「いやだ!」
ここに来てまさかのNO。
「あんなに小さな子達を戦わせていいわけがない!」
「ああ……」
そういえばそうでしたね。
「じゃあ、手を引くか? 俺らが手助けしない正史では、1人除いて全滅だった気がするから、俺としては手助けしてあげたかったんだけど」
基本、俺は夏油優先である。
だって夏油が狂ってしまえば取り返しのつかない被害になるもの。
メンタルケアは大事。
「っっ!! そんな、全滅なんて……!」
「彼女達は、その為に生まれて、その為の仕事をしたんだ。それに、彼女以外にも大人も子供も力を尽くして戦ってる。俺達の世界みたいに、呪術師だけに任せてないだけ、平等だと思うけど」
「あの、大丈夫です、ゲトー様。私達、生まれた時から覚悟をしてます」
そういうのは、俺達付きになったセーミ(7番目)ちゃん。
まんまと心を読む監視を引き入れる事になってしまった。俺ちょっと心配。主に夏油が。
「私は……!」
「それでなんだけど。彼女達を無為転変できないかな? 手持ちの呪霊の中に真人いる?」
前に、手持ちの呪霊が全部新顔で死ぬほどいるって愚痴ってたので、恐らく持ってるのはメロンパンの集めた呪霊だと思うんだよな。なら、真人はいるはず。
「何をするつもりなんだ」
「彼女達に呪霊が見えるよう、脳を改造してもらう。サポートしやすくなると思うんだ」
例えば、呪霊に代わりに指示をさせる事もできれば、やれる事はぐっと広がる。
「絶対許せない!」
「彼女達の生存率を上げるためだ」
「そもそも、戦いに向かわせていいわけがない!!」
「うーん」
「ゲトー様。私達の事で、貴方が怯える必要ないです」
「!??」
そっとセーミはゲトーの手を握る。
「私達は、私達の責任で、私達の為に頑張るんです。私達は、ゲトー様も守ります。だから、大丈夫です」
「私は、怯えてなんか……!」
「夏油。何度も言うけど、彼女だけが特別じゃない。皆、戦ってるんだ。戦わないと地域ごと資源にされるんだ。特殊能力者じゃなくたって、激戦区じゃ彼女くらいの年齢の子が戦わされてる。彼女達に、地球の人々に、黙って犠牲になれって言うのか? 足掻かせてやれよ」
俺らが守ればいい、なんて耳障りのいいことは言えない。
だって一部隊の人数なんて守れっこない。
本物の最強コンビだって、たった1人の女の子を守れなかったのだ。
「……私が戦う」
「はぁ?」
「私が、セーミを責任持って守って戦う。ハイヴを調べてくる。だから、他の子達は待っていればいい。君も」
「はあああああああああ!? 無茶言うな!!」
「人類側だって、私達に報酬を支払ってもいいはずだ。報酬は、子供達の時間だ!!!」
「おまっ」
「私は……私は、この子達に生きてていいって思って欲しいんだ!!」
「その理由の一つを奪ってどうすんだよ!! 心を読むなんて、ただでさえ警戒されるのに、仕事までとったらそれこそ排斥され……っ」
あっ地雷だ。夏油の顔色が変わる。
「悪かったよ。じゃあ、最初は俺とお前とセーミで侵入出来るか試して見ようぜ。でも、どうにも出来なそうなら、頭を下げてオルタ3のメンバーの力を借りよう。それと、オルタ3の子達の能力だけど、無為転変して一般の人に呪霊達の位置を知らせるとか、出来ることを考えよう」
「君の力を借りる必要なんてない」
「俺がお前の助けになりたいんだよ。それに、セーミの為でもある。これ以上は譲れないぞ。それか対案出せ」
「……ごめん」
そういうことで、俺たちの案というより我儘を伝えに行った。
「わかりました。スワラージ作戦は決行しますが、貴方達はそれとは別に動き、オルタ3の子供達はその結果を受けて出撃という事としましょう」
「いい、のか?」
その言葉に、スワラージ作戦の大将は肩をすくめた。
「確かに、よくないです。よくないですが、天の御使が、子供も易々と犠牲にしようなんて言われる方がショックですよ。その分、奇跡を見せてもらいましょう。そうそう、あなた達の仮の身分ですが、オルタ3で生まれた実験生物、という事にするのはいかがですか?」
「それは却下で」
「一応メロンパン君に相談しなくていいのかい?」
「あいつも一緒になって嬉々として調べそうだからダメ」
その後、メロンパンから色々調べていい? 沢山いるから半分くらいは実験で消費しても良かろうと言われ、また戦いが勃発するのだった。
メロンパンはどう交渉したのか、セーミちゃんを完全に貰い受ける事となった。
無為転変して、メロンパンとセーミちゃんと俺と夏油の4人パーティで出撃である。