ところでPVなんすけど。あの神妙な表情してるアスランなにしてるんだ?
「シグナル受信。友軍艦のものです」
「ネルソン級1。ドレイク級2ね…。回線を開いてちょうだい」
「はい。えっと…これですか?」
「そうだ。そのボタンを押すんだ。それから…」
「先遣隊のものだと思われます。となると、あれは…」
「識別確認!第8艦隊所属のものです!」
航行を続けていたアークエンジェルは、友軍艦のシグナルを受信していた。それよりも前のやり取りのことから、ナタルは第8艦隊のものだと当たりを付けていたが、的中したようだ。
『こちら、第8艦隊所属艦モントゴメリ。アークエンジェル、聞こえるか?』
「こちら、アークエンジェル。マリュー・ラミアス大尉です。コープマン艦長、お久しぶりです」
『ああ。ハルバートン提督も気にしていたが、致命的なことにはなっていないようだな。バーナードとローと共に、補給と迎えに来た。もう少しの辛抱…』
『フレイ!フレイは無事なのか!?』
『ア、アルスター外務次官…!』
「フレイ…?それに、アルスターと…」
「ジョージさん!?その艦に乗っているんですか!?」
『おお!サイくんか!ブリッジにいるということは、志願したのかね?』
「え、ええ…。ですけど、何故その艦に乗って…?」
『フレイがその艦に乗っていると聞いて、居ても立っても居られなくてな』
そんな話が続き、第8艦隊先遣隊との合流を目指すことになったアークエンジェル。
そのことは艦内でも共有され、オルガたちはもちろん、艦で保護されている民間人にも知らされることになった。
「第8艦隊というのに合流出来れば、我々は地球へ帰れるのか…?」
「確証は出来ねえけど、少なくともアンタたちのことも報告されてはいるはずだからな…。地球帰還用のシャトルとかは用意されててもおかしくはねぇ」
「ほ、本当ですか!?」
「だから、確証は出来ないって言っただろ。仮にそうだったら、なんとか守ってはやるとしかオレには言えねえよ」
その頃、オルガはフレイと一緒にヘリオポリス周囲の宙域で拾ったポッドに入っていた民間人たちの質問攻めに遭っていた。
今までも、他のアークエンジェルの軍人に説明はされていたが、今の第8艦隊と合流するという明らかな変化に、敏感になっていたのだろう。
(変に応えない方がいいんだろうが…)
「おかあさん…」
「大丈夫よ。この艦のお兄さんたちが、守ってくれてるから」
「うん……」
(………あの声を聞いてから、妙に子供を見掛けると安心させようとさせちまうな。オレって、そんなことするヤツだったか…?)
小さな娘を心配させまいとする母親を、複雑な心情で見るオルガ。
少なくとも、生体CPUとされていた頃にはしていなかった言動のため、自分でも驚いているところだった。
あの時、男の子の声を聞いてからそういう気持ちが芽生えたのではないか?という心当たり自体はある。
だが、だからと言って何故それに繋がるのか?という疑問の答えにはなっていない。
(考えても仕方のないことだろうが…。その内分かるって保証もねぇしな…)
「あっ…。すみません。時間を取らせちゃって」
「緊急時でもないから、問題はねぇよ。じゃあ、オレは戻るぜ」
そう言って、オルガはその場を去る。向かうのは、格納庫だ。
「よう、クロト。さっき言ったシールドのことなんだけどよ」
「聞いたよ。地上戦用のでしょ?」
「おう。だから急ぐ必要はねぇぞ」
「分かってるよ。だから今は先に頼まれてたデュエルのライフルの改造を進めてるのさ」
「悪いな。仕事増やしてよ」
「別に。さっきはああ言ったけど、オルガたちに命預けてる状況なワケだし」
「そうかよ。じゃあ、その調子でストライクやメビウス・ゼロの整備も頼むぜ」
「それは俺たちがやってるぜ。オルガの兄ちゃん」
「おやっさんたちがやってるから、大丈夫」
「ん…?じゃあアレか?お前アドバンテージ専属なのか」
「どんどん投げてくれば自然とそうなるよ!」
若干青筋を立てながら、オルガへと詰め寄るクロトだったが、そうする前に手を動かせとマードックに耳を引っ張られ、格納庫の奥へと連れられた。
周りの整備班もいつものことだと、全く気にする様子は無い。
「……そういや、艦隊と合流するって言ってたから、どんなのか聞いとかないとだな。たしか、第8艦隊って…」
『緊急態勢!緊急態勢!パイロットたちは、出撃準備を!』
「あ…?なにがあって…。チッ」
そこへ、警報が鳴り響く。出撃準備のため、オルガは更衣室へと走る。
そこには既にムウがいて、パイロットスーツへの着替えを終えようとしているところだった。
「なにがあったんだ?」
「どうやら、合流しようとしている先遣隊がザフトに襲われてるらしくてな。ジンの小隊が確認されてるようだ」
「あー…。あっちが捕捉されちまったのか」
「すみません!遅れました…!」
「遅れてねぇよ。気にするな」
「俺は先に行ってる。先に出撃しとくから、後から来いよ」
「分かってる。キラ、今回はエールにしとけ。オレたちが後ろからバカスカ撃って数減らしに行くからよ」
「オレたち…?」
「アークエンジェルだよ」
「ああ…」
「…よし。オレも先に行ってる。早く来いよ」
「はい。分かってます」
キラを残し、ムウの後を追って更衣室を出るオルガ。急いで格納庫へと向かうオルガだったが…。
(ん…?あの女…?)
そこで、フレイとすれ違うが、気にすることは無く格納庫へと走る。
格納庫へとたどり着くと、先ほどと同じくクロトがいた。
「オルガ。整備は大丈夫だけど、さっきのライフルはまだ出来てないよ」
「さっきやってたばっかだからな。気にしてねぇよ」
「そういえばだけど、アドバンテージの機能が安定することが出来たから、アレ使えるよ」
「アレってなんだよ」
「精密射撃モード」
「精密射撃モード?」
そう言ったクロトは、アドバンテージのマニュアルをオルガへと投げ渡す。
開かれたページには、たしかに"精密射撃モード"と書かれていた。
「ビームマシンガンの出力を切り替えた時に、その機能使えば狙撃出来るんだよ」
「へえ?だけど出力切り替えるとよ、消耗激しかったぞ」
「改良できれば、エネルギーの効率とかも上手く行けるんだけどさ。あとは、最初からマシンガン用とビーム用でカートリッジ決めとくとか?オルガに言わなくても分かってるだろうけど」
「まあ、狙撃出来るってンなら使ってみるが、やったことねぇんだよな…」
「あっ、でもこれ欠点あるんだよね」
「なんだよ?」
「コイツのセンサーって、見ての通りゴーグル型のセンサーアイじゃん?」
「…ああ。でも、下にもカメラアイ見えたぜ?」
「気付いてたのか。そうそう、ストライクとかと同じツインアイに被せてるんだよ。ただモードを切り替えると、ツインアイの光が増して、敵にバレバレなんだよ」
「まあ、狙撃なら敵と距離離してるだろ。そんな気にすることは…」
「あと普通にビーム撃つよりもエネルギー消費多いよ」
「そっちのが問題じゃねえか」
コクピットへと向かいながら話していたため、そんな話をしているうちにたどり着く。
無重力の床を蹴り上げ、コクピットへと入ったオルガは、すぐさま出撃準備を整える。
「OS起動。装備、良し。カートリッジは…3か。どんだけ狙撃でエネルギー持ってかれるかだな…」
『オルガくん。既にフラガ大尉のゼロが出撃してるわ。アドバンテージも続けてちょうだい』
「分かってる。オレはなるべく、先遣隊とアークエンジェルの中間に位置を取る。援護頼んだぜ」
『オルガさん!』
「トール…?」
カタパルトへ機体を動かしているところへ、マリューからの通信を受けているところを、トールが割って入った。
『ノイマンさ…ノイマン曹長と一緒に、オレが操舵を担当しますから、ザフトの攻撃は頑張って避けます!ですから、先遣隊の救援を少しでも優先してください!』
「そりゃ、目的は知ってるが…」
『あそこに、フレイの父さんがいるってのはオレも知ってます!いいですよね!?艦長!』
『そうね…。先遣隊の救援が目的ですから。ですが、あまりアークエンジェルから離れすぎないように。アドバンテージの性能上、母艦から離れすぎるのは危険です』
「……なら、そうしとくぜ。ミリアリア、やってくれ!」
『はい!カタパルトスタンバイ。システムオールグリーン。アドバンテージ、発進!どうぞ!』
『オルガ・サブナック。アドバンテージ、行くぜ!』
アークエンジェルから、アドバンテージが発進する。
カタパルトから得た勢いを利用し、先に発進したメビウス・ゼロに続き宇宙を駆ける。
「とりあえず、この辺りまでか…」
『オルガ!そのままジンの小隊に向けて撃ち続けててくれ!こちらも視線を向けに行く!』
「おう!うろちょろ動き回ってりゃ、そっちに視線向けれるってか!」
作戦エリアに到達したオルガは、ムウからの通信を受け、ジンの小隊へ向けてビームマシンガンとイーゲルシュテルンを斉射させる。
編隊を崩したのを見たムウは、有線式ガンバレルを展開。孤立した一機のジンを囲む。ジンを撃破したメビウス・ゼロは、高速機動で残りのジン小隊の視線を逸らしに掛かる。
「コイツの使い方も慣らさねぇとな!そらくらえぇ!」
さらに、メビウス・ゼロに意識を奪われているジンに向けて、両肩からレールガンを発射。
撃たれていることにすら気付かないジンは、そのまま撃ち抜かれ、宇宙へと消えた。
『オルガくん!ストライクも出撃させたわ!だけど、向こうもジンの小隊を多数出撃させたみたい!』
「本当にジンだけか!?仮にコイツらにクルーゼ隊が混ざってるなら、奪われたヤツらも来るだろ!」
『今はそれも確認してるわ!けど、反応が…』
『艦長!高速で移動する機影を確認!これは…!』
サイが周辺宙域に向かう機影を確認した途端、先遣隊のうちの一艦である、ローがビームで撃ち抜かれ、撃沈する。
ローを撃ち抜いたビームは、ジンのバルルス改とは色も違ければ、威力も桁違いだというのは、オルガは理解してしまった。
『そのシグナルは…!イージス!?』
「クソッ…!やっぱいやがったか!」
イージスには"580mm複列位相エネルギー砲 スキュラ"が搭載されていた。
それはオルガが逆行する前の搭乗機であったカラミティにも搭載されていて、オルガ自身も何度も使った武装であったため、その威力はオルガ自身もよく知っていた。
『僕がイージスを抑えます!』
「頼む!どうする、オッサン!」
『ジンの数が多いな…!後方にナスカ級やローラシア級いることも考えねばならんし…どうしたもんか…!』
「なら今度はオレが敵の視線を集中させる!新しい機能試すぞ!」
『アドバンテージの新機能だと!?』
「どれぐらい出来るか分かんねぇとは、先に言っとくからな!」
エールストライクがイージスを抑え、ジン数機をメビウス・ゼロが相手取り、後方からジンの小隊が増援として現れている状況。
そこで、比較的フリーで、ジンから本格的に狙われる前に動ける最後のチャンスであるアドバンテージが、動き出す。
「出力切り替えて、メインセンサー周りの機能も…これか!」
専用ビームマシンガンの出力を切り替えた後、メインセンサーに関するボタンを探り、切り替えボタンを押す。
すると、OSの画面にPrecision Shooting Modeと表示され、アドバンテージの頭部のゴーグル型のセンサーアイの下にあるツインアイが光を増し、何かをしてくるだろうことが外見からも丸分かりだが、それに気づくものはいなかった。
「後ろのジンの小隊でいい、ターゲットロックオン…。そこだぁ!!」
シールドを腰のウェポンラックにマウントし、銃身を左腕部で固定し、狙撃体勢を整えたアドバンテージは、高出力のビームを発射させる。
ロックオンされたことには気付いたジンだったが、その長距離射撃に初見で対応することなど出来ることもなく、撃ち抜かれる。
「これが精密…長ぇな。狙撃モードでいい。しかし、今のでエネルギー切れかよ!マシンガン撃ったとはいえ、2発が限界ってか…!」
『オルガ!そっち行ったぞ!』
「分かってる!」
すぐさまカートリッジの交換、センサーの切り替え、シールドの再装備などを済ませるが、その間にジンが詰めてきている。
その後方からメビウス・ゼロも追いかけているが、数の差は圧倒的だった。
『ジンの小隊!新たに確認!』
『くっ…!合流したばかりだったのか…?』
「なんてタイミングで見つかってんだよ…!クソぉ!」
『オルガ!とにかく先に、コイツらを片付けるぞ!』
「蜂の巣にしてやる…!」
『こちらも照準を合わせろ!撃てぇ!!』
メビウス・ゼロの有線式ガンバレル、リニアガン。アドバンテージの専用ビームマシンガンとイーゲルシュテルン、レールガン。そしてアークエンジェルからの砲撃。
これらの一斉射撃がジンの小隊に叩き込まれ、多数の撃破に成功したが、まだジンは残っており、後方からも増援がやって来る。
『バーナード!撃沈!!』
『イージスが、ストライクの相手をしながら…!』
『ストライクの方へ、ジン小隊接近!』
「クソッ…!オッサン!キラの方に行くぞ!」
『それしか無さそうだな…!』
その間に、最後の随伴艦であったバーナードも撃沈される。
広がる爆炎の方を確認すると、鍔迫り合いをしているストライクとイージスの周りに、ジンたちが近付く。
数の差にやられようとしてるストライクを援護しようとしているところだったが…。
『ぐっ…!』
「オッサン!?大丈夫か!」
『すまんが、離脱する…!立つ瀬がないな…!!』
「てめぇ…!やりやがったな!!」
その途端、近くにいたジンからの攻撃で、メビウス・ゼロは被弾。致命傷は負っていないが、戦闘の継続は困難な為、離脱することとなってしまう。
専用ビームマシンガンの出力を切り替え、メビウス・ゼロを撃ったジンに向けてビームを発射。撃破には成功したが…。
(コイツ1機で、どこまで…。クソッ!バカMSだったら、こんなヤツら沈めてやれるってのによ…!)
『この子を殺すわ!パパの船を撃ったら、この子を殺すって!アイツらに言って!』
「なっ…!あの女、なんでブリッジに!?」
CICのどちらかが付けているインカムが、フレイの声を拾ってしまったのだろう。フレイの必死の声がアドバンテージ内にも響く。
『フレイ…!』
『そう言って!!』
そして、その直後。
「なっ…」
『えっ…』
ヴェサリウスの主砲から撃たれたビームが、モントゴメリを貫く。
先遣隊のうち、最後まで残っていたその艦には、フレイの父親が乗っていた。
『えっ…あっ…う、うそ…パ…パ……?』
「くっそ……!」
『いや…いやあああああああああああ!!!!』
フレイの叫びが、アークエンジェルのブリッジと、アドバンテージのコクピットに響く。
フレイのことを好ましい人とは言えなかったオルガだったが、守れなかったことの対価はこれだと言わんばかりに、オルガの心に傷が付く。
『ザフト軍に告ぐ。こちらは地球連合軍所属、アークエンジェル』
それから、ナタルが発したラクスを巡る発言により、ザフトは引いて行った。
「…助けに行ったのはこっちだが、こうしないとこっちの民間人も危ない。そもそも助けに行かないってことは、まぁ無理だったけどよ…」
「バジルール少尉の判断は間違っちゃいないのは、俺も分かってはいる。俺が撃たれてなきゃ、こうはなってなかったかもしれないしな」
「………おい、キラ。そろそろ降りて来い。そんなとこで閉じこもるな」
「……………」
格納庫には、帰還した3機のパイロットがいた。
だがそのうちのストライクのパイロットであるキラは、コクピットから出てこなかった。
「お前だけの責任じゃねえんだよ。あの中で一番ヤバいイージス抑えてたんだ。何もしてないならまだしも、大役こなしてただろ」
「……………」
その言葉を聞いたキラは、コクピットハッチを開き、ゆらりとした動きで出て来る。お世辞にも、顔色は良いとは言えなかった。
「フレイに、大丈夫って…言ったのに……」
「…あのとき、オレも引き返せばよかったな」
「それに、なんでナタルさんは…あんな……」
「卑怯かそうじゃないかで言ったら、卑怯なんだろうな。自分から助けに行ってからなんだから」
「………」
「ただ、ああしなかったら今度はアークエンジェルが狙われていた。その事は、キラも分かってるんだろ?」
「……分かっては、います。けど…」
「……分かってて、尚且つ引きずってんなら、お前はそれでいいだろ。とにかく、今は部屋に帰って休め。送るぞ」
「オルガさん……」
それからも、キラが深い傷が負うことになるのは、オルガも察してはいたが、今は休ませることしか出来なかった。
(あの女…前回もこうだったのか…?流石に、これはキツすぎるだろ…)
いけ好かない女という印象から、フレイに対する印象が変わりつつあるオルガだったが、今だけは顔を合わせたくはないという思いで、キラの部屋へと向かった。
いけ好かない女→さすがに同情する女→???
前書きと後書きの間に映画見てきました。もにょる人いるだろなってのも分かる。減点方式だと半ばちょい上の点になるのも分かる。
でも僕は加点方式で6億点になりました。すげぇもん観たわ。
前書きで触れたアスランについて、そんなネタバレではないはずですけど一応数行空けときます。
色々語りたいことはありますけど、それはもう少し期間あけてからで。
作者の中で2人のシンが同居してる。
「アスラン…やっぱアンタすげぇや…」
「アンタはいったい、なんなんだぁぁああ!!」