帳を張ることで隠れること余裕だった俺は、アジアまで来ていた。
俺のお仕事はBETAのサンプルを回収すること。
そして戦術機、BETAの情報収集である。
パシャパシャとカメラで写真を撮っていく。
しかし目立つ。とても目立つ。
目隠しもそうだが、フラフラしている成人男性がとても珍しいのだ。
普通はとっくに徴兵されてるから。
これは日本もすぐに潜伏がきつくなるかもしれない。
ついでに言えば、素人の偵察なんてとっくにお見通しのよう。
追われることも増えた。
「うう、疲れたぁ。でもまあ、これだけ頑張ればメロンパンも満足してくれるだろ。BETAのサンプルも取れたし」
拠点に帰ってくると、レポートや写真が添削されていた。
なんならメロンパンの調べて欲しいリストにチェックが入ってて資料が置かれていた。
侵入者!? 助かるっ 助かるけどっ……
あ、でも本当、俺なんか素人にすぎないんだってわかる。
ありがたく貰っておこう。
「うう、ありがとう。これでお家に帰れる」
「どういたしまして。あまりにも拙いのでつい手伝ってしまいましたよ」
「日本のスパイの方ですか?」
「いえ、私はしがない貿易商ですよ」
柱の影から男が現れる。
「初めまして、さとりさん。迷子のようでしたら、お家まで送って差し上げましょうか? お家はどちらに?」
「呪術界。ちゃんと帰れるから大丈夫。俺、最強だから」
資料を束ねて、ふと目線に気づく。
「どうぞ、不可視の鞄に入れてください。私の目は気にせずともいいですよ」
あ、バレてる。お言葉に甘えて資料を呪霊に食べさせる。
貿易商の男は、興味深そうにそれを眺めていた。
「呪術界と言いましたが、貴方は呪術師だったりするのですか?」
「そー。仕事手伝ってくれたから、一回だけ手伝ってやるよ。お前の望む奴を呪ってやる」
「私が憎いのはBETAなのですが、呪いはBETAに効きますか?」
「あいつら硬いからなぁ。でもいいよ。然るべき時に、呪ってやる。ここでの調査も終わったし、最後に盛大に呪ってから帰るつもり」
そして、俺は転移した。
何度か転移を繰り返し、見つけておいたポイントへと向かう。BETAとの戦闘実験である。
人型兵器は、まだ試せない。流石に1人だとトラブルに対応できないからな。
俺はふわりと空に浮かんだ。
光線の集中攻撃。
それを無限で防ぎ、目隠しを外す。10割敵。フレンドリーファイアの心配なし。
「少し、乱暴しようか」
流石に疲れた。硬いんだよ、BETAは。この俺が素手で貫けないって相当だと思う。
再度密航した俺は、宿を取って休んだ。
「んーっ 疲れたぁ。ハイヴの単独攻略は無理そうだな。はぁ。あと1日休んでから合流しよ」
食堂で朝食を取っていると、貿易商の男が声を掛けてきた。
「おや、偶然ですね。本拠地はやはり日本で?」
「うっわ。まあそうなんだけどさ」
「呪術とは素晴らしいものなのですね」
「まあ、俺、最強だし。六眼だし」
「呪術とは、私にも扱う事ができるのですか?」
「血筋と才能の世界だから、無理かなぁ。俺の呪霊だって、見えないだろ? 肩に今もいるんだけど」
「それは残念。コミュニティには、何人いらっしゃるのですか?」
「それは流石に言っちゃダメだと思うんだ」
「私の望む相手を呪ってくれるとのことですが。ハイヴでもよろしいか」
「出来立て、ならすげー頑張って助けも借りればどうにかなるかも……? 無理でも文句言うなよ」
「ありがとうございます。しかし、貴方の様な方が今まで潜伏していたなど、信じ難いですね」
「あー。地球には割と最近来たんだよ」
メロンパンから電話が来たので報告する。
スパイに見つかりました。資料集め手伝ってもらいました。スパイ今目の前にいます。
『随分とお世話になったんだね。じゃあ、おもてなししないと。呼んできて』
「いいの?」
『最低限の情報収集は終わったし、潜伏も厳しいからね。高く売れる時に売っておこう。宇宙船の方でいいよ』
「だって。俺んち来る? あっ 1人だけだからな」
「是非」
と言うことで、宇宙船にスパイさんがくる事になったぞ!
「メロンパンと夏油に紹介するからさ。名前言えよ」
「これは失礼。私の名は鎧衣 左近ですよ」
「よろしく」