転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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34話 下準備

 

 

 

 私は公安が保有する悪魔収容施設を訪れていた。

 その理由は血抜きをおこなっているパワーちゃんの様子を見るためだ。そして私はその血抜きをおこなっている姫パイに、パワーちゃんの調子を尋ねることにした。

 

 「姫パイ姫パイ!パワーちゃんの調子はどう?」

 

 「おー!マキちゃん!パワーちゃんの調教の方は順調だよ。

 最初にあった時みたいに、ゴーストの力で反抗的な態度とったら私が見えないところから脅かして、ゆうこと聞かせてる感じ。」

 

 「ちょ、調教って……言い方ぁ!」

 

 姫パイは幽霊の悪魔と契約したことで、ゴーストの力を使える。それを利用して、怖がりなパワーちゃんをびびらせて、言うことを聞かせているのだ。

 無論、パワーちゃんは姫パイの力を知っている。ていうか最初に捕まえた時も姫パイにはパワーちゃんの躾を頼んだりしてた。

 だけど姫パイの姿を見せなければ、案外姫パイがやったと気付かずに普通に怪異現象が起きたと思い、パワーちゃんは怖がり素直になっていた。

 

 「姫パイありがとね、パワーちゃんの躾に協力してくれて。

 力づくで押さえつけるのは流石に気が引けるし、適任が姫パイくらいしかいなくて……。」

 

 「いいよマキちゃん。私イタズラ大好きだし、やってて楽しいから。

 パワーちゃんって不意打ちで耳を小指でくすぐるとすっごい面白い反応するんだよ、見る?」

 

 パワーちゃんの調教に、姫パイのワルなところが、存分に発揮されているようだ。

 姫パイもそんなに苦に感じていなくてよかった。逆にパワーちゃんは苦に感じまくってるけど。

 

 「ところでアキ君の臨時のバディなんだけどさ……。どう?エンジェル君とは上手くやれてる?」

 

 「うん!なんだかんだでエンジェル君はまともな悪魔だからね。パワーちゃんとの比較も相まって、特に問題もなく過ごせてるよ。」

 

 私はアキ君がエンジェルと問題なく過ごせていることを姫パイに伝えた。

 姫パイにパワーちゃんの血抜きの手伝いをして持っている間、その分アキ君のバディが欠けることになる。そこを武器作りが主任務で、組む相手が基本いないエンジェル君に白羽の矢が立ったのだ。

 

 「悪魔嫌いのアキ君がねぇ……だいぶ変わったよね。

 この調子ならアキ君にも悪魔であること言えちゃうんじゃないの?

 そう言えばデンジ君とは進展あったの?」

 

 「デンジ君とはデートでいい感じになったよ!それと私が悪魔であることも話したよ、デンジ君も否定せずに受け入れてくれたんだぁ!」

 

 話がデンジ君関連に移り、私のテンションは露骨に上がった。

 

 「おー!よかったじゃん!てか自分でけしかけておいてなんだけど、打ち明けるの早いねぇ!このまま付き合えそうじゃん!」

 

 「うーん。それが強力なライバルがいてさ……。その子が公安に入る予定があるから順調とも言えないんだよねぇ。」

 

 「ふーん、その娘デンジくん狙ってるの?新しく地方から来る人?」

 

 「ううん、ちがうよ。」

 

 「え?じゃ、じゃあ民間から移籍してくるの?」

 

 「ううん、私がスカウトする予定だけどデビルハンターとは違う感じの子」

 

 「……それって、どうしてスカウトすんの?」

 

 「その子とデンジ君がイチャつく姿が見たいから!あ、でも羨ましいから見たくない気持ちもある!」

 

 私の発言に対して、姫パイが目を細めて私をガン見する。

 

 「マキちゃん……あんた疲れてんの?」

 

 「疲れてるけどおかしくなったわけじゃないから!ただデンジ君好きな所とカプ厨の板挟みになってるだけだから大丈夫!」

 

 「全然大丈夫じゃないでしょ!自分からなんでライバル増やしてんの!?」

 

 姫パイが私の首元を掴んでガンガン振る。

 

 「ふ、ふぇえ!だって、だってデンレゼのカップリング見て尊くなりたかったんだもん!いやデンジくん諦める気はさらさらないけど!それでもやりたいんだもん!」

 

 「よくわかんないけど、このおバカぁ!」

 

 その後私は、自分から恋のライバルを増やそうとしてることについて、姫パイから説教を喰らうハメになったのだった。

 ……よく考えれば当然すぎる!?姫パイ今までいっぱい恋の手伝いしてくれてたもんなぁ……。なのに当の本人が意味不明なことしてんだもん。そりゃキレる、うん。今私の恋路を案じてくれてるのが大半だろうけども。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「都知事、どうかご許可をお願いします。都民の安全と生命が知事のご決断にかかっているのです。」

 

 「うむぅ……。」

 

 姫パイと別れた後、私は都庁にて都知事と面会していた。

 

 「しかしだ……都民の行動の権利を一時的に君に譲渡する……だったか?そんな大それたことを許可するというのは……。」

 

 私の提案に対して、都知事は渋っていた、それはもう渋っていた。そりゃそうだ。

 私はレゼちゃんが暴れる時の対策として、効率的な避難が行えるよう、緊急時に都民の行動の権利を私に委ねて安全に避難させるという提案を行なっていた。

 ぶっちゃけこれができれば、私の予想だと市民の人的被害は0に抑えることができる。

 そうすれば、レゼを公安にスカウトする際の難易度が著しく下がる!誰かを殺した人と、誰も殺してない人をスカウトするのじゃ天と地ほどの違いがあるしね。それが公共機関なら尚更だ。

 

 

 「確かに難しい決断かもしれません、ですがこのままでは多くの被害が出てしまうのです!

 私を信頼してください!そうすれば必ず……被害を抑えて見せます!」

 

 私は力説する。

 

 「わかった……。君ほどのものがそういうのならそうなのだろう、餅は餅屋だ。マキマ君、君を信頼しよう。しかし台風の悪魔が再び現れるとはな。」

 

 「ありがとうございます。都知事、ですが……残念ながらこのお願いは今回だけの物とはできないかもしれません。」

 

 「……どういう事だね?」

 

 「今回の台風の悪魔は、単独ではなく人間と組んでいるという話があります。

 その人間が自発的に協力しているのか、あるいは脅迫されているのか……。それは分かりません。

 しかし、人間と悪魔が組むという事象。これは以前に起きた暴力団による公安一斉襲撃事件と非常に酷似しています。

 このことから、また類似した事件。それもこれから起こると予想されるものよりも遥かに大規模な事件が起こる可能性もあります。」

 

 私はこれから起こる事件の主犯をサラッと台風の悪魔に押し付けつつ、世界の刺客編の際に市民の行動権を確保するための布石を打った。

 

 「なるほど、市民のためだ。その時が来たら、君に一任しよう。」

 

 「ありがとうございます、都知事。全力で……市民への被害は抑えさせていただきます。」

 

 一度お願いを受け入れた後だと、次のお願いを受け入れるのは心理的に抵抗がある。そういう心理効果を見越して、今のうちに次の世界の刺客編のサンタクロース対策のために、許可を今のうちにとっておいた。

 これで人形が使えず、あたふたするサンタクロースがうまくいけば拝めるぞ!そうすれば被害がグッと減る!

 

 私は心の中でガッツポーズしながら部屋を退出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして都知事の部屋の前でタバコを吸いながら待っていた岸辺先生に、笑顔で吉報を届けた。

 

 「岸辺先生、許可取れました!これで人的被害は抑えられるはずです!

 多少の方便(嘘)は使いましたが、これで爆弾の武器人間をことの次第によっては公安で受け入れられますよね!」

 

 私の質問に対して、岸辺先生は無表情で私を暫く見つめた。

 

 「……先生?」

 

 「なぁ、マキマ。一つ、いやいくつか聞きたいことがあるんだが。」

 

 「は、はい。なんでしょう?」

 

 「さっきの都知事との会話についてなんだが。」

 

 どうやら岸辺先生は私と都知事の会話を聞いていたようだ。……壁薄いな!?

 

 「さっき都民の行動権云々とか言ってたな。それはどう活用するつもりだ?」

 

 「そりゃ勿論効率的な避難の為ですよ!岸辺先生にお話しした、爆弾の武器人間と台風の悪魔が現れた際、私が武器人間と悪魔の場所を確認しつつ、都民を動かして戦いに巻き込ませないようにする。

 そうすれば建物とかはともかく、人的被害は著しく抑えることができるはずです。」

 

 多分0にできるけど、万が一失敗した時の保険のために、控えめに言っておく。いやミスる気はないけどね。

 

 「そうか……ところで、だ。今回は行動権だったが、他の権利……例えば生存権、いやまどろっこしいのはやめだ。もし都知事が了承したら、お前は前言っていたように、自分のダメージを全ての都民に押し付けられるのか?

 それがお前の言っていた日本国民全員にダメージを肩代わりさせる方法か?」

 

 「え?ええ。そうですね。そんなことしませんけど。」

 

 「……はぁ。本当にそんなことしないでくれよ?」

 

 「しませんって!」

 

 岸辺先生がやけに私がダメージ押し付けをやるのを警戒してる。なんでだろう……と思ったけどあれか、原作の真マキマさんが同じことやって、岸辺先生も打つ手無しだったからか。

 岸辺先生ほどになると、私のような身近な悪魔相手でも、常に倒す手段考えてるんだろうなぁ。

 

 「ところで武器人間を仲間に引き入れるという話だが……。デンジの後釜にそいつを添えるつもりか?」

 

 岸辺先生がレゼちゃんについて尋ねる。

 

 「いえ、その娘についてもデンジくんと同じタイミングで、公安からフリーな状態になってもらう予定です。その娘が望めば公安での仕事の続投もあり得ますけど。」

 

 「じゃあそいつを引き入れて、なんのメリットがあるんだ?」

 

 来た!この質問!

 『なんでわざわざ武器人間を新しく引き入れるの?しかもデンジ君と同じタイミングで辞めるのに?』

 という正論しかない質問!

 だが、この質問対策のために色々と言い訳は考えてある!

 

 「そうですね。メリットとして、今後人間に友好的、協力的な悪魔や武器人間が公安でスカウトしやすくなるというものがあります。

 『公安で一定期間働いて、貢献すればそれに伴う報酬が貰える』

 そういう認識が広まれば、今後私や天使君みたいな友好的な悪魔が、大勢特異課などに自ら来る可能性があります。」

 

 「可能性……だろ?本当は何か別な理由があるんじゃないか?」

 

 ギクギク!さすが岸辺先生がすっるどーい!まぁ、さっきまでのは上のお偉いさんを説得するための理由だ。岸辺先生になら本音を言っても大丈夫でしょ。

 

 「本音は今回スカウトする、その武器人間の娘に幸せになってほしいからです。

 岸辺先生なら、そんな理由でも許してくれますよね?」

 

 私は微笑みながら岸辺先生に言った。

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