元検証班どもが征くVRMMO(手綱は握られていないものとする) 作:銀鈴
【超悲報】ユーちゃんプレゼンツ『あの時発見したユニーククエスト』の攻略、始まる前に終わる
冷静に考えて見れば無理な話だったんだ。
俺たち【クローニンと愉快な仲間たち】は、所謂身内団ではあるものの特に年齢が近しいとかいうものはない。フワフワとしたネットの集まり。今ふわふわって言った?違う。毒電波は遮断だ遮断。
加えて言えば、なんなかんやでログイン時間も実はけっこーバラバラである。
クローニン(社畜 not 繁忙期)
弾バカ(たぶん社会人ではある)
アブっさん(学生、多分高校くらい)
Fluorite(大体いつもオンライン)
ユーちゃん(FEV常駐)
パッと見でもう分かるだろう。
そう、
揃うはずがなかったのだ、休みの時間なんて。
やれる筈がなかったのだ、平日の夜に。
あからさまに長時間の拘束が確定される、突発ダンジョンアタック形式のユニーククエストなんて!!
「ト゛ホ゛シ゛テ゛タ゛ヨ゛ォォォォ!!」
決行予定日──週末
妥当な落とし所に、ユーちゃんの嗚咽が響いた。
いやでもマジな話むりなんですよこれが。
クローニンは気を抜けば夜には泥酔しているし、俺はレポートがあってアブっさんは課題がある。弾バカもあれはアレで社会人だし、フリーなのはFluoriteさんとユーちゃんしかいない。
いくら暇な大学生(暇とは言ってない)でも、GPAとかいうクソ制度がですね。楽単を取って成績の維持しつつ、聴講とモグリで楽しく勉強しつつゲームまでやってるとね。時間がね。単位がですね。
滅びろGPA制度、f×××!
五体投地で感謝いたしますcrescent moon社!*1
とはいえ、これでも時間を作って予定を明け、テンションも結構アゲアゲにしてきた身。外界探索は仕掛け中で手出し出来ないし、この身体に燻る熱をどうにかするには──
「弾バカー、久し振りにサンバやりに行くけど来る?」
「──ーーー!!!?!ん!!!ー!?!!!!」
うわ発狂した。
なんか変な汁とんできたんだけど、ばっちぃ。
『燦光のマニューバ』というゲームがある。通称はサンバ。
彗星のように現れ核爆発を起こして去っていったゲームクリエイター[幸村 友樹]が担当した7タイトルの内の1つ。
分類としてはロボットアクション……美少女ガイノイド型ロボットアクションでいいのかなぁ?
舞台は「第4次大戦の後、国という制度が崩壊を始めたパラレル歴史をたどった地球」
プレイヤーは滅びゆく中でも内ゲバと戦争が終わらない末期世界の中、まだ辛うじて国としての体裁を保つアーシオシャフトが製造した秘密兵器として戦火燻る各地を転戦していく──まあ大体エー○コンバットである。
名作まではいかないがユーザー平均75点くらいの普通に良作となるメインストーリーは一旦置いておいて。
他ゲーとの違いと言えばキャラクリが美少女固定なのと、戦闘機への完全変形かつ違和感のない操作性。そして、設置されているオンラインマッチの特殊性。
燐光のマニューバのオンラインマッチはバトルロイヤル。日曜日に行われる定期メンテ時間中を除き、
その内訳は単純。
撃破/生存しただけスコアが上がり、撃破されると全ロスト。
週/シーズン/総合ランキングがあり、イベントは7割オンライン側で行われる。
本編ストーリーが三千世界の鴉を殺す鉄風雷火の弾幕を一騎当千に切り抜け、或いは相殺し、或いは
長々と御託を述べたが、結論から言おう。
リンパは爆破と弾幕に狂った連中の流刑地。
による戦争が24時間361日*2絶えることのない、弾バカが魂の故郷とした火薬と爆発の世界である。
[マイルーム:戦術格納庫]
[現在時刻:PM10:31]
「さて、こっちのアカウントでログインするのは久し振りだなぁ」
ぐっぐっと伸びをする身体は小さく、声はあまりに幼く甲高い。それもそのはず、この気を抜けは舌っ足らずな発声になってしまうこのアバター「ヤブサメボーガン1011」は
「えっと、たしかそうびわ……」
手元のウィンドウを操作。同社作品だけあって似通ったUIだなぁなんて感想を抱きつつ、軽快なBGMを聞き流し表示。
機体:近接格闘打撃機「MF-42 ブリッツクライゼンⅢ」
センサー :体感時間減速装置「TD-785 パラドクス」
右翼マウント① :フレキシブル加速ブースター「FA-44 雲龍」
② :フレキシブル加速ブースター「FA-44 雲龍」
左翼マウント① :フレキシブル加速ブースター「FA-44 雲龍」
② :フレキシブル加速ブースター「FA-44 雲龍」
エンジン :超大型加速ユニット「TR-666 インレ」
エンジン :超大型加速ユニット「TR-666 インレ」
近接兵装 :電磁パルスブレード「PB-634 陽光」
防御兵装 :ピンポイントバリア「MS-f3 コート・オブ・アームズ」
剣と盾、機体はプレイヤーの趣味及び練度で変わる為幾らかパターンはあるが、うーん清々しいまでのテンプレ構築。
装備はミサイルを全て放棄して加速につぎ込み、武器は即死ブレードと3fの無敵を一部に張るシールド、取り外し不可の初期機銃に2発使い切りのボムだけ。
なれど、オンラインで空を舞うなら
煮詰まり切っていた。
流石は現状プレイヤーが課金メーターを回してサーバー代を払っているサ終宣言済みゲーム(サ終から2周年)なだけはある。
「あ、さーびすしゅーりょー2しゅーねんイベントやってる」
なるほど最近弾バカのログイン頻度が減ってたのはこれかぁ。なんかちょっとおかしい気がするが気にしない。
ふむふむ、イベント中のランキングで報酬があって?
残りの期間が2日で?
ランキングは見知ったネームが出揃ってて?
ランキング1位は[)3^<<l+I!βд7! ]と。
「よっし、かちこみかけるぞー!」
そんなわけで、俺はオンラインマッチ環境……正式名称が長ったらしい通称[観戦部屋]へと向かうのだった。
「へいがーいず! いまのじょーきょーどんなかんじー?」
でかい観戦モニターが設置された小洒落たバーらしき場所に集まっているのはロリとアマゾネス。スモックを着たアマゾネスからチーパオを纏った幼女までよりどりみどりであった。
「ふええ、わたしはかわいいようじょだよぉ」
「あのね!あのね!いちいがきもちわるいの!」
「くそ〜、火薬が、火薬が足りない!」
「まだだ。まだいける。ビルクラッシャー竹田が残ってる!」
「いけいけいけいけ! 刺せ あ゛ーー!!!!」
「畜生、よりにもよって今日は爆弾側で参戦しやがって……!!」
上から幼女、ロリ、アマゾネス、ゴリウー、馬券士ネキ、ゴリラ。なるほど、この時間の勢力は爆破側が若干有利か。
やれるか……? ブランク1週間もあって。
やるか……頭は持て余した熱で焦げ焦げ、ふっとーしそうだよぉ!
「お、ヤブサメボーガン。珍しいな、アンタがロリで参戦するなんて」
「え?あー……ふえぁ、だれぇ、こわいよぉ」
振り返った先にいたのは、ボディビル大会も斯くやな露出をしている癖に猫耳とふりっふりのスカートだけは決して外さない変態。
爆弾に魅せられた
「普段の1位襲来時間とは違うタイミングのポップ、さては手前が煽ったな!?」
「当たり前じゃん。じゃなきゃ俺だって爆破側だよ」
幼女ロールも飽きてきたので普通に対応する。
そう、何を隠そう俺も普段は地べたを這いずり弾幕を張る側だ。逆に弾バカは6:4くらいの比率で自機側……つまり飛行側で参戦している。今日は飛ぶ鳥を落とす側のようだが。
「……いけるのか? 今の空は地獄だぞ」
「地獄じゃなかった日なんて1日もないでしょ」
なにせたった1人で弾幕を張れる性能を誇るプレイヤーが、数十人は最低でも空に銃口を向けているのだ。
弾幕ではもはや足りない。
弾壁でもやや足りない。
曰く、リンパ名物『
愚かな蚊蜻蛉を抹殺する安置が存在しない鉄の谷。
かつての伝説をなぞらえそう呼ばれる伝統を越えられる者だけが、このマルチの空を舞う資格がある。
ご新規? こんな蠱毒に混じるならメインストーリーで満足して帰った方がいいと思うよ。ほんと。
なお未だに適性ある人は増え続けている模様。
今日も今日とて課金メーターがギュンギュン回る、新コンテンツも時折出てくる、ああ燻るかな硝煙の流刑地よ。
「よっしゃ待ってろ弾バカめ」
瞬間的にはランキング1位を取ったこともある腕前、久し振りに見せようじゃないか。
「ということで行ってきまーす!」
9割顔見知りに元気よく手を振って、マルチバトルへ参加申請。
承認が降りると同時に、俺の姿は出撃用のカタパルト内部へと移動した。
「
言葉と共に装備されていくのは重厚な機械装甲。
細く鋭い機首と稲妻のような形の前身翼がスカートのように配置され、そこに背中方面へ花開くフレキシブルノズル4機が装着。クソデカい
ストーリーで乗り回す現実世界の戦闘機群が形作る鎧武者とは違う、SF感マシマシのパワード幼女ガイノイド。最後に旧スクにでかでかと『やぶさめ』と書かれることでこの構築は完成するッ!!!
《用意はよろしいですか?》
バイザーを付けたことで、耳元からオペレーター子ちゃんの声が聞こえるようになった。ミッション中は《グッドキル!》《ナイスキル!》が8割を占めるアホの子だが、それ以外なら有用!
「今日の空側の
《62.45%です!》
うーん普段より10%近く低い、大規模なリスキル勢がいるな。
発生1f無敵3fの最強変形でガイノイド型から戦闘機型へと変形。人型の時となんら変わらぬ操作感のまま、出撃用カタパルトへ
リスキル勢が張ってるなら小回りと回避特化の人型より、速度と火力特化の戦闘機型での出撃が板ってところだろう。
「ヤブサメボーガン1011、MF-42 ブリッツクライゼンⅢ──
そうして俺は、久方ぶりに弾幕の空へと帰還したのだった。
そう、ここは──
スキルやレベルなんてものは存在しない、VRであるというだけの買い切りゲーのオンラインマッチ。
パーツの性能とプレイヤーの腕だけが支配する修羅の巷。
今宵もキリコと地獄に付きあって貰う。
感想とか評価、お気に入り等いつもありがとうございます!
こんな脇道に2ヶ月もかける気はないので25日にも更新はあります。
【燐光のマニューバ】
適応出来た爆破と弾幕に取り憑かれた慣れ果て共の終の故郷
だいたい閃刀姫でやるエースコンバット+アーマードコア/2
弾幕を切り抜けることも出来るし、弾幕を貼る側にもなれる。
所々使い勝手が悪いUIやストーリーが考察を前提としている点、クソ操作難易度に、高すぎる空間認識能力の要求値のせいで評価は大凡75点に落ち着く良作。
数々の犠牲を超えてハミルトンネルを抜けた次のミッションで騙して悪いがをされるミッションで、ぐしゃぐしゃに歪む主人公機=プレイヤーの顔は垂涎もの。ネタバレは深く禁じられている。
オンラインサービスは公式には2年前に終了済み。
ただ、マルチのロビーには謎の基準値付きカウンターが設置されており、よく調べて見るとサーバー保守代などの使用料金明細が見れる。課金でカウンターが回る。なんでだろうね。
現在サービス終了2周年イベント開催中!
なんて?
オンラインマッチは煮詰まり切った蠱毒の壺
24時間いつログインしても地獄のような弾幕がお出迎えしてくれる。そんなだから新規がいなくなったんだぞ。でもお願いすると綺麗な弾幕とか飛行の演舞をしてくれたりもする。
そうして未だに週1〜3人は脳に火薬を流し込んだ怪物や、空間認識能力を持て余した変人が流刑に処されて定住していくのだ。
【ゲームクリエイター[幸村 友樹]が担当した7タイトルについて】
第1作:DX構造物爆破シミュレーションVR
(なぜかPvP環境があった。閉鎖済み)
第2作:屍山血河剱之戒名 -可惜夜舞台-
(フルダイブVR武道が普及した爆心地)
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第5作:燦光のマニューバ