強い方のオルガの逆行奮闘記   作:トライデント

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映画効果でSEED小説が豊作でニッコニコですわ〜。

原作だと低軌道会戦までにクルーゼ隊2回襲って来るんですよね。ところでここに作者権限のハサミがあるじゃろ?


歌姫の帰還

 先遣隊が全滅してから、少しが経った。

 アークエンジェル艦内を歩くオルガは、先ほどのことを思い出す。

 

 

『返して!パパを返してよぉ!!』

「………チッ」

 

 

 目の前で父親を失い、絶望に囚われたフレイの叫びが、今でも耳に残っている。

 帰還したオルガたちは、目に涙を浮かべ、怒りや憎しみといった複雑な表情が混ざった顔をしたフレイに詰められ、何も言えずにいた。

 

 

(幸いと言えば幸いだったのは、キラだけが言われることは無かったことだが…)

 

 

 その場にいたのはキラだけじゃなく、オルガもいたため、キラだけがフレイから言葉の刃を向けられることはなかった。

 だが、どうにかすると言ったのに何も出来なかったことに対する負い目から、キラの精神的にそこまで差はない。

 少なからず想っていた人を、あんな目に合わせてしまったという事実だけで、キラには十分堪えていた。

 

 

「…地球に降りるだろうから、何か奢ってやるか」

「…サブナック二等兵?」

「ん…?やべっ。声出てたか…」

 

 

 そこにいたのは、帽子を外したナタル。

 方向的に、ブリッジへと戻る途中だったのだろう。

 

 

「………」

「………?」

 

 

 オルガを見て、神妙な表情をするナタル。

 何事かと思うオルガだったが、そんな表情をされる心当たりなど、1つしかなかった。

 

 

「…まだオレとどっかで会ったかと思ってるのか?バジルール少尉」

「………そう、だな」

「あの時も言ったけど、そんなことは無いはずだぜ。オーブの一市民が、連合の士官と会うことなんて、そうそうないだろ」

「それは、そうだが……」

「………」

 

 

 お互い、何故そんな感覚を持っているのかなど分かるはずもない為、どこへ着地したものかと悩んでいる。

 

 

「バジルール少尉、これからのことだが…。ん?オルガもいたか」

「オッサン」

「オッサンじゃない」

「さっき言った時は、否定しなかっただろ」

「そんな余裕無かったからな。今は余裕あるから否定するさ」

「ほーん」

「上官に向かって、ずいぶんな態度だな…」

「頼りにはしてるし、これでも一定の敬意は持ってんだよ」

「なら後はオッサン呼びを止めればいいだけだな」

「いや、オッサンだろ」

「サブナック二等兵」

 

 

 そんなやり取りをキッとした表情で見るナタル。

 一方、そのことを流すオルガは、別のことを考えていた。

 

 

(オッサンもオーブの時に出撃してるんだろうけど、何に乗ってたんだ?ストライクはキラだから、バスター辺りかね。あの量産機ってことはねぇだろ。何がどうなってバスターがアークエンジェル側にいたかまでは知らねえけど、射撃はメビウス・ゼロでもやってるからな)

「……なにをそんなに真面目な顔して考えている?」

「ん…?あー…未来のこと」

「未来…。まあ、先のことは色々考えちまうよな。こんな状況だと」

 

 

 別のことを考えていたオルガは、そう誤魔化す。

 

 

「それは分かりますが、やはりフラガ大尉への態度は改めるべきだと…」

「俺は気にしないけどな。オッサン呼びは辞めてほしいが、そこぐらいだ。志願してくれたとは言え、そうした経緯はバジルール少尉も知ってるだろ」

「はい。ですが、ラミアス艦長や私のことはちゃんと呼ぶのに、フラガ大尉だけふざけた呼称をするのは、流石に…」

「あー……。よし、オルガ。今からバジルール少尉のことをナタルって呼べ」

「フラガ大尉?」

「あん?急に何言ってんだオッサン。ふざけてんのか?」

「バジルール少尉。どう思うこれ」

「今のはフラガ大尉が悪いと思います」

 

 

 先ほどキッとした表情でオルガを見ていたナタルだが、今度はムウのことを冷めた目で見ることになった。

 

 

「いや。俺だけそうなってるなら、2人を崩した方が早くないか?」

「サブナック二等兵。気が向いたらでいいから、しっかり呼ぶように。しっかりと気を向かせるようにすることだ。いいな?」

「へいへい。とりあえず今回は呼んどくぜ、フラガ大尉」

「よし。これからはなるべくそう呼ぶように」

「おー…これは手厳しいねぇ」

「……それより、これからのことを話し合うんじゃなかったのかよ?」

 

 

 これ以上この話を続けるのはよくないと、自分が原因と分かっていながらも軌道修正を図るオルガ。

 それにより、2人の表情も変わる。

 

 

「おっと、そうだったな。と言っても、ほぼ終わってるんだがな」

「そうなのか?」

「ラクス・クライン嬢だけどな。どうにかしてザフト側へと返還させることにした。もちろん、元からそのつもりだったんだがね」

「……私のあの判断は、全てが間違っていたとは思ってはいない。だが、そういったつもりで保護したのではないというのは、分かってはいる。故にこそ、早期の返還をするべきだと、私が進言した」

「ほーん…。まあ、そうした方がいいのはオレも分かるけどよ。誰が返しに行くんだ?あのナスカ級に渡しに行くんだろ?」

「キラが適任だろうな。話を聞いただけだが、この艦であの歌姫と一番話をしたのは、キラなんだろ?」

「その認識でいいと思うぜ。ただ、相手はクルーゼ隊だろ?」

「おっ。オルガも同じ考えか?」

「………」

 

 

 何かに勘付いた顔をしたオルガを見て、さらに真面目な顔をするムウとナタル。

 オルガの懸念は、2人も抱いてるのと同じだという証明だった。

 

 

「ちなみに、この事についてラミアス艦長も同じ考えだぜ。返還に関してはすぐに許したんだがな」

「……とにかく、キラや本人に伝えるのが先じゃねぇか?そこからだろ」

「ああ、そこはノイマン曹長に伝えに行ってもらってる」

「そうなのか?」

「決まってたことだからな。その辺りは進んでるぞ」

「じゃあ、こっちはこっちで考えるか。一先ず、オレがするべきと思うのは…」

 

 

 ここからの話は、マリューも交えてブリッジで行う事になった。

 各自の役割を果たすべく、準備を進めて行った。

 

 

 

 

「よし。ライフルは外しときましたぜ」

「では、クライン嬢はヤマト二等兵と共にコクピットへと進んでもらいたい」

「分かりましたわ。お見送り、感謝致します」

「……礼を言われることは、ありません」

 

 

 アークエンジェルの格納庫。ストライクの周りに、アークエンジェルのクルーは集まっている。

 その先にいるのは、パイロットスーツを着たキラと、宇宙用スーツを着たラクスだった。

 

 

「気を付けろよ、キラ。イージスが出て来たら…」

「……ええ。警戒は続けるつもりです」

 

 

 ラクス返還に伴い、キラへはイージスのパイロットに迎えに来させるように言ったが、返還の話を聞いた段階で、キラは元からそうするつもりだった。

 キラ以外にイージスのパイロットのことを知ってるのは、マリューとナタル、ムウとオルガだけなため、濁したようにしか言えなかったが、先の先遣隊全滅の大半がイージスによるものだったため、周りもとくに勘付くことはなかった。

 

 

「キラ!」

「サイ…?」

「……いや、なんでもない。気を付けろよ!」

「……うん」

(……この前のアレといい、キラとサイ、なんかあったのか…?)

「そこの緑髪の方…。オルガ様でしたかしら?」

「ん…?オレはオルガだが、どうしたよ。ラクス嬢」

「……いいえ。なんでもありませんわ。では皆様方、ご機嫌よう。キラ様、お願いしてもよろしくて?」

「えっ?い、いいですけど…」

「……クロト。今のなんだったか、分かるか?」

「僕に聞かないでくれる?」

 

 

 一連のやり取りの後、2人はコクピットへと入って行った。

 各員が離れたのを確認し、カタパルトへ到着したストライクが発進する。

 

 

『……よし。じゃあ手筈通りだ。オルガ、後から頼んだぜ』

「任せろ。本当は何もない方がいいんだけどよ」

『違い無い。ムウ・ラ・フラガ。メビウス・ゼロ、行くぜ!』

 

 

 その後、少し経ってからメビウス・ゼロが発進する。

 オルガは、アドバンテージのコクピットで待機している。

 

 

「……あの、オルガさん。本当に、後からでいいんですか?」

「考えてみろ。オレの機体に狙撃機能付いてるのは、アイツら知ってるんだぜ」

「えっ…?そ、それがなんで、後から出撃することに繋がるんですか…?」

「……こちらは素直に返還するつもりだったと、あちらに示すため?」

「それだ、トール。オッサンのメビウスに搭載されてるのは、有線式のガンバレル。それで不意打ちってのは無理だってのは、アイツらもよく知ってるはずだからよ」

 

 

 その間、この行動の意味をトールたちに説明する。

 仮に何事もなく返還が行われた後、近くにアドバンテージの姿が確認されてしまっては、その隙に狙い撃つつもりだったのだろうと、いらぬ難癖を付けられるのを防ぐためだった。

 そして、それはしばらくして起こった。

 

 

『敵機捕捉!デュエル、バスター、そして…シグー!』

『マリューさん!あの白い機体、ヘリオポリスで見た時とは違います!姿も、機体の速さも!』

「シグーのハイマニューバ型…!パイロットは、おそらく…」

『ラウ・ル・クルーゼだ、間違いない!オルガも来てくれ!』

「分かってる!カートリッジは2か…!さっさと出してくれ!」

「オルガ!まだライフルの改造終わってないから!その代わり、ストライクのライフルも一緒に、バズーカも射出出来るようにしとくよ!」

「バズーカ?そんなのもあんのか。分かった!とにかく出してくれ!」

『アドバンテージ。発進、どうぞ!』

「アドバンテージはオルガ・サブナックだ。出るぜ!」

 

 

 アドバンテージ、発進。

 向かう戦場は、激戦が予想された。




先に言いますと、第8艦隊合流までに襲ってくるクルーゼ隊カウントを1減らしました。なので次話でイザークくんには痛いいいいい!してもらいます。まあ痛いのは一瞬ですよ。男の子でコーディネーターで赤服でおかっぱでしょ。耐えてよ。
本当はRe版のドラグーン装備したシグー出したかったんですけど、流石にアレにデュエルとバスターは無理ゲーだなと。

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