本当にあったとは言い切れない、それぞれの日常 シーズン3G   作:JUBIA

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白銀に導かれて ~ モンスタージャンピングG

【白銀に導かれて】

 

 今日もウルクススは、継母のベリオロスにこき使われ、義理の姉であるボルボロス亜種と、アグナコトル亜種にいじめられていた。

 

「ほんと、役立たずね」

 

 継母はそう言うと、暖炉の灰を尻尾でウルクススに浴びせた。

 ウルクススの白く艶のある毛並みは、かぶった灰で小汚い灰色になってしまった。

 それに義理姉達は、クスクスと笑っている。

 

(ちっくしょー、今に見てなよ! アンタ達なんて……)

 

 胸の奥に怒りを秘めながら、ウルクススは一生懸命に家事をした。

 

 ある日の晩、継母と義理姉達はパーティーに出掛けていった。

 家に残されたのは、ウルクスス一匹だけ。

 

 誰もいないのをいいことに、ウルクススはソファーで横になりながら、お菓子をボリボリと食べていた。

 と、そこへ、コンコンと扉をノックする音が聞こえた。

 

「誰よ? この至高タイムに」

 

 ウルクススが扉を開けると、そこにいたのは一匹の小さなバギィだった。

 

「コワッパが何の用よ?」

「ウルクスス様は、今宵のパーティーにご招待されております。お迎えにあがりました」

 

「は? パーチー? 何言ってんのコイツ。私なんてパーチーに行けるワケないじゃん! バカじゃないの?」

「いいえ、こちらにご用意しております」

 

 外には、立派なアプトノス車があった。

 

「何コレ? マジで? いいの?」

 

 バギィは静かに頷くと、小汚かったウルクススを一瞬で真っ白に輝かせた。

 

 アプトノス車に揺られながら、立派なお城に辿り着いた。

 

「このマジックは、深夜0時に跡形もなく消えてしまいますので、それまでには必ずお戻りくださいませ」

「うん、オッケー!」

 

 ウルクススは、お城への階段を四足歩行ダッシュで駆け上がると、夢にまで見たお城のダンスパーティーに参加した。

 

 楽しい時間はあっという間に過ぎていく。

 踊り疲れたウルクススは、お腹も空いてきた。

 

「こっちのほうから、なんかいい匂いがする」

 

 匂いに釣られて辿り着いた先は、調理室だった。

 運よく、今は誰もいない。

 ウルクススは、そこにあるものをつまみ食いし、腹を満たした。

 

「ふー(ゲフ」

 

 と、その時、深夜0時を知らせる鐘が鳴り始めた。

 

「やっばー、急がないと」

 

 急いで調理室を出たウルクススは、廊下でドスンと誰かにぶつかった。

 

「ちょっとー、アンタどこ見……て……」

 

 ウルクススがぶつかった相手は、王子のラギアクルスだった。

 ラギアクルスは、ぶつかった衝撃で床に倒れ込んでいる。

 手を貸そうにも、時間は刻々と迫っている。

 倒れている王子に手も差し出さず、ウルクススはアプトノス車へ急いだ。

 

「ふー、ギリギリセーフって感じぃ?」

 

 家の前に着いたウルクススは、元のみすぼらしく小汚い灰色の毛並みに戻り、アプトノス車は跡形もなく消えた。

 

「おしっ! アイツらはまだ帰ってないっと……」

 

 ウルクススは、ソファーにこぼれていたお菓子のカスを片付けた。

 

 数日後、お城からの伝令で、王子が誰かを探しているとの知らせが入った。

 

 調理室での、つまみ食いがバレたのだろうか?

 ウルクススは、近くにあった薄汚いスカーフを頭に巻き、顔を見られないようにして家事をした。

 

 王子達ご一行は、一軒、一軒、家を訪ねて回っている。

 付き人を従えた王子が、とうとうこの家にやって来た。

 

「これこれ、こういう者を探している」

 

 付き人は、白くモフモフした、立派な前歯をしている者を探しているようだ。

 

「あらやだ、私のことかしら?」

 

 継母が頬を赤らめて言うと、義理姉達も負けずと「私よ、私!」と名乗りを上げている。

 付き人が持参していたのは、歯型がくっきりと付いたリンゴだ。

 それと、継母や義理姉達の歯を見比べてみると、どうやらモンスター違いのようだった。

 

 付き人が、住モンリストに目をやった。

 

「おや? この家には、まだ一匹おるようですな」

「え? ウルクススのことぉ? あの小娘は違うわよぉ」

 

 義理姉が止めるのも聞かず、付き人はズカズカとウルクススの元にやってきた。

 

「まぁ、白くはないが……どれ、歯を見せてごらんなさい」

 

 付き人は、灰色で小汚いウルクススにため息をもらしたが、住モン全員を調べなくてはならなかった。

 そんな付き人を前にウルクススは、ギュッと唇を閉じたまま、頑固として口を開けようとしない。

 

 付き人は、無理矢理ウルクススの口を開けさせようと、頬を引っ張っている。

 と、その時、ウルクススの顔に付いていた灰のススが、付き人の手に付着した。

 

 それを見た付き人は、ウルクススがかぶっていたスカーフを取り上げ、それで全身のススを取り払っていった。

 小汚い灰色だった毛並みが、みるみるうちに白い輝きを取り戻していく。

 

 必死に抵抗するウルクススをよそに、付き人は無理矢理ウルクススの口を開けさせた。

 

「王子! 王子! いましたぞ!」

 

 なんと、ウルクススの歯並びが、リンゴの歯型と一致した。

 それには、ウルクススも観念するしかない。

 

(つまみ食いは、きっと斬尾刑……って、アレ? 私、切れるほど尻尾長くないし。でも、きっと、きっと……ブルブル)

 

「おぅ! これは、まさしく我が愛しの姫だ!」

 

 王子は、ウルクススに抱き付いた。

 

「これ、これ♪ このモフモフ感♪ ほら、ボクって鱗じゃん? だから、モフモフ姫が好きなんだぁ♪ このモフモフは、ボクだけのものだぁー!」

 

 王子の言動に、ウルクススは変態を見るような目をしている。

 

「では、ウルクススは、我が国の王子の姫として貰い受ける」

 

 付き人はそう言うと、無理矢理ウルクススを連れて行こうとした。

 

「やだ! こんな変態になんて嫁ぎたくない!」

 

 ウルクススがダダをこねていると、継母が鋭い眼差しを向けた。

 

「何、贅沢言ってんの! これで家も豊かになるんだから、それぐらい我慢しなさい!」

「やだー! やだーーーーっ!!」

 

 叫びも虚しく、ウルクススはお城に連れて行かれた。

 

 その後、王子は毎日モフモフ三昧(ざんまい)で、幸せな日々を過ごしました、とさ。

 

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【モンスタージャンピングG】

 

 水没林のとある場所で、ガノトトスとチャナガブルがばったり出会った。

 

「よぉ、元気かチャナ」

「元気よー、ガノ君はー?」

「俺はバリ元気よ!」

 

 二匹は、元々顔見知りの中だった。

 

「そーいえば、ガノ君、今度のモスリンピックで出る種目は、決めてるのー?」

「うーん、たぶん俺は、ロングジャンプの水辺コースかな」

「えー!? そーなの? 実は、私もそれにしようかと思ってたのにー」

 

 ロングジャンプ(水辺コース)とは、水中からのジャンプで、陸地の着地点までの距離を競う種目だ。

 

「ガノ君は翼あるから、ズルイよねー」

「いや、翼使ったら普通に失格だし(汗」

 

「えー、でもガノ君、体長あるから有利だよねー」

「いや、計測するのは脚の着地点だし(汗」

 

「えー、でもガノ君、その体格だと水中での助泳が有利だよねー」

「いや、えーと……まぁ、それは仕方無い……よな?(汗」

「…………」

 

 チャナガブルは、ガックリと肩を落とし、試合が始まる前から負けたような顔をしている。

 

「あー、わかった、わかった! 俺はハイジャンプのほうにするよ」

「えー、ホントー!?」

 

 チャナガブルの顔が一気に晴れた。

 

(チャナって、こんなに面倒臭いヤツだったっけ?)

(ロングジャンプの副賞、カエル1年分だったのにな……)

(あれ? ハイジャンプって、何貰えんだ?)

 

 副賞だけが目当てだったガノトトスは、ハイジャンプの副賞が何か、協会へ確認しに向かった。

 

「……ふっ、案外チョロイのね、ガノ君ってー♪」

 

 チャナガブルは、ニヤリとしていた。

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