鎮守府に所属する艦娘は、日々、行動計画表に従い様々な、お仕事につきます。
他鎮守府との対戦訓練により、戦闘技術や練度の向上を図る《演習》
先日の電たちの様に、なんらかの任務により資源を確保するべく行動する《遠征》
そして、深海棲艦との直接戦闘による海域の解放を目指す《出撃》
他にも細々とした、お仕事はあるのですが、大別するとこの三つが主要なそれと言えるのです。
深海棲艦という謎めいた存在が、この世界に現れてから既に9年以上が経過しています。
電が、艦娘として着任をしてからでも3年。
かっては、本土にまで危機が及ぶような深海棲艦による大規模侵攻もあったと艦娘研修で習いましたが、最近では、そこまでの規模の活動は確認されていないという事です。
ただし、規模はともかくとして《限定任務》と呼称される、特定の海域を解放する為の作戦任務においては、初期の頃からは考えられないない様な、力押しでは無い深海棲艦の動きが、確認されており、今なお、油断出来ない状況だと言えるのです。
……まぁ、それでも
『明日の朝日を見る事は叶うのか?』みたいな心配をしなければならないような、状況ではないのですが。
なんにせよ、そういった日々のお仕事を続けて行くと、
人間さんより丈夫な艦娘とはいえ、目に見えない肉体的・精神的な疲労が、蓄積されていってしまうのです。
深海棲艦が現れ、それへの対抗手段としての艦娘が現れた開戦当初は、艦娘の数も少なく
『艦娘は、深海棲艦へ対抗出来る唯一の《兵器》である。海域を奪回する為にも最大限活用するべきだ。』
という声の下に、艦娘が、酷使されていたといいます。
艦娘を《建造》出来る方法が発見されると、その度合いは、加速したという話も聞きました。
『酷使して、いかれたら処分。そして新しい艦娘を建造すればいい』そんな意見が蔓延し、結果として多くの艦娘が犠牲になったと。
艦娘が、《艦》、即ち《兵器》としての側面だけで見られていた時期です。
しかし、艦娘の《娘》の部分……すなわち、人としての側面を無視しての酷使の結果として、戦闘時の効率低下や行動不能が多く見られるようになったのです。
それにより解放されていた海域へ最侵攻され、前線の後退を余儀なくされていた軍部。このままでは、本土にまで深海棲艦が迫り来た開戦当初の二の舞に……
しかし、良い案はありませんでした。
そんな中で、現状況下でも、その士気を低下させる事無く奮闘する艦娘のいる部隊が見受けられるという情報を軍本部が、掴みます。
そうして、本部の調査隊が、当該部隊を調べると、その部隊の艦娘は、人間と同じように扱われ、十分な休養を取ることにより士気の低下を防げていたという事実が判明したのです。
軍本部は、藁にもすがる思いで、同様の方法を全部隊へ通知し実行させます。その結果として、かろうじて最悪の事態を回避し、戦況を回復させた……そんな話です。
そういった、過去の背景により、現在では艦娘にも一定の期間ごとに休養を与えられ、疲労状況により出撃等が免除される場合もあるというわけなのです。
今のお話も艦娘研修で習ったのですが、昔は本当に大変だったのだと思うのです。
そんな訳で、電たちもお休みを頂けるのですが、明日が、そのお休みの日。しかも司令官さんも一緒に明日がお休みなのです。
それならと、今日の夕食は食堂ではなく司令官さんと一緒に鳳翔さんのお店に食べに行くことになったのです。
凄く楽しみなのです!
電と司令官さん。
二人共が今日のお仕事を終え、部屋に帰って私服へと着替えました。
司令官さんは、シンプルなシャツにチノパン。上にジャケットを羽織られています。
何時もの司令官さんも格好良いですけれど、私服の司令官さんも素敵なのです。
電は、少し前に雷ちゃんとお出かけした時に買ったシンプルなワンピースにしました。電の格好は、変じゃないでしょうか?少し不安に思っていると、
『良く似合ってる。惚れ直すよ』と司令官さんが、言って下さいました。嬉しくて安心したのですが、司令官さんは、本当にさらっと気恥ずかしい台詞を言われるので、電は赤面しそうになるのを隠すのが大変なのです
そうこうしているうちに、時刻はヒトナナサンゴー。
そろそろ、お店に向かう時間なのです。
「少し早めだけど、行こうか、電?」
「了解なのです♪」
……司令官さんに返す返事に喜びを隠せない私でした。
……部屋を出て、司令官さんとのおしゃべりを楽しみながら10数分。目的のお店である、小料理屋・鳳翔にたどり着きました。
このお店は、鎮守府の軽空母である鳳翔さんが、やっておられるお店なのですが、艦娘……特にお酒を呑む方々に大人気なのです。
置いてあるお酒の種類も豊富なのですが、それ以上に鳳翔さんのお料理の味がとても美味しく、お店が開いている日は、大抵が満員御礼状態という事です。
……実は電は、鳳翔さんのお店へ来るのは、今日が初めてでした。お店によく通っている響ちゃんから、話は聞いていたのですが、機会に恵まれず来ることがなかったのです。
今日は、司令官さんと一緒にというだけでも嬉しいのに、初めて鳳翔さんのお店に行けるという事で、本当に楽しみなのです!
「司令官さん。お店についたのです」
「お、じゃあ入ろうか?」
「なのです♪」
* * * * *
「はわー……ふわふわなのです……」
鳳翔さんのだし巻き玉子を一口食べて、そんな言葉が自然と出てしまいました。
……司令官さんと二人で、鳳翔さんのお店に入り、席についてからお品書きを見たのですが、品名を見るだけでも、どれも美味しそうに思えてしまい、電は、何を頼もうか迷ってしまったのです。
それは、司令官さんも同じだった様で、二人してお品書きとにらめっこ。
そうして、見かねた鳳翔さんに、『おまかせ』で色々と出して貰う事となったのです。
電たちが、お腹を空かせているだろうと見越して、最初に、あらかじめ仕込んであったであろう《肉じゃが》を出して下さいました。
甘辛いしっかり味の肉じゃがは、ご飯との相性が抜群。
またたくまに食べてしまいました。
今食べている、だし巻き玉子は、二品目。
ふわふわとした食感で、お出汁が効いたとても美味しい味なのです。
「お二人とも、ご飯のお代わりは、いかがですか?」
「貰えますか」
「電もお願いするのです」
鳳翔さんに、ご飯のお代わりの是非を問われた電と司令官さんは、二人してノータイムでお願いしていました。
仕方がないのです。鳳翔さんのお料理が、美味しすぎるのが、いけないのです。
「お二人とも、生の魚は、平気ですか?」
「生……なのです?」
「大丈夫ですよ。今日のは何ですか?」
とったお魚をそのまま、食べるのでしょうか?
司令官さんは、大丈夫と言っておられますが。
それに、今日の?今日のお魚の種類?
種類によって、食べられる物とそうでない物があるのでしょうか?
「今日は、綺麗なブリが入ったので、お刺身にしてお出ししようかと」
「いいですね。頂けますか?」
「電ちゃんは、どうされますか?」
「……あ、はい。頂きます!」
畏まりましたと言葉を残し、鳳翔さんがブリの支度を始められました。
……生の魚って、お造りの事だったのですね。
電は、とんちんかんな事を考えてしまってたのです。
しばらくすると、鳳翔さんがお造りの入った鉢を持って戻られました。
「お待たせしました。ブリのお刺身です。旬では、ありませんが、綺麗なものだったので美味しいと思いますよ?」
「確かに、いい色ですね」
深海棲艦が、現れてから、まともな漁業はおろか、魚の養殖すらまともに出来なかったのが、ここ数年の海域解放でなんとか行えるようになったと聞いています。
旬の魚というのが、昔のように食べられるようになると良いのですが……
「……電ちゃん。もし、ダメそうなら無理をしなくて構いませんよ?」
黙っていた、電を見て鳳翔さんは、私が、お造りを駄目なんじゃないかと思われたようなのです。私は、慌てて鳳翔さんに返事を返します。
「大丈夫なのです!電は、お造りは好きなのです!」
「良かった。……そういえば、電ちゃんは、お刺身じゃなくてお造りと呼ぶのね」
「え……司令官さんが、お造りと言っておられたので、電もお造りと覚えていたのですが……間違いだったのですか?」
「いいえ。間違ってませんよ?……そうですか、提督に……ふふ」
鳳翔さんは、何かに納得した様な表情をした後で、司令官さんの顔を見て、楽しそうな笑顔を浮かべていました。そして、司令官さんは少しばつの悪い顔を……
どうかしたのでしょうか?
とりあえず、その疑問は脇に避けて、ブリのお造りを頂く事にします。
鉢から一切れ取ったブリを、お醤油に付けると、お醤油の入った小鉢にサーッとブリの脂が広がります。
脂の乗りも良いブリを、さっそく口へ運びます。
……美味しい!
まず広がるのは、コクのある脂の味。ついで、お醤油に引き立てられたブリの身の甘さが、後を追います。
二切れ目は、ご飯と一緒に口の中へ。
……はぁ……お造りと食べるご飯の美味しいコト。
隣の司令官さんも、実に満足そうです。
……ん?何か、タレを焦がした様な香りがします。
「同じブリを、照り焼きにしてみました。こちらの小鉢は、香の物の柚子大根です」
鳳翔さんが、そう言って、ブリの照り焼きと大根のおつけものを置いてくれます。
「ふわぁ……」
思わず声が出ます。少し焦げたタレの香りがたまらないのです!私は、さっそくブリに箸を伸ばします。
一口を口へ……
ふにゃー!?……お、思わず叫びそうだったのです。
な、なんなのです、この暴力的な旨味は!?
全くパサついてなくて、タレがよく絡んだブリの身。
臭みも全く無くて……
あぁ、お箸が止まらないのです。ブリの照り焼きとご飯の組み合わせの妙。素晴らし過ぎるのです。
ふと、大根のおつけものが、目に入ります。
……鳳翔さんは、柚子大根と言っておられましたっけ。
一切れを箸で摘まみ口へ運びます。
『カリッ』と軽く音を立て歯で噛みきられたおつけものからは、甘酢につけられた大根の味が。それとほんのりと柚子の風味。
派手さはないのですが、口のなかをさっぱりさせてくれて食事の流れでの良い補佐役をつとめてくれています。
「このブリ照り旨いなぁ。臭みも全くない……魚自体もですけど、身を醤油洗いとかしてるんですか?」
「あら……提督ったらお詳しいんですね。仰る様に下拵えの時に醤油洗いをしています。簡単なのに臭み消しに効果的ですから」
「いや、聞きかじりです……んー身が全くパサついてなくて、タレの絡みもいいなぁ。俺がやった時は直ぐにパサパサになっちゃうんですよ。タレの絡みもイマイチですし」
「下拵えで、片栗粉を身へ少しやるといいですよ?醤油洗いの後に……」
司令官さんと鳳翔さんが、ブリの照り焼きを語っています。というか、司令官さんって何故かお料理とか謎に造詣が、深かったりするんですよね。どこで、知られたのでしょうか?
電もお料理の勉強をして、司令官さんにもっと美味しい物を作ってあげられるように頑張るのです!
でも、今は目の前のお料理に集中です。ブリの照り焼きが、とっても美味しいのです……
* * * * *
「はふー……お腹いっぱいなのです」
思わず、言葉に出して言ってしまいます。
あの後で、『もう少し何か出しますか』と鳳翔さんが、言って下さったのですが、お料理と一緒にご飯やお味噌汁をついついお代わりしてしまっていたので、お腹はだいぶ膨れてしまっていたのです。
追加のお料理を断ると、では、こちらをどうぞと鳳翔さんが、出して下さったのが、柚子のシャーベット。
冷たい柚子の風味のシャーベットは口の中をさっぱりさせてくれました。
シャーベットも食べ終え、ごちそうさまを言い、今は温かいお茶を飲みながら食事の余韻に浸っているのです。
……本当に美味しかったのです。
……時刻は、ヒトキュウゴーゴー。
電と司令官さんが、お店に入ってから2時間ほどが過ぎています。一休みしたら、お暇しましょうか。
そう思っていると
ガラガラガラ……
店の入り口が開く音がしました。お客さんでしょうか。
「お、今日は空いてるなー。ラッキーやわ」
「あぁ、ついているね」
聞き覚えのある声にお店の入口を見ると、そこには響ちゃんと龍驤さんの姿が有りました。
「いらっしゃいませお二人共、空いているお席へどうぞ」
「了解……ん?司令官と電……珍しいね」
「響ちゃん、龍驤さん。こんばんは、なのです」
「ほんまやね……って、二人してデートか?」
「で、デート……」
「まぁな」
「キミはからかい甲斐が、ないなー。電の反応を、ちっとは、見習いや?」
鳳翔さんの案内のあと、こちらへ気づいた二人へ挨拶します。すると龍驤さんからのからかいの口撃が飛んできました。で、デート……間違ってないのですが、ストレートに言われると恥ずかしさが来るのです。
「まぁ、ここで会うたんも、なんかの縁やし、一献付き合わんか?」
「今日は、電と飯を食いに来たからなぁ……」
「なんやなんや冷たいなぁ……ウチ泣いてしまうで?」
龍驤さんが、司令官さんをお酒に誘いましたが、司令官さんはやんわりと断られます。するとヨヨヨとばかりに龍驤さんは嘘泣きを始め出したのです。
そこまでして、お酒に誘いたいのでしょうか?
「まぁ、中々こういう機会はないだろうし、たまにはいいんじゃないかい?司令官」
響ちゃんもフォローを入れてきます。
それでも司令官さんは、時々電の方へ目を向けながら、どう断ろうかと考えておられるのが、解りました。
お酒を呑むのが、嫌というよりは、電を気遣って下さっているのです。
だから、電は司令官さんに大丈夫と伝えるのです。
「司令官さん。電は、食休みするのです。だから、龍驤さんたちに付き合って、あげて下さい」
「ほれほれ。嫁さんの許可も出たんやし、覚悟きめーや?なんやったら、電も一緒に呑んだらええやろ?」
「鳳翔さん。私は、ウオッカを。あと、適当にツマミを頼むよ」
嫁さんの許可……そんなつもりは、無かったのです。
おまけに、さらっと電もお酒に誘われたような?
あと、響ちゃんは、フリーダム過ぎるのです。
「解った解った……少しだけだぞ」
「そうこなな!鳳翔!湯呑み三つ貰えるか?」
「うぉい!?」
「コップ酒と、ちゃうだけ、きー、つことるやろ?」
諦めて、龍驤さんの誘いを受けた司令官さん。
龍驤さんは、『よっしゃ!』と言わんばかりに鳳翔さんに、湯呑みを頼みます。
電は、よく知らないのですが、お酒というのは、湯呑みで飲む物なのでしょうか?
司令官さんの反応からして、そうじゃない気がするのですが。
鳳翔さんは、ニコニコと微笑みながら、湯呑みを三つと一升瓶を龍驤さんの前に置かれました
鳳翔さんが、出されたという事は正しい……のです?
「まぁ、いこか♪」
「ウオッカ、おかわり」
龍驤さんが、容赦なく日本酒を湯呑みに注ぎます。電の分もです。
響ちゃんは、マイペースでウオッカを飲んでいます。
あまり強いお酒ではないのでしょうか?
龍驤さんは、自分の湯呑みにも酒を注ぐと、一気に呑み干されました。
「かー!この一杯の為に生きとるって奴やね。ほれほれ、湯呑み、はよ、空けや?電もぐーっと行こか?」
「おいおい……てか、電は、m」
「は、はいなのです!」
どうしようかと思っていた所に、龍驤さんに声を掛けられ驚いた私は、慌てて返事を返しつつ、湯呑みの中身を一気に飲んでしまいました。
それと同時にカッと胸の方が熱くなった気がしました。
「電!大丈夫か!?」
「おー!電、えぇ呑みっぷりやなー」
司令官さんが、慌てながら電へ、声を掛けくれます。
何かあったのでしょうか?
初めてのんだ、お酒は、おいしかったのです。
「……美味しいのです♪」
「……電、平気なのか?」
「大丈夫なのです♪」
「ほんま、キミは、心配性やなー」
しれいかんさんは、何をしんぱいされているのでしょうか?いなづまは、だいじょうぶなのです。
からだが、ぽかぽかしているだけなのです。
「電、もう一杯行くか…………ん?えらい顔が、あこうなっとらんか?」
いなづまのおかおが、あかいのですか?
おかおが、あついきはします。
そうだ。だんなしゃまにだっこしてもらえば、いなづまが、あついのか、わかるのです。
「電!」
「……」
「……いな……づま?」
だんなしゃまが、こちらをむいています。
ちょーどいいのです。
「だんなしゃま~♪」
いなづまは、だんなしゃまにだっこしてもらうのです。
だんなしゃま、いいにおいがするのです。
いにゃづまは、すりすりするのです。
「……電て、酒初めてか?」
「少なくとも、私は、電がアルコールを口にしたのを見たことも、聞いたこともないかな」
「マジか~」
なにか、こえがきこえるのです。
でも、いにゃづまは、すりすりがいそがしいのです。
ふにゃー……なんだかものたりないのです。
えっと、えっと……そーだ
だんなしゃまに、ちゅーしないといけないのです。
だんなしゃまに、ちゅーは、いにゃづまのだいじなおしごとにゃにょでしゅ。いにゃづまのほんきなのです。
「だんなしゃまー♪ちゅー♪」
だんなしゃまに、とびついて、ちゅーしたのです。
にゃー、だんなしゃまにちゅーしてると、いにゃづまは、とってもしあわせにゃのでしゅ。もっとぎゅーってするのでしゅ……
「あらあら……」
「こんなとこで、イチャイチャすなや……」
「ウオッカ、おかわり」
なにか、きこえてきたのです。でもいにゃづまには、かんけいないのでしゅ。……にゃんだか、ねむいのでしゅ。
だんなしゃま……だいしゅきなのでしゅ…………
* * * * *
それは、記憶には無いはずの感覚。
とても穏やかな気持ちにさせてくれるそれ。
知らない筈なのに知っているような。
そうして、私は…………
不意に意識が覚醒します。感じるのは温かな誰かの温もりと僅かな振動。この感じは、おぶられているのでしょうか……?
私はたしか、司令官さんと鳳翔さんのお店で……
「………しれい……かん……さん」
「お、目が覚めたか……気持ち悪かったりしないか?」
「はい……」
私は、全部を思い出したのです。
龍驤さんが、注いでくれたお酒を飲んで、酔ってしまって、司令官さんに……
「……司令官さん、ごめんなさいなのです」
「……何がだ?」
「電が、お酒に酔っぱらってしまって……その」
「覚えているのか?」
「……なのです」
電は自分のした事に対する恥ずかしさよりも、司令官さんにご迷惑をおかけしてしまった事の方がショックでした。司令官さんは、電に凄く優しいです。
けれど、さすがに今回は、司令官さんでも呆れ果てて怒られてしまうのです。覚悟は出来ているのです。
でも……嫌いにならないで欲しいのです。
電は、司令官さんにおぶさったまま審判の時を待ちました。でもその時は、訪れません……
「……その、怒らないのです?」
司令官さんに問い掛けます。
それに、司令官さんが答えてくれます。
「怒る理由が、無いしなぁ……」
「でも、電は……」
「……電は、な。何時でも頑張ってくれていてな、自分が、大変なときでも周りを気遣える優しい女の子でな」
「……」
「甘えん坊の癖に、色々と気遣って、我慢する子で……だから、お酒の妖精さんが、電に力を貸してくれて、甘えさせて、くれたんだよ……」
「お酒の妖精さんってなんなのですか……」
司令官さんに、思わず言ってしまいます。
「俺は、また一つ電の可愛い所を知れて嬉しかったぞ」
……本当に、この人は、なんなのでしょう。
『ダメいなづま製造機』なのです?
私は、何時もの言葉を口にします。
「……本当に、旦那様は、電の事を好き過ぎるのです」
「誰よりも、愛しているぞ?」
そんな事は、とっくに知っているのです。
……だから……
「…………電も、愛しているのです」
月明かりの下、私の心からの想いを伝え返すのです……
8000文字近くになりました。
やはり電さんが、可愛すぎるのがいけないのですよ。
糖分は程々でヨシ!