元検証班どもが征くVRMMO(手綱は握られていないものとする)   作:銀鈴

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Q.だいぶ更新遅かったじゃねえか
A.リアル事情の変化で書く時間と体力がですね……


18話 第1回イベント③

   ゲーム系雑談           


 .たいあり〜

────────2XXX年--月--日────────

 .暗証番号は5963 21:14

 .祝☆チャンネルの収益化復活! 

 .これでまた確定申告がダルくなった!


 .ヤブサメ 21:16

 .おつかれさまですー

 .なんで収益化BANされてたんでしたっけ?


 .アブ@決闘者 21:17

 .オメデット(凶鬼20号)


 . ヤブサメ なんで収益化BANされてたんでしたっけ?

 .暗証番号は5963 21:17

 .出してみたASMR動画が性的なコンテンツの

 .判定を受けちゃってた


 .蛍石 21:18

 .えっちでしたもんね


 .弾バカ 21:19

 .やはり思春期……

 .某AIはスケベなことしか考えてないのか


 .暗証番号は5963 21:20

 .まあ色々ありましたが、そんなわけで

 .みんなで配信したいです

 .大体22〜23時くらいなら空いてません?


 .アブ@決闘者 21:20

 .OK


 .弾バカ 21:20

 .まあその時間なら


 .蛍石 21:21

 .ちょっと急いで帰りますね


 .ヤブサメ 21:21

 .ちょっとデスペナ中。22:30からなら


 .弾バカ 21:21

 .この時間にヤブサメがデスペナとは珍しい

 .どしたん? 話聞こか?


 .ヤブサメ 21:22

 .昨日いたいけな少年の性癖を捻じ曲げてたら、

 .夜に筋肉ブラザーズが時間差ポップして

 .(筋)肉体言語で「よし、うまく話せたな!」

 .コミュしたら2日連続で目の前で爆散した


 .暗証番号は5963 21:22

 .?????????


 .弾バカ 21:22

 .いつの間にそんな面白いことに!?


 .蛍石 21:22

 .草です


 .アブ@決闘者 21:23

 .待ってくれたまえ、

 .言葉の洪水をワッと一気に浴びせかけるのは

      (例の画像) 

 .⚫︎⚫︎⚫︎複数人が入力中...

   うおォん(レジライ顔)l           

 

 

[p.m.22:31(R(リアル))/p.m.19:33(G(ゲーム))]

[中央旗艦都市ケントルム・ギルドハウス]

 

 そんなやりとりがあってから、リアル時間でおおよそ2時間。現実同様にいい感じに日が沈み、夜戦の野戦にメインが移り変わった頃。

 

「──という訳で! 偶には検証班っぽいこともやってみようと思うんですよ」

 

 少々暗めの照明に照らされたギルドハウスの2階に、そんなクローニンの言葉が響いた。

 バンと叩かれた設置中のホワイトボードには、丸っこい文字でデカデカと『謎の幽霊少女の捜索』と記されている。

 

「グポン?」

《そもそも、謎の幽霊少女ってなに? とマスターは仰っています》

 

 自信満々に提示された話題に、律儀にも片手……1つ手を挙げてアブっさんが疑問を投げた。クローニンが行けると思って出してきた案な以上異論はないが、確かにそれはそれとして説明は欲しい。

 

「思ったより反応が悪い……あれこれ、もしかしてボク以外は誰も知らない噂話のパターンです?」

ほうへふね(そうですね)ほなは(お腹)ほはひにも(の足しにも)はらはい(ならない)ははひ()()ほふ(よう)へふひ(ですし)

「同じく。ここ最近はずっと、《剛弓》スキルの性能検証してましたから」

 

 顔を見合わせて確認してみたが、少なくともFluoriteさんは俺と同様に知らないらしい。まあ基本的に街中で食べ歩いている奴と、暇さえあれば森の奥に突っ込んでる奴なのだ。知っている筈がないんだよなぁ。

 

「バッチバチはどうです?」

「弾バカですが!? 私は前にどこかの掲示板で見たような気が──あっ」

 

 そんなことを考えながら眺めていたら、盛大に弾バカが単独事故を起こしていた。ウケる。スクショ撮っとこ。

 

「くっ、クローニンに負けた……!」

「フン」

「グポポンポン」

《神に感謝、とマスターは仰っています》

はほうは(妥当な)ひゅんひ(順位)へふね(ですね)

 

 折角なので仮面をクイッとしながら流れに乗っかる。FEVにも来たぜ、ハジケのビッグウェーブが。

 

「ぁぁぁぁぁ!!!」

 

 脳の血管が切れそうな弾バカをよそに、いえーいと4人でハイタッチ。打てば響き過ぎる関係、やっぱり実家のような安心感がある。

 

「──さて、私が見た謎の幽霊少女についてですが」

「うわぁ! 急に落ち着かないで下さいよ!」

「痛いじゃないですか!?」

 

 突如スン……とテンションを落ち着けた弾バカに、どこから取り出したのかクローニンがハリセンを直撃させた。今日の犠牲者は弾バカか……

 

「改めてです。私がこの噂話を聞いたのは数日前。厄介凸者が出てきたので、原因を探りに掲示板を巡っていた時のことで……」

「んぐ──ちょっと待って下さい。それ、掲示板じゃないくて回覧板じゃないですか?」

「そうそう、原因を探りに回覧板を巡って……って、勝手に白物語*1始めないでくれませんかねぇ!」

 

 声と共に漏れ出た弾幕魔法が、口の中のものを飲み込んだFluoriteさんに直撃した。街中であるからダメージこそ発生しないが、微妙に発生する衝撃によるノックバック。それを受けて、未だ積み上げられた本の海に沈んでいった。南無……

 

「ぐっぽぐっぽ」

《福井県鯖江市に一礼、とマスターは仰っています》

「メガネリオン*2ならいいって訳じゃないんですよ!」

「やめましょうよアブっさん、そんな卑猥な効果音。またクローニンのチャンネルがBANされたら可哀想ですから」

 

 思わず突っ込んでしまったその瞬間、全員の目線がこっちを向いた。しまった、計られた。罠だったッッッ!!

 

「フッフッフッ、釣られましたねヤブサメぇぇ!」

ほんな(そんな)ひひふへいへろろうひん(鬼畜系エロ同人)へひか(でしか)ひはない(聞かない)ひょうな(ような)ほうはほん(効果音)()……やりますね」

「グポーン」

《間抜けは見つかったようだな、とマスターは仰っています》

 

 読むならそういうのとかNTRとかじゃなくて、純愛モノの方が私性癖合。

 先程までの鬱憤を晴らすような弾バカが取るのは、唸りを上げる虎のポーズ。対抗してこちらが構えるのは荒ぶる鷹のポーズ。

 

「魔 法 の 言 葉 で」

愉悦(たの)しいー!」

はっはまーふぁー(なっかまーがー)!」

「グポポポーン」

《グポポポーンと、マスターは仰って……!?!?》

「キィ──ッ!」

「……キリがないですし、話を進めても?」

 

 盛大に煽り続けられる中、疲れ切った様子のクローニンが言った。まあこれ以上は流石にふざけ過ぎか。もう少し遊んでいたかったが仕方あるまい。

 

「さて。改めて、ボクが提案した『謎の幽霊少女』を説明すると──」

 

 そんな語り口でクローニンが語った噂の内容はこの通り。

 

 ・最頻の出現場所は南に広がる森の浅層

 ・運営がバグではないと明言した存在であること

 ・運営が存在しないと断言したNPCであること。

 ・フレンド申請が出来ないからプレイヤーじゃないこと。

 ・戦闘時限定スキルが接敵しても発動しないから敵mobじゃないこと。

 ・特殊クエストのフラグ説が濃厚だけどログに記載ないため、恐らく違うこと。

 ・実際の目撃証言で、半透明に透けている美少女であること。

 

 検証班(自然関係メイン)らしく、その正体を暴こうという話だった。

 この0と1で紡がれた電子の世界における怪談、或いは運営が認知していないバグ探し。日が沈んだ時間というのも相待って、正にそれは冒険らしい冒険だ。嫌いじゃない。寧ろそういうのを待っていた。ただそれは──

 

「正気ですかクローニン?

 面白い計画だとは思います。ですがそれは、このイベント始まって以来誰も突破できていない戦線を突き抜けると同義ですよ」

 

 ──即座に弾バカが突っ込んだように、その計画には1つ大きな障害が存在している。

 謎の幽霊少女が出現するという森に辿り着くには、『所謂最前線を走るガチ勢や攻略組を含め、誰も突破出来ていない防衛戦線を突破しなければいけない』という大問題が。

 

「抜かりはありません。各々が好き勝手に尖ってるボク達なら、理論上は問題ない筈です」

 

 俺たち4人をぐるりと見渡して、薄い胸を張ってクローニンが語り始める。あざといムーブを着々と身に付けてきている……なんて恐ろしい子!

 

「ガチタンらしくカッチカチのアブにボク達全員が乗り込んで、ボクが消費を厭わず回復を続ければ耐久の問題は解決。

 ヤブサメの探知で密集地帯を回避しつつ、弾バカが好きに弾幕を撃ってるだけで大抵の雑魚は散らせます。

 大物はヤブサメが遠距離で削ってくれれば幸いですが、近くまで来た場合もFluoriteの衝角突撃(ラムアタック)で倒せずとも弾けます」

 

 確かにそう説明されれば、やれないこともないように思えてきてしまう。脚の遅さだけはどうにもネックになりそうだが、それこそ領域とかアイテムとかで解決出来ない範囲でもないだろう。最近、領域重ねがけ出来る様になったし。

 

「最終突撃フォーム……名付けて、パーフェクトソルジャー」

「コイツの肩は赤く塗らねえのかい!」

 

 やけに咽せそうなネーミングに、アブっさんの肩を叩きながら思わず野次を飛ばす。

 

「グポン!?」

《別にいいけど、時代が違くない? とマスターは仰っています》

「へっ、冗談ですよ」

 

 が、思ったより真面目に対応されてしまったので素直に撤退しておく。さっきも言われた通り、あんまり長引いても視聴者もアレだろうし。

 

「Fluoriteは何か意見ありますか?」

ひょうみひゃいへ(興味ないね)……」

「この空間ッ、ボケしかないッッ!!!!」

 

 魂の絶叫だった。

 

「んぐ──真面目に答えれば、私の負担が低いことが疑問ですね。何か狙いでも?」

「ええまあ、森の中では主戦力になって貰おうかと」

「そうでしたか。なら特にないですね」

 

 そう言うが早いか、どこから取り出した焼きとうもろこしを頬張りだした。そんなクローニンの背後、虹色に明滅する弾幕を放ちながら弾バカが回っている。アブっさんも何か蒸気を噴き出し始めた。ヨシ、折角だから俺もチャクラ宙返りとかしておこう。

 

「さて、ほかに意見のある人は──

 ッスゥー……

 ばーーーーーか!!!!

 

 なんて。

 処理能力を越えた結果の罵声を最後に。ギルド【クローニンと愉快な仲間達】による本格的なイベント攻略は始まったのだった。

 

*1
TRPGの一種。GMは泣く

*2
TRPGの一種。メガネ




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