鎮守府日常奇譚   作:ALF

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電視点です。ガールズトーク……ガールズトーク?


遠征~あるいはガールズトーク~

「それでは、司令官さん。遠征に行ってきますね」

 

 

 

土曜日の朝、マルナナゴーマル。

マルハチサンマルに開始の資源輸送護衛遠征が、今日の

電のお仕事なのです。

 

司令官さんは、今日、明日と大淀さん命令(?)による強制連休でお仕事をお休みされるのです。

 

司令官さんは、お仕事には、いつも真面目に取り組まれていて、それは頼りになって尊敬出来る所なのですけれど……2週間連続勤務は、流石にちょっとアレなのです。もう少しは、ご自分の体を労ってあげて欲しいと電は、思うのです。

 

連休という事で、電もお休みなら一緒にお出かけしたり出来て、それは、とっても魅力的なのですけれど、それだと司令官さんは、きっと

 

『電と出掛けるのは、俺も楽しいからな』

 

とか言って……それは、多分……いえ、間違い無く司令官さんの本心なのですけれど、その場合、司令官さんの心がゆっくりと安らげても、体の疲れは取れないのです。

 

……そういう意味では、電が、今日の遠征任務に配属されていたのは、良かったのかもしれないのです。

 

司令官さんとお出かけは、出来ないけれど、遠征は、

約8時間程の予定で、夕方……ヒトロクサンマルくらいには、鎮守府に戻ってこれるのです。

 

司令官さんは、明日もお休みですし、電もお休み。

司令官さんと一緒に居られるのです。

楽しみが、あるから、長めの遠征任務もへっちゃらなのです。電の本気を見せるのです!

 

 

「っと、電。こいつを持って行きな」

 

 

そういって小さめの袋を渡して下さる司令官さん。

なんでしょうか?袋の中を覗いてみます。

……あ、これは。

 

 

「遠征任務には、配給される戦闘糧食も飲み物もあるとは思うが、それと別に甘いものがあると疲労軽減になるかと思ってな。……電は、確かそのチョコ好きだったろ?個別包装だし、数もあるから、なんなら遠征の皆に分けてもいいしな」

 

 

 

基本的に、艦娘は、燃料を補充されれば、活動する事は可能です。ただし、文字通りに動けるだけです。

艦【娘】という名が示すように人としての側面を持つのが艦娘です。ただの金属の塊の兵器とは、違うのです。

その為に、食事をとり水分を補充する必要が、あるのです。

とは言え、人間のように定期的に飲食する必要はないのですが。(そんな必要があれば、深海棲艦相手の大規模作戦に対応出来ないのです)

 

まぁ、その為に戦闘糧食と呼ばれる軽食(おむすびが多いです)や飲料が支給されるのですが、司令官さんは、それに加えて電の好きなチョコまで用意して下さったのです。

 

 

 

 

……本当に司令官さんは、あまあまなのです。

 

 

 

 

「ありがとう、なのです」

 

「あぁ、遠征任務、気を付けてな」

 

「はい、なのです。……司令官さん」

 

「ん?」

 

 

司令官さんに素早く近づいて、頬に啄むように

唇を当てて……

また素早く司令官さんから離れて

 

 

「改めて……行ってきます!」

 

 

そう言って、電は、集合場所へ向かったのでした。

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

「おはようございますなのです。お待たせなのです」

 

「おはよう、電。今日も頑張りましょ♪」

 

「電、おはようっぽい!今日は一緒に頑張るっぽい!」

 

「電ちゃん、おはよう。今日は宜しくね」

 

 

 

集合場所に着くと、皆は、到着済みで、電が最後だったのです。今日の遠征メンバーは、4人。

電のお姉ちゃんの雷ちゃん。

駆逐艦友だちの元気な夕立ちゃん。

旗艦を勤めるのが、優しいお姉さんである

軽巡洋艦の名取さん。

そこに電を加えた編成で任務をこなすのです。

 

 

 

港に停泊している資源輸送船。

その大きな姿を見ていると、船の方から一人の男性が、こちらへ近づいてこられました。

 

 

「艦娘の方々。今日は護衛を宜しくお願いします」

 

 

そう言って会釈をされるのは、輸送船の船長さん。

 

輸送任務に限らず、人間の方々が艦娘へと向ける感情には、様々な物があります。

 

《無視・無関心》といったあくまでも必要故の仕方なさという反応ならともかく《恐れ・嫌悪》といったあからさまな負の感情をぶつけられる事もあります。

もちろん、直接的に言ってきたりする事は(ほぼ)有りませんが、感情の機微に敏感な艦娘という存在には、辛かったりするのです。

それによる精神への影響で任務を失敗したという話も聞いた事があるのです。

 

そういう意味では、今日の輸送護衛遠征は、当たりだといえるのです。

 

 

「は、はいっ!きちんと皆さんをお守り出来る様に……が、頑張ります!」

 

 

『ふんす』と聞こえてきそうな勢いで名取さんが、私たちを代表して船長さんに返します。

そんな名取さんに、宜しくお願いしますと笑みを浮かべて返事された船長さんが、船に戻って行きました。

いよいよ遠征任務開始です。

 

 

 

 

 

 

 

……港を出て約3時間が経過しました。

現在時刻は、ヒトヒトフタマル。

ここまでの道中は、はぐれの駆逐イ級に数回出会ったくらいで、護衛対象の輸送船は、もちろんのこと、電たちにも損傷は有りません。そうして資源基地がある島が見えてきました。更に少しの時間が、経ち、ヒトヒトゴーマル。輸送船は、無事に資源基地島に到着しました。

 

この島で輸送船に資源を積み込み、それを持ち帰れば任務完了というわけなのです。

 

 

 

 

 

「A資源基地所属の重巡洋艦・高雄です。

護衛お疲れ様でした。今から積み込み作業に掛かりますので。終了はヒトサンマルマルを予定しています」

 

 

基地島の所属艦娘である重巡洋艦の高雄さんが、

伝えて下さいます。

 

……資源の積み込みは以前は、人間さんが、重機を用いて行っていたのですが、近年、積み込み作業中に深海棲艦の艦載機による攻撃を受ける機会が増えた為に防衛戦力としての艦娘が駐在するようになったのです。

 

更に艤装を展開した、艦娘が資源の積み込みを補助する事で作業時間の短縮にも成功して、今では艦娘による資源積み込みは当たり前の光景となったのです。

 

 

 

 

 

「ご丁寧にありがとうございます。輸送護衛部隊旗艦、淡海鎮守府所属軽巡洋艦・名取です。これより終了予定時刻まで、名取以下4名待機兼、休息に入ります」

 

 

 

こういう時の名取さんは、素敵なお姉さんなのです。

 

 

 

「了解しました。……名取ちゃん、お疲れ様。元気にしていたかしら?」

 

「は、はい。高雄さんもお元気そうで」

 

「雷ちゃん、夕立ちゃん、電ちゃんも久しぶりね?」

 

「高雄さん、久しぶりね。雷は元気よ!」

 

「高雄さん、お久しぶりっぽい!夕立も元気っぽい!」

 

「高雄さん、ご無沙汰なのです」

 

「ふふっ、ゆっくりとお話したいところだけれど、お互いに仕事中だしね。またあとで会いましょう」

 

 

そう言って基地島の高雄さんは、積み込み作業へ向かわれました。

 

 

『ぐぐぅー』

 

 

 

突如聞こえた音の方を向くと夕立ちゃんが居て……

 

 

「夕立お腹が空いたっぽい!」

 

 

 

その夕立ちゃんの言葉に従い休息をとることに

なったのです。

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまっぽい!」

 

「ごちそうさまなのです」

 

「ごちそうさま」

 

「ごちそうさま。お腹ふくれたね」

 

 

 

 

 

おむすびとお茶で食事をすませた電たち。

時刻は、ヒトフタサンマル。予定時刻までは、まだ半時間程の余裕があるのです。食休みを……そうだ

 

 

 

「皆、チョコがあるのですけれど、食べるのです?」

 

「チョコ!夕立、欲しいっぽい!」

 

「あら、気が利くわね。電、私も貰っていい?」

 

「もちろん、どうぞなのです」

 

 

 

そう言って夕立ちゃんと雷ちゃんにチョコを渡す。

 

 

「名取さんも、どうぞなのです」

 

「電ちゃん、ありがとう。ずいぶん準備がいいのね」

 

 

そう言ってチョコを口に入れ顔を綻ばせる名取さん。

 

 

 

「司令官さんが、出発前に、電に渡してくれたチョコなのです」

 

 

 

それを聞いて、一層笑みを深めた名取さんは、

 

 

 

 

「電ちゃんは、相変わらず提督さんに愛されてるね」

 

 

 

……爆弾を落としてきたのです。

 

 

 

「ふ、ふええぇ!あ、愛されてるって!?」

 

「まあ、確かに司令官は、電にベタぼれよね」

 

「ウンウン。てーとくさんてば、電の事、めちゃくちゃ好きっぽい!夕立、うらやましいっぽい!」

 

 

 

更にそこへ向かって雷ちゃんや、夕立ちゃんも追い討ちをかけてきたのです。

はわわわわわわ……電は、顔が熱くなるのを感じたのです。あうあうあう……

けれど、名取さんのターンは、まだ続いたのです。

 

 

「提督さんは私たち艦娘、皆に優しくてとても嬉しいんだけれど、電ちゃんへの対応は、完全に別格だもの」

 

「……名取さんの言う事が、すっごく解るっぽい。この前も夕立、てーとくさんと電が、二人でいた所を見たけど、雰囲気が甘すぎて、砂糖吐きそうになったっぽい」

 

 

更に更に夕立ちゃんの追い討ちが入るのです。

 

 

「まぁ、電は、司令官とケッコンカッコカリをしているし絆が、他の艦娘より深いのは仕方ないわね」

 

 

雷ちゃんが、電のフォローをしてくれるのです。

流石、雷ちゃんは頼れるお姉ちゃんなのです!

 

 

 

「最も、司令官と電は、ケッコンカッコカリというより《ケッコンカッコガチ》って感じだけどね。雷もたまに見て見ぬフリをしなきゃいけなくて困る時があるわ」

 

 

 

雷ちゃん!お前もか!なのです!?

 

 

 

「…それで、電とてーとくさんは、どこまで行ってるっぽい?」

 

「ゆ、夕立ちゃん!それは、流石に踏み込み過ぎじゃないかな?」

 

「名取さんは、気にならないっぽい?」

 

「それは…気になる…けど」

 

「んー…電もいい機会だし、全部話して楽になっちゃう?姉としては、知っておくべきだと思うのよ」

 

「そんな機会はこないのですっ!ぷ、ぷらいばしーの侵害なのですっ!?」

 

 

電の心のライフは、もうゼロなのです!?

はっ!高雄さんの姿が見えるのです!

時刻は……ヒトフタゴーナナ。

時間なのです!逃げきるのです!

 

 

「た、高雄さん。積み込み作業は、終了なのです?」

 

「あー!電が、ごまかすっぽい!」

 

「電、ここまできたら諦めましょ?」

 

 

夕立ちゃんと雷ちゃんからのブーイングをスルーして、

電は、高雄さんになるべく冷静なフリをして問いかけるのです。

ところが、高雄さんからは……

 

 

「ごめんなさい。積み込みにちょっと時間が掛かっちゃってヒトサンサンマルくらいまで掛かりそうなの」

 

 

 

地獄の宣告が。そして後ろから『ポン』と置かれる雷ちゃんと夕立ちゃんの手。

諦めて振り返……ううん!電!諦めたらそこでゲーム終了なのです!

もう一度だけ気力を振り絞り、抵抗しようとした電だったのですが、高雄さんから出た次の言葉に……

 

 

 

「ところで、電ちゃん。私にも提督と電ちゃんのお話、聞かせて欲しいな?」

 

「…え?」

 

「……こちらへ来る途中に、聞こえちゃったの……ゴメンね?」

 

 

 

 

「…………な の で す ー!?」

 

 

 

完全に心を折られて叫んでしまったのです……

 

 

 

 

 

* * * * *

 

 

 

 

 

 

「遠征任務終了です。皆、お疲れ様でした」

 

「とうちゃくっぽーい!」

 

「ようやく帰ってこれたわね……ほらほら、電。戻っててきたんだから、しっかりしなさい?」

 

「……なのです」

 

 

 

あの後、高雄さんまで交えての電への容赦のない詰問タイムが、待っていたのです。

根掘り葉掘り色々と皆に聞かれて……電は、もうお嫁に行けないのです。

…………もう司令官さんのお嫁さんだから問題無かったのです。

 

 

 

「大淀さんへの報告は、私がやっておくから、電ちゃんは、お部屋に戻って提督さんを安心させてあげて」

 

「そうそう。早く司令官の所へ帰りなさい」

 

「色々は、夕立たちが、やっとくから大丈夫っぽい!」

 

 

 

皆が、電に優しくしてくれるのです。

でも、そもそも向こうで弄られなかったら電は、元気だったのです。

……それでも、皆の気遣いは嬉しかったので

 

 

 

「お先に失礼するのです」

 

 

 

皆にそう言って電は、司令官さんの元へ帰ったのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまなのです」

 

 

お部屋に帰って呼び掛けるも、司令官さんの反応が無いのです。お出かけなのです?そう思いダイニングテーブルを見ると司令官さんは、突っ伏して眠っていたのです。多分、疲れがたまっていて、寝ちゃったのかな?

そう思いつつ司令官さんの寝顔を見詰めます。

寝顔は、なかなかに可愛いのです。

 

……でも、このままだと風邪をひいてしまうので、起こさないと。司令官さんの肩を揺すって、起こそうとします。

 

 

 

「司令官さん。こんな所でうたた寝していると風邪をひいちゃうのです」

 

「…いな…づま?あれ…」

 

「電なのです。司令官さん。ただいまなのです!」

 

 

 

目を覚ました司令官さんに、改めてただいまを告げるのです。司令官さんの顔を見ると帰ってきたという実感がわいてホッとするのです。

 

 

 

「おかえり、電。遠征、お疲れ様だったな」

 

「はい。遠征は、大成功なのです♪」

 

「頑張ったな。ありがとうな」

 

 

 

司令官さんは、電を労って頭を撫でてくれます。

電は、司令官さんに頭を撫でられると、とても幸せな気持ちになれるのです。嫌な気持ちとか全部が、消えちゃいそうです。

しばらくして、司令官さんの手が離れて行きました。

名残惜しいけれど仕方ないのです。

あ、そうだ。司令官さんに聞かなきゃいけないのです。

 

 

 

 

「司令官さん。今日は、ゆっくり出来ましたか?」

 

「あぁ、一日中、ゆっくりさせて貰ったぞ」

 

「それは、とても良かったのです♪」

 

 

 

 

司令官さんの答を聞いてホッとしました。

司令官さんが、体を休められて良かったのです。

 

 

 

「っと、そうそう。電にちょっとしたプレゼントだ」

 

「……なのです?」

 

 

 

司令官さんは、思い出したかのように、電に小さい物を渡してくれました。

これは、ブロックで組んだネコさん?可愛いのです!

 

 

 

「ふにゃー……可愛いネコさんなのです。

司令官さん。これは、どうされたのです?」

 

「あぁ、酒保で売ってた奴を組み立てたんだ。

気に入ってくれると嬉しいんだが……」

 

「とっても可愛いネコさんで、おまけに司令官さんが、電の為に作ってくれたのです!とっても嬉しいのです!司令官さん…ありがとうなのです!」

 

 

 

私は、司令官さんからのプレゼントに心からの感謝を告げました。……あれ?テーブルの上にもう一つ?

 

 

それは、ブロックで出来た人でした。

セーラー服を着た茶色い髪の女の子。

後ろ髪の所の赤いブロックは、バレッタの様で…

これは、多分……ううん、きっと

 

 

 

「……司令官さん。これは…」

 

「あっ」

 

 

 

手に持ったブロックの女の子を見せながら

司令官さんに問いかける。

 

 

 

「その……これって、電……なのですか?」

 

「……んと、上手に出来なかったけど、どうしてもやりたくなってな。今日の半日使って作ってた」

 

 

 

照れくさいのか、そう言うとそっぽを向いてしまう。

 

あぁ……電が、居ない間も、この人は、電を思っていてくれたのだ。本当にこの人は……

心の中から、感情が溢れだすのが判る。

人とか艦娘とか、関係なく、ただ私を思ってくれた。

あぁ……電は、もうダメなのです。

 

 

 

 

 

私は、私の最高の旦那様を背中から抱き締めて

 

 

 

「……本当に旦那様は、電の事が好きすぎるのです」

 

 

 

何時ものコトバを口に出す

 

 

 

「……そうだよ……悪いか?」

 

 

 

ぶっきらぼうに返る、愛しい人のコトバ

 

 

 

 

「ちっとも悪くないのです。だって……」

 

「……だって?」

 

 

 

 

私は、愛しい人へ向けて

 

 

 

 

 

 

「電も同じくらい、旦那様が好きなのです……」

 

 

 

 

心からの想いを告げて、唇を重ねた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 




初めて5000文字越えた。電さんをチョロインとか
言っちゃ駄目だぞ?そして、糖分エェ……
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