転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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40話 オペレーション・フロストパンク

 

 

 

 昼の東京湾にある某港にて、港の職員達がある貨物船の確認をしていた。

 

 「しっかしこの船は……何だ?予定だとこんな貨物船が来る予定はなかった筈だが。」

 

 外国との交易を行う貨物船に、予定にない船があったのだ。不審に思った港側は、確認のために職員を派遣したのだ。

 

 「もしかしたら悪魔が化けた、貨物船の悪魔とか」

 

 「だったらとっくのとうに、この船の乗組員も殺されてると思うぜ?」

 

 そう言いながら職員の一人が貨物船のコンテナを開けると……。

 

 

 ダダダダダダダダダ!

 

 

 「「「う、うわぁぁぁぁぁ!」」」

 

 中から大量の人間、いやサンタクロースが作った人形が一斉に飛び出して、職員達に掴み掛かった。

 

 「ぐ、グギィぃぃ!!?」

 

 そして悪魔の能力が発動して……港の職員達は人形に変えられたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 同時刻 東京デビルハンター本部

 

 マキマの執務室に一人の男がノックもせずに駆け込んだ。その男は息を切らしながらも、大声で部屋の主人、マキマに報告した。

 

 「マキマさん!大変です!東京湾の港が襲撃されました!人形の悪魔の力を用いた襲撃……サンタクロースによる襲撃です!」

 

 「月本さん連絡ありがとう……。ついに来たか。

 特異2課3課を港に回して、対魔1課と2課は特異2.3課の撤退ができるように、その周りで防衛ラインを構築。一部の人外職員も人形の殲滅に参加させて。

 特異1課と4課、地方公安のみんなは引き続きデンジ君の護衛を。

 そしてデンジ君達は民間人が避難する時間を稼ぐために、近辺に留まって人形達を引き付けて貰って。心苦しいけど民間人への被害を抑えなきゃいけない。難しいかもしれないけど、公安のみんなが人形を抑えてるから、デンジ君のところまで行く人形は数が限られるはず……!」

 

 「はい!わかりました!ところでマキマさんはどうなされますか?」

 

 月本に尋ねられたマキマは答える。

 

 「私は……クァンシさんの足止めをする。どれくらいやれるかわからないけどね。

 おっと、その前にちゃんと作戦開始の合図と演説をしなきゃ。」

 

 マキマはそう言うと備え付けの無線機を用いて、演説を始めた。

 そして、無線越しに公安のデビルハンター達に向けてマキマの演説が流れた。

 

 

 

 

「我々が過ごした暖かくも優しき日々、それは今過ぎ去ろうとしています。

 

 それは避けることができず、あまりにも残酷な真実で、過酷な現実です。

 

 我々に対して外国からの魔の手が迫り、その手によってわが国を照らす光が遮られ、冬が来るのです。

 

 その手はあまりにも大きく、我ら公安の全てを闇に包み、全ての終わりだと思わせるには充分すぎるほどです。

 そして一度……その手が全力で振り下ろされれば、我々公安は叩き潰されるでしょう。跡形もなく、無残に、まるで虫ケラのように。

 

 そんな巨大な魔の手に対して最も、堅実で容易な対処法があります。それは逃げる事です。

 我々公安デビルハンターは強力です、私が認めましょう。

 現在の公安デビルハンターは精鋭です、歴史が認めましょう。

 客観的に見て公安デビルハンターは圧倒的な存在です、世界が認めましょう。

 

 故に……我ら公安デビルハンターはその気になればこの巨大な魔の手から、逃亡することができるでしょう。

 一度この場を離れ、実力をつけ、それから改めて挑む。それが最適解でしょう。

 

 

 

 ……ですが、我々にはそれは許されません。

 何故なら、この場にいるのは我々だけではないからです。

 この場には大勢の市民がいます。彼らは我らとは違い、脅威に対抗するべく生きているのではありません。

 彼らは、彼ら自身の幸福を……彼らが幸せに生きてほしいと願う、自分以外の全ての人々の幸福を、それらを支えるために生きているのです。

 彼らは守られるべき存在なのです。

 

 では私たちは?私たちはそんな彼らを守るべき存在です。それが存在意義であり、目的であり、使命です。

 

 我々には脅威からの逃走は許されません。許されるのは脅威との闘争だけです。

 

 民間人の保護と悪魔の討伐……この二つを天秤にかけた時、どちらを選ぶか?我々公安に選択肢はありません。最初から決まっているのです。この公安という組織は、人を守るためにあるのだから。

 

 認めましょう、この脅威と向き合うことはとてつもない困難であると。

 ですが、我々がこの脅威に屈服することは、誇りが、義務が、正義が、そして……我ら自身が許しません。

 

 故に絶望的であろうと、どれだけ過酷だろうと、この脅威という寒さに対して我々は抗い、そして勝利を勝ち取らなくてはいけないのです。

 

 さあ……抗いましょう。敵に……恐怖に……運命に……そしてこの逃れられない闇がもたらす寒さに……。

 

 『オペレーション・フロストパンク』開始!」

 

 

 

 

 

 演説を終えると、マキマは無線機の通信を切り、椅子から立ち上がった。

 

 「それじゃあ月本さん。行ってくるね」

 

 「はい!頑張ってください!」

 

 マキマは月本に見送られながら、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 路地裏にて、スーツを着た公安のデビルハンター達が、大通りにいる避難する人々を眺めていた。

 

 「しかし圧巻ですね……これだけの大人数が避難する姿は。」

 

 「これもマキマさんの能力らしい。新人の爆弾の武器人間が暴れた時も、こうして避難させてたんだと。」

 

 公安デビルハンター達の目には、まるでロボットのように、静かに整然と移動する民間人の姿が映っていた。

 

 「しかしあまりにも静かで、不気味ですね。本来の悪魔からの避難はもっとパニックになるはずなのに。まさかもう人形になってるとか……。」

 

 「それは無い。特異課が引いて前線が下がったらしいが、それでもまだ突破されるに早すぎる。

 それでも信じられないなら市民に触ってみればいい。人形にならないからそれでわかるぞ?」

 

 「その確かめ方、嫌すぎますよ!」

 

 男達が雑談をしていると、後ろから魔人を引き連れた眼帯の女、クァンシが近づいてきた。

 

「小姐们!一如往常,请妳们处理 剩莱剩饭了(お嬢さん方!いつも通りに、残ったのを頼むよ。)」

 

 「魔人が複数……。」

 

 「サンタの仲間か?」

 

 「いや違う!こいつはクァンシだ!マキマさんが言ってた岸辺先生の元バディだ!」

 

 キィィィィン!

 

 クァンシが剣を抜き構え、それに対抗してリーダー格の公安デビルハンターも構える。

 しかしその実力差は天と地ほどの差があった。クァンシは目にも止まらぬ速さで切り掛かり、デビルハンター達を斬り殺そうとした……その瞬間だった。

 

 ガギイイィィン!

 

 「ほう?」

 

 「へ?」

 

 「あ?」

 

 「嘘……クァンシ様の剣が止められた!?」

 

 どこからともなく悪魔の力を使い、現れたマキマが鎖でクァンシの剣を防いだのだ。

 

 「お前がマキマか……まさか直々に来るとはな……。」

 

 マキマを見つめながらクァンシが呟く。

 

 「ええ、そうでもしないと仲間を守れませんからね。さぁ……クァンシさん。勝負です!」

 

 マキマは鎖を両手に巻き、ファイティングポーズを構えながら言った。

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