転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します 作:フィークス2号
「みんなお疲れ様!やったねコベニちゃん、沢渡アカネを確保するなんて大手柄だよ!
荒井君もバリケードを突破して大活躍だったって聞いたよ?凄いね!」
私が戻った頃には、特異課のみんなはビルを制圧し終わっていた。
組長は私を倒す為に、サムライソードはデンジを倒す為にそれぞれ外に出て、残った契約者である沢渡アカネを早川班の活躍(特にコベニちゃんの活躍)で確保したのを皮切りに、残ったヤクザを殲滅したようだ。
そして私は、拘束して無力化した組長をビルを包囲していた対魔2課と神奈川県警に引き渡した後、ビルでヤクザを鎮圧したばかりの特異4課のみんなと合流した。
「マ、マキマさん!?だ、大丈夫でしたか?先程思い切り吹き飛ばされていましたが……」
「荒井君……気にかけてくれてありがとう。本当にありがとう。
岸辺先生とか古野さんとか、当然無事だろうみたいな認識だったから……。優しさが身に染みるぅ。
あ、私は大丈夫だよ!ちょっと苦戦したけどこの通り元気!」
私は荒井君には元気よく無事だとアピールした。
「ところで……姫パイとアキ君の姿が見当たらないけど、どこにいるの?」
「あ、ひ、姫野先輩と早川先輩は、沢渡を確保した後、吹っ飛ばされたデンジ君の支援のために……」
コベニちゃんが私の質問に答えてくれる。そっかそっか、デンジ君も原作通りサムライソードと一騎打ちしたようだ。
「あれ?荒井君が私が吹き飛ばされたこと知ってるってことは、姫パイ達も知ってるよね?」
「はい、姫野先輩もあの光景を見ていましたので。最初は慌てていましたが、早川先輩と話し合った結果、マキマさんなら問題ないと判断し、沢渡捕獲後はデンジの支援に専念することを決めたようです。」
あれ!?親しいはずの同僚からも心配されてないぞ!?スパルタな岸辺先生や私を過大評価してる対魔2課の古野さんならともかく、かなり距離の近い2人も……。
「マキマさん、本当にお強いんですね……。姫野先輩の言った通りでした、『よく考えたら、マキちゃんがヤクザ如きに遅れなんてとるわけないか!それよりデンジ君の方が心配だし、そっちを助けに行った方が絶対マキちゃんも喜ぶでしょ!』って姫野先輩が言ってて……。
こんなすぐに戻ってくるとは……。しかもあんなに吹っ飛ばされてたのに、俺よりも全然消耗してないなんて」
荒井君が私に対して、尊敬の目を向けながら言う。
あー、姫パイ達は別に心配してないんじゃなくて、信頼してくれてたのか。それに私を助けに行くよりも、デンジ君を助けに行った方が喜ぶ……正解!大正解だよ姫パイ!
私をよく知ってるからこそ、私じゃなくてデンジ君に向かったわけか。なるほど!
私は早川班の後輩組達と軽く話をしたあと、特異課によって拘束されている沢渡アカネのもとに向かった。
「そんな……組長を倒したのか!?10キロ以上も銃の肉片を食わせたはずだぞ!?それだけあれば暴力団の悪魔でも銃の撃ち抜く能力だって使えるのに……。
まさか……それ以上食わせたのか!?銃の肉片を……お前の契約する悪魔に!?」
沢渡アカネが、無事に戻った私を見て、困惑しながら言う。
そしてそれを聞いた周りの公安メンバーが、驚愕したり、心配してそうだったり、さまざまな表情で私を見た。
……あれ!?これ私が銃の悪魔の肉片を勝手に自分の悪魔に食わせたみたくなってない!?しかも組長が食べた11キロの肉片よりも多く!
これやばい奴だと思われる、特異課のみんなから勝手に銃の悪魔の肉片を他の悪魔に食わせる奴だと思われちゃう!
てかなんで沢渡は私が銃の悪魔の肉片を食べさせたと思ってるの!?
「それは違いますよ、沢渡アカネ。組長が負けたのは銃の肉片の量が原因ではありません。
単純に組長と私では、私の方が実力があっただけです。
それに私は銃の悪魔を見つけるために必要な肉片を、独断で食べさせたりしませんよ」
「……は!随分と口が回るな。新幹線で銃の悪魔の力を使い、組員を殺しまくった癖に。
よっぽど銃の悪魔の肉片を食わせたことを隠したいようだな。」
ちょ!?誤解されてる!銃の悪魔の肉片を支配して、銃の力を使ってたのを誤解されてる!
どうしよう!?沢渡の嘘だってことで押し通す!?いや、月本さんがバッチリ私がバンバンやってたところ見てたし……。
なんならさっきの戦いでも追い詰められて、銃の力使いまくっちゃってた!他の人に見られてたらまずい!言い逃れができない!
どうしよう!とりあえずこのことを考えるのはあとだ!
喰らえ!秘技、話題逸らし!
「なるほど……必死になって喋っていますが、とにかく尋問されるのを遅らせたいみたいですね。
そんなに怖いのですか?貴方の後ろにいる存在は?」
沢渡アカネは汗を掻き、露骨に不安そうな顔をする。
「……ふん、雇い主について言う気はない。」
そう言い、彼女が顔を背けた瞬間……
オオン!
蛇の悪魔が飛び出し、勢いよく沢渡アカネを食い殺そうとした。
完璧な不意打ちだ。だけど私は口封じの為に蛇の悪魔が、沢渡アカネを殺そうとすることは知ってたから対策済みだ!!
私は沢渡アカネが食われる寸前のところで、鎖を素早く出して蛇の悪魔を拘束することに成功した。
「な!?」
「ひっ!」
「う、うわぁぁぁ!?」
「へ、蛇の悪魔!?」
だけど他の特異課のみんなは、急に現れた蛇の悪魔に驚き、私に遅れて警戒し始める。
うん、そうだよね。私も何も知らずに蛇の悪魔が急に現れて、沢渡を殺そうとしたら驚く。みんなは蛇の悪魔に対して武器を構えたり、悪魔の力を使う準備をして備えた。
「そんな……蛇?なんでっ!?」
そして沢渡アカネもまた、他の特異課職員たちと同様に驚き、そして困惑していた。
「……口封じする為に、そういう契約を黒幕がしていたのは予想してた。けど君の振る舞いから察するに、その事まで君は知らされてなかったみたいだね。」
私はそう言った後、思い切り鎖を締め付けて蛇の悪魔を失神させ、それ以上悪さできないようにする。
「く……口封じ」
アカネは青ざめて冷や汗を流し恐怖しながら、私が倒した蛇の悪魔を眺めている。
私はそんな沢渡アカネにどこまでも冷えた声色で話しかけた。
「アカネちゃん、君は切り捨てられたんだよ。今回の事件の黒幕にね。身に覚えとかない?そういう風に、君の依頼主が失敗した下っ端を切り捨てるところとか。」
私がそう言うと心当たりがあるのか、沢渡アカネは口をパクパクとさせ始めた。
わりといい感じに追い詰められてるなー。でもこれ以上追い詰めてなんか変なことやらかされても困るし、鞭はここら辺でやめて飴に移るか!
私はさっきとは打って変わって、明るく優しい声で沢渡アカネに囁いた。
「……でも大丈夫。もし君が私たちの捜査に協力してくれるなら……アカネちゃんは殺されたりなんかしない、いや、させない。
アカネちゃんが生き残る方法は一つ、公安の証人保護プログラムを利用するのさ。君の持っている情報によっては、司法取引で減刑して貰えるチャンスだってある。
アカネちゃん、アカネちゃんの決断ひとつ。それだけで私たちは、君を守る……本当だよ?」
私はゆっくりと、沢渡アカネに近づきながら、囁くように言った。
「……………お前に従おうが、どうせ私は犯罪者だ。どのみち無事じゃ済まないだろう。」
「そんな事ないよ。アカネちゃんは大事な大事な証人だからね……。」
沢渡アカネは俯きしばらく黙った後、最終的にとても小さい声で自白に応じた。
「こちら早川姫野ペア、時計館前の線路内にて拘束済みの目標を発見。応援を求む。」
沢渡アカネを説得し終わった後、休憩中にアキ君から無線で通信が入った。
なるほどなるほど、時計館前の線路か……。私はアキ君の要請通りに応援を送った後、小動物を操りデンジ君達の様子を見た。
「早川と姫野の先輩も参加するか?最強の大会によ」
さ、最強の大会だぁぁぁ!?原作でも屈指の名シーン、最強の金的大会!うおおおおぉぉぉぉ!
……いやいやいや!盛り上がっちゃ駄目だ!
デンジ君が言っている最強の大会というのは、ヤクザの孫の襲撃によって姫パイが死んだことから、そのお返しに拘束して動けないヤクザの孫を金的して遊ぶというもの。
そのシーンはデンジ君とアキくんが二人でヤクザの孫を金的して遊び、それはもう楽しそうでどこか爽やかさのある良いシーンなのだ。
でもコレ普通に考えてアウトだ。うん、めっちゃいいシーンだけど常識的にも法的にも、私刑を加えてるだけだからアウトだ。なんか知らないけど、原作では特に罰とか受けてなかったけど。
でも……あの名シーンを邪魔していいのかなぁ。
「最強の……大会?」
「お前は何を言ってるんだ?」
デンジ君の最強の大会というワードに対して、姫パイとアキ君は理解できずにいる。
そんな二人に対してデンジ君は説明する。
「コイツは俺たちを弾で撃った。だからコイツもタマを撃たれるべきだろ。
だから大会を開く!
3人でコイツのタマを蹴っていって……警察が来る前に一番デケェ悲鳴を出させた奴の勝ち!」
姫パイは唖然とした表情を浮かべ、アキ君は戸惑い、そしてヤクザの孫は恐怖しながらデンジ君を見つめて言った。
「正気かお前……」
「……プッ、アーッハッハッハッ!最強、最強の大会って!イーッヒッヒッ!デンジ君!最高だよデンジ君!
いいねいいね!私も参加する!」
少し遅れて姫パイが大爆笑する。姫パイめっちゃ楽しそう……。
「ちょ、姫野!?」
「コイツのせいで、円君も遥華ちゃんも、伏さんところの新人も辞めちゃったし。
それにコイツにサブマシンガンで撃たれた時ちょー痛かったからね。仕返ししてやりたいと思ってたんだよ私も!」
良識のあるアキ君は最強の大会を提案したデンジ君と、それに乗り気な姫パイに翻弄されている。
「早川の先輩も撃たれた時痛かっただろ?コイツボコって憂さ晴らししよーぜ!」
「アキ君!easy revenge!」
二人はノリノリでアキ君も最強の大会に参加させようとする。
そして少し考えた後、腕まくりをしながらアキ君はデンジに尋ねた。
「なぁ……勝ったら何くれんだ?」
「へ!そりゃもちろんコイツの玉金よ!」
「潰れた玉金……要らない!」
「安心しろよ姫野先輩!コイツ手の刀抜いて引っ張れば、ペシャンコの玉金も元通りよ!」
そして3人はヤクザの孫で最強の大会を始めたのだった。
うん、法的には色々と問題あるけど仕方ない。3人のやりたいようにやらせよう!
「月本さん、車回してもらっていいかな?サムライソードの対応には私が行くよ。
デンジ君達が確保してるみたいだけど、油断は禁物だからね。」
「確かに……サムライソードは今回の主犯格ですし、強力な武器人間。沢渡の時みたいに、何かあるかもしれませんもんね。
わかりました!大急ぎで送りますね!」
私の指示に対して、月本さんは笑顔で答えてくれた。
「うん、ありがとう。運転よろしくね。
それと……デンジ君達のもとへは急がずにゆっくりと、できるだけ時間をかけて向かって貰っていいかな?」
「へ?……いいですけど。どうしてですか?」
「ちょっと色々とね。ふふっ」
せっかく3人が楽しくやっているんだ。楽しい時間は出来るだけ長い方がいいだろう。私はそう考えて月本さんにはゆっくりと送ってもらうことにした。
ヤクザの孫?孫はデンジ君傷つけて、姫パイにアキ君を傷つけたから……。ね?うん、仕方ないね。
そのあと最強の大会について、岸辺先生から色々と探りを入れられるのはまた別のお話……。
やっぱ岸辺先生怖い!