強い方のオルガの逆行奮闘記   作:トライデント

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キラが銃を向けられる話です。
状況的に反射でああなるのは仕方ないんだろうなとは思うんすけど、かと言って民間人に銃向けんじゃねえよとは思いますわよ。


大天使の降臨

キラ達の連絡が終わり、マリューによりストライクやアドバンテージの武装運輸を任せられたオルガ達。

 

 

「民間人のオレ達がこんなことしてていいのかよ?」

 

「ロールアウト前のMSに搭乗、目撃した以上、大差はありません」

 

「へいへい。で、このアドバンテージと…アレと持ってかれたやつ以外に、もう1機MSあったよな?ぶっ壊されたヤツ」

 

「ああ…。アレもアドバンテージよ。貴方が乗ったのとは別タイプだけども」

 

「ほお……。なら、部品ぐらいは使えるんじゃねえのか?」

 

「…………そうね。ただ、ある程度は母艦に積んであります。パーツより武装の方が少ないはずなのよ」

 

「………そうかい。なら武装のが必要か」

 

 

アドバンテージの武装コンテナを運搬しながら、そう呟くオルガ。

ボタンを押し、車から降りると、コンテナが開かれていた。

 

 

「これがコイツの武器か。シールドと…なんだこれ。ビームライフル?」

 

「専用のビームマシンガンね。流石に詳しい説明は出来ないわよ」

 

「聞くつもりもねえよ。今んとこはな」

 

「……………」

 

 

そのコンテナには、赤と黒色の曲面型の専用シールドと、長い銃身が特徴の専用ビームマシンガンが収納されていた。

これにより、アドバンテージは武装を揃えることが出来た。

 

 

「キラの方も、終わったらしいな。そういや、アレには何が積まれてんだ?コイツみたいに、ライフルやシールドか?」

 

「………詳しい説明は出来ないと言ったでしょう。ですが、それではないとは言えますね」

 

「そうかよ。で、あっちも開いたが……あん?」

 

 

ストライクの方のコンテナも開き、その中身が顕となる。

ただ、それに対してオルガは既視感を覚えた。

 

 

(いや、戦ったことあるんだからある程度は見覚えあるんだが…。たしか、オーブの時に一回だけ見た覚えあるんだよな。どんなやつだったけか……)

 

 

そこにあったのは、ランチャーストライカーだった。

肩に装備するガンランチャー、超高威力を誇るビーム砲のアグニなのだが、オルガはオーブ解放戦でのパーフェクトストライクの装備としてしか確認しておらず、どんな武装だったかを完全には覚えていなかった。

 

 

(どんな感じだったかね……。見た目通りの射撃武装だろうし、エネルギーパックと直接繋がってるからな……)

 

 

そこまで考えてたところで、異変が起こった。

 

 

「うおっ!?」

 

「な、なに!?」

 

 

突如上空から爆発音がし、その場にいた全員が上を向く。

するとそこから、白いMSが飛び出す。それを追うように、オレンジ色のMAも飛び出していた。

 

 

「シグー!?それに、メビウス・ゼロ……フラガ大尉!?」

 

(シグーってことは…クソっ!隊長機かよ!)

 

 

逆行前のオルガの時期ではゲイツに劣っていたものの、この時期のシグーとなると、少数配備の高性能エース専用機として、地球連合軍に恐れられていた。

それを追うメビウス・ゼロも、宇宙専用とは言え有線式ガンバレルを搭載したオールレンジ攻撃を可能とした高性能MAなのだが、その最大の特徴であるガンバレルは全て破壊されたらしく、メビウス・ゼロ本体だけが残存していた。

 

 

「あのオレンジのヤツ、白いヤツにボコボコにされてやがんな…。ぐっ…!」

 

 

上空へ目線を向けていると、再び爆炎が起こった。

 

 

「クソッ!今度は……なっ!?」

 

「アークエンジェル……!!」

 

 

その爆炎から出て来たのは、白を基調とした戦艦だった。

マリューがその名を口にするも、オルガはその名を既に知っていた。

かつての乗艦のドミニオン。その姉妹艦であるアークエンジェルが、ヘリオポリス内にその姿を現した。

 

 

『……ッ!?アラートが鳴りましたけど、どうすれば……!』

 

「ロックオンされてねぇかそれ……!とにかく装甲を展開させとけ!それぐらいいいよな!?」

 

「え、ええ!構いません!!」

 

 

ストライクに搭乗しているキラから、アラートが鳴ったとの報告が入り、急いで指示を出すオルガ。

ちょうどランチャーストライカーの装備が完了した後のようで、フェイズシフトを展開させたストライク。ランチャーストライクが立ち上がる。

そこへ向け、シグーがマシンガンを撃ち放つ。

 

 

「チッ…!お前ら伏せろ!!」

 

「うわあああああ!!?」

 

「きゃああああ!!」

 

 

オルガが近くにいたトールを、マリューがミリアリアと共に地面に伏せるが、フェイズシストを展開させたランチャーストライクが射線に立ち、オルガ達を庇った。

 

 

「ぐっ……!オレもアイツに乗っとくからな!トール達はMSに近づくんじゃねえぞ!」

 

「え、ええ!頼みます!!」

 

 

オルガがアドバンテージに飛び乗り、OSとモニターを起動させる。

上空を向くと、アークエンジェルがシグーに向かってミサイルを発射していた。

シグーが回避したミサイルは、ヘリオポリスを支える柱に当たり、ケーブルが何本も切れていた。

 

 

「コロニーの中でミサイルブッ放す馬鹿がいるかよ!?だからって、コイツを撃ったところで……!」

 

『アレを追い返すには……これか!!』

 

「ま、待てキラ!あんま迂闊に…!」

 

「待ちなさいキラくん!それは……!」

 

 

通信で聞こえて来たキラの声を、オルガとマリューが静止しようとしたが間に合わなかった。

アグニから撃たれたビームは、シグーの一部に当たるもそのまま突き進む。上空のヘリオポリスの地面に着弾したと同時に爆発が起こり、大きな穴を開けていた。

 

 

『なっ……あっ……』

 

(ありゃあ…バカMSの腹のビーム砲と同じぐらいだな……)

 

 

自分が撃ったビームの威力に戦慄するキラと、かつての乗機を思い返しながら、現状を分析するオルガ。

ヘリオポリスに大穴が空いたものの、そこからシグーが脱出し、再びのピンチを凌ぎ切った。

 

 

「………威力を知らなかったんだから、仕方ねえよ。キラ」

 

『……………すみ、ません……』

 

「オレに言ったって仕方ねえが、一応ソイツは受け取っとく。そら、オレはトール達を運ぶから、キラはサイ達を頼むぜ。落とすなよ」

 

『は、はい!』

 

 

腰のウェポンラックに専用マシンガンを、左腕で専用シールドを装備させ、空いた右手にトールとミリアリア、マリューを乗せ飛び立つアドバンテージ。

それに続き、左手でサイとカズイを乗せたランチャーストライクも飛び立つ。

2機はハッチを開けたアークエンジェルのカタパルトデッキに降り立ち、それぞれトール達とサイ達を無事に降ろす。

 

 

「ラミアス大尉…!」

 

「ナタル!無事だったのね…!」

 

「ラミアス大尉も、ご無事で何よりです」

 

(………やっぱり、あの艦長じゃねえか。気のせいじゃなかったんだな)

 

 

カタパルトデッキの奥から、地球連合軍の軍服や作業服を着た集団が駆け寄ってくる。

その中には、オルガが自動車乗り場で見かけた数人、ナタル・バジルールの姿もあった。

 

 

「………そして、その子達が…」

 

「……ええ。巻き込んでしまった子たちよ」

 

「………名乗った方がいいか?」

 

「そうね。頼めるかしら」

 

「……オルガ・サブナックだ」

 

「キラ・ヤマト、です…」

 

「トール・ケーニヒ…」

 

「ミリアリア・ハウ…」

 

「サイ・アーガイル…」

 

「カ、カズイ・バスカーク…」

 

「………私はナタル・バジルール。ラミアス大尉から話は聞いてると思うが、君たちの状況は…」

 

「あーあー、知ってる知ってる。すぐには帰れないってことだろ?故意じゃないとは言え、軍事機密ってモンに触れてるからな」

 

「……理解しているなら、助かる。ところでキミ…」

 

「ん?オレがどうしたよ」

 

 

それぞれの自己紹介が済み、ナタルが名乗ったところで、オルガに向けてナタルが話しかける。

その顔は、どうにも困ったかのようなものだった。

 

 

「…………失礼だが、どこかで会ったことがあるか?」

 

「…………いや、ねえはずだけど」

 

「……そうか。突然変なことを言ってしまい、申し訳ない」

 

「珍しいわね。ナタルがそんなこと言うなんて」

 

「い、いえ……。何故か、ふと口から出てしまって…」

 

 

ナタルからそんなことを聞かれ、誤魔化すオルガ。

本当にふと口から出たようで、ナタル自身も戸惑っている様子だった。

 

 

(………まあ、アンタについてオレがどうこうするつもりは、全くねえけどな。別に恨んでるワケでもねえし。アンタからしたら、突然割って入ってきたオッサンと一緒に付いてきた付属品みたいなもんだろ。アンタにどうこう出来ることじゃねえしな。これが、アンタの指示であんな目に遭ってから寄越されたってんなら話は別だが、そんなことねえし)

 

「……では、すまないがキミ達にはこれから…」

 

「あー、取り込み中のところすまないがね。ムウ・ラ・フラガ大尉だ。オレの乗艦許可も得ていいか?乗ってきた艦も堕とされちまってな」

 

 

ナタルが話しかけた途端、紫のパイロットスーツを着た男が話しかけてくる。

その言葉は、マリューに向けてのものだった。

 

 

「えっ…私に、ですか?」

 

「………実はなんですが、ラミアス大尉。艦長やその他士官は……。なので、ラミアス大尉にその任があると思われます」

 

「………そう、なの。貴女達が無事で良かったけど、辛いわね…。状況は分かりました。許可します」

 

「ありがとさん。しかし…キミ達がモビルスーツを動かしたのかい?」

 

「ええ。それぞれ、ジンを撃退しています」

 

「ジンを撃退……!?」

 

「なるほどな…。キラ・ヤマトと、オルガ・サブナック…だっけ?」

 

「ええ…。ザフトに襲撃を受けた際、何故か工場区にいたため、私がストライクに乗せました。彼の方は、アドバンテージへ」

 

「そうか。ところで…キミ達」

 

「え?」

 

「あん?」

 

「キミ達って、コーディネーターだろ?」

 

「は、はい…」

 

「いや。オレは違えけど」

 

 

その答えを発した途端、周りにいた兵士がキラに向けて銃を構える。

 

 

「……えっ?」

 

「ちょ、ちょっと貴方達!!」

 

「お、おい!何考えてんだよお前ら!」

 

「ト、トール……」

 

「コーディネーターでも、キラは敵じゃねーよ!!さっきジンを倒したって聞いただろ!?どういう頭してんだよお前らは!」

 

「……つーかよ。コーディネーター以前に、民間人に、しかも子供に銃向けてんじゃねえよ。軍人どころか、大人としてどうなんだよ」

 

「オルガさん……」

 

「………まあ、ザフトに襲撃された直後なんだから、ある程度は仕方ねえのかもしれねえけど、だからって銃向けるのはやり過ぎじゃねえのかよ。オッサン」

 

「……いや、それはその通りだ。悪かったな。オレはただ聞きたかっただけなんだが、状況が最悪過ぎた。そこまで考えが回らなかったのは、大人として酷かったな。お前ら!銃を下ろせ!」

 

「……………」

 

「……後からもっと最悪なタイミングでこうなるよりはマシ、と思っとくか」

 

「ラミアス大尉、これは一体…」

 

「別に驚くことはないでしょう。ヘリオポリスは中立コロニーだもの。戦禍に巻き込まれたくなくて、移住するコーディネーターも珍しくないわ。オーブ本国にだって、多くのコーディネーターがいるって話だし。違う?キラくん」

 

「は、はい……。僕は、1世代目のコーディネーターですから…」

 

「1世代目…となると、両親はナチュラルか。いや、本当に悪いことをしたな。Gの操縦練習をしている兵士を何度も見てきたが、動かすことすら出来ない奴らが多くてな。しかし、キミはナチュラルなんだな」

 

「……火事場の馬鹿力ってやつだと思うけどな」

 

「でも、カズイじゃないけど、オルガさんなら動かせても不思議じゃないなって思っちゃいますよ。ゼミでもホント、何でも出来てますから」

 

「………向き不向きで片付けられる話じゃないが、ある程度のセンスってのも、やっぱあるのかねえ…」

 

「……………」

 

「ん、どうした?ラミアス大尉」

 

「い、いえ……。たしかに、すぐに適応できるような人間がいるというのは、よくある話ですものね」

 

 

神妙な顔つきでオルガを見ていたマリューに、ムウが話しかけたところ、そう誤魔化すマリュー。

先程本人から聞いた言葉が引っ掛かってるものの、悪戯に拡げるべきではないと、そう考えてのものだった。

 

 

「しかし…ストライクとアドバンテージか。オレのゼロが健在ならある程度はマシだろうが、この分だと間に合いそうにねえ。急がないとマズいな」

 

「マズいって…何がですか?」

 

「何がって、どうせ奴さんたちまた来るぜ?なんたって、相手はクルーゼ隊だからな」

 

「ク、クルーゼ隊!?つ、つまり…あのシグーに乗っていたのは…」

 

「ああ。ラウ・ル・クルーゼだ。坊主が撃ってくれなきゃ、被害はさらに増してたろうが…。ただ、これで終わりなワケがねえからな。アイツらはしつこいぜ?」

 

 

ムウの言葉通り、クルーゼ隊は再度のヘリオポリスへの襲撃の準備を進めていた。

ヘリオポリス崩壊まで、残り1時間。




ムウさん好きなキャラではあるんすけど、手放しに子供達を任せて良いかと言われると間が現れます。戦場じゃなかったら手放しで良いんすけど。
まあガンダム世界の大人ってわりとそんなもんで、むしろムウさんはどっちかと言うと任せて良いグループですわね。
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