで言わなかったんだ。」

「「・・・」」

 

 黙り込んだ二人を見て意を決して発言し始める。

 

「・・・ねぇ・・・ここのノートに書かれた風景は見た事あるんじゃないかな?」

「昔の・・・20年程前の役園町(えきそのちょう)だな。」

「こっちは私の専門学校の母校だね。」

「・・・二人は気付いていたんじゃないかな?藤川(ふじかわ)(なぎ)君、藤川(ふじかわ)由喜(ゆき)こと旧姓大川(おおかわ)由喜(ゆき)さん。」

「いや・・・わからん」

「・・・マジ?」

「あぁ。・えぇ。」

 

 あちゃー・・・そりゃそうだ「転生」とか非科学的な現象が思いつく訳もない。

 

「僕には前世の記憶があるんだ。そして二人は共通の知っている人を無くしているはずだよ。」

 

 二人は話し始めて、その内に時間が止まったように振り向いて来た。

 

「まさか・・・春元(はるもと)大和(やまと)君なの・・・?」

 

 いざ言われると何と言ったらいいのかわかなくなるな・・・でも反応しない訳にもいかないから強く頷いた。

 

 そのうちに「令和のガリレオ」と呼ばれるようになったが、それはまた別のお話。

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