転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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チェンソーマンの新PV来た!。

「マキマさんってこんな声かぁ……。」

大勢の人が、心の中でこのセリフ言ってると思う。


24話 特異課VSヤクザ

 

 「死ね死ね死ね死ね!」

 

 ヤクザ達が立て篭もる事務所のあるビルの4階の通路にて、マシンガンを装備した下っ端達が牽制射撃を行い特異課の職員の行手を防いでいた。

 

 「やれやれ、マキマさんがゾンビを操ってくれたおかげで、ここまでは楽に来れましたが……。

 こうやって守りに徹せられると厄介ですね。」

 

 「おい伏、何かいい策ないのか?IQ高いんだろ?」

 

 「そっちこそ学生の頃にアメフト部を優勝に導いた、ご自慢の肉体でなんとか出来ないんですか?」

 

 伏と黒井は、銃弾の当たらない死角に身を隠しながらぼやきあった。

 

 「ま、普通にいつも通りの方法で倒すのが1番でしょうね。『デビルハンターらしく悪魔の力を使う』」

 

 「それもそうか。敵陣の中にいるとはいえ、退路も確保してあるし後退すりゃすぐに輸血もできる。」

 

 そういうと伏はナイフを取り出し、自らの腕の動脈を斬り裂いた。

 そして動脈から流れた血が、幾つものおもちゃのヘリやクルマへと変貌する。

 

 「痛っ……!ラジコンの悪魔、頼みましたよ」

 

 そして伏はスタングレネードを血で作り上げたおもちゃのヘリやクルマに括り付けて、ヤクザに向かって進ませた。

 

 「な、なんだあのラジコン!?爆弾がくっついてやがる!?」

 

 「う、撃て撃て撃て!こっちに来るぞ!」

 

 ヤクザ達は銃で伏の作ったラジコンのヘリやクルマに向けて発砲するが、それらは全て躱されて遂にラジコンがヤクザのもとに到達する。そして……

 

    ドドドドォォォォン!

 

 「「「「うぎゃああああああ!!!!」」」」

 

 ラジコンに括り付けられた幾つものスタングレネードが爆発し、下っ端ヤクザ達の多くは気絶して、気絶しなかったものも思わずひるんだ。

 

 「黒井さん、今です」

 

 「オウ!」

 

 そして黒井はその隙に、足から生やした血で造られたバネを使い、まだ気絶していないヤクザ達に飛びかかりタックルを食らわせた。

 

 「おっしゃあ!伏、もう大丈夫だ。ここのヤクザは全員気絶した。」

 

 「ふう……ご苦労さまです。その様子ならまだまだ大丈夫そうですね。」

 

 「たりめぇだ!」

 

 黒井は伏に親指を立てて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ほい、ほい、ほい、ほい!」

 

 「ぐぇ!?」

 

 「ガハッ!」

 

 「ぐふぅ!」

 

 「ひぎぃ!」

 

 4階の別のフロアでも、ヤクザと特異課の戦いは同じように繰り広げられていた。そして先ほどの伏と黒井コンビのように、戦況は公安側に有利に展開していた。

 特異課に銃を向けるヤクザ達に対して、眼帯をした女性の職員が幽霊の悪魔を使い、次々と殴り倒していた。

 その女性の名は姫野、公安対魔特異4課のデビルハンターだ。

 

 「くっ……あの女だ!あの女を潰せ!よくわかんねえ腕は一本しか使えねぇようだ!全員で同時にかかれ!」

 

 「「「うおおおおお!」」」

 

 特異課の中でもベテランである姫野は、その経験の差からヤクザ達を圧倒するが、その活躍からヤクザ達に目をつけられ総攻撃を受けてしまう。

 

 「ちょっ、やば!退避退避退避!」 

 

 「馬鹿女が!逃すかよ!」

 

 姫野は物陰に隠れ銃弾を躱しながら逃げ、そんな姫野をヤクザ達は必死になって追った。

 そしてついにヤクザ達は姫野を壁際に追い詰めた。

 

 「嬢ちゃん……ちょっとお痛が過ぎたようだな」

 

 ヤクザ達は姫野に銃を向けて尋ねた。

 

 「最後に何か言い残すことはあるか?」

 

 「後ろ見てみ?」

 

 姫野は不敵に笑い、ヤクザの後ろを指差しながら言った。

 

 「馬鹿か?そんな子供騙しに引っかかるわけが……ぐぎゃ!」

 

 ヤクザがそう言いかけたところ、そのヤクザの後ろから早川、コベニ、荒井の3人がヤクザに不意打ちをして叩きのめした。

 

 「おびき寄せ作戦、大!成!功!いやー、撃たれながら走るのってやっぱ疲れるね。みんなもお疲れー。あ、コベちゃんコベちゃん、そこのヤクザ達縛っといて。」

 

 「は、はい!」

 

 後輩達に対して感謝しつつ、コベニに指示を出す姫野。

 

 「姫野先輩……やっぱり囮は俺の方が良かったんじゃないですか?」

 

 姫野を見つめながら、荒井は言った。そしてそんな荒井に対して、早川が答える。

 

 「いや、今回の囮は姫野が適任だ。

 囮をする際に、敵の注意を引く存在感、敵に悟られずに誘導する能力、そしてなによりも囮になっている間死なないだけの生存力が必要だ。

 お前とコベニは経験の浅さから囮だとバレる可能性がある。俺の場合はもう狐が使えなくて火力が低いから、どうしてもヤクザ達からすれば倒すべき優先順位が低い。

 そのことを考えると、場数を踏んでいてゴーストと契約している姫野が1番なんだ。」

 

 「そ、そうですか……。余計なことを言ってすいません。」

 

 「まーまー、荒井君。安心してよ!次に一仕事するのは君の番だからさ。

 あ、その次はコベニちゃんね?」

 

 「は、はい!」

 

 「わ、私もですかぁ!?」

 

 「コベニ、お前何しにここに来たんだ。」

 

 元気よく返事する荒井と、狼狽えるコベニ、そしてそんなコベニに対して、早川アキは突っ込みを入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ビルの10階、下から迫り来る公安達に対して、ヤクザ達は怯えつつも、守りを固めていた。

 

 「兄貴!もう既に5階まで突破されやした!ゾンビ軍団も無効化されたし、もう無理です!大人しく投降しやしょうよ!」

 

 「ば、ばっきゃろう!もし仮に警察が俺らを許しても、組にケジメつけさせられんだろうが!

 ムショを出た途端に殺されるんだったら、終身刑や死刑と何がちげぇんだ!」

 

 「で、でも、でも」

 

 「でもじゃねぇ!今親父がビルを出て戦ってんだ!テメェも気張れ!

 親父がマキマのタマを取るまで耐えるんだ!この階はバリケードをこさえてある。並の悪魔じゃ、突破なんて出来やしねぇ。難攻不落の守りだ。ここで耐えてりゃ、勝機がある!」

 

 ヤクザの幹部が、部下を鼓舞して迎撃に備えていた。

 幹部が言った通り10階はバリケードが築かれており、突破は困難だった。

 

 「ふっふっふっ、それに……だ。親父が準備したのはゾンビ軍団だけじゃねえ。秘密兵器はもう一つあんだよ。

 なんでわざわざ10階という中途半端な階にバリケードを築いたと思う?もし築くならサツが最初に突入するであろう1階や最上階だろ?

 答えは……これだ。」

 

 幹部はそう言うと、ガスボンベを指差した。

 

 「こ、これは?」

 

 「毒ガスだよ。こいつの存在は沢渡のやつにも、他の組にも喋ってねえ。

 これを知ってるのは親父と幹部である一部の者だけだ。

 このガスは空気よりも重いから、どんどん下に下がっていく。そうすりゃ下の階にいる公安もお陀仏だ。

 例えそうじゃなくても、再突入のためにはガス対策のための準備が掛かる。サツどもも減らせて時間も稼げる、正に一石二鳥だ。」

 

 幹部は不敵に笑い、部下は狼狽える。

 

 「兄貴正気ですか!?下にはまだ仲間が……」

 

 「敵をこの階まで突破させる阿呆どもだ、どのみちケジメはつけさせる必要があるだろ?

 それともテメェは、親父と俺らが決めた作戦に文句でもあんのか?」

 

 「い、いえ……」

 

 「わかりゃいいんだよ、わかりゃな。それじゃあ、こいつを運んでとっととガスを流しな。」

 

 そしてヤクザ達はついに、毒ガスを下の階に流し始めた。公安を味方諸共殺すために……。

 そして異変はすぐに現れた。ヤクザ達の使う無線に、助けを求める通信が殺到したのだ。

 

 「た、助けてくれ!公安の奴らガスを!毒ガスを使いやがった!」

 

 「い、息が……ゴホ!ゴホ!ゲホ!」

 

 「撤退!撤退させてくれ!このままじゃみんな死んじまう!」

 

 「頼む!このバリケードを!このバリケードを開けてくれ!ゲホゲホ!ガハッ!」

 

 悲痛の声を届ける無線機、それを幹部は全て無視した。

 

 「まったく阿鼻叫喚とはこのことだな、胸が痛むぜ。だがここまでやりゃ、サツどもだって無事にゃすまねぇ。

 どのくらい時間を稼げるかだな。」

 

 幹部は罪悪感で泣きそうになる部下に構うことなく、毒ガスを流させ続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「退避!退避!ガスが流されているぞ!」

 

 「布に手を当てて、窓を開けろ!少しでもガスを吸う量を減らすんだ!」

 

 「畜生……ここまで来たのに」

 

 「あいつら正気か!?仲間のヤクザがまだ残ってるんだぞ!?」

 

 同じくビルの下の階にいる、公安対魔特異課のメンバー。彼らもまた、同様に混乱していた。

 

 「やれやれ、毒ガスとは厄介ですね」

 

 「伏さん、無事でしたか」

 

 「そりゃ勿論ですよ。何度か能力を使うハメになりましたがね、そろそろ貧血になりそうですよ。」

 

 ビルの9階にて早川達と伏ペアは合流して、話をしていた。

 

 「おい姫野、お前の幽霊で毒ガスなんとか出来ねえのか?」

 

 「無理無理、無理だよ黒井さん。私のゴーストは目に見えてる範囲じゃないと使えないし。」

 

 「い、一課の人たちは撤退する雰囲気ですし、私たちも撤退しましょうよ姫野先輩……」

 

 コベニが狼狽え、涙目になりながら訴える。

 

 「もー、コベちゃんビビり過ぎ。毒ガスくらいで騒ぐ必要ないって。」

 

 「え!?で、でも、そこのヤクザ……」

 

 コベニの視線の先には、地面に倒れて白目を剥き、ビクビクと痙攣しながら泡を吹いているヤクザがいた。

 

 「彼が倒れているのは黒井さんが殴り倒したからです。ガスは無関係ですよ」

 

 「俺が倒した!」

 

 「泡吹いて痙攣してるのは……」

 

 「そっちはガスのせいですね。さっきまで倒れてるだけで、泡までは吹いてなかったので。」

 

 「ひっ!ひぃぃぃぃ!?」

 

 コベニはますます怯え、悲鳴をあげて泣き始めてしまった。

 

 「……荒井、行けるか?」

 

 「ええ、早川先輩。準備はできています。」

 

 早川アキの問いかけに対して、荒井は力強く答えると、大きく息を吸い込んだ。

 

 「ちょ、荒井さん!?毒ガスが流れてるんですよ!?」

 

 慌てるコベニに対して、伏は落ち着いて言う。

 

 「大丈夫です、毒ガスで苦しんでいるのは階段付近にいたヤクザや、屈んでいたり倒れていたヤクザです。

 上の階から流されてると予測すると、このガスは空気よりも重い。

 高い位置の空気はまだ毒ガスにやられていないはずですよ。もっとも、時間が経てばそれも怪しくなりますが……。

 その様子を見ると、荒井君はそうなる前になんとかする策があるんですか?」

 

 「ええ、暴力と筋肉、そして天使の寿命武器。この三つの悪魔の力はまだ荒井のやつも完全に使いこなせてはいませんが……それでもこれまでの特訓でだいぶものになりました。

 成長したのはデンジとパワーだけじゃないって事です。」

 

 「なるほど……そういえばデンジ君達は大丈夫でしょうか。

 エレベーターを使って別働隊として動いてますが。」

 

 「大丈夫ですよ、岸辺先生に合格を貰ったんですから。」

 

 「早!え、デンジ君とパワーちゃんもう合格貰ったの!?」

 

 毒ガスが流されているにもかかわらず、特異課のベテラン達は、いつものような軽い感じで会話をしていた。

 

 「……そろそろ吸い終わったようだな、荒井。お前の出番だ、だが決して無理はするなよ。」

 

 「……んー!」

 

 早川の声かけに対して、荒井は口を閉じながら答え、天使からもらった寿命武器のメイスを構え、階段に向けて勢いよく走り出した。

 

 「吸い終わったって……何を?て、上から毒ガスを流されてるんですよね!?荒井さんを止めないと!」

 

 「その必要はない、荒井は筋肉の力で肺を強化して、大量の酸素を取り込んだ。息を止めながら戦えるから、毒ガスを気にする必要はない。

 そして10階にはバリケードが築かれているが……今の荒井からしてみれば、なんの障害にもならない」

 

 早川は一緒に新しい悪魔の力を使いこなすために、共に励んだ荒井のことを思い出しながら言った。

 

 

 

 

 

 走る、走る、走る。

 俺は息をしっかりと止め、ビルの中を全力疾走していた。

 そして俺の目の前に、ヤクザが築いたバリケードが立ち塞がった。突入前に、敵がバリケードを築き籠城することは想定されていた。

 そんなバリケードの破壊、それを成すために俺は他の仲間と違って、悪魔の力を温存してきたのだ。

 俺は筋肉の悪魔の力で肺を強化して、ありったけの酸素を蓄え、暴力の力で道中にいるヤクザ達を薙ぎ倒して進む。

 

 そしてついに、俺はバリケードへと到着した。

 

 「な、なんだあいつ!?毒ガスを流してるのに!?」

 

 「う、撃ちますか!?」

 

 「ば、ばか!ガスに引火したらどうする!」

 

 「引火するんですか!?」

 

 「知るわけないだろそんなこと!」

 

 毒ガスをものともせずに、10階に上がった荒井に驚く、ガスマスクをつけた複数名のヤクザ。

 荒井はヤクザを無視して、メイスを構えた。

 

 (筋肉と暴力、そして……天使から貰ったこのメイスで、バリケードをぶち壊す!そのことをまずは第一に考えろ!)

 

 バキィ!

 

 荒井は走ってバリケードに向かって大きくメイスを振るい、ものの見事にバリケードを粉砕した!

 

 「んな!?人間の腕力じゃねえ!?んぎゃ!」

 

 そして荒井はそのままヤクザ達をメイスで殴り飛ばし、ガスボンベの栓を閉めてガスを止めた。

 そしてガスが消えたことを確認すると、荒井は無線で連絡を取った。

 

 「こちらは荒井ヒロカズ、10階入り口は制圧。無事毒ガスは止めた。繰り返す、こちらは荒井ヒロカズ、10階入口は……制圧した!」

 

 荒井ヒロカズは力強く、報告したのだった。

 

 

 

 


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