転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

19 / 57
17話 罰の執行

 

 

 

 駅にて、京都公安に所属する多数のデビルハンター達がこれから来る大物を待っていた。その中には京都公安の中でも腕利きのデビルハンターである天童ミチコ、黒瀬ユウタロウも含まれていた。

 本来、たかだか1人のデビルハンターのお迎えの為だけに、ここまでの有力なデビルハンター達を態々向かわせる必要はない。それでもこれほどのデビルハンターを出迎えの為だけに派遣したのは、それだけその大物が重要視されていることの表れだろう。

 その大物の名はマキマ。内閣官房長官直属のデビルハンターであり、公安対魔特異4課のリーダーである。

 

 そして天童と黒瀬の2人がマキマが乗る新幹線が到着する場所で待機していると、情報を受け取った仲間が報告しにきた。

 

 「大変です!東京で特異1課2課3課4課が銃で襲撃されたようです!

 

 「「あ!?」」

 

 その報告を聞いて2人は汗を流して焦った。

 

 「マ、マジ……!?マキマさんは!?マキマさんはどうなったん!?」

 

 「落ち着け黒瀬!そんな簡単にマキマさんがやられるわけないだろ!

 襲撃の規模は?被害は?状況は?」

 

 天童が黒瀬を落ち着かせつつ、報告にきた部下から詳しい情報を聞き出そうとする。

 

 「は!現在入っている情報によると、襲撃者は現在確認できているだけで60名以上の大人数ということです!

 襲撃者の武装はハンドガンだけではなく、サブマシンガンやアサルトライフル、スナイパーライフルなどの重装備で襲撃してきたとのことです。」

 

 「お、おいおい……そないな武器を使うなんて、完全に戦争やないか」

 

 「くっ、被害は!?被害はどうなんだ!?」

 

 「そ、それが……現在流れ弾を食らった民間人などの負傷者についての情報はあるんですが……。

 肝心の特異課での死傷者については依然情報が錯綜しているようで……死者が1人も確認できていないんですよ。」

 

 「「はぁ!?」」

 

 黒瀬と天童は声を合わせて聞き返した。

 

 「どういうことだ……?襲撃を受けたのに特異課での死者が0人?敵の目的は特異課じゃなくて陽動?いや、そもそも襲撃者は殺す気がなかったのか?」

 

 「いえ、多数の特異課メンバーが撃たれたという報告はあるので、殺す気はあったと思われます。ただ、撃たれた特異課職員の中で死亡したという報告が皆無なんです。」

 

 「どういうことなんそれ?……いや、もしかしたらマキマさんが何かやったんかもなぁ。」

 

 黒瀬は以前に協力した際のマキマを思い出す。公安対魔特異4課のリーダーを務め、メディア露出も非常に多いデビルハンターであるマキマ。

 彼女は公安の中でも屈指のエリートであるにもかかわらず、決して偉そうに振る舞わず常に他の職員に対しても丁寧に接していた。

 そしていざ、悪魔や悪魔の力を悪用する犯罪者との戦いになれば、彼女は自分の力を最大限に使い仲間が傷つかぬように動きつつ、敵を圧倒していた。

 彼女の契約する悪魔は機密であり、黒瀬は知らない。ただ、その戦いの時に使用した能力を考えると鎖の悪魔や手錠の悪魔、あるいは警察の悪魔と契約していたと予想している。

 彼女が別の悪魔と契約したか、あるいは他の職員になんらかの手を打たせるかして、仲間が死なないように仕向けたのだろう。黒瀬はそう考えた。

 

 「まぁ、特異課の連中で死んだって報告がないならマキマさんも無事そうやな」

 

 「よかったあ〜!ウチら待ち損になるんかと一瞬焦ったわ!

 まぁ、この感じならウチらの任務がマキマさんを病院に護送することにならなくてすみそうでよかったわ」

 

 「いやいや、マキマさん案外抜けてるところあるからなぁ。もしかしたらヘマして、自分1人だけ身を守るのを忘れて血だらけでこっち来るかもしれんで?」

 

 「ああー、ありそう。マキマさんテレビだとすごく凛々しそうだけど、実際割とおっちょこちょいやしなぁ。」

 

 急な報告に一瞬身構えた2人、しかし死者の報告がないことから緊張が抜け、余裕ができたことから、黒瀬に至っては素の京都弁か駄々漏れになっていた。

 

 そしてついに新幹線が到着した。

 

 「ごぶぅ!ゲハっ!ゴホッゴホッグバァ!」

 

 「「ギャアアアあああ!」」

 

 2人の目の前に現れたのは、全身から現在進行形で血を流し、なんなら口からも吐血しまくって新幹線も駅も血で汚しまくる、付き人に肩を支えられて降りてきた大物、血まみれのマキマの姿であった。

 

 「ちょ!?マキマさん!?きゅ、救急車救急車ぁ!」

 

 「だ、大丈夫です。いや全然だいじょばないけど!ぐはっ!

 そ、それよりも神社……高いとこの神社……げぶぅ!」

 

 「いや観光しとる場合ちゃうやろ絶対!?他の客もドン引きするわ!?」

 

 あまりの事態に混乱した黒瀬は、大阪市民のようにツッコミを入れる。それに対して、マキマに肩を貸している付き人、月本が代わりに答えた。

 

 「いえ、違うんです!マキマさんは今、襲撃を受けている公安メンバーのダメージを肩代わりしているんです!さっきまで落ち着いていたんですけど、襲撃者との戦闘が激しくなったみたいで……。

 マキマさんを助けるためには、襲撃者達を倒すしかありません!そのために標高の高い神社に行く必要があるんです!」

 

 「わ、わかった!気ぃ動転してアホな勘違いしてすまんかった!俺も肩貸す!マキマさん!すぐ着くから!しっかりしてくださいよ!?」

 

 「ぐっ……あ、ありがとう黒瀬くん。がぁ!?」

 

 「喋るな!喋るな!もう大丈夫だから!」

 

 「あ、すいません!それと襲撃者を倒すために、囚人が必要だそうです!

 法務省から終身刑以上の囚人を出来るだけかき集めてください!」

 

 血まみれの女が、さらに血を噴き出しながら2人の男に肩を貸されて移動するという、狂気の光景。当然のことながら、京都駅が混乱に包まれたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「くっ……してやられたな。まさか完全に読まれてやがったとは。」

 

 特徴的なもみあげをした若い男、襲撃してきたヤクザの孫が顰めっ面をしながら言う。

 

 「おい、お前の組の誰かが裏切ったとかはないのか?」

 

 沢渡アカネが訝しそうに孫を見る。

 

 「いや、それはねぇ。親父の契約した悪魔の力でそれはできない。それはこの襲撃に参加したじいちゃんの組以外の奴等もな。あるとしたらお前の方から漏れたって線だが……」

 

 「……銃の悪魔がそう簡単に情報を漏らすわけないだろ。

 お前らでもなくあたしでも無いとすると残るは一つ」

 

 「糞マキマの能力か……。」

 

 忌々しそうに孫はマキマの名前を口にする。

 

 そして2人は仲間のヤクザか乗って待つ車についた。

 

 「若!よくぞご無事で!」

 

 「ああ、それで状況はどうなってやがる?親父はマキマの奴を殺し損ったみたいだが。」

 

 「それが組長達は手はず通りに渡された銃をありったけぶち込んだようですが……。なんでも撃たれた後にマキマのやつが生き返ったらし……」

 

 報告してるヤクザが急に喋るのをやめた。

 

 「おい、どうした?」

 

 沢渡が尋ねる。

 

 「おい!マキマが生き返ってどうなったんだ!」

 

 「え、あ、なんか……なんだコレ?。」

 

 仲間のヤクザに対して沢渡が尋ねる。

 

 「早く続きを言え、組長達はどうなったんだ?」

 

 「な、なんか変な感じなんです!」

 

 「変な感じって?襲撃がか?」

 

 「違うそれじゃあねぇ!なんだこれ!?なんだこれ!?なんなんだぁ!?」

 

 男は急に混乱し、大きな声を出し始め……

 

 

 

 パシャア!!

 

 

 男は見えない何かに叩き潰された。そしてその場所には男の服と、血が染み付いた道路が残された。

 ヤクザの孫と沢渡、そして他のヤクザは唖然とした表情でその光景を見つめていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私こと偽マキマは、襲撃者のヤクザ達を罰の悪魔の能力で殺す為、京都にある標高の高い神社に来ていた。

 といっても、原作の真マキマさんのようにその姿はカッコイイものでも、凛々しいものでも無い。私はヤクザの襲撃によって服はボロボロだし、その上血まみれだ。

 しかも車に乗ってる最中にも、ダメージを肩代わりしているせいでどんどん傷が増えていくし、そのせいでどんどん血が流れて乗ってきた車が血で汚れまくってしまった。……京都府の公安の車だし、やっぱあれ私が弁償しないとダメかなぁ?

 しかも原作と違うのはそれだけじゃ無い。

 

 「なぜ俺たちも目隠しを……?」

 

 「マキマさんは内閣官房長官直属のデビルハンターだ。一端のデビルハンターじゃ契約している悪魔を知ることは許されない。」

 

 天童ちゃんが黒瀬君に答える。

 

 「……それはわかった。でもじゃあなんでマキマさんは囚人だけじゃなく俺たちも鎖で縛ってるんだ?」

 

 そう、いま黒瀬君が言った鎖。これが原作と大きな違いだ。

 天童さんと黒瀬君、そして囚人達を縛っている鎖は私の能力の支配の鎖だ。これは相手を物理的に縛ることだけじゃなく、縛った相手の力を効率的に支配することができるのだ。……てか、それが本来の使い方だ。

 この支配する力を効率的に使うことで、このボロボロの私でもうまく2人が契約している悪魔……罰の悪魔の能力を使いやすくしている。

 

 「ああ、黒瀬は知らんかったか。マキマさんはこうやって悪魔やデビルハンターを鎖で縛る事で、そいつが使う悪魔の能力を使えるんや。

 さっきマキマさんがウチらの悪魔の力を借りてもいいか聞いてきたやろ?」

 

 「噂には聞いてたけど、マキマさんが能力借りれるってホンマやったんか……。都市伝説だと思ってたわ」

 

 そしてこの鎖で直接縛って支配の力で悪魔の力を借りることのメリットは、効率がいい事以外にもある。

 それは私の能力を誤解させられる事だ。私は基本、人の目がある場所で他の悪魔やデビルハンターの能力を借りるときはこうやって鎖を通して借りている。

 そうする事で私がいちいち能力を借りるのには、近くに能力を借りる対象がいる必要があると誤認させられるのだ!こうする事で、支配の悪魔の持つ、他の悪魔の能力をほぼノーリスクで使えるというチート能力を隠すことができる。

 この能力は本当にチートだからなぁ……。このチートのおかげで何度命を救われたことか。こんな凄い力を、もし対策でもされて防がれたら私は確実に死ねる。なので私はこのチートを秘密兵器として全力で隠しているのだ。

 たぶん、鎖で縛らなくても悪魔の力を借りれることは公安でも知ってる人はいないと思う。あ、でも岸辺先生はすごいからなぁ……訂正、公安でも岸辺先生を除いて気づいてる人はいないと思う。

 

 そして囚人達にもこの支配の鎖を使用している理由、それは私にかけられている永遠の悪魔の力を囚人達にも与える事で、罰の悪魔を使用しても囚人達が死なないようにする為だ。

 といっても、私が肩代わりした襲撃のダメージで死なないようにする為に、その分の永遠の悪魔の力を残しておかなきゃいけない。

 なので囚人に割ける永遠の悪魔の力は限られており復活にはかなり時間がかかる。だから今日中に囚人を復活させて罰の悪魔への生贄にまた使うことは出来ないけど……。

 それでも法務省から借りてる囚人をバンバン死なせるよりはマシでしょ。私の残機も減らないし……。

 

 ……てかよく考えたら、囚人達と一緒に天童ちゃんと黒瀬君を縛ってるのってめっちゃ失礼じゃないか!?うわぁ……どうしよ、今からでも鎖外そうかな?いや、ここで鎖外して能力借りたら『鎖使わなくても能力借りれるん!?じゃあなんでウチらのこと縛ったん!?』って怒られそう。

 ごめん、怒られるの怖いからこのまま縛らせてもらいます。後で東京の美味しい料理屋さんでご馳走しまくるから!許して!

 

 私は2人に心の中で謝りつつ、罰の悪魔の力を使用した。

 

 「三島シュウゾウ……と言いなさい」

 

 「三島……シュウゾウ?」

 

 男がそう答えたのを聞き、私は罰の悪魔の力でヤクザの1人を圧殺した。

 それと同時に囚人がパタリと倒れ、ビクビクと痙攣する。よし!永遠の悪魔の効果でちゃんと生きてる!これで法務省にも怒られずに済むな。私は囚人達にヤクザの名前を言わせ、次々と罰の悪魔の力を行使した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「と……止まった?」

 

 沢渡アカネとサムライソード達は青ざめながら、潰された仲間達を見ていた。

 

 「こんなデタラメな力は多分マキマのだ。大丈夫な間に逃げるぞ!」

 

 2人は車に乗り込んで逃げようとするが……。

 

 「貴方達、銃撃犯ですよね?」

 

 公安対魔特異4課の職員、東山コベニともう1人、顔に傷がある男。

 

 「そこまでだ。貴様らを傷害罪、器物破損罪、公務執行妨害罪、銃火器類特別規制法並びに……殺人未遂の疑いで逮捕する!」

 

 襲撃により傷を負いつつも、マキマとの契約で死ななかった荒井ヒロカズ、2名の公安のデビルハンターが立ち塞がった。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。