転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

20 / 57
18話 まともじゃない!

 

 

 「大人しく投降しろ、お前達の企みは失敗した!」

 

 車で逃げようとしていたサムライソードと沢渡アカネ、2人の前に臨戦体制の荒井とコベニが立ち塞がる。

 荒井は狐の悪魔を呼び出せるよう手を狐の形にして2人に向けており、コベニは血のついた包丁を構える。

 

 「ヘビ、尻尾」

 

 沢渡はそんな2人に怯むことなく蛇の悪魔を呼び出し、巨大な尻尾で荒井とコベニを攻撃する。

 

 「させるか!コォン!」

 

 それに対して荒井も咄嗟に狐の尻尾を呼び出して、蛇の尻尾に絡めて動けなくした。

 

 「ちっ!」

 

 「今だコベニちゃん!」

 

 コベニは絡まった尻尾の上を走り抜ける。

 

 「猿か!?」

 

 サムライソードは銃を抜き、コベニを撃とうとするが、その前にコベニに腕を切り落とされ銃を奪われる。

 そしてすぐさまサムライソードに二発の弾を浴びせ、沢渡にも引き金を引く。

 

 カチカチ

 

 しかし、奪った銃にはもう弾は入っておらず沢渡が撃たれることはなかった。

 

 「チッ!もう少し温存したかったが仕方がねぇ!」

 

 そう言うとサムライソードは口で自分の手を引っ張り、刀の悪魔へと変身した。

 

 「な!?悪魔になっただと!?」

 

 荒井は驚愕しつつもコベニに駆け寄り、狐の尻尾をもう一つ召喚してヤクザの孫を攻撃した。

 

 「効くか!」

 

 しかし、サムライソードは荒井の召喚した尻尾を切り刻みそのままコベニに斬りかかる。

 

 「危ない!」

 

 荒井は先ほどのヤクザによる銃撃から庇ったように、再びコベニを庇いサムライソードに斬られた。

 そして荒井は大量の血を流して倒れた。

 

 「そんな……」

 

 コベニは銃で撃たれたのとは比較にならないほどの出血をする荒井を見て動揺し、動きが止まる。

 

 「沢渡!今のうちに逃げるぞ!」

 

 「ああ、また復活されても面倒だ。」

 

 襲撃犯の2人はそう言うと車に乗り込み、逃げ出した。

 

 「……あ、荒井さんを、2度も死なせちゃった。」

 

 1人残されたコベニはポツリと呟いた。

 

 「フ、フフ、2度も死なせるって……。2度も死なせるって……!なんだソレ……!フフフ、フフ、フフフ……!」

 

 あまりの事態に混乱するコベニ。

 

 「ぐっ、う、ううう……。」

 

 しかし、荒井がうめき声を上げたことで、コベニは我に帰る。

 

 「あっ、そ、そうだ。マキマさんが言ってた契約!死なないんだから取り乱す必要なんてなかったじゃん……。

 しかも犯人逃しちゃったし、何やってんだ……何やってんだ私。

 そ、そうだ!とりあえず救急車!救急車呼ばないと!荒井さん!しっかりしてください!」

 

 我に帰りつつもまだ混乱しているコベニは、契約で傷が治ることも忘れ、荒井のために救急車を呼んだのだった。

 そして救急車が到着した頃には、荒井の傷はすっかり治っており、コベニと血まみれだが無傷の荒井は2人して救急隊員に謝ることになったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「もう外して大丈夫です。ここで私が出来ることは終わりました。」

 

 私は罰の悪魔で襲撃してきたヤクザの中で、把握している者を倒し終わり、待ってくれている天童ちゃんと黒瀬くん、それと月本さんに声をかけた。

 

 「ふぅ……。て、うわぁ!すごい囚人達がビクンビクンしてる。き、気持ち悪い。」

 

 「……マキマさん、これ大丈夫なんですか?法務省から借りて来た囚人達、ちゃんと生きとりますか?」

 

 月本さんが囚人達を見てドン引きしながら言い、黒瀬君は心配しながら私に聞いた。

 

 「うん、ちゃんと生きてるよ。時間は掛かるだろうけど暫くしたら復活するよ。」

 

 私はそう言うと、天童ちゃんと黒瀬君の前に立って言った。

 

 「2人とも、悪魔の力を貸してくれてありがとうね。本当に助かったよ。」

 

 「いやいや、ウチらはただ突っ立っといただけでなんもしとらへんし。」

 

 「……そういえば迎えに俺らが選ばれたのって、まさかこのため?」

 

 「うん、襲撃が起こることは把握してたからね。」

 

 私は黒瀬君に言った。

 

 「だったら事前に法務省から囚人借りて、神社に待機させといた方がよかったんちゃいますか?」

 

 「いや、事前に大量の囚人を借りる申請をしたり、その囚人達を神社に集めておくのは流石に目立ちすぎるからね。

 不審な動きをして、私が襲撃を把握してることを知られる訳にはいかなかったから、準備はできなかったんだ。忙しくさせちゃってごめんね?」

 

 私は頑張って爆速で囚人を借りてくれた黒瀬君に謝る。

 

 「ああ、そういことなら納得です。マキマさん割とおっちょこちょいな所あるから、うっかり忘れてたんじゃないかと。」

 

 「ああ、確かに。テレビとかだとザ・エリートって感じで完璧超人に見えますけど、マキマさん普通にミスしたりしますもんね。」

 

 黒瀬君も月本さんが笑いながら言う。

 

 「そんな……酷いよ黒瀬君、月本sグボハぁ!」

 

 私が否定しようとした瞬間、思いっきりお腹の辺りを斬られた痛みが走り、目の前の天童ちゃんと黒瀬君が血まみれになった。

 

 「ぎゃああ!」「うわあぁぁ!」

 

 「マキマさん!?」

 

 しまった……サムライソードと沢渡アカネを忘れてた。いや、サムライソードは殺しててすぐ復活するから放置してて、沢渡アカネは黒幕聞き出すためにあえて殺しておかなかったんだけど……。

 それでも安心するのは早すぎた!てかよく考えたらあの組長も生きてるじゃん!……そういえば組長の名前なんなんだろうか。全力で調べてるのに全然情報が出てこないとか、あの組やっぱ隠蔽力が狂っとる。こっちは小動物操って盗聴とか盗み見出来るのにどうなってるの……?

 

 私は出血により服とかを血まみれにしてしまった天童ちゃんと黒瀬君の2人に謝りつつ、4人で東京に戻ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 懐かしの東京!東京よ!私は帰って来た!半日しか離れてないけど。

 私が新幹線に乗り、東京駅に戻るとメガネをかけた甘党系男子、円くんとそのバディであるパールのイヤリングをした女性、遥華さんが出迎えてくれた。

 ……しゃあ!遥華さんがちゃんと生きてる!原作だと名前も出てこないで死んじゃったからなぁ。

 原作だと迎えに来てくれたのは円くんだけだったけど、私が契約した甲斐もあって無事に生き残れたようだ。

 

 「円くん!遥華さん!よかったぁ……生きててよかった。本当によかった。

 出迎えてくれてありがとね。それで、他の特異課のみんなはどうなってるの?」

 

 私は2人に尋ねた。

 

 「襲撃を受けたのは私たちを含む特異1課から4課の全部だね。全員銃で襲われましたよ。」

 

 「ですがマキマさんのおかげで、人外含む全職員が生存。負傷した職員も既に回復しています。」

 

 遥華さんと円くんはスラスラと報告する。私はそれを聞いて、小さくガッツポーズをした。

 っしゃあぁぁぁ!全員生きてる!原作では姫パイも荒井君も死んでたからなぁ……。いやぁ、本当によかった……痛い思いをした甲斐があったよ、うん。マジで嬉しいわ。嬉しさのあまりに踊り出しそう。サンタクロースもハンバーガー食った時、このくらい嬉しかったのかなぁ?

 

 「それと上からの通達です。今回の事件を解決するために、公安特別捜査本部の設置を決定。一時的に全特異課はその捜査本部の指揮下に置かれます。」

 

 「なるほど……。それで捜査本部の指揮官は岸辺先生が務めると。心強いね」

 

 私は笑みを浮かべて言った。1課を含めた全ての課を指揮する、これはもうキャリアとか実力的に考えて岸辺先生が取るに決まってる。

 原作では岸辺先生が隊長を務める一課は壊滅したみたいだけど、死者がいないということはしっかり残ってるってことだから、岸辺先生は隊長としての地位を維持してる筈。古くからいる1課の隊長と、その弟子である4課のリーダーである私。どちらを指揮官にするかと聞かれたら、やっぱ師匠である岸辺先生が選ばれる筈だ。私だってそうする。

 ふっふっふ、あの岸辺先生がリーダーを務めてくれるのだ。最強のデビルハンターを自称するほどに岸辺先生は優秀だ、敵に回るなら死ぬほど恐ろしいが、味方として助けてくれるのなら先生以上に心強い人はいない!

 

 「いえ、捜査本部の指揮官は襲撃を察知し、死者を0人で抑えた功績が評価され、マキマさんが選ばれました。」

 

 「え?」

 

 私は思わず真顔になった。……なんで?

 

 「それとこれを受け取ってください。」

 

 「あ、マキマさんごめんね。私の分もお願い」

 

 そう言うと2人はそれぞれ辞表と異動願の封筒を私に手渡した。

 

 「え?」

 

 「マキマさん。僕さっき契約する時のこと思い出したんですけど、この襲撃を生き延びたら公安辞めるって伝えてましたよね?ちゃんと一言相談したので辞めさせてください。繁忙期だってわかってはいるんですけど、僕も命は惜しいので。」

 

 「マキマさんごめんね。流石に公安のデビルハンターまでは辞めないけど、特異課でヤクザとドンパチするのはちょっと……。それと、他の課の人たちも結構今回のでビビっちゃったみたいで、私たちみたいに辞めたり異動する人多いみたいだから頑張ってね。」

 

 「え?」

 

 私はもうひたすら『え?』と繰り返すことしかできない。そんな哀れな中間管理職の私を、心配そうに京都組の2人と月本さんが見つめる。

 そして私に対して円君が尋ねた。

 

 「最後に教えてください、マキマさんは今回の事態をどこまで想定していました?」

 

 「……少なくともここまでの地獄は想定してない。

 ベテランの岸辺先生を差し置いて私が指揮を取る?いっぱい職員が辞めた特異課を率いて?しかもハンドガンだけじゃなくて、マシンガンとかショットガンとかで武装したヤクザ達を?

 うっそだぁ……。」

 

 私は絶望しながら答える。

 

 「マキマさん、私特異課には残らないけどマキマさんのご武運を祈ってるから!」

 

 「マキマさんすみません。本当に辛い時期だと僕もわかってるんですけど……。応援してますので頑張ってください。」

 

 これから安全圏に移る2人が暖かいエールを私に送ってくれる。私とデンジ君達も連れてって欲しい……。

 

 「あの……マキマさん。俺たち特異課には入るワケじゃないですからね……?」

 

 「……くぅ〜ん」

 

 私は京都組の2人を捨てられた犬のような顔で見つめた。

 

 「そんな捨てられた犬みたいな顔しても無駄ですからね……?ウチら指導に来ただけなんで……」

 

 「俺ら一週間で京都に戻りますから……。」

 

 「……さっきは血で服汚しちゃったり、鎖で縛っちゃったりしてごめんね。

 お詫びに東京の美味しいお店で奢るよ」

 

 「ありがとうございます。あっ、でも特異課には入りませんよ俺ら。」

 

 「……うん、お詫びの奢りだしね。でもせめて、せめて愚痴には付き合ってくれませんか?」

 

 「あ、すみません。私たち辞めるけど一緒にご飯だけ付き合ってもいい?ちゃんと愚痴は聞くから!」

 

 遥華さんがノリノリで釣れた。

 

 「遥華さん聞いてました?2人のお詫びってマキマさん言ってたでしょ。」

 

 そこに円君が鋭く突っ込む。

 

 「天童ちゃんと黒瀬君がいいなら大丈夫だけど……」

 

 「2人ともお願い!これが私にとって、マキマさんにタダ飯奢ってもらう最後の機会になりそうなの!どうせ食べるなら人数多い方が楽しいし!ね!」

 

 「えっ?あ、あー、ええちゃうん?」

 

 「しゃあ!じゃあそっちのお姉さんの方はどうよ!?」

 

 「く、黒瀬がええならウチもええけど……。」

 

 「っシャア!マキマさん、それじゃあ美味しいところよろしくね!いやー、ヤクザの襲撃生き延びた甲斐があったわぁ……。」

 

 「あ、2人がいいなら僕もご一緒します。デザート類が美味しいとこ希望です。」

 

 ものすごい勢いで食事に参加しようとして、見事成功した遥華さん。そして2人が良いと言った途端に秒で参加することを決めた円くん。

 そんな特異課2人を京都組はなんとも言えない表情で見つめていた……。

 

 

 特異課にはちょっと変わった人が多いからね!仕方ないね!




※読み飛ばしてもなにも問題ありません

本作中に出てくる原作で名前が出てこなかったキャラクター達の扱いについての解説

 本作品では月本さんや黒井さんなどのキャラクターが登場します。彼らは原作に出てきたが、名前が判明しなかった公安キャラクターに対して、私が勝手に名前をつけさせて頂き、オリジナル設定などを多数付与させて頂いたキャラクター達です。
 こういったキャラクターは今後増える可能性もあり、読み易くするため、また混乱を避けるために、彼らが原作ではどのシーンで出てきたキャラが元となっているのか、またどの部分がオリジナル設定なのかなどついて、軽く解説したいと思います。

 月本さん
原作の該当人物 マキマさんが新幹線に乗っている時に撃たれた付き人。

 公安対魔特異4課の新人歓迎会におらずら公安対魔特異4課のメンバーかも分からないのですが、本小説内ではオリジナル設定で特異4課の職員という事で扱わせて頂いております。
 また、原作の1話2話で行動を共にしていたシルエット状で容姿がよくわからない付き人のうちの1人も、オリジナル設定で彼ということにさせていただきました。
 名前の由来は付き人(つきびと)を一文字変えて月本(つきもと)。

 黒井さん
原作の該当人物 飲み会でデンジ君に「おら!若いんだからもっと頼め!食え!!」と言っていたガタイのいい公安職員。

 描いている最中に後付けのオリジナル設定で、原作の1話2話に出てきた付き人のガタイのいい方を彼ということにさせて頂きました。伏さんが新人の育成などに集中するため、一時的にマキマさんの第二の付き人をしていたという形。
 伏さんと一緒に行動してヤクザに撃たれていたので、この小説ないで勝手に伏さんのバディということにさせて貰いました。
 名前の由来は黒いシルエットだったので黒井。月本さんと黒井さんは『黒い付き人』を名前の元にしている安直な名付けです。

 遥華さん
原作の該当人物 コベニちゃんと話していた女性の公安職員。

 円さんのバディが不明だったこと、またヤクザに撃たれたシーンでペアで描かれず一人で撃たれていたことから、オリジナル設定で円さんのバディになって貰いました。
 伏さんにIQを尋ねたあと、『わざわざ覚えてるあたり自慢に思ってそう』という発言をしたのが彼女のだったと思われるので、割と遠慮のないキャラとして描かせてもらいました。
 名前の由来は耳に真珠のイアリングをしている→パール→ぱある→はある→→はる→ハルカ→遥華という連想ゲームで考えました。

 以上の上記にあるキャラクター達の設定は、大半が自分が考えた考察とすら呼べない想像によるものが大半です。キャラ達の名前やバディ、性格などは原作にある設定ではないのでご注意ください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。