結ヶ丘女子高校スクールアイドル部より 作:ブルーガソウ
結ヶ丘女子高はかつて閉校した神宮音楽学校の跡地に存在していた。神宮音楽学校の校舎を流用した普通科と新たに建設した音楽科の二つの校舎からなる。
スクールアイドル同好会の部室は普通科の古い校舎の中でも人気の無い、普段は解放されていない屋上への出口のすぐそばにあった。化けて出てきそうな雰囲気にかのんが酷くビビっていたのはご愛嬌だが、その話は割愛する。
小梅が三人に連れられて部室へ行くと、中で一人の生徒が奥を向いて立っていた。
古い校舎に今まで使われていなかった部室······。皆が思わず彼女の足元を見てしまったのも仕方がないのだろう。
部員達を差し置いて部室へ一番乗りした生徒の名は
可可は部活説明を兼ねて自分達の目指すべきステージ、ラブライブ決勝の映像を小梅とすみれに見せた。
ステージに感激したすみれが早々に入部を決めた一方、同じ動画を見ていたはずの小梅は対称的に顔を強張らせている。
「何ですかこれ?······広すぎ······。しかも観客がこんなに······」
壊れたブリキの様に可可へと顔を向ける小梅の瞼は驚きにより大きく開かれていた。
「こんなとこで歌うんですか!?」
部室に移動する前に既に入部を決めていた小梅を、何を今更······といった表情で見つめ返す。
「小梅さんもラブライブを知らなかったのデスか?」
「てっきりスクールアイドルって地下アイドルみたいなものかと······」
小梅が想像していたのは小規模ライブハウスで行うライブ。間違ってもこんなトップアーティストが立つような舞台では無かった。
「確かにそういった活動をしているスクールアイドルも多いです。今やスクールアイドルは一大コンテンツとなっており、その数も計り知れません。こういったステージに立てるの一握りの選ばれし者のみ!そしてその中でも地区予選を勝ち抜いた本当の実力者だけが立つこと許されるのがラブライブ決勝の会場、スクールアイドル達の聖地、秋葉ドーム!!私達はそこを目指しているのですー!!!」
話ながら段々とテンションが上がり身を乗り出して語る可可に小梅はただ圧倒される。今の可可に対応するのは対人スキルLv.1の小梅には不可能だった。
今後の練習場所となる屋上へと足を踏み入れたスクールアイドル同好会一同。
「広いです~」
駆け出す可可とかのん、その後をまるで保護者の様に着いていく千沙都。小梅はそわそわしながらその後に続いた。
小梅は今まで部活動というものに二次元でしか触れたことが無かった。人間関係に不安があるものの実はけっこう楽しみだったりもする。ここで青春が生まれたりするんだろうな、と期待に胸を膨らませていた。
「さあ!何をすれば良いの?」
同じ新入部員である小梅と対称的にすみれは堂々とした態度で屋上に出る。
「そうね。······じゃあステップから!」
千砂都は素早くタップを踏むとターンして見せた。
「できる?」
振られたすみれが千沙都と同じようにステップを踏む。その動きに淀みは無く、最後のターンまで決めた。
「凄いです」
「上手!」
可可とかのんの賛辞がすみれへと飛ぶ。
「基礎はできてるみたいだね。じゃあこれは?」
「それくらいなら」
また別のステップを千沙都が見せるとすみれも同じ動きを見せた。
「凄い!」
「これはもしかして即戦力というやつですか!?」
すみれの実力の一端を目の当たりにしたかのんと可可は興奮を隠しきれない。
「それじゃあ次は小梅ちゃん!」
「は、はいっ」
千沙都に名指しされ何とも頼りない返事をした小梅だったが、次の瞬間には顔付きが変わっていた。二人がやったステップをすみれ程ではないがこなしてみせる。
「えっと、どうでしょう?」
ステップを終えるとすぐにまた自身なさげないつもの小梅に戻った。
「初めてにしては上出来かな」
千沙都から及第点をもらった小梅は照れくさそうに笑う。
「えへへ······カラオケで歌や振り付けを真似していたので模倣は得意なんです」
推しの声優になりきってヒトカラライブを幾度となく行っていた。観客はいつもぬいぐるみ一人のみ。その積み重ねが今ようやく人の目に触れたのだった。
小梅は原作にて一度聞いた歌は完璧に模倣して歌うことが出来るという才能を持っています。しかし、振り付けにもこの才能が適用されるか否かまだ原作単行本では触れられておりません。そもそも『いろどり高校合唱部より』がまだ1巻しか出ていません。
まあ、歌の才能があるのだからリズム感はあるだろうということで、無難な所に落ち着かせました。
今後の原作の展開によってはこの部分は書き直させて頂くかもしれません。