本当にあったとは言い切れない、それぞれの日常 シーズン3G 作:JUBIA
【雷、時々ウルクスス】
凍える白銀の世界、凍土に4人のハンターがやってきた。
目的は、食材探索の一環としてのウルクススの狩猟だ。
「ウルクススって、どんなモンスターなんだろうね?」
「うん、なんか名前はカワイイよな」
「それでも牙獣種らしいから、きっと恐ろしい牙を持った、獰猛なモンスターなんじゃないかな?」
「楽しみぃ~♪」
どうやら4人は、新米ハンターのようだ。
ベースキャンプを後にし、雪がチラつくエリアに足を踏み入れる。
あまりの寒さに、みんなはホットドリンクを一気に飲み干した。
「よーし! では、いざウルクスス探索へ!」
4人は雪面を踏みしめながら、ウルクススの探索を開始した。
しばらく進んで、ふと何かの気配を感じ取った1人が振り向いた。
すると、雪壁から白いモフモフしたモンスターが、顔の半分だけをちょこっと出してこちらを見ている。
「アソコに何かいるぞ」
「え? ナニナニ~? やだ~! カワイイ~♪」
「何だアレ?」
「なんかウサギみたいだね」
「おいでおいで~♪」
一目ですっかり気に入ったハンターの一人は、その場でしゃがみ、白いモンスターに手招きをした。
「ったく、猫じゃないんだからよー」
「えー、いいじゃない。あんなにカワイイんだし、きっとおとなしいよ、あの子は♪」
しかし、白いモンスターは、ひょいっと顔を引っ込めてしまった。
「あっれ~、人見知りさんなのかな。クス♪」
「ほら、もういいだろ? ウルクススの探索に行くぞ」
「は~い」
4人は、ウルクススの探索を開始した。
またしばらく進むと、後ろから何かの気配にハンターが振り返った。
すると、例のあの白いモンスターが、ひょこっと顔の半分だけを出してこちらを見ている。
「ふふ♪ カワイイね、あの子♪ 私達のことが気になるのかな?」
「特に危害を加えようともしていないし、放っておくぞ」
そんなことを何度も繰り返しながら、ハンター達はウルクススの探索を続けた。
しかし、凍土一帯を隈なく探しても、目的のモンスターは見付からない。
探索の制限時間は、刻一刻と迫ってきている。
「ねえ、もしかしてウルクススってさ……さっきから僕達の後を付けてる、あのモンスターのことかな?」
「え?」
「ちょっ、依頼書よく見てみろよ」
ハンターの一人が、手にした依頼書をじっと見ている。
「……あ、あれかも……しれない」
どれどれと、ほかのハンター達も依頼書を覗き込んだ。
「依頼名が『雪のちウルクスス』って、雪のちって感じじゃないぞ! あれじゃ雪時々じゃないか。違うんじゃないのか?」
「え? やだー! あの子を狩猟するなんて、できないよ!」
「ど、どうする?」
4人は、今も後ろでチラっとこちらを見ている白いモンスターを見つめながら、黙り込んでしまった。
「リタイアしよう!」
「リタイアしようぜ!」
「リタイアしようよ!」
「この依頼、差し戻そう!」
多数決により、今回の依頼は破棄された。
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【至高のフルコース】
これまでの男性経験?
アナタも野暮な事を聞くのね。
まぁ、いいわ。
今まで、この私を満足させた殿方はほとんどいないけど、その中でも……そうね、印象的だった殿方について話してあげるわ。
まずはボルボロスね。
あの方は、泥臭くって、泥臭くって、触れるたびに泥が着いちゃうから、1日でこちらから丁重にお断りしてあげたわ。
次は、ガノトトスね。
あの方は、まさに水も滴るイイ男だったけど、一歩下がって歩くこの私のほうに振り返るたびに、私をなぎ倒していたわね。
いやゆるプチDVってやつかしら。
連れて歩くにはもってこいだけど、痣がいくつもできて、3日目には軽い打撲になったわ。
次は、ハプルボッカかしら。
この私を大きく優しく包んでくれる、まさに頼りがいのある方だったけれど、あの巨体でしょ?
食欲が旺盛で、いつもデートで食事をする時は、私が食べ終わっても、さらに1~2時間も食べ続けるから、その間ものすごく暇なのよね。
5日で飽きちゃったわ。
次は、ウラガンキン亜種ね。
……もうね、体臭がひどのなんのって。
生理的に無理というより、現実的に1分も一緒にいられないほど、ひどかったわ。
最後は、ギギネブラかしら。
あの方は、いつも天井から私を脅かして、無邪気に笑うのよ。
いつまでも少年の心を持っているのね。
見た目はアレな感じだけど、いつも一緒にいて本当に楽しかったわ。
でも……彼には、ちょっと変な癖があって……。
あ、アナタにはまだ早過ぎるかしら?
まぁいいわ、いずれアナタにも分かる時がくると思うから。
たまにね、そう、ごくたまになんだけれど、キスする時にね、彼……私を愛しすぎるせいか、吸いついてくるのよ……顔面全体を。
そのたびに、私は呼吸できずにもがくのね。
それに気付いて、彼はすぐに離れてくれるんだけど……。
私、このままでいいのかな、って思うようになって、夜も眠れなくなったりしたわ。
彼も少しは悩んでいたみたいだったけれど、私達、真剣に話し合って、少し距離を置くことにしたの。
それで、現在に至る……ってところかしら。
どう?
少しは参考になったかしら?
アナタもいずれ大人になって、恋愛経験をたくさん詰んだら、今度は逆に私にその話をしてちょうだい。
え?
もっと聞きたい?
アナタも欲しがるわね。
今日は昔の思い出を振り返ったせいか、少し疲れちゃったみたい。
もう帰るわ。
話の続きは、また明日。
じゃぁね。
イビルジョーは、ドスドスとどこかへ去っていった。
その場に残されたのは、鼻水を垂らしたズワロポスの子供一匹だった。
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【ドクターの研究】
私はドクター・アント。
人は皆、我々をオルタロスと呼んでいるが、私はその中でも研究を生業としているオルタロスである。
私はハンターの様々な特性について、研究している第一人者だ。
今日は、その中でも『蟻酸』について研究したいと思う。
『蟻酸』
防御力ダウン効果のある酸。
公式的に、そう解明されている酸だ。
そこで私は、ハンターがこの蟻酸を食らう率を統計として数字に表すことにした。
まずは、下位のハンター達で調査してみよう。
被験者 100名
被蟻酸率 98.6%。
結論、ほぼすべての者が、この蟻酸を避け切れていないと計り知れる。
次に、上位のハンター達で調査してみよう。
被験者 100名
被蟻酸率 52.5%
結論、下位での洗礼を受けたあと、学習能力が多少上がっていると計り知れる。
最後に、G級ハンター達での調査。
被験者 100名
披蟻酸率 9.8%
結論、格段と見切率が上昇している。
これらの調査過程から、我々オルアントが放つ蟻酸は、発射準備から付着するまでの所要時間に問題点があることが判明した。
これについては、別の機関で、その所要時間を検証し、さらに短縮するべく、我々オルタロスの生体進化の研究に取り掛かってもらうことにしようと思う。
ドクター・アントの研究は、これからも我々オルタロスの未来と発展を願い、ハンターに対する様々な研究成果を上げることであろう。