本当にあったとは言い切れない、それぞれの日常 シーズン3G 作:JUBIA
【白と黒の挽歌】
俺は、凍土一のラッパーになるのを目標にしている。
今日もゴキゲンだぜ、チェケラーッ♪
ヘッドホンを首からぶらさげたウルクススが、ヘッドホンから漏れるシャカシャカ音に、ノリノリで凍土を散歩していた。
すると、目の前で何やら黒くて小さな物体がうごめいているのが見えた。
ワッツァーップ?
よく見ると、それは一匹のメラルーの子供のようだった。
「ミャーッ、ミャーッ!」
マジかよ。
ブラックアンドスモール♪
それはーメラルゥー♪
「どちたのかニァ~? お母さんはどこかニァ~?」
「ミャーッ、ミャーッ!」
小っちゃすぎて話が通じなーい♪
通じるようにおまじなーい♪
…………。
しょうがないな、母親を探してやるか。
ヘイヨー♪
待ってなベイビー♪
そんな俺はグルービー♪
「ミャーッ、ミャーッ!」
…………。
このままここに置いといたら、危ないか。
ウルクススが、子メラルーを拾い上げようとしたその時、子メラルーはウルクススの足元へガブリとガブリついた。
おっと、これはびっくりー♪
困るはしゃっくりー♪
よほど腹を空かせていたらしい。
「それは豚足ではないのでちゅよ~、お嬢ちゃん」
ウルクススは、子メラルーを足元から離そうとしたが、子メラルーはガップリとガブリついて離れない。
それならそれで大丈夫ー♪
お前と俺とでランデブー♪
ウルクススは、子メラルーが足元へガブリついたまま歩き始めた。
犬歯が食い込むー♪
ダンディな俺は我慢スルー♪
小さなダメージを食らいつつも、子メラルーを払い落とさないように静かに歩み続ける。
すると、上空からバサバサと、ベリオロスが目の前に降りてきた。
「ちょっと! 私の姪っ子をどこに連れていくつもり?」
青天の
俺の心は暗雲の霹靂ぃー♪
「姪っ子って……こいつ、メラルーの子供だったんじゃ?」
「何言ってんのよ! どっからどう見てもナルガクルガの子供じゃない」
…………。
どうりで、このガブリ付き具合は只者ではないと思っていたワケだ。
チェケラッチョ。
迷子の子ナルガ、これで安心♪
俺は善神♪
「ちょっと、アンタでしょ? この辺に出没するっていう変質者って!」
「え? ちょっ……俺はアーティスト……」
「通報しますね」
ベリオロスは、ウルクススの足元から子ナルガを思い切り引き離すと、どこかへ飛んでいった。
俺様傷心♪
加えて傷身♪
ダブルで
ウルクススの足元からは、ダラダラと流れる血が止まらなかった。
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【寒の遺伝子】
俺はウルクススだ。
しかし、俺の回りには誰一匹として、俺をウルクススだと認識してるヤツはいない。
なぜなら、そう、あれは4年前の出来事だった。
凍土で生まれてまだ間もない頃、親をハンターに狩られた俺は、一匹で寒さと飢えに耐えていた。
ミニウサギか何かと勘違いしたお前は、俺を温かい懐へ大事にしまいこんで、お前の家に連れ帰ったんだ。
お前の嫁と幼いガキは、大喜びで俺を可愛がってくれたな。
しかし、どうだ?
俺を温かい家族へ迎え入れておきながら、3ヶ月が過ぎようとした頃、お前は遠い異国の地へ狩りに出掛けたまま、一度たりともこの家に戻ってこないじゃないか?
お前が俺を拾い上げてから、すでに4年の月日が経った。
ハンター年齢で計算したら、今の俺は、とっくにお前の歳を追い越してしまったぞ。
最初は小さなケージで飼われていた俺も、次第に成長していくにつれ、狭すぎるケージは撤去され、今ではこの家を自由に
図体がデカくなっても、お前の嫁とガキは、相変わらず俺を可愛がってくれるよ。
最近では、ソファーにガキと肩を組んで座り、一緒にぽっぷこーんなる物を食べ、さっかーって言うらしい玉転がしを見ているよ。
しかし、あれだな。
どの選手も俺に言わせれば、スライディングタックルがまだまだ甘い。
そうそう、ぽっぷこーんも色々種類があって、俺はメープル味が大好きになったよ。
寝る時は、ガキと二段ベッドで上を取るか下を取るか、いつも早い者勝ちだ。
まぁ、いつも俺の勝ちだけどな。
なぁ、知ってるか?
俺は寂しくはないけどな。
お前の嫁と成長したガキが、今でも俺を愛してくれるからな。
でもな、いつになったら肝心のお前は帰ってくるんだよ?
温かい家と、温かい人達、……俺の体は温まっても、心が寒いんだよ!
……早く帰ってきてくれよ。
「ンキューッ、ンキュゥーッ(おい! ちゃんねる戻せよ! くいずとか糞面白くねーんだよ!)」
「え? アイス食べたいの?」
「プープープーッ(ちげーよ! さっかーに戻せよ!)」
「チョコミントでいい?」
「ブフーッ(糞がっ!)」
お前のガキとは心が通じねぇ。
頼むから……早く帰ってきてくれよ。
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【ハンティングされに行こう!】
小さなクルペッコ2頭と、小さなクルペッコ亜種2頭は、4頭でいつも仲良しにしていた。
その4頭は、協会からの呼びかけで、孤島のとあるエリアに集められた。
「ねぇねぇ、私達って何で呼ばれたの?」
「え? アンタ知らないで来たのぉ?」
以前、風で飛んできた大量のクーポンを、クルペッコ達が無断で拾っていた。
それを知った協会は、この件をなかったことにする代わりに、クーポンを持参して指定するクエストに参加しろ、と強制的に収集したのだった。
「このカメユークーポン、返さなくていいかもしれないよ♪」
「亀の子クーポンって何?」
「違う、違う、カメユークーポン!」
「……カメユークーポンって何?」
「この前、いっぱい拾ったでしょ?」
「あれって何に使えるの?」
「いっぱい集めると、いいことがあるんだってぇ」
「それって、どうやったら返さなくてよくなるの?」
「ハンター達から50分間、狩られなかったらだよ♪」
総勢4頭のうち、1頭は趣旨も理解せずに参加していた。
「そもそも、カメユーって何?」
「え? アンタ知らないのぉ?」
「ジョジョに出てきたじゃん」
「ジョジョ、って何?」
「ジョジョはジョジョよ! スタンドとか出てくるアレよ!」
「そうそう♪ 有名だよ? 知らないの?」
「スタンドって、部屋に飾ってるあのスタンド?」
「違う、違う、スタンドって言う能力よ」
「そうそう♪ 色んなスタンドがあるんだよねー♪」
「私にも、そのスタンドっていう能力あるのかな?」
「…………」
「…………」
「あるワケないじゃん!」
パ~プ~♪
クエスト開始の合図が鳴った。
「さぁ、みんな、クーポン取られないようにしてね!」
「このミニマムボディで、ハンター達を翻弄してやるわ♪」
「私はひたすら逃げてよ~っと」
「……あ、クーポン忘れてきちゃった!」