「兄ちゃん!悪いが注文された武器はまだ出来ちゃいねえ!予備のカートリッジは装備させとくから、専用ライフルでやってくれ!!」
「あいよ!そのカートリッジ、どんぐらい積んであんだ!」
「2つ積んである!マシンガン運用ならかなり戦えるし、精密射撃も行けるようにはなる!ただこの前も言ったが、精密射撃だとエネルギーの減りがマシンガンの時とは段違いだからな!その辺り考えてくれよ!」
マードックの声を聞きながら、コクピットハッチまで走るオルガ。
腰の方に目をやると、たしかにそこには、専用ライフルのエネルギーパックが入ったカートリッジが装備されていた。
「ドカドカ撃ちまくらなきゃいいんだろ!分かってるっての!」
「頼んだぜ!兄ちゃん!」
コクピットに滑り込み、ヘルメットを装着するオルガ。
すぐにアドバンテージを起動させ、カタパルトまで動かす。
『オルガさん。準備出来ました?』
「おう、ミリアリア。出来て……ミリアリア?」
そのまま流しそうになったオルガだったが、サブモニターに表示された顔に、思わず二度見してしまう。
マリューか、ナタル辺りの声がするだろうと思っていたところ、まさかミリアリアの声が聞こえるとは思ってなかったからだ。
『アークエンジェルのCICを務める事になりました、ミリアリア・ハウです。よろしくお願いします!』
「……トールが言ってたこと、マジだったか…」
『反対のハッチから、キラのストライク。後からフラガ大尉のメビウス・ゼロも発進します。カタパルト、接続確認。システム、オールグリーン』
「…よし。いつでもいいぞ、ミリアリア」
『………お願いします。アドバンテージ!発進!どうぞ!!』
「アドバンテージ。行くぞ!」
カタパルトが作動し、アドバンテージが発進する。
ミリアリアの言葉通り、反対のハッチからストライクが。
そしてその後少し経ち、メビウス・ゼロが発進した。
「キラ。今回は……。ああ、エールってやつか?」
『は、はい……。高機動戦闘用のストライカーパックだそうで、ストライクが装備してない、ビームサーベルも付いてます』
「んで、シールドとライフル持ちね。結局、そういうのが1番やり易いんだよな」
『坊主共!話してないでモニター確認しな!ザフトが来るぞ!』
「へいへい…。どうせジンが大量に……!?おい!オッサン!!」
『なっ…!?冗談だろ…!キラ!アークエンジェル!聞こえるか!敵陣、ジン数機!その他……!』
敵影を捕捉したオルガとムウは、自分の目を疑った。
ザフトのモビルスーツであるジンが複数いるのは、当然予想していたことだった。
『イージスの他に、ブリッツ、デュエル、バスター!!ジンと共にこちらへ来るぞ!!』
『なんだと!?』
『機影識別!シグナル確認!間違いありません!イージス、ブリッツ、デュエル、バスター!!ジンとの兵隊、確認!!』
『奪ったGを、全て投入してきたと言うの……!?』
(バスター、デュエルとは戦ったことあるが、残りの2機は初見だし、しかもバカMSじゃねえから、性能差もあるってか……!!)
「クソっ…!キラ!バスターには気を付けろ!見かけ通り、長距離射撃が得意そうだからな!」
『は、はい…!!』
そうオルガが言った直後、アラートが鳴り響く。
前方のバスターがこちらに狙いを定めた合図だった。
バスターが左腰に装備されているライフル"94mm高エネルギー収束火線ライフル"から、ビームが発射される。
「チッ…!射撃機ってのはこれだからタチ悪ぃな…!!おっさん!まずはまわりのジンを減らすぞ!」
『分かってる!ジン相手は油断しろとは言わんが、G相手に1対1になるなよ!!キラもだ!ストライクに乗ってても、Gの複数相手は避けろよ!ジン相手なら、フェイズシフトがある内は何とかなるだろうが、油断するな!!』
『は、はい…!フラガ大尉は!?』
『開戦の時からジンなんざ何度も相手してる!G相手はしたことないが、こっちのことは気にするな!自分の心配をしろ!!』
バスターの射撃を避け、作戦行動を決めるオルガたち。
そうしている間にも、ムウが駆るメビウス・ゼロが、先端に装備されたリニアガンでジン1機を撃ち抜いた。
『くっ…!メビウス・ゼロということは、エンデュミオンの鷹か。クルーゼ隊長の言う通りだな』
『オレたちにはフェイズシフトがあるけど、ジンはキツいだろうしな…。イザーク、オレが援護するから、オレたちでアレ止めるぞ』
『いい案じゃないか、ディアッカ。ニコル、アスラン。残りは頼んだぞ』
『は、はい!ジン部隊は、あのキャノン付きへ。僕とアスランが、ストライクを……』
『………いや。ニコルは、ジン数機と、あの船へ攻撃を仕掛けてくれ。ストライクは、こちらが見る』
『構いませんが……。1人で、大丈夫なんですか?』
『……ああ。やられはしないさ』
『………分かりました。何かあったら、すぐに呼んでください!』
一方、クルーゼ隊の方も、方針を決めていた。
それぞれ散開し、接敵する。
(クソっ…!バカMSなら、この数でもジン程度ならやれたってのに……!!)
『ジン数機、そちらに向かってるぞ!大丈夫か!?』
「オッサンもこっちの心配はしなくていいっての!デュエルとバスターが向かってんだろ!?どう考えてもそっちのがヤバいだろ!!」
『くっ…!アークエンジェル!援護を頼む!ジンの数を減らせば、あちらは撤退するはずだ!!』
『バリアント、スレッジハマー装填!ヘルダート、目標照準!!』
『目標照準、出来ました!!』
『よし!撃てえ!!』
オルガたちが立てた作戦は、クルーゼ隊の動きにより封殺されていた。
そこへ、アークエンジェルから援護射撃が放たれる。
これにより、ジンの隊列を乱すことに成功する。
『オルガさん!ジン1機が孤立しています!』
「分かってる!蜂の巣だ!!」
そこへ、オルガ駆るアドバンテージが接近。
専用ライフルから放たれるビームマシンガンで、ジンを撃墜。
「サンキュー、ミリアリア。だがオレより、キラの方にやってくれ」
『あっ、その心配はいらないですよ。ずっと着いてるワケじゃないですけど、キラはトールが。フラガ大尉にはサイが着いてますから』
「そうかよ。んじゃあ、あとは……!!」
『オルガさん!モビルスーツ接近!ジン数機が、向かっています!!』
「クソっ…!マシンガンじゃ、この数は……って、そういや…」
そう言いながら、オルガはアドバンテージのマニュアルに記されていたことを思い出す。
出力を変えれば、ビームマシンガンから高出力のビームへの切り替えが可能になるということを。
「………やってみるか。カートリッジの予備もあるんだから、丁度いいし……なぁ!!」
操縦桿のボタンを操作し、専用ライフルの出力を変更させる。
その後、ビームマシンガンを撃っていた時のように、ボタンを押す。
すると、さっきまで撃っていたビームマシンガンとは全く違う、太いビームが発射され、そこから更に連射する。
まさか同じ銃口からビームが発射されると思っていなかったジンは、突然のことに対応できず撃ち抜かれ、爆発と共に宇宙へ消えた。
「完全に初見殺しもいいとこだな……。まあ、おかげで助かったがよ。って…!もうエネルギー切れかよ!エネルギーの減りが尋常じゃねえな……!!」
『すぐにカートリッジの切り替えを!ジンは減ったけど、そっちにデュエルが……!!』
「チッ…!オッサン諦めて、こっち来たってか……!!」
モニターにエネルギー切れの警告が入り、すぐさまカートリッジの切り替えを行う。
別の警報が鳴り、敵影をロックオンさせると、そこには盗まれた青いG兵器、デュエルが映っていた。
『キャノン付き!いや、アドバンテージか!支援機を自由にさせるワケにはいかん!!』
「チッ…!ビームじゃエネルギーが切れやすいし、マシンガンじゃ決め手に欠けるし、どうする……!!」
デュエルが撃つビームを、専用シールドで防ぎながら、なんとか距離を保つアドバンテージ。
白兵戦を得意とするデュエルに、接近を許しては危険という判断は正しかったが、その状態をいつまでも保ってはいられない。
『坊主!今から無理してでも、そっちに向かう!悪いがその代わり、バスターにちょっかいかけてくれ!!』
「お、おお?まあ、バスターのがマシ……。いや、デュエルよりは絶対マシか!!分かった!!」
『モビルアーマーごと、撃ち抜いてやるよ!コイツを喰らいな!!』
そこへムウから通信が入り、メビウス・ゼロと、それを追うバスターが接近する。
ディアッカが操るバスターは、左腰に装備された"94mm高エネルギー収束火線ライフル"と、右腰に装備された"350mmガンランチャー"を連結。
左腰のライフルを先頭にすることで、"超高インパルス長射程狙撃ライフル"を形成。
アドバンテージたちの方へと、極太のビームが発射される。
「オッサン!あんなの当たったら、タダじゃすまねえぞ!!」
『元から、バスターの砲撃で当たっていいものなんざ無い!!あのライフルモードは、連射が効かないことが弱点だったはずだ!マシンガンで嫌がらせしといてくれ!!』
「それが一番良さそうだな…!お前に好き勝手させるかよ!!」
『キャノン付き…!アドバンテージってか!そのマシンガンがビームになってたのは、オレも見えてたぜ!!』
極太のビームを避け、アドバンテージとメビウス・ゼロがすれ違う。
ビームマシンガンとイーゲルシュテルンを連射させながら、バスターへと接近するアドバンテージ。
一方、連結を解除させ、肩のミサイルポッドからミサイルと、ライフルからビームを発射するバスター。
熾烈な射撃戦が続いた。
『あのマシンガン、なかなか厄介だな…!!』
『ディアッカ!イザーク!撤退信号です!!』
『はあ!?』
『なんだと!?出撃したばかりなはずだ!!』
『さっきのアドバンテージと、敵艦の攻撃で、ジンが多数やられました…!それに、あのアドバンテージの性能、まだ未知ということも…!』
『くっ…!たしかに、こっちもこの機体に慣れてはいないが…!』
『このまま続けても、仲間を失うだけってか…。態勢立て直すのはいいが、オレたちから吹っ掛けて、このザマとはな……!!』
『アスラン!!聞こえてますか!アスラン!!」
『あ、ああ…!ストライク……!!』
ヴェサリウスからの信号を受け、撤退していくモビルスーツたち。
イージスらG兵器の他に、ジンも撤退していった。
『………?アイツら、妙に素直に引いてったな。と言うより、やけに早過ぎる。艦もまだ叩かれてないのに、なんだ?』
「………まあ、アークエンジェルもそこそこ叩かれてたし、助かるっちゃ助かるが……。オッサン、クルーゼってやつ、こんなに引き際良かったのか?」
『引き際を誤るような奴ではない。ただ、それを抜きにしても、今回の撤退は早過ぎるようにしか思えないな。盗んだG兵器に、まだパイロットが慣れ切ってないことを考えた、ということを仮定してもな』
「……考えても仕方ない、か。キラ!そっちも大丈夫か?」
『は、はい……。すみません、大したことも出来ずに……』
「こっちこそ、イージスを押し付けちまったからな。イージス……。大丈夫だったかよ?」
『………………』
「…………互いに無事だったのは確認した。帰るぞ、キラ」
『…………はい』
3機は、アークエンジェルへと引き返す。
同時にハッチは開かれ、帰還に成功した。
やがてアークエンジェルは、航行を始めた。
行先は、軍事要塞アルテミスだった。
今更っすけど、トールたちが入隊するのがめちゃくちゃ早くなってます。
そんでついでに早期に撤退をさせることは出来ましたけど、ヴェサリウスの被弾は大したことなくなってます。なんならほぼ0。
超高インパルス長射程狙撃ライフル。スムーズに言えた時の気持ち良さは異常。