光を渇望する巨人の旅路   作:謎の食通

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なんとか顔合わせまでは行けた。


第六話「渇望、羨望、自戒そして友情」

太陽の影が差す和室の向かいにゼットン星人と勇樹は卓袱台を挟んで座っていた。

 

 

「何故、君は私の正体が分かったのだ?」

 

 

夏美の父親、ゼットン星人は勇樹に自らの擬態を見抜いた理由を聞く。当然だ、今まで彼の正体に気付いた地球人は居なかったからだ。

 

 

「それは・・・」

 

 

それに対する勇樹の答えは簡単だった。彼の体は突如として光に包まれた。

 

 

「こういうことだ」

 

 

光が収まり、勇樹の座っていた場所には黒銀の超人が居た。

 

 

「「う、ウルトラマン!?」」

 

 

後藤勇樹のもう一つの姿、ウルトラマンゼストだ。

 

 

「何故、お前がここに居るのか教えてもらおう」

 

 

今、普通の民家にウルトラマンとゼットン星人が正座しながらにらみ合っている。傍から見ると非常にシュールである。

 

 

「お父さん・・・」

 

 

ゼットンの娘、夏美は父親を心配する。世間一般では正義の味方と謳われるウルトラマンも、侵略宇宙人であったゼットン星人にとっては、鬼門であるからだ。

 

 

「心配するな。さて、何から話そうか・・・」

 

 

夏美父は、娘に声を掛け、気持ちを落ち着かせると、自分がココに居る理由を語り始めた。

 

 

「私はゼットン星で宇宙恐竜の育成と販売をしていた者だ」

 

「ほう・・・」

 

 

彼は悪名高い宇宙恐竜ゼットンの飼育と販売をしていた宇宙業者だったのだ。

 

 

「ある日、私はお得意様のバット星人のゼットンを輸出するために宇宙へ出た」

 

 

バット星人はゼットンの養殖に手を出したりしていて、ゼットン星とは深い関わりがあった。そして、宇宙業者の彼にとってもバット星人は大変重要な顧客だったのだ。

 

 

「だが、そこで時空乱流が起こってしまったのだ」

 

 

しかし、彼はバット星に向かう途中、空間の落とし穴とも呼べる時空乱流に巻き込まれてしまったのだ。

 

 

「お前は、それに巻き込まれたという事か?」

 

 

勇樹は、彼が時空乱流によりこの世界に迷い込んでしまったのだと理解した。

 

 

「ああ。・・・そして、私は夏美の母親に出会い、恋に落ちた」

 

 

彼は万感の思い出語る。故郷も存在しない宇宙、自分のみが異邦人、そんな彼を受け入れた女性。

それらの思いは勇樹には察する事のできないほどの波乱万丈な経験であっただろう。

そして、自分もそれに近い境遇だと勇樹は理解していた。

 

 

「ふむ、そして子供まで出来た、と・・・お前は元の世界に帰りたいと思った事はあるのか?」

 

 

勇樹は問う。故郷に帰りたくないか、と。

 

 

「いや・・・。今の私にとっては地球が故郷だ。妻や娘を置いては行けんよ」

 

 

ゼットン星人はそれに否と言う。既に地球は彼の第二の故郷なのだ。異星人である自分を受け入れてくれた妻。およそ地球人の美的感覚から離れた己を愛してくれた女性。そして、その間に出来た最愛の娘、彼にとってこれが全てだった。

 

 

「そうか。・・・もし、何か困った事があれば僕に言ってくれ。出来る限りに手助けをしよう」

 

 

勇樹はゼットン星人に言った。異なる種族との融和と愛、それは彼の心に響く物があった。

故に思ったのだ。何かしてやりたいと。

 

 

「では、夏美と仲良くしてもらえないかな?」

 

 

ソレに対し父親は言った。

 

 

「夏美は私の娘だ。普通の地球人とは違う。だけど、それを知っていて受け入れてくれるような友人が居てくれれば私としてはこれ以上頼もしいことは無い」

 

 

異星人とのハーフ、それは人との繋がりを結ぶに当たって障害になる。夏美の母親の様な例は稀なのはこの場に居る誰もが理解していた。

 

 

「別に僕は構わないが・・・君はどうなんだ?」

 

 

勇樹はゼットン星人の頼み事態は問題ではなかった。だが、こういうのは本人の意思も尊重する必要があったので夏美に話を振った。

 

 

「えっ!?・・・え~と、わ、私も問題ないです。いえ、むしろお願いします!」

 

 

話を振られた事で動揺するが内容自体は彼女にとっても悪い事ではなかった。

 

 

「そうか。・・・そろそろ、僕はお暇するよ」

 

問題も解決し時間もだいぶ経ったので勇樹は帰ろうとした。

 

 

「ああ~!お待ちを」

 

 

ゼットン星人は勇樹を呼び止めると部屋を退出した。そして、何かを手に携えながら戻ってきた。

 

 

「これを、どうぞ」

 

 

ゼットン星人は、勇樹に手に持っていたものを渡した。

 

 

「・・・ん?これは!?」

 

「これは娘を助けてくれたお礼です」

 

 

勇樹はゼットン星人から娘を救った礼を受け取り彼らの家を後にした。

 

《ちなみに元の人間の姿に戻っている》

 

そして、彼が街を歩いていると知っている声が聞こえた。

 

 

「・・・・・・・が友達になってやる。いや、俺たち、もう友達だ!」

 

「この声は・・・」

 

 

この声は今一番会いたくないが会いたい人物の声だった。

 

 

 

***

 

 

 

イッセーの前には堕天使とシスターが居た。

シスターの名前はアーシア・アルジェント。教会から魔女として追われた少女だった。

彼女は、友達が居なく、自分の信じていた者たちに放逐された者だった。

 

イッセーは、自分が彼女の友達になってやると宣言した。だが、アーシアを連れ戻しに来た堕天使レイナーレにより、彼らは引き裂かれそうになっていた。

 

 

「アーシア!待てよ!俺たち友達だろう!」

 

 

アーシアは、堕天使と共に行こうとしている。これは自分が着いて行かないとイッセーが堕天使に殺されてしまうからだ。心優しき彼女には堕天使に着いて行く選択肢しか無かった。

 

 

「はい。こんな私と友達になってくれて本当にありがとうございます」

 

 

アーシアはイッセーに感謝する。自分の友達に成ってくれた事を・・・だが、それはイッセーにとってつらい事だった。

 

 

「お、俺がアーシアを!」

 

 

無力だった。守りたい、守って見せたい。だが、イッセーには力が無かった。

 

 

「さようなら」

 

 

アーシアはレイナーレの黒い翼に包まれる。

 

 

「下級悪魔、この子のお陰で命拾いしたわね。次に邪魔したら、その時は本当に殺すわ。じゃあね、イッセー君」

 

 

レイナーレは嘲笑いながらアーシアを連れて空を飛ぶ。

 

 

「アーシア・・・」

 

 

後に残されたのはイッセーと黒い羽、そしてアーシアにプレゼントしたラッチュー君人形のみだった。

 

 

「アーシアァァァァァァッッ!!」

 

 

慟哭する、それはイッセーの叫びだった。自らの無力を呪い、何も出来なかった自分への嘆きだった。

 

 

「・・・・・・」

 

 

勇樹はそれを見ていた。見ていただけだった。何も出来なかった。動こうとしたが動けなかったのだ。

 

 

 

***

 

 

 

アーシアが浚われた後、イッセーは何かを思いついたのか走り去っていた。

 

勇樹はそれを見送りながら、近くにあったベンチに座り込んだ。

 

そして彼は、記憶の奥底に意識を埋没させた。

 

記憶は、彼が始めてこの世界に降り立ったときまで戻る。

 

 

 

彼は歓喜し、そして苦悩していた。

 

最初の侵略宇宙人の戦闘ロボを倒した時、彼を称える声があった。

偽物ではない本物のウルトラマンと呼ばれたのだ。人々は自分こそを見ていたのだ。

 

かつての『俺』の何よりモノ望みが今ここに叶えられたのだ。

 

 

だが、自分はウルトラマンを名乗る事が資格があるのか?

資格があったとしてもそれは人類を甘やかすだけでは無いのか?

 

かつての『私』の苦悩、それが彼を苦しませた。

 

 

全能の調停者は否定された。だからと言ってウルトラマンとして活動する事に意義があるのか?

だが、ウルトラマンと呼ばれたい、ウルトラマンになりたい。

 

そんな思いが彼の中でぶつかり合っていた。ウルトラマンになりたい、本物になりたいという願い、ウルトラマンに憧れるからこそ己を戒める自戒。

それにより彼の心は、鎖に縛られていた。そんな鎖を解いたのは友だった。

 

 

「俺の名は兵藤一誠。イッセーと呼んでくれ」

 

 

そんな彼の心を和らげたのはイッセーだった。

 

そもそも彼が駒王学園に入学する意味は無いのだ。情報操作を行える彼にとって学歴など意味が無い。それにも関わらず学校に入学した。それは、彼が心の何処かで求めていたからだろう、絆を、光を・・・。

 

 

イッセーは、普段の行いからあまり女性に好かれていない。決定的な事態になっていないのは彼の人柄のおかげであろう。

 

勇樹が転入した当初は人を寄せ付けない雰囲気で、イッセーを除き誰も彼に語りかけることは無かった。

 

覗きをしようとしている彼らを止める。エロトークを止める。そういう風に関わっているウチに勇樹の人を寄せ付けないオーラはいつの間にか消えていた。

 

今ではクラスメートとも普通に会話するようになっていた。

 

 

そして、時は『僕』の幼少期まで戻る。

 

 

子供の頃、ウルトラマンショーに勇樹は両親に連れられて行った。

そのショーではあるサプライズがあった。それは本編で登場した俳優さんのメッセージが放送されると言うものだった。

 

勇樹がウルトラマンと握手している時にその放送は流れ、彼はまるでウルトラマンが喋ってるかのように思った。

 

そして、ウルトラマンは言ったのだ。

 

 

「君は一人じゃない。もし、お父さんやお母さん、そして友達が困っていたら手を貸してあげてくれ」

 

 

 

***

 

 

 

森の中でリアス・グレモリーと姫島朱乃そして三人の堕天使たちは相対していた。

 

 

「なまやってくれてんじゃん」

 

 

金髪ツインテールのゴスロリ堕天使ミッテルトは忌まわしげに言う。リアスの眷属、朱乃が展開した結界により彼らは足止めされていた。

 

 

「ふん、その程度の障壁、何時まで持つか」

 

 

コート姿の男の堕天使ドーナシクはリアスたちに言う。

 

 

「貴様らの張った結界が仇になったな」

 

 

自分たちの主人レイナーレの儀式への足止めに結界を張った。だが、それはリアスたちの足止めにもなっていること告げる。

 

 

「ああ、それとも結界解いて逃がしてくれちゃう?」

 

 

ミッテルトは嘲りながらからかう様に言う。

 

 

「No.No、うちらがあんたら逃がさねえっす。あんたの下僕っち、今頃ボロカスになってるだろうしね」

 

 

自分たちを邪魔したリアスを逃がさないと言う。それはイッセーの敗北を確信しているからだ。そしてレイナーレと合流し、リアスたちを排除する心積りなのだ。

 

 

「特にほら、レイナーレ姉さまにぞっこんだったエロガキ。あいつなんてとっくに」

 

 

彼らにとってイッセーは価値も無い存在だった。正に道化、そう嘲笑った。

 

 

「イッセーを甘く見ない事ね」

 

 

だが、リアスはそれを中断させる。

 

 

「うん?」

 

「あの子は私の最強の歩兵(ポーン)だもの」

 

 

リアスは己の下僕に絶対の自信を持っていた。

 

 

歩兵(ポーン)?ああ、あんたたち下僕をチェスに見立ててるんだっけ。歩兵(ポーン)って前にずらーっと並んでる奴よね?」

 

 

ミッテルトは思い出す。悪魔たちは悪魔の駒(イーヴィル・ピース)と呼ばれるモノで眷属を増やしている事を。

 

 

「ふふ、要するに捨て駒か」

 

 

カラワーナはリアスが捨て駒扱いしていると思った。

 

 

「あらあら、ウチの部長は捨て駒なんて使いませんのよ」

 

 

だが、朱乃はそれを否定する。

 

 

「貴様はよほどあの小僧を買っている様だが能力以前にあいつはレイナーレ様に勝てやしない」

 

 

イッセーを擁護するリアスたちをドーナシクは呆れる。

 

 

「だって元からだもんね。レイナーレ様からあいつの話を聞いたわ。もう大爆笑」

 

「ふはは、言うなミッテルト。思い出しただけで腹がよじれる」

 

 

レイナーレは人間だったイッセーを殺すときの話を笑い話として仲間に話していたのだ。

 

 

「まあ、酒の肴にはなったがな」

 

そして、彼らのイッセーへの侮辱は彼女たちと“彼”を怒らすには十分だった。

 

 

無駄話は終わりだと言わんばかりに堕天使たちは飛び立つ。

堕天使たちは光の槍をリアスに放つ。光の槍は交差し、合体攻撃となって彼女を襲う。

 

 

「弾いただと!?」

 

 

だが、そのい攻撃は突然出現した虹色のキューブによって防がれた。その事実にドーナシクは驚く。彼らはリアス一党を見縊っていた。故に防がれるとは思ってもいなかった。

 

 

「いや、待て!何か居るぞ!?」

 

 

だが、それはリアス・グレモリーの力では無かった。彼らが驚きの眼差しの目で見る立方体の中に人影が見られた。

 

 

「あなたは・・・」

 

 

そして、それはリアスにとって見知った人物だったのだ。

 

 

「・・・翅付き共と悪魔の反応があるから来て見たがイッセーはいないのか」

 

 

人影の正体は、勇樹だった。彼はリアスたちの反応を察知し、空間転移したのだ。

 

 

「後藤勇樹・・・!」

 

 

沈みかけた彼の心には再び光が灯っていた。彼は、行動する。友達のために・・・。




第一巻が終わったらゴーカイジャーとギャバンの映画をベースにした番外編を作ります。
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