Blood Fate 〜宙の獣は運命に吠える〜   作:サンサソー

4 / 6
エルデンリングが追いついてきましたねぇ。はてさて、どちらになることやら。

遅ればせながらも投稿。何個も新しい小説を書くもんじゃないですね…。


そして彼は血を望んだ

月の魔物は夢の庭に降臨した。いや、既に在った。

 

狩人たちが家を拠り所とし、そして旅立つ様を見下ろしていた月。その青は確かに全てを見ていた。

 

そう、与えるべき狩人の末路と、それを絶ちさらには感応した相手すらも目覚めさせてしまった古狩人のことも。

 

ゆっくりと、魔物は彼の元へと這っていく。彼もまた、両手を広げ魔物を迎え入れた。

 

「…………?」

 

魔物が彼の胴に手を添え、触手で包み込む。そしてその貌を腹へ埋めようとするも……何かに気がついたように動きを止め、離した。

 

「ォ……オオォ……」

 

上位者は赤子を本能的に求める。

 

故に上位者を引き寄せる釣り餌となるのだ。生物というには余りにも現実味が無く、概念というには余りにも存在が確固たるもの。そんな生物の行き着く究極系とも言える彼らが宙より人々の願いに感応するのは、一重にその血がもたらす物だろう。

 

神の墓を暴き、聖遺物を拝領する。それこそ、かつてはるか昔、ヤーナムの者共が手放そうとしなかった物であったのに。

 

故に、儀式は赤子を用いられる。声のみが響く、不気味な赤子を。

 

『悪夢の儀式は、赤子と共にある。赤子を探せ。あの泣き声を止めてくれ』

 

かのゲールマンは言った。

 

『もし獣が手にあまり、大きく恐ろしいならば、聖杯を求めるとよい。かつて多くの狩人がそうしたものだ。聖杯は墓を暴き、その血は狩人の糧になる。聖体を拝領するのだ』

 

聖杯により開かれる迷宮、その最深部には『儀式の血』など様々な聖遺物が眠っている。血石を求める者も多く、確かにそれは牙を研ぎ力となるが……本来、それはただの付属品であった。

 

姿の見えない赤子、その発生源こそ己であり。それに惹かれて上位者はやってくる。それが分からぬからこそ、充分な智慧を持たぬからこそ人々は『獣』という己に飲まれるのだ。

 

呪いが獣だけであるものか。ましてや他者の視点でものを見るなど、もはや何も知りえぬであろうに。

 

「オオオオオオオォォォォッ!!!」

 

魔物の叫びは、果たして何を含むのであろうか。いや、分かる。へその緒以前に、積み上げた叡智は確かに感情を読み取った。

 

それは怒りでもない。憎悪でもない。

 

ただただ悲しみがあるだけだ。

 

感応し降臨した。1人の狩人の願いを、あらゆる狩人の盛衰を支え、そして夢にて繋げ続けたその行いが。その全てが、己の手から離れようとしている。

 

狩人の受け継いだ遺志は燃え、咎人であり悲しき狩人は朝に目覚めた。

 

残るのは、中身の無い夢だけだ。願いも、遺志も、何も無い。

 

故に叫ぶ。泣き叫ぶ。

 

認められるか、そんなもの。そう言うかのように魔物は手を地面へと叩きつけた。

 

彼は動かない。ただじっと魔物を見つめるだけだ。その蕩けた目に映るのは、おぞましい魔物などではないのだ。

 

「……すまない」

 

雫が落ちた。血のみを流し、流させたはずの乾ききった身体から、小さな涙が落ちる。

 

「その慈悲、その救済心、そしてその寂寞の思いは全て、私のような者が踏みにじってはならぬと理解している。すまない……だが、血を受け老いた子と約束したのだよ。古い友人と約束したのだよ。彼が夢を望み、しかし朽ち果てたように。私もまた約束に甘んじてしかし、それを断つ術を見つけられなかった。もはや私には、約束を果たすことしかない。その血を求めるしかないのだ……」

 

零れた涙は何も成さない。砕けて消えるその様だけが情景を見せる。魔物は手で貌を覆い……叫んだ。

 

叫びは赤い波動となり、彼の血を抜き取った。

 

「ああ……ありがとう。やはり貴女はどこまでも慈悲深いのだな…」

 

鎌を仕舞い、『獣の爪』を取り出す男。鋭いソレを魔物の中へ突き入れ、引き抜いた。

 

勢い良く吹き出す血は男を染め上げていく。やがて男と魔物の傷が塞がると、再び叫びが男の中を駆け巡った。そしてまた血浴びが行われる。

 

ソレを繰り返すこと数度。黒い毛は余す所なく血を含み、蕩けた瞳には確かに宙の輝きが映し出されていた。

 

衰弱した魔物は、再び男を優しく抱きしめる。その貌を腹へと埋め、肉を一齧り喰らった。

 

夢を紡ぐ儀式。または古き時代の特別な習わし。

 

 

血の儀式である。

 

 

婚姻の指輪を取り出すは血を交わした男。魔物は左手を差し出した。

 

「この夢もまた、新たな狩人の苗床となる。そう、私と、そして貴女との。しばし待たれよ。いずれ私は、貴女に見合うモノとなりましょう」

 

本来、血の儀式には特別な赤子を抱く者にのみ認められていた行為。必要なのは『婚姻の指輪』と『特別な赤子』。男は3本目のへその緒を用いて自ら赤子となることで、その代用とした。

 

「幼年期へ至る前に、私の名を伝えておこう。私の名は『ファンネル』。いずれ会おう、我が妻『フローラ』よ」

 

白い霧が当たりを包み込み、何もかもを白く塗りつぶしていく。夢は消え、そして再び巡るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

火の消えた家から、人形が顔を出す。

 

「………………」

 

彼女はゆっくりと階段を下り、道端にて蠢くナニカを優しく拾い上げた。

 

「ああ、お寒いでしょう?……ふふ、狩人様…」

 

青い触手と黒い毛を携えたソレを抱き上げ、家の中へと戻るのだった。

 

 




戦うと思った?残念、求婚でした。

とある狩人の立ち位置は、もはや無い。夢の中で彼は人として、獣として、上位者として存在し続ける事となる。いずれ来る厄災への、切り札として。


ファンネルの装備紹介
武器右:葬送の刃・獣の爪
武器左:獣狩りの短銃・獣狩りの散弾銃
神秘:夜空の瞳・エーブリエタースの先触れ・彼方への呼びかけ・獣の咆哮
頭:メンシスの檻
胸:ゲールマンの狩装束
腕:骨炭の手甲
足:骨炭の足甲
カレル文字:血の歓び・姿なきオドン・月・獣の抱擁

どこからメインストーリーを始めようか(始めは微小特異点イベントをやります)

  • 炎上汚染都市 冬木
  • 邪竜百年戦争 オルレアン
  • 永続狂気帝国 セプテム
  • 封鎖終局四海 オケアノス
  • 死界魔霧都市 ロンドン
  • 北米神話大戦 イ・プルーリバス・ウナム
  • 神聖円卓領域 キャメロット
  • 絶対魔獣戦線 バビロニア
  • 亜種特異点群
  • 永久凍土帝国 アナスタシア
  • 無間氷焔世紀 ゲッテルデメルング
  • 人智統合真国 シン
  • 創世滅亡輪廻 ユガ・クシェートラ
  • 神代巨神海洋 アトランティス
  • 星間都市山脈 オリュンポス
  • 妖精円卓領域 アヴァロン・ル・フェ
  • その他(SE.RA.PHなど)
  • ↑その他は活動報告へコメントを
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。