転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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レゼ編
32話 ジェーンと雨の中出会った


 

 

 

 

 「勉強ぉ〜〜〜!??一体何のために?」

 

デートの翌日、私は早川家を訪れていた、その理由はデンジ君に勉強をしてもらうためだ。

 そのために私がデンジ君にストレートに『勉強をしよう』と言ったのだが、それを聞いたデンジ君は露骨に嫌そうな顔をしている。

 

 「そりゃ学校に通えるようになるためだよ!みんなデンジ君の年頃の子とかは、学校に通ってるよね?

 でもデンジ君の年齢的に通えるのは高校だからね……高校は義務教育じゃないし、ある程度勉強出来なくちゃいけない。

 だから今のうちに勉強しておいて、高校の勉強に置いていかれない程度の学力をつけておこうって考えたんだよ!

 将来のことを考えたら絶対に通うべきだしね!」

 

 私が返答すると、同席していたアキ君が不思議そうに尋ねた。

 

 「でもマキマさん、そんなことしても本当にコイツ学校に通えるんですか?

 コイツは武器人間ですよ?上が許可しますか?」

 

 「ふっふっふっ!心配しなくていいよ!

 何と今回の作戦でデンジ君の活躍が認められてね。それでデンジ君が将来的に自由に学校に行ける算段が大雑把にだけどついたんだよ。

 だから早め早めに入学に備えていろいろ準備しておこうと思ってね!」

 

 「別に俺は心配してないです」

 

 私の説明に対してアキ君はサラッと言う。

 まぁ、デンジ君の活躍が認められた以外にも私と親しい人が今回の作戦で出世したりとか、他にも色々あるんだけど……。

 

 「えー。学校行くって、俺マキマさんと会えなくなるんすか?」

 

 「そんなことないよ。多分デンジ君が学校行く頃には私も有給とか使って休めるようになるだろうしね。」

 

 「でも公安の仕事の合間に勉強すんのめんどくせぇなぁ……。」

 

 あー、そうだよね。公安の仕事しながら勉強すんのは割とハードだよね、うん。でもその件については解決済みだ。

 

 「大丈夫!上に掛け合って勉強の方も公務の一部として扱ってもらう予定だから!

 デンジ君は書類仕事とかは基本少なめだった分、デビルハントで補ってたけど、その時間を割けば休みの時間とかは変わらないよ。」

 

 「マジで!?それなら頑張れるかも……マキマさんマジありがとうございます!」

 

 「それって俺たちの仕事増えません?」

 

 アキ君はジト目で私を見つめる。

 

 「それに関してはもうすぐ地方公安の人が辞めちゃった人の代わりに来るから、一人当たりの負担は変わらない計算だし。むしろ人手が増える分、仕事量は減るはずだよ」

 

 「どこにそんな人手が?」

 

 「ビッグブラザー作戦で、東京だけじゃなくて、地方のヤクザ達も一斉に捕まったからね。

 犯罪組織とかを警戒しなくてよくなったから、うちに来てもらえることになったんだ。

 多分歓迎会とかもする筈だから楽しみにしててね!」

 

 飲み会という話を聞き、アキ君は姫パイの酒癖の悪さを思い出して、ちょっと憂鬱そうだ。

 

 「よーわかんねぇけど、勉強してるのもその分仕事と扱われっから、休みはへらねぇってことすよね?」

 

 「デンジ君正解!」

 

 「それなら一択だ!学校行って普通の暮らしすんのが夢だったかんな、俺勉強しますよ!」

 

 「おー!その調子だよデンジ君!」

 

 思っていたよりデンジ君は乗り気になってくれた。2部は学園編と噂されていたし、勉強ついていけなくてデンジ君が困るのを防げる算段が多少ついたぞ!

 

 まぁ、デンジ君に学校へ行く準備のために勉強してもらう理由は他にもある。それはデンジ君と同じ武器人間、レゼちゃん対策だ。

 レゼちゃんは原作のレゼ編で登場した刺客だ。レゼちゃんはデンジ君にハニートラップを仕掛けて仲良くなった後、デンジ君の心臓を奪うために戦いを仕掛けるのだ。

 そして戦いの末にレゼちゃんは敗北し、デンジ君と公安から逃げようと誘われ、その誘いに乗ろうとしたところを……原作の真マキマさんに殺されるのだ。いや私はしないよ!?私は真マキマさんじゃないし!

 

 まぁ、真マキマさん云々は一旦置いといて……。レゼちゃんはその殺される時に、『私も学校行ったことなかったの』と発言しているのだ。その発言の前にもろくに学校に行けず、デビルハンターとして働かせられてるデンジ君の境遇について、そんなのおかしいと指摘していた。

 そして極めつきにはレゼ編のラストで、レゼちゃんがソ連によって人体実験をされて国家のために尽くす兵士として酷い環境で育ったことが示唆されるのだ。

 

 そんな環境で育ったのならば、デンジ君の状況に対して同情し、そんな環境に放り込んでいる公安に対して警戒するのは当然だ。

 だからデンジ君の環境を変え、真っ当な生活を送れるようにして、レゼちゃんの警戒を解き仲間にする!それが私の目的だ……目的だったんだけど……。

 さっきようやく勉強云々の話をしたように、まだまだその道のりは遠い。公安退職後を見据えた福利厚生支援の一環に、就学の為の勉強を公務として受けさせることが認められた程度だ。

 ……これだけでレゼちゃんを説得するのは正直厳しいよね。

 

 でも私としては早川家のみんなが仲良くしてるのを見たいように、デンジ君とレゼちゃんが仲良く過ごしてる光景も見たいのだ。いや普通に強すぎる恋のライバルが増えるから困るけども……。

 ……まぁ、デンジ君が私じゃなくてレゼちゃんを選んだなら大人しく身を頑張ってひこう。うん。……うん。いや、まだレゼちゃんを味方に出来ると決まったわけでもないし、デンジ君とレゼちゃんが付き合ったわけでもない。ネガティブなことを考えるのはやめておこう。

 ……それはそれとしてレゼちゃんどうしようか。一つレゼちゃんを仲間に引き込む作戦を考えてはいるが……。

 

 私はデンジ君に尋ねることにした。

 

 「そうだデンジ君。最後に聞いときたいことがあるんだけどさ?

 滅茶苦茶痛くて苦しい思いをするけど美人さんと仲良く出来るのと、平穏だけど美人さんとは仲良くなれないの。

 デンジ君はどっちが好み?」

 

 私はデンジ君に尋ねた。

 

 「え?……最初のやつです!おれ痛くても苦しくてもマキマさんの為ならなんでもしますよ!」

 

 「うーん。別に私の為に何かするんじゃないんだけどね。そっか、デンジ君ありがとうね!

 それじゃあ後で勉強を教えてくれる人が来るから、その人とちゃんと仲良くしてね〜!」

 

 「え?マキマさんが教えてくれるんじゃないのぉ〜〜!?そんなぁ〜〜〜!」

 

 ごめんねデンジ君、私もデンジ君と勉強したいけどレゼちゃん対策とかパワーちゃんの血抜きとか、銃の悪魔対策とか色々とやらなくちゃいけない仕事があるんだ。

 私は後ろ髪を引かれる思いで、早川家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  デンジは上機嫌で街中を歩いていた。最近デンジにとって、ここのところいいこと続きのため、浮かれていたのだ。

 思えば転機となったのはマキマさんと出会ってからだろうと、デンジは思い返す。

 ポチタと一つになった後マキマと出会い、ド底辺の環境から、三食まともに飯が食える環境になった。

 そのあと早川アキやパワーと出会い、同居するようになった。最初は仲良くなれないと思ったが最近は上手くやれてる。

 他にも特異課の同じ班であり同期である荒井の誘いで多少、他のメンバーと交流もできた。

 

 そして仕事の内容も少し変わった。今まで他の奴らが書類整理とかやってる時、デンジは手伝ってもらわないと書けないからという理由でその分の時間を悪魔討伐に使っていた。

 だがその分の時間を今は学校に通う為の勉強に使っている、つまりその分戦いで痛い目に遭わなくて済むということだ。変身するだけでとても痛いデンジからすれば、戦う仕事が減るのはありがたい話だった。 

 

 ……その勉強を教えてくれるのがマキマであれば、デンジとしても文句はなかったのだが。

 

 「マキマさんって……やっぱり俺のこと色々考えてくれてんのかな。」

 

 デンジは歩きながらマキマのことを考える。

 別にデンジはなんとなく学校に行きたいという思いはあったが、別に今の暮らしのままでも問題ないと考えていた。

 だがマキマはデンジの将来のためと言い、学校の入学に向けて、わざわざ教育を受ける時間を設けてくれた。

 デンジは将来という先のことなど特に考えずに生きていた、それは今までがヤクザに管理されたその日暮らしだったのも大きい。

 だからこそ、自分のことを考えてくれていると思うとデンジとしては嬉しい気分になるのだ。

 

 マキマはデートの時も色々考えて、楽しい時間をくれた。それに自分が悪魔という秘密も打ち明けてくれたのだ。

 さりげなく早川アキに探ってみたが、アキもそのことは知らないようだった。

 

 「もしかして……マキマさんって、俺がマキマさんのこと好きなのと同じぐらい俺のこと好きなのかも!

 目を閉じるだけでマキマさんの顔が浮かぶぜ……。俺の心はもうマキマさんだけのものだぜ!」

 

 デンジはそう決意するとスキップしながら街中を歩いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (どうしよう……俺は俺のことが好きな人が好きだ。マキマさん助けて、俺この娘好きになっちまう!)

 

 そしてその決意は早くも揺れていた。

 

  「デンジ君苦いの我慢してるのバレバレだよ、口では強がっても表情に出てるし。

 マスター!砂糖とガムシロ、プリーズ!」

 

 「もぉ〜、自分で取りに来てよレゼちゃん。ま、私もどうせならコーヒーは美味しく飲んでほしいからね。

 デンジ君、はいどうぞ。」

 

 「店長ありがとうー。というわけで砂糖とガムシロ投入!」

 

 レゼは店長から受け取った砂糖とガムシロップをドバドバとコーヒーに入れて掻き混ぜる。

 

 「はいどうぞデンジ君」

 

 「ん……おお、うめぇ!」

 

 先ほどと違い甘くなったコーヒーを飲んで、デンジは先ほどとは対照的な笑顔を浮かべた。

 

 「ふふっ。私の特製コーヒー、気に入ってくれた?」

 

 レゼはとびっきりの笑顔でデンジに微笑みながら尋ねた。

 

 「特製って……砂糖とガムシロ以外作ったのレゼちゃんじゃなくて私なんだけどな。」

 

 そんな二人のイチャイチャ姿を見ながら店長は小声で漏らしたのだった。

 

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