転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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39話 さらば不死身三兄弟

 

 

 

 

 「というわけでデンジ君。彼らが君の護衛を務めてくれるメンバーだ!

 みんな。自己紹介お願いね」

 

 私はデンジ君にみんなを紹介する。

 

 「宮城公安対魔2課、日下部です。よろしくお願いします。」

 

 メガネをかけたオールバックの金髪の男性、日下部さんが丁寧に礼儀正しく挨拶する。几帳面な性格が垣間見える自己紹介だ。

 

 「バディの玉置だ。よろしく」

 

 一方で額にあるホクロが特徴的な玉置さんは、静かに短く自己紹介した。喋る時とそうでない時の差が激しい、玉置さんらしい自己紹介だ。

 

 「俺吉田な、仲良くしようぜ」

 

 そして最後に民間デビルハンターであり、あの岸辺先生よりも強いと思われる吉田ヒロフミさんは超フランクに自己紹介をした。

 まぁ、吉田ヒロフミさんはデンジ君と同じ高校生だしね。

 

 

 

 「デンジ君安心してね!彼らは護衛のエキスパートなんだ!

 特異4課からはアキ君と天使君、それとレゼちゃんが加わります!

 あ、レゼちゃんはみんなと面識ないから、レゼちゃんも自己紹介お願いね!」

 

 「はいはーい。レゼでーす、要人警護のエキスパートではないけど頑張りまーす!」

 

 レゼちゃんは吉田ヒロフミさんと同様に、フランクな挨拶をした。

 

 「君が『あの』レゼか……。ブレイヴニューワールド作戦での戦いぶりは聞いてますよ。

 君の戦闘能力は俺や玉置以上でしょう。もしもの時は頼りにさせて貰います。」

 

 「へー、日下部さんって私みたいな子供にも礼儀正しいんだ。意外だな〜」

 

 「子供……?君は確k」

 

 「何か?」

 

 「い、いやなんでもない。」

 

 日下部さんが礼儀正しく接しただけなのに、何故か急に部屋の温度が下がった気がする。……なんで!?

 私は何か嫌なものを察知して、話題を逸らす。

 

 「コホン、今ここにいるメンバーの他にも後3人。京都からスバルさんと天童ちゃん、黒瀬さんが追加で来るんだ。」

 

 「へ〜……。なんかそんなオオゴトになってんすねえ〜。」

 

 「大事も大事。京都からくるスバルさんは宮城で対魔2課を指導してくださったお方です。

 大変お忙しいのに護衛に来るなんて……。

 キミ、今日から貴方達の巡回ルートは路地一つまで私が決めさせていただきます。いいですね?」

 

 「ふぁ〜い」

 

 デンジ君の返事に対して、日下部さんはムッと表情を顰める。

 

 「返事はハイだ」

 

 「……へえ?」

 

 「私は君より年上だぞ。返事はキチンと大きな声で」

 

 「……………ヘエ」

 

 「ヘエじゃないハイ!」

 

 真面目な日下部さんと少し緩いデンジ君、相性は少し悪いのかもしれない……。

 

 「まぁまぁ日下部さん。そこらへんで勘弁してあげた方が……」

 

 「マキマさん、それはデンジ君のためにはなりませんよ。デンジ君はまだ若いんだ、しっかりとした常識を身につけなければ今後の人生、困ることの方が多いんです。

 むしろマキマさんはデンジ君のこと甘やかしすぎなんじゃないですか?」

 

 「うぐ……言われてみればそうかも。」

 

 なんとかデンジ君をフォローするが、日下部さんに正論で返されてしまった。

 

 「ねぇ日下部さん。私は?」

 

 「レゼ、キミもしっかりとした言葉遣いを心がけたほうがいいだろう。まぁキミの場合はもう……その……まあとにかく、デンジ君の手本となるような態度を心がけるべきだ。」

 

 「はぁ〜?なんだよそれ、俺だけが子供みてぇな扱いじゃねぇかよ。」

 

 デンジ君は不満顔で答えた。うーん、このメンバーの相性ってもしかしてよくないのかなぁ……。私は不安を感じながらもそんな日下部さんとデンジ君のやり取りを眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ジョーイ、アルド。準備はいいか?勝負はこの一発で決まると思え。」

 

 「へいへい、わかったぜ。」

 

 「わ、わかってるよ兄さん。大丈夫……だよ。」

 

 道路の脇にある森の中で、3人の男がトゲトゲのついた板状の車をパンクさせる道具、スパイクストリップを準備して待機していた。

 

 「これから殺すのは公安の中でもベテランのデビルハンター、スバルだ。

 まだ移動中で目的地に着いてねぇから気が緩んでるだろう。

 ここで仕留められなきゃ、合流されてデンノコを殺すのは更にめんどくせえことになる。

 だからここで殺す。」

 

 「合流しよーがよぉ、最後に全員まとめて殺りゃあいいんじゃないのか?」

 

 長男エリックの言葉に対して次男のジョーイが尋ね、それに対してアルドが答えた。

 

 「ス、スバルは公安の中でもあの岸辺に認められているほどのデビルハンターだ。

 それにターゲットの周りにいる日下部達はスバルの教え子。京都組の天童と黒瀬の事を考えると、スバルを中心に5人のデビルハンターが高いチームワークを発揮してターゲットを守ることになる。

 い、今ここで仕留めないとまずいんだよジョーイ兄さん。」

 

 「ほーん、なるほどねぇ。」

 

 「ま、そういうことだジョーイ。それじゃあ準備はいいか?」

 

 「ああいいぜ!早速ぶっ殺すか」

 

 そして不死身三兄弟はスバル達が乗る車が近づいてきたのを確認して、スパイクストリップを道路に投げ込み車をパンクさせて事故らせた。

 

 「ヒュー!ビンゴ!」

 

 「まだ終わってねぇよジョーイ。さあアルド、最初の殺しだ。しくじるなよ?」

 

 「う……うん。わかってるよ……。エリック兄さん。」

 

 アルドは汗をかき、緊張しながらも兄達についていき、事故を起こした車に素早く近づいた。

 

 

 

 「っつあ〜……!」

 

 スバルが頭をさすりながら呻き声を上げる。

 

 「なん事故っとんじゃボケ〜……!」

 

 そして事態を把握しきれていない黒瀬が、天童に対して怒った。

 

 その直後のことであった。

 

 「やれ」

 

 パァン!パァンパァンパァンパァンパァン!

 

 長男エリックが合図に応じて、3人は車の中にいるデビルハンター達に向けて発砲した。

 それも一発や二発ではない。装填された弾丸全てを念入りに放った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてひとしきり弾丸を撃ち終えた後、次男ジョーイは車の中を覗き込んだ。

 

 「ん……血が出てねえぞ?」

 

 「は?そんなわけねぇだろ?……ん?」

 

 次男ジョーイの言葉を聞き、長男エリックも車を、覗き込み確認する。

 そしてそこには黒瀬、天童、スバル……ではなく彼らにそっくりなマネキンがいた。

 

 「兄さんまずい!マネキンの悪魔の力だ!」

 

 自分たちは罠に嵌められた。その事を理解したアルドは大声で叫び、注意を促した。しかし気づくのが一手遅かった。

 

 「カマキリ!ぶっ飛ばせ!」

 

 「がぁ!」「ぐふぅ!」「ぎゃあ!」

 

 

 地中からスバルの召喚したカマキリの悪魔の鎌が現れ、峰の部分で不死身三兄弟3人をまとめて吹き飛ばした。

 吹き飛ばされた3人は森の中の木に激突して、全員仲良く気絶したのだった。

 

 「………ふぅ〜。ホンマ危機一髪やったわ」

 

 「さっすがスバルさん!」

 

 3人を倒したスバルの元に、隠れていた黒瀬と天童が声をかけながら近寄る。

 

 「おう、もっと褒めてくれや天童。……しっかし銃を使った奇襲。ホンマえぐいよなぁ。」

 

 スバルは銃の恐ろしさを改めて体感しながら、言葉を漏らした。

 

 「税関の奴らは何しとんねん!

 ヤクザの件含めてこれで2度目やぞ!?」

 

 「まぁ落ち着きや黒瀬。結局マキマさんのおかげで生きとるんやから。今はコイツらを拘束するのが先や。」

 

 天童はボロボロになった車の中にいる撃たれたマネキンを見ながら、マキマとのやりとりを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 それはデンジの護衛に京都組のメンバーが選ばれた時のことであった。

 

 「マネキンの悪魔?」

 

 「ええそうです。これからスバルさん、天童ちゃん、黒瀬君はこの悪魔にそっくりな偽物を作ってもらいます。」

 

 「それはええけど、何のためにそないな事するんや?」

 

 黒瀬が尋ねる。

 

 「それは世界の刺客から京都組のみんなが襲われるのを防ぐためだよ。

 京都組のみんな、特にスバルさんは戦闘力が高くてこの護衛任務の中核になるはずなんだ。

 だから合流する前に刺客達は京都組のみんなを襲う。それを防ぐためにこのマネキンの悪魔の力で偽物を作って欲しいんだ。」

 

 「それええけど、契約に何を支払えばええんや?既に俺らは契約してるからあんま代償のデカいもん払いたくないんやけど……」

 

 スバルはマキマの提案に対して渋ってみせる。というのにも理由がある。

 マキマの言った話は非常に合理的であり、否定しようがない。だがしかし、マネキンの悪魔の作った偽物には大きなデメリットが存在する。

 それは本物と記憶を共有するというデメリットだ。

 スバルは岸辺に声をかけられて、マキマへの警戒に協力している。もしここでマネキンの悪魔経由でその事実がマキマにバレるのは非常にまずい。

 そのためスバルは契約の代償の話を出して、マネキンの悪魔の複製を作るのを回避しようと試みていた。

 

 「ああ大丈夫!マネキンの悪魔は私の説得で無償で複製作ってくれるって!

 だから契約の代償とかは不要だよ!」

 

 マキマは満面の笑みで応えた。

 

 (準備よすぎやろ!あれか?筋肉や永遠とかの、能力を使って洗脳したあれか!?あれしかないよな!クソ!)

 

 スバルは心の中で毒吐きながらも表情には一切出さず、笑みを浮かべながら応えた。

 

 「おお!ホンマか!それは助かるなぁ。せやけどマキマちゃん。悪いんやけど……記憶の複製について、条件があるんや。

 今ちょっとややこしい事件に関わっててな。情報の漏洩を避けなきゃあかんねん。せやからマネキンの複製に共有する記憶に制限をつけて欲しいんやが……ええか?」

 

 「あそっか!マネキンだと記憶複製しちゃうからね。気が利かなくてごめんね。

 わかった!こっちで頑張って調整するよスバルさん!」

 

 「おおきに!ほんま助かるで、いや無理言って悪いな!」

 

 スバルはマキマから記憶のコピーの制限という言質を引き出すことに成功して、安心して自分そっくりのマネキンを作らせることに同意したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「いやー。しかしほんまにマキマさんに感謝やな!」

 

 天童は明るい顔で不死身三兄弟の次男、ジョーイを縛りながら言う。

 

 「せやけどコイツらを拘束しつつ、引き渡さんといかんからなぁ。こりゃ合流はもっと遅くなるで。それまでデンノコ君が無事かどうか不安やわ。……ま、マキマさんがおるから何とかなるか!」

 

 黒瀬は長男、エリックを縛りながら言った。

 

 「……ああ、せやな。」

 

 そしてスバルは、マキマを警戒する必要があるという情報を伝えることができないまま、三男のアルドを拘束しつつ、誰にも聞かれないよう小さくため息をついたのだった。

 

 

 

 

 




※読み飛ばしていただいても構いません。


 勝手に名前をつけさせて頂いたキャラクター

 エリック

 不死身三兄弟の長男。原作だと不死身三兄弟の中で唯一名前が明かされなかった。
 名前の由来は長男の英訳、eldest sonのelの部分をそれっぽい名前のエリックに合わせた。
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