「ん?」
「あ、緋色さん」
「優じゃん。珍しく生徒会室か?」
「はい、まぁ…色々とありまして…」
「何だ?色々って?」
「実は…過去に2回ほど、四宮先輩に暗殺されそうになりまして…」
「ぶぅぅーっ?!」
「…緋色さん…マジで汚いっす…」
「あ、わり…」
一条緋色。特段することもなく、校内をぶらつきながらあれやこれやと作戦を頭の中で練り続け気がつけば生徒会室付近の廊下まで辿り着いていた。
そんな時、少し前を歩く少年―――石上優と遭遇する。色々とあったが、2人は石上が高等部に進学する前からの仲であり、今となっては先輩後輩という関係よりも友達という関係の方がしっくりくるほどの間柄である。
そんな、根暗自虐非力後輩はと言うと何やら物騒な物言いをしやがる。あろう事か、あの四宮かぐやが後輩を暗殺?そんなことは無い。あるとすれば間違いなく、自分の暗殺だろう。急な言葉についつい吹き出し、モロに石上へと唾をふきかけてしまう
「...どーせお前がまた、いらん口滑らしたんだろ?」
「いえ、その.....チケットがあったんです...」
「ん?チケット??」
「はい、それを、見つけた...瞬間...!うっ?!ボク死にたくなったので帰ります...」
「帰ります、じゃねーよ!予算案の事で御行と話しあんだろうが、何でか俺まで駆り出されてんだ。さっさと行くぞ」
「え?ちょ!嫌だ!まだ死にたくない!」
「さっきまで死にたいって言ってただろーが」
「ボクが四宮先輩に仕留められたあかつきには、あんたの枕元に立ってやるぅ!!!」
「おう、いつでも出てこい。枕100個くらい用意しといてやるよ」
「...緋色さんって...猫かぶってるだけで本当に性格悪いっすよね」
「さーて、このまま扉を突き破って投げ込めば、どっちか2人の女子の胸元までは飛ぶだろ。」
「ひぃっ!?!い、嫌だァァァっ!?!?」
首根っこを捕まれ捕獲され、何ならギャーギャーともがき苦しむ優に身向けもせず、緋色は歩き出す。
こうして、石上優は一切の抵抗もするすべなく、生徒会室へと引きづられていく。
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外を眺めると、グランドを駆け回るサッカー部。耳を澄ますと、体育館に鳴り響くドリブル音、(バスケットボール部)。やる気を落とすと聞こえてくる心地いい吹奏楽部。
「「はぁ...」」
「え?なに?お前ら何でそんなにテンション低いわけ?」
「いや、まぁ...」
「.....ぶっちゃっけ..、吹部までは許すのよ...」
「...何で...何で.....彼女持ち部活の二大巨頭が、あんなに輝いてるんですか...!」
「そんな理由で減算しようとしてたのか?!」
「ひとカップル3万とかか?」
「いや、5万にしましょう...」
「重課税?!」
「いや、幸せ税だ」
「そんな税は存在しない!完全に私怨じゃねーか!!」
何やら、生徒会室へ入り、いざ話し合いへと入ろうとしてみれば、入室者2人はいきなり窓辺へ移動してみたり、身を閉じてソファーに背待たれてみたり、挙げ句の果てに、机に突っ伏し、動かなくなった。何だったら石上の方は少し涙目である。
「何で...彼女がいるのに部活も頑張るんだよ...2つも大事なものがあって、何で部活何だよ...―――僕には何も無いのに...」
「まぁ、ほら、石上にはパソコンとか...」
「って言うか、そもそもなんで緋色さんは『こっち側」みたいなスタンスで入れるんですか!」
「矛先、仲間内に向けるのぉ!?!」
シクシクと泣く石上を諭しつつ何とか落ち着いてきた頃合い。急に石上のリア充撲滅ビームが、何と先輩であり、恩人であるはずの緋色へと向かった。
「はぁ?!俺だって部活も入ってなけりゃ彼女だっていねーよ!」
「彼女いない!じゃなくて!あんたは彼女作らないだけだろうが!!!」
「うっ...」
「そもそも、僕や会長みたいにね!」
「え?急に飛び火...」
「彼女はおろか!告白すらされた事ない非モテを極めた非リアに!アンタみたいな、スーパー陽キャが『それな〜』みたいな感じ同感してんのがおかしいっってんだよ!。」
「お、おい...優...」
「・・・・・・」
「その上!緋色さんは明らかに女慣れしてて、運動部の奴らよりも運動が出来て、何だったら、半端にお零れの輝き貰ってる補欠連中何かより!もっと主力メンバー!み!た!い!な!輝き方!してんだろうが!!!」
「ブレーキ!ブレーキ踏め優!ついでにパーキングに入れて、サイドブレーキ踏め!!!」
「会長はね!会長はまだ勉強というカテゴリーが残ってますよ!!でもな!僕はゲームやパソコンといった!誰もが偏見するようなものしか残ってないんですよ!」
「アクセル踏むなぁ!!!」
向かって来たのであれば迎撃する。そのくらいの覚悟でいた緋色に対し、さらなる二次被害が生まれる。特定の人物に対して以外、意外とメンタルの弱い白銀御行。
石上の特定の人物を狙ったかのような罵倒にも似た戯言。それを聞く度に明らかに御行の顔色が曇っていく。そして、とどめを刺すかのように石上が口を開いた時、パタリと言う音と共に白銀御行はその場に倒れた。
「緋色...ごめん...死にたくなったから帰る...」
「御行?!大丈夫だからな!誰も勉強=ガリ勉何て、言ってないからな!」
「ぶっ?!?!」
「あ、確信をついた」
「誘導尋問んんん!!!!」
「その通りだよ...俺なんて結局...四宮の事でしか.....」
「しゃーざーい!しゃーざーい!!」
「優!お前はガキか!ていうか落ち着け...確かに皆思うことはあるだろうが...俺達は仲間、同士だ。争い合うなんて1番あっちゃいけない。そうだろ?」
「「・・・お前/緋色さんにだけは、賛同出来ない。」」
「よーし、分かった。土下座するから許してくれ。」
――――――――――――――――――――――――――――――
「たく…結局かぐやちゃん達の乱入で有耶無耶だな…―――彼女、ねぇ・・・」
「作らないんですか?」
「…いきなり話しかけるなよ…御行みたいな声が出るわ…」
「是非とも会長の悲鳴とやらを聞いてみたいものですね」
「いや、今のあいつは悲鳴をあげる寸前で舌を噛みちぎるね…」
「はぁ、お互いに変な方向へと成長してますね」
「だな…当人達が認め合い、打算無しの行動を取れればここまで拗れなかったろうに…」
夕日が沈みだし、眩しいばかりの西日がさし当たる校舎。その廊下を1人ぶつくさと文句を垂れながら歩く。もちろん、周りに人は居ない。わかった上での行動だっだが、そこには、自分でも気づけないくらいに気配を消し、不用意に声を掛けてくる早坂愛がいた。
思わず、変な声が出そうになるのを堪え、ポーカーフェイスを気取りながら、話をしてやる。実際には冷や汗かきまくりの状況だが、何故かバレていない。
「プライドの塊…みたいな人達ですからね。で、彼女作らないんですか?」
「また掘り返すのかよ?!ちっ…!作らないんじゃなくて出来ないんだよ…」
「へぇ…27名…」
「?!?!」
「入学してから貴方が女子生徒に告白された回数」
「……お前…ストーカー…?」
「!?はぁ?!違うし!貴方がかぐや様の近辺をコソコソ調べてるから!こっちだって、仕方なく調べてるんだし!」
「だから!そんな事してねーよ!ていうか、もしそれが本当だとしても!俺の告白された回数なんざ普通調べねーだろ!」
「女子生徒から情報を得ようとしているのかと…」
「だとしたら…関係を持つだろ……その調べの中で1回でも俺が手を出した子はいたか?」
「いえ、1人も。」
「だろ?だから俺は…」
「私の時と同様。入念な口封じをされてるのかと思いまして。」
「よし分かった…今日2回目になるけど土下座でいいか?」
まさかの蒸し返される出来事に、驚きの顔を隠せずツッコミ、そのまま罠に嵌められた。
途中までは年相応の女の子みたいな反応で可愛かったのに、急にその表情が曇り、表情筋が死んでるのでは?と、疑いたく成程に固まる。そして、発せられた言葉により、緋色は一瞬で土下座の姿勢へと移った。
「いや、待て待て待て!何回も言ってるけどな、あれは事故!ちゃんと謝っただろうが!」
「どうだか…会計君が言ってた通りかなりの遊び人らしいので」
「おい、優はそんなこと言ってねーよ…」
「ニュアンス的には間違いじゃないでしょ?」
「?!…あ、の、なぁ…!何をどう翻訳したら告白回数=ヤリチンになんだよ?!」
土下座の姿勢から見上げるような形で緋色は早坂の言葉を受け続ける。その度にツッコミとも言えぬツッコミで何とか返してやるが、早坂の言葉はどんどんトゲを帯びていく。
その辛辣な発言に耐えきれなくなり、緋色の中で何かがプツンと切れ、その場に立ち上がった。
「そもそも!お前みたいに、デートの1つや、キスの1つ!ましてや、―――S○Xすらしたことねぇよーな、ピュアピュア純粋恋愛脳が、愛だ、恋だ、と語ってるのが…!」
「!死ねぇ!!!」
「ぐっっ?!ぼっっ?!?!」
「ゲス…野郎…」
「まだ、…最後…ま、で…言って…なぃじゃ、ん…」
「はぁ…、何でこんな人…」
「…ぶっ…!うっ…は、はは…学校じゃ、ギャルじゃ…ねーのかよ…」
「はぁ?」
「はは…―――意外と純白、じゃねーや…純粋なの…」
「フンっ!」
「な゛っ?!ぁ……」
本日の勝敗
「…最っ低…!」
「はぁ………え?緋色さん?」
「優……死にたくなったから…帰らせてくれ」
「……僕の家でもいいですか?」
「…うん、ス○ラ3やろう…」
緋色の負け。