転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します 作:フィークス2号
「よーし!次はこことここにサインして……こっちはハンコ!よし!じゃあ次の書類だね!いいペースだよデンジくん!」
私はデンジ君を誉めてナデナデしながら、一緒にコウモリの悪魔討伐に関する書類を片付ける。淡々と静かに書類整理をこなすデンジ君だが、その目には生気が宿っておらず口は半開きである。
「いやー、書類が多くてごめんね。公安のデビルハンターって、悪魔が出てない時は大体こんな感じで書類整理ばっかなんだよね。つまんないかもしんないけど頑張ってね!」
デンジ君は心ここに在らずといった感じで、何の反応もせずにハンコ押しマシーンと化している。こっそりここにサラッと婚姻届とか混ぜても、デンジ君気づかずにそのままサインしそうだな……。
「……デンジ君大丈夫?悩みがあるなら相談乗るよ?」
ついに私は覚悟を決めて、デンジ君に優しく声をかけた。
「俺ぁ…俺はずっと追いかけてたモンをやっと掴んだんです。でもいざ掴んでみるとそんなモンは……俺が思っていたよりも大した事なくて……。
もしかしたら……これから俺がまた何か違うモン追いかけて掴んだ時もっ、追いかけてた頃の方が幸せだったって思うんじゃねえのかって……。
そんなの……糞じゃあないですか……!」
デンジ君は思い詰めたように、辛そうに言葉を紡ぐ。
アレ!?おっぱいの話かと思ってたけどまさか違う!?凄い深刻そう!ヤバい!色ボケしてて、重めの話が来ると思ってなかったからどうしよう!
「デンジ君……何があったか言ってみて?力になれるかわからないけど、どんな事でも話したら少しは楽になると思うんだ。」
「初めて胸を揉んでみたら大した事なかったって話です……」
あ、ちゃんと胸の話だった。よかった、安心した。
「そっかあ……。デンジ君、その胸を揉んだ相手は、君が揉みたくて揉みたくて仕方がない相手だったの?それともたまたま胸が揉める相手だったの?」
「たまたま胸が揉める方っす」
デンジ君は言う。私は原作のマキマさんを意識して、デンジ君の腕を触りながら言った。
「デンジ君。エッチなことはね、相手によって幸せの大きさも変わってくると私は思うんだ。
お互いのことをよく知っていて、お互いが愛し合ってればその分知らない人とするよりももっと幸せになれるはずだよ。」
私はデンジ君に体を近づけ、デンジ君の指に自分の指を絡ませながら言う。
ヤバい!めっちゃ緊張する!めっちゃ興奮する!落ち着け!落ち着け私!それが無理でも取り繕え!余裕のあるお姉さんムーブをかますんだ!
「勿論相手の心を理解するのも大事だけど、最初はどんな体をしているのかを知る事、それから始めるのもいいかもね。
手の形、指の長さ、手の温度……」
私はデンジ君の指をひとしきり触った後、その手を私の顔に近づける。ヤバい!めっちゃ胸がバクバクしてる!
「耳の形、髪の手触り、それに……指を噛む力、知れることはいっぱいあるんだよ?」
私はデンジ君に耳や髪を触らせた後、指を甘噛みした。
「私の体のこと、色々覚えられたかな?」
「お、覚えました。」
デンジ君は顔を真っ赤にしてる、私は……どうだろう。仕事の関係上、ポーカーフェイスとかは得意だけど、この恥ずかしさや嬉しさが顔に出ていないだろうか。ニタニタ笑って、気持ち悪い表情になってたらどうしよう。
私は不安に思いつつも、意を決してデンジ君の手を私の左胸に当てた。
「あア!?アっ!!」
デンジ君が驚きのあまりに立ち上がって転びそうになるも、私はぎゅっと抱きしめてそれを防ぐ。
「おっと危ない!……ふふ、デンジ君はこういうこと初めて?」
「は、あ、ヒャイ……」
「私もだよ……。ほら、私の心臓の音聞こえる?凄いバクバク言ってるでしょ。
頑張って取り繕ってるけど、実はすっごく興奮してるんだ。ふふふ……。」
私はそう言うと、ハグをやめてデンジ君からそっと離れた。
「どうデンジ君?また胸を揉んでみたわけだけど、今度のも大した事ない?」
「た、大した事ありまぁすっ!」
顔を真っ赤っかにしてデンジ君は叫ぶ。
「ふふ、良かった。私も幸せな気分だったよ……。」
そして私はデンジ君に続けて言った。
「デンジ君、お互いに愛し合う為にはまず自分が愛されるように意識するのが大事だと思うんだ。
例えば身だしなみに気を遣ったり、他人にも気を使う態度をとったりね。
そうやって頑張る事で、いろんな人から愛される人気者になれるんだ。」
「人気者……。」
デンジ君が私の言葉を繰り返す。
「うん、みんなに愛される人気者になれば、お互いに愛し合うのはもう簡単。自分が誰かを好きになれば、それで相思相愛だよ。相思相愛なら、お互いのことをもっと知りたくなって、自然と相手のことを知れるし、自分のことも知ってもらえるんだ。
デンジ君、世界中から人気者になれる手っ取り早い方法って興味ある?」
「あ、あります……」
「ふふ、じゃあ教えてあげる。それはね、
銃の悪魔を倒す事だよ。」
私はデンジ君に言った。この銃の悪魔を倒すという目的、それはデンジ君とアキ君の関係をより良くするきっかけになる。
アキ君は銃の悪魔を倒す為に、デンジ君を生かそうとするのだ。多分描写外でもこれがきっかけでアキ君がデンジ君に心を開いたりしたんじゃないかなぁと思ってる。
「銃の悪魔……?」
「うん、13年前に米国に出現してどこにいるかもわからない凄く強い悪魔なんだ。
その悪魔を世界中のデビルハンターが殺したがってるけど、まだどこにいるかも分からないんだ。
でも、デンジ君ならきっと殺せると思うんだ。だってデンジ君は他のデビルハンターとは違って、悪魔に対しても怯えずに立ち向かえる。そんな凄い人だからね。」
私は微笑んで言う。
「あの……マキマさん!もし俺が銃の悪魔をぶっ殺したら、マキマさんは俺の事……好きになりますか!?」
デンジ君が緊張しながら言う。
「ふふ、デンジ君。私は好きでもない人に胸を触らせるほど、大胆な人じゃないよ。
でもそうだね、もしデンジ君が銃の悪魔を殺したら、今以上に好きになっちゃうかも。
それにもし銃の悪魔を倒せば私の仕事も楽になるし、楽になった分デンジ君と一緒にお出かけしたり、遊んだりする時間もたくさん増えるだろうね。」
「デンジ君と一緒にお出かけしたり、遊んだり……それってデートじゃ」
「うん!そうだね!」
私はデンジ君に笑顔で返す。
「マキマさん!俺に任せてください!俺その銃の悪魔の野郎を絶対ぶっ殺して見せますよ!」
「おお!デンジ君さっすがぁ!頼りになるね!
……でも、無理は絶対にしないでね。デンジ君が死んじゃったらデートどころの話じゃなくなっちゃうもん。」
私はそのあとデンジ君に対して、銃の悪魔についての基本的な知識を教えて再び書類を片付ける作業に戻った。
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姫野は海に出没した魚の悪魔……恐らく鮭の悪魔を討伐し終わり、公安本部に帰還していた。
「マキちゃんただいま!……てうおっ!マキちゃんどうしたの?」
悪魔討伐の報告に訪れた姫野を待っていたのは、頭を抱えるマキマの姿であった。
「あ、姫パイ……実はちょっと色々あってね。聞いてもらってもいい?」
「……わかった、私になんでも言ってごらん。マキちゃんには色々お世話になってるからね。
で、何があったの。」
「うん、実は今日ね、デンジ君と書類整理してたの。それでね……それでね」
「うんうん。」
姫野は深刻そうに話すマキマの次の言葉を待つ。
「色々あって、デンジ君に私のおっぱい触らせたの。」
「何やってんだテメェ!」
姫野はマキマの頭をはたいた。
「バカチン!今日私が何言ったか覚えてなかったの!?言ったその日のうちにそんな事やらかさないでよ!」
「だって……デンジ君落ち込んでて……。どうしよう、ふしだらな女の人だって思われたりしないかな?大丈夫かな?」
「心配するところそこじゃないでしょ!」
「そこだよ!そこ以外は割とどうでもいいの!あー、どうしよう、よく考えれば銃の悪魔討伐をお願いする流れも不自然だった気がする……。
てか私の表情変じゃなかったかな!?ニマニマしてて気持ち悪いって思われなかったかな!?
ああ、もうどうしよう〜」
「……マキちゃんがご乱心してる。初めて見たかも。」
そのあと姫野はマキマの愚痴を聞きながら、彼女のことを慰める羽目になったのであった。