勇樹は天野夕麻がオカルト側の存在である可能性にたどり着いたが、だからと言って他の可能性を捨てたわけではなかった。
「古賀、どうだ?」
「大丈夫ですよ、隊長。連中、俺達を舐めてるから碌に身体検査をしてなかったんで」
彼らは地球防衛軍のDFTメンバーだ。DFT隊長、置田健二にその部下古賀健吾だった。彼らは町から人が行方不明になるという事件に宇宙人の影を感じ取り、調査していた。
しかし、調査の最中、異星人と接触し、彼らの虜囚となってしまったのだ。
「こいつを、こうして・・・。隊長、離れてください」
古賀は靴底から粘土みたいな物を取り出すと、それを牢屋のドアに貼り付け、針金らしき物を取り付た。そして、部屋の奥に下がると古賀隊員はスイッチみたいな物を押す。その瞬間、粘土らしき物が弾けた。
「よし!やりましたよ、隊長!!」
粘土らしき物はプラスチック爆弾だったのだ。これにより扉の鍵を破壊し脱出する事ができた。
「あっ、あそこに俺たちの装備が置いてありますよ!」
「うむ。丁度良い、あれで他の捕らえられた人々を解放しよう」
牢屋を出ると外へ通じる出口付近のテーブルに彼らの銃などの装備があった。そして、この牢屋には見張り一人居ないザル警備でもあった。
「見張りも監視カメラも無いのか・・・」
置田隊長が周囲を見渡して、状況を確認するも監視装置の類は一切見当たらなかった。
「ここの設備、どうやら旧軍の基地を再利用したみたいですね」
古賀隊員は、付近の家具や設備から廃棄された基地を再利用した事を突き止めた。そして、彼らは拳銃を抜くと扉の鍵に向けて撃った。
「DFTの者です!助けに来ました!!」
扉を開けて、中にいる囚われた人々を解放した。
「助け!?お家に帰れる!」
「ああ、神様仏様!」
囚われた人たちの有様は正に地獄で仏を見たかのようだ。その姿は疲弊しており、中には衰弱している者もいる。そして、彼らは救助者を連れて脱出しようとする。だが・・・。
「ちっ、さすがに奴らも気付いたか」
脱出の最中に異星人と接触、その結果銃撃戦をおこなう事になった。戦況は膠着状態で彼らはバリケードから出口方面に陣取っている異星人と戦闘していた。
「隊長、ここは強引にでも突破するべきです」
古賀が隊長に提案する。このまま膠着状態が続くと敵の増援が来て、負ける事は目に見えていたからだ。
「バカ!こんな弾幕で・・・死にに行くようなものだぞ!」
だが、銃撃の雨を通り抜けて強行突破するのは博打過ぎた。
「ですけど、このままじゃジリ貧です!」
「古賀隊員、ダメだ許可できん」
「隊長!」
古賀は声を荒げる。だが、次の瞬間、呆気に撮られてしまう。
「だから、俺が行く!」
「えっ!?」
置田隊長自身が突入しようと言うのだ。隊長として部下の命を捨てる事は出来ない。それが彼の取った選択だ。指揮官としては最適の回答とは言えないだろう、だが心に熱い物を秘めた彼にとってこれ以外の方法は無かった。
「任せたぞ・・・・うおおおおおおおぉぉぉ!!」
「隊長ぉぉぉぉ!!」
突入する置田。叫ぶ古賀。そして、無慈悲にも足を貫く銃撃。
「ぐう!?」
足を撃たれた置田は、その場で崩れる。そして、異星人たちは足を怪我した置田を狙う。
「あぶない!!」
絶体絶命かと思われたその時、光が現れる。
「・・・生きてる?」
置田に銃弾は当たらなかった。置田が光の方を見上げると、光は人型になり、光量が下がっていった。その姿は彼らの戦友の姿だった。
「う、ウルトラマン!?」
そう、ウルトラマンゼストだった。彼は幾度と無く置田の前に現れていた。かつて、最初の異星人の襲撃のときも彼は居た。
『ジュア!』
ウルトラマンゼストは手から光弾を放ち、異星人を迎撃する。そして、異星人を沈黙させたゼストは、置田に振り向く。
「ウルトラマン・・・」
置田はゼストの目を見る。彼はその目に安堵の感情を見出した。
『デュア』
ウルトラマンが置田に向け、光の粒子を放った。光は置田の傷に集結し、その傷を癒していった。
「こ、これは傷が・・・!?」
そして、置田の治療が終わると衰弱していた救助者たちにも光の粒子を浴びせた。
「わあ~暖かい」
「なんだか元気になってくる」
全員が回復したと見るとウルトラマンは頷き、扉に向かって腕を振った。
「着いて来いと言ってるのか」
古賀は、そのジェスチャーからウルトラマンが自分たちを先導しようとしていることが分かった。
「よし、行くぞ!」
黒銀の戦士に連れられて彼らの脱出行は再会する。途中、敵と遭遇するもゼストがバリアを張り、その後ろからDFTが攻撃する。それを繰り返していくと出口の光が見えてきた。だが、その光の中に人影が確認できた。
「な、ウルトラマンゼスト!?・・・それに隊長に古賀隊員も!」
「おお、石川隊員に東郷隊員!」
それはDFTの残りのメンバー石川唯と東郷正嗣だった。
「隊長、ご無事でしたか」
「ああ、危ない所もあったがウルトラマンが助けてくれた」
置田は、状況を彼らに伝えた。
「囚われていた人も全員救出したぜ」
古賀隊員が後ろの救助者たちを石川隊員たちに見せる。
「さて、急いでここを脱出するぞ」
「「了解!」」
置田隊長の号令により彼らは脱出する。だが、ゼストは彼らに付いて行かず通路の方に振り向いていた。
「ウルトラマン、どうしたんだ?」
救助者を先に逃がしていた置田はウルトラマンの様子を訝しげに思った。そうすると通路の奥の方から奴らの声が聞こえてきた。
「キュ亜急ア・・・!」
「追手か・・・まさか、足止めをしてくれるのか?」
置田の言葉にゼストは頷いた。
「すまない、恩に着る!」
置田たちが基地から脱出してしばらくすると地響きが起きた。
「な、なんだ!?」
彼らが突然に地響きに戸惑っていると基地の方から巨大ロボットが現れた。それは最初に地球を侵略しに来た宇宙人の侵略ロボットだった。
「あれは東京に現れた侵略ロボット!」
「あいつらがあの時現れた奴らだったのか!」
そして、侵略ロボットに続くように光の柱が立ち上り、その中から黒銀の巨人が現れた。
『ゼゥエァ!』
「ウルトラマンです!」
「よし、DFTファイターに乗り込んでウルトラマンを援護する!」
DFTのメンバーは新型の戦闘機に乗り込み侵略ロボットを迎え撃つ。この戦いは、彼らの協力プレイの勝利で幕を閉じる事になる。だが、肝心のウルトラマンゼストこと後藤勇樹は、その目的を達成できていなかった。
「・・・天野夕麻らしき存在は確認できずか」
彼は、異星人関係もきちと洗っていたのである。
***
アレから数日後の駒王学園2年教室でのことだ。
「イッセー、例の件について話をしたいのだが良いか?」
勇樹は一誠に話しかけた。今までの調査結果を彼に報告するためだ。
「あ、ああ・・・わかった」
だが、一誠はそれに対し何処と無く戸惑いがあった。勇樹は、それをここで話す内容ではないからだと思った。
「ここでは何だし、場所を移そう」
そして、彼らは共に教室を出ようとするが・・・。
「ほう、二人一緒で出て行く・・・続けて?」
「これは、後藤君×兵藤かしら?」
「いえいえ、ここは兵藤×後藤君よ!」
「滾る滾るわ!次の祭りはこれに決定ね!!」
腐女子たちへの餌になった。
「・・・最後のは肖像権の侵害だと思うんだが」
勇樹は、何処と無くズレた回答をしたが・・・。
「おい!突っ込みどころが違うぞ!」
「現実逃避してるんだよ、言わせるな。欝になる」
現実逃避だったのである。
「突っ込むとかキャーーーー!!」
「「・・・・・」」
何が何なのか、彼らの名誉のためにもここでは記さない事にしよう。
***
誰も居ない階段の踊り場で勇樹は話を切り出す。
「結論から言うと、天野夕麻の足取りが追えなかった」
勇樹は自分の調査結果を告げる。
「そうか・・・」
それに対し一誠は微妙な顔で応じる。
「そこで一つ仮説を立てたのだが・・・」
そんな一誠を見て、自分が見出した可能性を告げる。
「仮説?」
「ああ。クラスメートが天野夕麻の存在を忘れる。これは普通では考えられない。何か超常的なものが関わっていると思われる」
「・・・それで?」
勇樹の言葉で一誠は思わず緊張する。
「これは推測だが異星人が関わっているのではないかと僕は思う」
「は?異星人?」
だが、勇樹の回答に一誠は呆けてしまった。
「別におかしくはあるまい?昨今、巷を騒がしている連中だ。有り得ない事は無いだろう」
「そ、そっか・・・」
宇宙人ことはニュースにもなっており試験などの時事問題で取り上げられるなど今地球でもっともホットな話題だった。
「そう言う訳で一応調査は続けるがあまり期待しないでくれ」
「いや、俺の方こそ態々調べてくれて礼を言いたいつーか・・・」
わざわざ調べてくれた勇樹にイッセーは恥ずかしそうに礼を言う。
「気にするな。お前は僕の友人だからな」
「・・・ああ」
しかし、その恥ずかしさが何から来る物なのか、勇樹には分からなかった。
「とりあえず、こんなところだ。またな」
「おう、またな・・・」
一誠は勇樹を見送る。その顔は得も言いがたい微妙な物だった。猜疑心と羞恥心、罪悪感、その他諸々の感情が入り混じった表情だった。
***
夜の街中で少女は逃げていた。
「はっ・・・・はっ・・・!」
学校の部活で時間がかかり、すっかり遅くなってしまった彼女は信じられない物とであったのだ。
「今マデ嗅イダ事ガ無イ匂イダナア・・・旨イノカ?辛イノカナ?」
それは上半身は長髪をした裸の女性であり下半身は巨大な四足獣の化け物だった。
「な、なんで地球にこんなものがいるのよ!」
少女は逃げる。だが、怪物は少女の頭上を飛び越え回りこんでしまった。
「ヒッ・・・!」
「イタダキマ~ス」
化け物がその口を大きく開ける。上半身は美しい女性のそれであり、それが口裂け女のように口が大きく開けれるのは少女に背筋の凍るような恐怖を与える。だが、その恐怖は何処からか飛んで来た光弾が化け物をごと吹き飛ばした事で解決した。
「えっ・・・?」
「・・・無事なようだな」
少女の後ろの闇の中から黒い髪の少年が現れた。その少年の鋭い目つきは化け物を刺していた。
「あなたは・・・?」
「あいつは僕に任せて早く逃げろ」
彼女はいきなり現れて逃げるように告げた彼に混乱する。
「えっ、でも・・・」
「いいから早く!戦闘の邪魔だ」
「は、はい!」
声を荒げた少年に圧された少女は、この場から逃げ出す。そして、吹き飛ばされた化け物が起き上がってきた。
「オノレェェェェ!!人間風情ガァァァァ!!」
その美しい顔は無惨にも潰れ、彼に対し怨嗟の声をあげていた。
「宇宙人とも怪獣とも異なる存在、そして負の気配・・・遂に手掛かりを見つけたぞ」
だが、それに反し少年は壮絶なまでの笑みを浮かべていた。
「シネエェェェェ」
化け物は、少年に溶解液を浴びせようとした。
「甘いな」
「カ、体ガ動カナイ・・・!?」
化け物の体はぴくりとも動かなかった。いや、動かせる事ができなかったのだ。
「貴様のような狂犬では情報も得られないだろう・・・」
少年の手の中には、いつの間にか化け物を小さくしたようなモノが存在していた。
「グガアアアアアアアァァ!?」
「潰れろ、ジーベン・ゲバウト」
少年がそう言うと同時に手の中の物を握りつぶした。そして、握りつぶされた小さい化け物のように本物の化け物の潰れていったのだ。この技は敵の居る空間を何段階にも圧縮していき、敵を圧殺する攻撃だ。
「しかし、こいつは一体・・・誰だ!?」
少年が化け物のことに思考を巡らそうとした瞬間、後ろから気配を感じた。
「それは、こちらの台詞なんだけどね。・・・貴方は一体何者かしら、後藤勇樹」
そこにいたのは、燃える様な紅の髪をした女性リアス・グレモリーが数人を引き連れて佇んでいた。
「お前はリアス・グレモリー・・・それにイッセー!?」
そして、その中には彼、後藤勇樹の友人、兵藤一誠も居たのだ。
「後藤・・・」
遂に宇宙と地球の神秘は遭遇し、歯車は回り始めた。カチッカチッと歯車は動く。クルクル繰るくるくる来ると・・・。
色々複線をばら撒きつつ、次回へ