サブナックの方のオルガが活躍する小説がないんで、書き始めました。
C.E.71
ヤキン・ドゥーエ宙域
「シャニ!?チィッ…!!」
目の前に広がる爆炎。
その正体は、お仲間であったシャニ・アンドラスの搭乗機であるフォビドゥンが撃墜されたものだった。
彼らの間に絆というものが存在したかと言われると、決してそんなことはなかったが、それでも目の前で命を散らすところを見るとなると、話は別なのだろう。
「ヤロウ…よくも……!」
シャニを堕とした、自身の搭乗するカラミティよりも旧式のはずのデュエルとバスター達に、仇打ちのために砲撃を行おうとするが…。
「何ッ!?クソッ…!よりによって、あのバカデカいので来やがった…!」
オーブ解放戦の時から、何度も戦い続けて来た相手。
その機体の名はフリーダム。しかも、母艦であるエターナルの主砲ユニットであるミーティアを接続し、向かってくる。
「だが、サーベルもそんなにバカデカけりゃ、避けるのも…!」
フリーダムがミーティアのビーム砲からサーベルを展開し、振り下ろしてくるのを、なんとか受け流して回避する。
「サーベルだけだったらこんな…何ッ!?」
突如鳴り響くアラート。センサーに目をやると、背後から高速で接近してくる熱源が。
その正体を確かめようとするも…。
「があああああああっ!!?」
自身の搭乗するカラミティの背部に、巨大なサーベルが叩き付けられる。
先程避けたはずのミーティアのサーベルが、自身を切り裂こうとしているのを感じる。
(クソッ…!あの赤いのもいたかよ……!)
胴体から腰部にかけて真っ二つにされ、あとは自分も、先程のシャニと同じような末路を辿るのみとなる。
「ヘッ……だが……これで、もう闘わないで…苦しまないで……」
済むと言い切る前に、オルガ・サブナックは爆炎に包まれ戦死した。
「ぐっ…ううっ……ああ……?」
目を覚ますオルガ。
目を開けるとそこには、緑の地面が広がっていた。
「…………」
草原とは行かずとも、人工芝が広がっているエリアだということは分かった。
しかも、側には住宅地が広がっているようにも見える。
「……オレが天国になんて、いけるはずがねぇ。だったら地獄…にしては、普通すぎねぇか……?」
彼が普段読んでいたジュブナイル小説に、目が覚めると死後の世界にいたというような展開があったことを思い出す。
行ったことないということを抜きにしても、ここはあまりにも普通の場所…というより、ただの公園であると理解する。
「………っつーか、ここコロニーじゃねぇか」
頭上を見てみると、そこにも地面が広がっていて、人が生活しているような風景も見える。
その光景は、たしかに宇宙コロニーでしか見れないものであるが…。
「………プラントにしちゃあ、静かすぎる。それに、オレの格好も…」
ヤキン・ドゥーエ宙域でコロニーとなると、思い浮かべるのはプラントになる。
だが、プラントのすぐ近くで核なりあの大量破壊兵器を用いた戦闘が行われてるにしては、あまりにも長閑過ぎる。
"コーディネーターの感覚が自分達とはかけ離れてる"と無理矢理考えても、こんなどこも変わらない日常が送れるとは思えない。
さらに、自分の身体を見てみると、既に消えかかった記憶が浮かび上がってくる。
「………あんな目に遭う前、オレが気に入ってた格好じゃねぇか」
生体CPUとして軍のパーツにされる前、普通の生活を送っていた時、よく身につけていた服装だった。
「何が起こってんだ……?いや、待て…これって……」
ジュブナイル小説に、似たような現象があったことを思い出す。
現在の記憶を保持したまま、過去へと逆行すること。
仮にそうだとしたら、オルガにとってそれは、地獄以外の何物でもなかった。
「……………冗談じゃねぇ。ようやく解放されたと思ったのに、また苦しむ………ん?」
そこまで言って、ふと感じる。
生体CPUとなってからの自分って、こんなに独り言を言うようなやつだったか?
そして、生体CPUとなった自分の身体って、こんなにも軽かったか?
「………まさか、オレって、戻れたのか…?」
時間が、ではない。
あの戦うためだけに、苦しみしか待っていないような生体CPUとしての身体ではなく、元の身体に、戻った。
「………とりあえず、辺りを見てみねぇとな」
こうして、オルガ・サブナックは自分のいる宇宙コロニー…。
ヘリオポリスの探索を始めるのだった。
実際どうなのか知りませんけど、あんな薬漬けとかの身体から普通の身体に戻れたのなら、すぐに気付くと思うんですよね。