タイトルがど真ん中ストレートですけど、気にしないでください。
アドバンテージを起動させたオルガは、そのままその場から飛び去る。
近くのイージスがこちらをロックオンすることもなく、爆発する工場区から離れることに成功する。
今乗ったばかりのMSの武装を確認して、燃え盛るこの場で攻撃するという選択を選ぶことは、互いに無かった。
「クソっ、分かっちゃいたが動きが鈍いな…!他の2機は…?」
センサーを見ると、ストライクとイージスはアドバンテージと同じ方向へと飛んでいることを確認できた。
この方向は、トール達を置いて行った方だと、オルガは思い出す。
「チッ…アイツら、せめて避難出来てりゃいいんだが…」
爆炎の中から飛び出し、着地するアドバンテージ。
イージスの方を見ると、ジンのそばへ着いていた。
その他に、もう1機ジンが確認できた。
「こんなとこに大所帯で来やがって…!いや、それよりキラのいるストライクは…お、おい!?」
あの状況から、ストライクを操縦してるのはマリューの方だというのは、オルガも想像できていた。
そうなると、パイロットでもないマリューが、満足に操縦出来るはずもなく、着地したものの、フラフラと足元が覚束ない。
イージスが普通に着地してたのに対し、今のストライクを見ると、ナチュラルとコーディネーター以前に、MSの操縦を知っているパイロットとそれ以外の差が明らかだが、オルガにとって今はそれどころじゃない。
「トール!?サイ!カズイ!ミリアリア!?避難出来てなかったのかよ……!!」
フラフラ動くストライクの足元から、誰かが出て来たのでモニターに表示させると、それは逃げ遅れたトール達だった。
「どうにかアイツらを…!なっ…!?」
トール達をどうにかその場から遠ざけられないかと考えるも束の間。コクピットにアラートが響き渡る。
前を見ると、ジンがこちらに向けて主兵装であるアサルトライフル"76mm重突撃機銃"を構え、今にも発砲しそうな光景があった。
「冗談じゃねえ…!近くに民間人がいるってのに、戦闘なんかしやがって…!!」
このMSの性能を把握し切れてない状況で、敵の攻撃を喰らい続ける選択を取れるはずもなく、その場から離れるオルガ操るアドバンテージ。
せめてトール達の走った方へと行かないよう、真逆の方へジンを誘い出すように動く。
「この内に、コイツの武装を…!クソっ!フェイズシストですらねえのかよ!コイツ!」
かつての乗機であったカラミティは、トランスフェイズ装甲を採用していた。
これにより、ジンの重突撃機銃ぐらいならダメージを負うことはなく、容易に耐えることが出来た。
しかしトランスフェイズ装甲は、ストライクらに採用されていたフェイズシスト装甲の改良型であるため、この時期ではまだ存在していない。
ならばフェイズシストの起動ボタンは無いかと探したがそれもない。
最悪、後に量産されるストライクダガー並みの装甲ではないかと、オルガの脳裏に浮かぶ。
試験を行える状況でもなければ、手元にカタログがあるワケでもないこの状況。
この機体の装甲がどれほどのものか把握する術は、オルガには無かった。
ならばせめて、どんな武装を積んでるかは把握しなくてはと、オルガはモニターに武装一覧を表示させた。
「イーゲルシュテルン…レールガン………?コイツ、そんなのも積んでるのかよ…エネルギー持つか…?」
武装欄の中に、1つ気になるものを見つけたオルガだが…。
「チッ…!追い付いて来やがったか…!」
それについて、深く考える時間は無かった。
再びアラートが鳴り、こちらに撃たれた弾を再び避ける。
「レールガン…なんて、狙ってるヒマあるかよ!!」
あちらから撃たれているだけじゃ埒があかないと、こちらも何かを撃とうとしたオルガだが、肩に搭載された2門のレールガンはイタズラに撃つ武装ではなかった。
「なら、これしかねえじゃねえかよ!!」
頭部に搭載されたバルカン砲"イーゲルシュテルン"。
これを牽制として撃つ以外、現状のアドバンテージで射撃戦は出来なかった。
「何がアドバンテージだ!有利なもんでも……って、そもそもここコロニーじゃねえか……!!これ以上こんなことしてたら、ヘリオポリスが…!!」
少しの間、アドバンテージのイーゲルシュテルンと、ジンの重突撃機銃で射撃戦が行われていたが、その間にもヘリオポリスに弾が飛び交っている。
ザフトに襲撃され、各地で炎があがるヘリオポリスだが、これ以上被害が広がるのは避けたかった。
「だったら……!これしかねえな…!!」
ある程度の被弾もやむなしと、オルガはスラスターを吹かせる。
その間にもジンの射撃がアドバンテージを襲うが、アドバンテージの装甲は大したダメージを負うことは無かった。
ジンの射撃を受けながらも急加速したアドバンテージは、目の前のジンに向けてタックルをしかけ、その手に持つ重突撃機銃を吹っ飛ばすことに成功する。
「ジン1機の射撃なら、大きなダメージは負わないみてえだな……って、マジかよ……!!」
アドバンテージの装甲の硬さを確認出来たオルガだが、目の前のモニターから警告が表示された。
今の無理なタックルで、推進剤の殆どを消費してしまったようだ。
「推進剤ぐらいちゃんと積んどけよ!バカ整備班……!!」
推進剤が足りなくなった現状に、ここにいない整備班に八つ当たりするオルガだが、元々これは製造されてすぐのモビルスーツであり、最終テストを控えた状態であった。
その為、主兵装も揃えてなければ、推進剤やエネルギーの補充も万全とはいかなかったのだ。
バーニアの不調を確認した目の前のジンは起き上がり、空いた利き腕に格闘武装である重斬刀を装備し、切り掛かってくる。
「…………なんだよ。使えるじゃねえか」
今の状況のアドバンテージは、ジンの重斬刀を避けることも出来ず、斬り裂かれるだけなはずだった。
だが現実はそうはならず、斬られたのはジンの腕の方だった。
アドバンテージの左手には、左腕部の装甲に格納されたビームサーベルが握られていた。
それはオルガがアドバンテージの武装欄で見つけた最後の武装だった。
どこから取り出されたか把握出来ないビームサーベルに武装ごと腕を斬られたジンは、撤退を選択し、その場から飛び去った。
「………コイツが無きゃ、死んでたかもな。……って、キラは!?」
本来なら追撃する状況なのだろうが、此方も余裕の無い状況なため、逃げ去るジンを見逃したオルガ。
安心したのも束の間、同じく当然モビルスーツに乗ることになってしまったキラを心配し、センサーとモニターを頼りにストライクの方へと向かうアドバンテージ。
「うおっ!?な、なにが…!?」
その方角から爆発が起こり、最悪の事態を想定するオルガだったが、それは杞憂に終わった。
目の前には健在のストライクを確認し、その近くに建物の影で爆風から身を守れたトール達も確認出来た。
ひとまずのザフトの襲撃を、やり過ごすことが出来た。
「………しかし、またこんなことになるとはな…」
ここ数週間の付き合いとは言え、知り合いの無事を確認し安心したオルガ。
その安心よりも、今の状況をどう彼らに説明したものかと悩むオルガだったが、それよりも大きな問題があった。
「……………結局、俺はモビルスーツに乗る運命なんだろうな」
これから起こることを考え、諦めに似た感情をオルガは抱いていた。
かるーくアドバンテージの説明載せときます。
武装など詳しくは後日専用ページを投稿しますので、その時に。
GAT-00C ADVANTAGE
アドバンテージ(キャノンタイプ)
ザフトのジンらMSに対抗すべく製造されたG兵器達だが、万が一半壊した時などのことを考慮すると、修理に時間がかかることは製造時に問題として上がっていた。
それを想定し、その時の穴が一番大きくなると計算されたのは、唯一の支援機として製造されたバスターであった。
ストライクがランチャーストライカーを装備すればいいのではないかとの声も挙がったが、アグニは支援よりも対艦攻撃の方を大きく想定していた為、バスターの穴を埋め切る事は難しかった。
そこで挙がったのは、G兵器よりも低コストの支援機を製造する事だった。
フェイズシストの使用は出来なかったが、主にバスターやストライクの余剰パーツを流用することにより、低コストながらも高性能な機体を実現することが出来た。
バスターを使用せずとも、ストライクと2種類のタイプの異なる本機により、様々な作戦に対応できる事や、データが集まれば基地防衛部隊などに配備される事が期待されていた。
ヘリオポリスでタイプの異なる2機が製造されたが、1機はザフトの襲撃により破壊されてしまうも、残存した1機がオルガの手に渡った。