元検証班どもが征くVRMMO(手綱は握られていないものとする)   作:銀鈴

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間に合わなかったっっっ!!!(10月中更新)


21話 イベントの途中だが特殊クエストだ!②

 

なほ()()ひゅーへい(幽霊)ひょうひょ(少女)なんひゃ(なんか)いひゃのへ(居たので)ふはまえへ(捕まえて)ひまひた(みました)

「ヘヘッ、ツカマッチマッタゼ」

 

 謎の幽霊少女という語感から感じる儚さは欠片もない、しかし噂通り視覚を除く一切に反応がない存在がそこには居た。

 

 見てくれは大体10代の中〜後半くらいだろうか?

 白いワンピースの一丁羅という何故かそこは外していない格好の、これまた古式ゆかしき黒髪ロング。

 不透明度50%くらいの透け感という以外、田舎に伝わる怪談か、一夏(ひとなつ)の思い出(幻覚)辺りに出てきそうな見た目をしている。

 

 尤も『見た目10代前半のFluoriteさんに子猫のように首筋を咥えられぷらんと脱力してる図』のせいで、そういう雰囲気は完全に消えてしまっているが。

 

「……猫かな?」

「奇遇ですねヤブサメ。ボクも実家のにゃーこを思い出してたところです」

「あー、あのSNSに偶に上がってる」

 

 昔はよくこうやって、褒めて欲しそうにネズミ咥えて来たらしい。

 どんなド田舎にも5G程度までの回線なら開通してるこの時代、ネズミが出るクローニンの実家とは一体……? まあ不用意なリアルの詮索はするまい。

 

「弾バカはどう思います?」

「Fluorite、そんな得体の知れないものぺっしなさい。ぺっ!」

 

 弾バカもどうやらそっち路線でいくらしい。猫というよりは小さい子供相手にも感じるが……まあいいか! 当の本人(Fluoriteさん)はご満悦だし!

 

ふぇ()ひひゃへふが(イヤですが)

「ノワァ!? オレノクビクワエタママシャベルナァ!?」

ひふはに(静かに)

「ンヒィ!?」

 

 一方の謎の幽霊少女だが、これはもうダメみたいですね(諦観)

 首筋をがっつり噛みつかれてぷらんとしてることもあってか、完全にFluoriteさんに主導権を握られている。あと多分生存権も。

 現に一瞬暴れようとしたみたいだけど、ちょっと強く噛まれただけで静かになったし。

 

「デモ、ソッチノタマバカサンヨォ。ソンナバッチィモンミテェナイイカタスルコタァネエダロ。オレダッテケッコウキニシテ、マイニチデータノシャワーアビテンダゼ?」

 

 そんな状態なのに、よく不満な部分に反論できるなぁ。うーんこれはNoを言えるタイプ。現代の日本人にはない“強さ”を感じる。

 

「……なんて?」

 

 だが残念なことに、謎の幽霊少女渾身の苦言は弾バカには届かなかったらしい。話してる言葉が言葉、それも仕方ないか。“ゲーム内独自言語”は所詮、現の時代の敗北者じゃけぇ。

 

「ヤブサメぇ! 翻訳お願いします!」

「夏場のカドショの店内に屯してる奴らと同じ扱いすんなって言ってます」

 

 翻訳が合っているか確認の為クローニンに視線を向けたが、まあいいでしょうと顔に書いてあった。よしよし、まだリスニング力は落ちてないな。

 

「えー……でも、野生の謎の幽霊少女ですよ? もっと獣っぽい方が私の性癖には合ってるんですが」

「そんな二次創作のナリタみたいな……ここは公平に、Fluoriteさんのテイスティングで決着をつけましょう!」

「乗ったァ!」

 

 さあ判定は如何に!

 

「ナア、オレノイケンハ?」

 

 謎の幽霊少女が困惑しているが、ムハハハ残念だったな。クローニンと愉快な仲間たちとはこういう集まりだ。

 

ほうへふね(そうですね)。れろ……」

「フヒャア!?」

ふふひは(古びた)はひほひんふ(紙とインク)ほふゆうほ(特有の)はまふ(甘く)ほほひっほい(埃っぽい)ひほい(匂い)()ほんはほほ(女の子)はひい(らしい)ひゃわらはい(柔らかい)はまは(甘さ)()まひった(混じった)ひひひほい(いい匂い)()ひまふよ(しますよ)

 

 つまり──

 

「勝者、ヤブサメ!」

「Yeah!」

 

 セコンド風に乗ってくれたクローニンに従い、両手を挙げて全力で勝利のポーズ。ガッツリと勝利宣言をして弾バカの頭をクラッシュヘッドぉ!

 

「く……屈辱です。これはヤブサメを破門せざるを得ません」

「何から!?」

「弾幕道」

「断食して対抗せざるを得ない」

 

 これが世に言うカノッサの屈辱である(大嘘)

 

「──ふぁ()ひはひひ(ちなみに)はひ()()ほうふん(糖分)ひはえめ(控えめ)()ひょほへーと(チョコレート)っほい(っぽい)へふ(です)

「タスケテータスケテー」

 

 そんなジリジリと鍔迫り合うような雰囲気に割って入ったのは、ご機嫌なFluoriteさんと絶望気味な幽霊少女の声だった。

 放置プレイも悪くないが、確かにそろそろ放っておき過ぎだ。さっさと我らがリーダーに方針を決めて貰おうとして──クローニンの目が、完全に甘味と古い本の気配にやられているのが見えた。

 

「何もするなクローニン‼︎」

「……おォ〜っとっとっとォ、ヤブサメボーゲン」

 

 弓を向けていい感じのポーズを取れば、思ったよりノリノリで対応してくれた。が、まだ目が好奇心に濁っていたので尻尾で1発ビンタしておく。

 全く、この中で常識人は俺だけ──

 

ーギルドチャットー

 †絶対の楯戦車†:ねえみんな早く降りて来て!

          凄いよ、隠しダンジョン!!

          自然に埋もれた宇宙船!!!

 

 ──待った。

 え、待って。隠しダンジョン? 宇宙船? 自然に埋もれた!?!?

 

 緊急脳内会議〜!!!

 

 金属っぽい、マイナス10点!

 隠しダンジョン、プラス100点!

 直前までの演出、プラス100点!

 宇宙船なので内なる小学5年生がプラス100点!

 自然系が含まれてる、プラス10000点!

 

 結論:10290点で満場一致!!!

 

「ヒャッホゥ!! 新鮮な未知の自然ダンジョンだ!!!」

 

「えっちょ待、ここでヤブサメまではヒャッハーされたらボクの負担がぁ!」

 

 なんかクローニンの悲鳴が聞こえたような気がしたが、それはそれでこれはこれ。まだ見ぬ世界が、未知なる自然が呼んでいるのだ。琥珀色の森以来の大当たりな予感がする。ならばこちらも、ハッチャケねば無作法というもの。

 

「Let's go 紐なしバンジー!」

 

 番えていた矢はリポップ仕掛けていた敵mobの眉間に撃ち込み、障壁の足場から飛び降りる。

 本来なら落下ダメージで即死確定な高度であるが、幸いなことにここは森。自分の一番得意なフィールドタイプで、そんな無様を晒すことはあんまりない!

 勢いよく尻尾を振り回し鉤縄を射出。いい感じの木の枝へ引っ掛け、矢を放って空いた右腕で縄を確保。すれ違ったプレイヤーにラリアットをかましながら、立体機動着地を敢行した。

 

「とう、スーパーヒーロー着地!」

 

 膝が地味に痛いが、敢えて弾バカに見せつけるようにVサイン。

 離陸前から始まった格下マウントバトル、そのカウントに+2である。多分これで討伐数は19:18で俺の勝ち! なんで負けたか明日まで考えといて下さいが出来るようになった。

 

「おのれヤブサメ、勝ち逃げなんてさせませんよ!」

 

「ちょ、ちょっと待って。足場。助けて、ぁぁぁぁぁぁあ!!!」

 

 やっぱり煽るのは気持ちがいい。

 クローニンは……うん、ドンマイ! 巻き込まれ系主人公の運命からは逃れられんのだ。

 

ヒャへ、(さて、)わらひはひ(私たち)()ほひまひょうは(降りましょうか)

「ナンデイチバンヤベェヤツガ、ヨリニモヨッテレイセイナンダヨォ……」

 

 涙声で謎の幽霊少女が叫んでいたが、その理由は明白だろう。

 だってFluoriteさん、獲物を捕らえて巣に持ち帰る肉食獣みたいな表情してるし。

 そんなこんなで、長いようで短い空の旅は終わりを告げたのだった。

 

 

 そんな着陸劇から十数分。

 周りの悪質プレイヤーと雑魚mobの湧き潰しを終わらせ、落ち着いた会話を始めるのにそれだけの時間が掛かった。

 

「ところでヤブサメ。結局のところ討伐数、私は25体でしたがそっちはどうでした?」

 

 思考操作で適当にログを確認して……ふむ、25体。なんか気に食わない。なんかリポップ仕掛けてる近くの1匹落として、討伐数のかさ増ししよう。えい。

 

「──26体ですが?」

「嘘つけェ!」

「格下ァ!」

「やめんかァッ!」

 

 やんのかやんのかと間合いを計っていると、完全に素の口調に戻ったクローニンの拳骨が落ちて来た。いたい。

 フッ、どうやら格下は俺たち両方だったようだ。

 

「グポン?」

《それで、結局これからどうするの?》

「それを含めて話し合うために、場を相当したのにウチのバカどもは!!」

 

 そういうクローニンの背後。謎の幽霊少女の首筋を離さないFluoriteさんが獅子舞してるけどいいんだろうか、アレ。いい? そう……

 

「ナア、ソロソロオレノクビフヤケテキタンダガ」

ほほーはる(孤高なる)ひゃめの(サメの)ひゅーひ(流儀)へふ(です)

「コエェヨォ! ニホンゴデハナシテクレヨォ!」

 

 あれが学習性無力感というヤツですか。

 初めて見たわ。知らんけど。

 

「で、改めてです」

 

 ゴホン、と咳払いを1つ。

 ぐだぐだした雰囲気を払うようにして、我らが指揮官が話し始めた。

 

「ぶっちゃけ当初の目的だった『謎の幽霊少女』と会えちゃったので、当人に接触して来た目的聞くところからでいいですよね?」

「「意義なし」」

「グポン」

はへまへん(あげません)!」

 

 今のFluoriteさんのあげませんは、噛み付いたままなら別にいいよという意味だ。何か気にいる要素でもあったのだろうか? めっちゃ荒ぶってイビル嬢(動詞)するとか珍しい。

 

「──と言うことで。

 いつまでの『謎の幽霊少女(仮)』じゃ呼びにくいですし、まずはお名前から……」

「童貞っぽい会話デッキですねヤブサメ」

「今回ばかりは弾バカに全く同意」

 

 拳骨が落ちてきた。痛い。

 

「オ、ヨウヤクコノジゴクカラカイホウシテクレンノカ?」

「それは無理です」

「ウソダロ……ッ!?」

 

 それでも『マアイイカ』って納得できてる辺り、この短時間で相当馴染んできたなこの幽霊。

 

「イマノオレハ、ココニウマッテル“ウチュウセン”ニクミコマレタ“セイタイユニット”ダ。ナマエハネェカラ、スキニヨンデクレ」

 

「じゃあポチ!」

 

「ナナチ!」

 

「グポン!」

 

「アンノウン!」

 

ひひょうひょふ(非常食)!」

 

 ・・・

 

「オレノナマエハ“ユー”」

 

 何か物凄く嫌そうな表情をしてから、諦めたように謎の幽霊少女は名乗った。ユー、youなのかUなのか有なのか。youは何しにこのゲームへ?

 

「オマエラプレイヤーニ……イヤ、イマハ“ワタリビト”トカイウンダッタカ? オマエラニタノミタイコトガ、アッタ。アッタンタガナァ」

 

 助けを求める相手を全力で間違えた気しかしねぇ、と謎の幽霊改め、ユーと名乗った少女がため息をこぼす。

 

ほほまへひはら、(ここまで来たら、)ひひれんはふひょー(一蓮托生)へふよ(ですよ)

「オメェガ、イチバンコエェンダヨォッ!?」

 

 肩に手をポンと置き、優しくFluoriteさんが語りかけた。──が、火を見るより明らかな結果になっていた。スクショしとこ。

 

「ワカッタ! ワカッタカラ! 

 ジツリョクハタシカダシ、イッチョウオマエラニカケテミルワ」

 

 そう言って半泣きのユーが、手元で何かを操作した瞬間だった。

 俺たち5人全員の前に、見慣れたクエスト受注画面が展開された。

 

【特殊クエスト】

  推奨平均Lv 50

 〈目標〉

 ・墜落戦艦?????最深部への到達

 ・?????

 〈報酬〉

 ・?????

 ・特殊任務賞金

 【警告】

 推奨平均レベルにパーティのレベルが及んでいません。

 このクエストは1度辞退した場合、再度挑戦できる保証がありません。

 

「オレノミタテジャ、ボウギョリョクニカンシチャキュウダイテン。

 カリョクハチトフアンダガ、ヤッテヤレネェッテコトハネェダロウ。

 カイフクニツイテモニタヨウナモンダナ」

 

 表示されているのは見慣れたレベル不足の警告と、?????が大量に存在する不確定な文字列。

 そして同じクエストを受注出来るか不明という、中々に珍しい警告文。

 加えて『特殊任務賞金』という準課金アイテムが報酬に存在し、ゲーム内マネーであるGの文字が1つもない。

 

「イマノオマエラニャ、テニアマルコウナンドクエストダ。

 ノルカソルカ、ハヤメニキメテクレ」

 

 つまりこれって、ユニーククエスト……ってコトッ!?

 




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この作者最近ワンピースに沼ってるな???
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