転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します 作:フィークス2号
28話 デート準備
オペレーションビックブラザー作戦の翌日。私はデンジ君からパワーちゃんが変という連絡を受けて、早川家へと向かった。
何が起きたかは察しがついている。これは原作にもあったイベントだ。
「このツノは……パワーちゃん血を飲みすぎたね」
「ワシがバッタバッタと倒したヤクザとゾンビの血を吸い尽くしてやったからの〜。」
「ゾンビは倒れてたのを拾い食いしただけだろうが」
誇らしげに胸を張るパワーちゃんに対してデンジ君が突っ込みを入れる。
「これは血抜きをしなきゃいけないね」
「え゛っ!?」
「血抜き?」
「うん、パワーちゃんは定期的に血抜きをしてるんだ。じゃないと今よりも怖くて凶暴な悪魔になっちゃうからね。」
私がそういうとパワーちゃんはフッフッフッと不敵に笑い出した。
「残念じゃったの〜マキマ。ワシは以前のワシとは違う……。超絶強化されたスーパーパワー様の力、とくと味わうがいい!喰らえ!」
そういうとパワーちゃんは私に向けて右ストレートを放った。
「甘い!」
だが修羅場をくぐりまくった私には効かない!私はパワーちゃんの右ストレートを躱しつつ、パワーちゃんの腕を捻り上げた。
「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!」
「痛そ〜」
絶叫するパワーちゃんと、それを眺めるデンジ君。そしてあまりにも騒ぎすぎたせいで家主であるアキ君も様子を見にやって来た。
「うるさいぞパワー……て、何だこの状況。」
「あ、アキ君ごめんね!実はパワーちゃん血を飲みすぎちゃってて……。
デンジ君、アキ君、ちょっとパワーちゃんを血抜きの為に連れてきたいんだけど……いいかな?」
「そりゃいくらでも!」
「俺は構いませんよ。」
二人の無慈悲な発言に対してパワーちゃんはガーンと衝撃を受ける。
「ありがとう!デンジ君!
パワーちゃんの血を抜いてる間の話なんだけどさ……その期間が少し長くなっちゃうかもしれないんだ。だからその間にビーム君が代わりのバディを立候補してるんだけど、デンジ君もそれでいい?」
私がそう言うと、デンジ君がどこか浮かない顔をする。
デンジ君はパワーちゃんとこの時点で既にかなり仲良くなってるしなぁ。
「浮かない顔だけど大丈夫?」
「最強に元気ですよ……」
デンジ君なりに気を遣ってるけど、落ち込んでるのを全然隠せてないな。
よーし作戦の事後処理を終えたら多少暇ができるし、デンジ君を励ますためにその暇を有効活用しよう!
「そっか……。じゃあ最強に元気なら明日の休み、私とデートしない?」
「デート?」
唐突の発言にデンジ君はいまいち飲み込めていなかったが、一拍置いてから大声で言った。
「やったーーーーーー!」
「うるせえ!」
「ぁぁぁぁ………ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……マキマ……ワ、ワシを許して…….」
叫ぶデンジ君、それに怒るアキ君、そして私によって腕を捻りあげられ続けたパワーちゃん。
修羅場と化してしまった早川家を後にして、私は明日の休みを得る為に、作戦の後始末を全力で終わらせたのだった。
「髪!」
「オッケー!」
「服!」
「オッケー!」
「デートプラン!」
「オールオッケー!」
私はその日の夜、デートの相談の為に姫パイを家に呼び、明日の準備をしていた。
「ありがとう姫パイ……絶対にデート成功させてみせるよ!」
「うん!マキちゃんの初デート応援してるからね!」
姫パイは私に対して親指を立てながら言ってくれた。
「それじゃあ明日のデート頑張るね!」
「おー!しっかしデートでデビリーランドかぁ……。私も今度アキ君と行こうかなぁ」
「いいねいいね!デビリーランドでデート!やっぱりロマンチックだよね!
そういえばデビリーランドってそういえば結婚式もやってるんだっけ?いいよね……」
私は日本一の遊園地、デビリーランドでデンジ君と結婚式を挙げるところを想像する。
ウェディングケーキを入刀前に食べ始めるパワーちゃん、それを止めるアキ君、パワーちゃんに対抗して全部食われる前にケーキ入刀をほったらかして自分もケーキを食べ始めるデンジ君。そしてしれっと自分の分のケーキを確保する円さん。終いにはデンジ君とパワーちゃんの乱闘になり、それに巻き込まれたデビルハンターのみんなで結婚式会場大荒れ……。
うん!で デビリーランドでの結婚式はやめよう!出禁になるだろうしスタッフが可哀想だ!
しかしデンジ君の自由奔放な所は魅力の一つなんだけど、やっぱり教養というかマナーとかそういう常識を学べる環境を用意した方がいいのかなぁ。てか普通に今のうちから学校に通えるようにある程度の勉強は必要だよね。
私がそんなことを考えていると姫パイが私のことをじっと見つめていることに気づいた。
「?……姫パイどうしたの?」
「あー、マキちゃんがすごいデンジ君にゾッコンだなぁ……て思ってさ。」
「うん!デンジ君大好き!」
「そっかぁ……。ねぇマキちゃん、マキちゃんはデンジ君にマキちゃんのこと、どこまで話してるの?」
姫パイは真剣な眼差しで私に尋ねる。姫パイが聞いてること、それは私が悪魔である事をデンジ君に話したのか?ということだろう。
……うん。実はぶっちゃけると姫パイは私が悪魔だってことを知っている。なんなら自分から明かした。
私と姫パイは、バンバン殉職者や退職者が出まくる公安デビルハンターという職業で、お互いに辞めず死なずに今まで付き合い続けてきた。しかも年が近いし同性だし、そりゃ距離も近くなる。友人というよりは私の中では親友の部類だ。
私には姫パイ以外にも親しい人はいるが、それでも姫パイはダントツで仲がいい。
そして私はそんな大切な友人である姫パイに対して、長い付き合いの途中で悪魔であることを明かしたのだ。
私が悪魔であることを明かした時は、姫パイもかなり驚いてたなぁ。でも天使君とか友好的な悪魔もいるし、今ではすっかり受け入れてくれてる。
まぁ流石に支配の悪魔って事までは話してないけどね。姫パイを信頼してないわけじゃないけど、このチェンソーマン世界なら原作に出てないだけで人の心を読める悪魔とかいそうだし。
「……実はデンジ君にはまだ何も言ってないんだよね。」
「そうなの?結構意外〜。デンジ君別に悪魔に対して悪感情とか持ってないんだし、普通に言っちゃっていいんじゃないかな?」
姫パイは驚いた顔で言う。確かにデンジ君はポチタと友達だったし、悪魔に対して悪い感情は抱いてなかったなぁ。
「でもさ……こういう重大な話ってすぐ言っちゃっていいのかなぁ。私としてはこんな短期間に、デカすぎる秘密を共有されても負担に感じちゃうかなぁって思って。」
「ほうほうほう、別に私には負担をかけてもいいと。マキちゃんひどーい!」
「短期間って言ったじゃん!それに……姫パイは特別だよ、私の大切な友達だし。」
「おおう……ちょっとキュンと来たわ。だが残念でした!私にはもうアキ君がいまーす!」
「残念!こっちにもデンジ君がいまーす!」
「「あははははは!」」
私たち二人はふざけて笑いあった。その夜はそんな調子で、時に真面目に、時にふざけて姫パイにデートの準備を手伝ってもらった。
姫パイがアキ君とデートする時もこんな感じだったな……。一人で悩むのは心細いけど、二人で考えるのは凄く気が楽になる。
「ま!最初のデートなんだし完璧に行くかなんてまだ分からないけどさ、デンジ君マキちゃんにゾッコンだし、失敗しちゃったらまた次のデートで取り戻せばいいんだよ!
私もアキ君との初デートで、悪魔が出たせいでおじゃんになっちゃった時があったじゃん?でもその次のデートはうまく行ったし!
だから……人生での初デート、まずは思いっきり楽しんできな!
失敗したり嫌なことがあったら、昔マキちゃんがよく相談に乗ってくれてた時みたいに、私も話聞くからさ」
「姫パイ……ありがとう」
とびっきりの笑顔で私に微笑む姫パイに対して、私も同じように笑顔で返した。
……姫パイは私のことを考えて、全力でデートに協力してくれた。その上で私が失敗して姫パイに対して気を負わないように、しっかりとケアもしてくれた。
私は本当にいい友人と出会えたと心から思う。私はそのあと姫パイと別れ、しっかりと休んで明日のデートに備えたのだった。