転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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42話 地獄と闇と光の力!!!

 

 

世界が闇に包まれた。そう思ったのも束の間。私……いや特異4課のみんなとクァンシさんとその仲間の魔人達、そしてサンタクロースの弟子であるトーリカは、異様な場所にいた。

 大地には草花が生え、バスタブが転がり空には無数のドアが覆い尽くしている異様な空間。チェンソーマン世界の地獄だ。

 

 「なんだここは?」

 

 異様な状況を前に、アキ君が言う。私はスライディングで滑り込んで倒れた状態から、みんなにバレないようにこっそりと立ちあがりつつ答えた。

 

 「ここは地獄だよ」

 

 「マキマ!?」

 

 「!?ま、マキちゃん!?どうしてここに!?」

 

 護衛としてついてきていた特異4課のメンバーであるレゼと姫パイが驚きながら言う。

 

 「話はデンジ君を復活させてからだね。クァンシさん、一旦休戦といこうか。」

 

 「ああそうだな、マキマ。魔人達の様子がおかしい。一時休戦には賛成だ。」

 

 私はクァンシさんの返答を聞くと、デンジ君のスターターを引っ張り、デンジ君を蘇生した。

 

 「イッたあぁァァァァ!?クソ!ああ!」

 

 「大丈夫デンジ君?助けにきたよ」

 

 「痛……て、マキマさん!え!?助けに!?あざっす!」

 

 私は他のメンバーの状態を確認した。人間組である早川班のみんなや宮城公安のバディは、落ち着かない様子でキョロキョロしてる。

 だけど魔人であるパワーちゃんやクァンシガールズは露骨に狼狽えていた。

 

 「僕たち終わりだ……ここ……地獄だ……地獄の匂いだよ」

 

 天使君は震えた声でつぶやいた。

 

 そんな状況でもクァンシは冷静に仲間に尋ねた。

 

 「ロン、ピンツィ。ここから逃げる方法はあるか?」

 

 「ク……クァンシ様。頭がおかしくなりそうです……。ずっと見られてますぅ……。私たちやばい悪魔に見られてますぅ……。

 ここからずっと先に、銃の悪魔やマキマなんかよりずっとずっとヤバい……。根源的恐怖の名を持つ悪魔達が私たちを見てます……。

 クァンシ様……自殺の許可を……」

 

 「……馬鹿、私がどうにかする」

 

 「あ!ああ!終わった……きちゃった!闇の悪魔……」

 

 ピンツィがそう言うと空にある扉の一つが開き、黒い液状の何か……いや闇の悪魔が現れた。

 

 

 「ধ্বংস কৰা」

 

 何か声のようなものが聞こえた。そう思ったも瞬間だった。私の四肢……いや私を含む複数名の四肢が切断されて吹っ飛んだのは……。

 

 「ガッ!?」

 

 「え!?」

 

 「!?」

 

 「ぐっ!?」

 

 私はこれから起こる闇の悪魔の蹂躙を予想して、素早くお腹の辺りから鎖を出して、トーリカに繋いで地獄の悪魔と契約させることにした。

 

 「クァンシさん!時間を稼いで!」

 

 私はトーリカを喋らせつつクァンシさんに指示を出す。クァンシさんは両腕がないにも関わらず、勇敢に闇の悪魔に立ち向かってくれて……

 

 「বাধা」

 

 クァンシさんの体は闇の悪魔にバラバラにされた……。

 

 だけど時間は十分稼げた!

 

 「地獄の悪魔よ……私の全てを捧げます。なのでどうか、わたしたちをお返しください。」

 

 そう言った(トーリカに言わせた)瞬間、

 

 ポッ!! ズバババァ!!!

 

私に鈴のついた剣が刺さり、チリーンという音と共に大ダメージを喰らった。

 

 「ギャアアアあああ!?」

 

 私は絶叫しながら地獄から現世へと戻された。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして私たちは、デパートの屋上へと地獄から戻された……。

 私が息も絶え絶えの状態で、仲間の無事を確認していると、ものすごいキモい体になったサンタクロースがジャンプして、デパートの屋上へとやってきた。

 青い髪に両肩から生えた8本の人形の腕、足は人形の頭でできていてものすごい長身……。これはキモい!

 だが私は臆することなく挨拶した。

 

 「ハッピー……ホリデー……げほっ……サンタクロース。」

 

 私はとれた腕を鎖で持ち血を搾って、デンジ君とレゼちゃんに飲ませた。

 

 「デンジ君……レゼちゃん……。敵はさっきの闇の悪魔の肉片を食べた。

 闇の中じゃ、攻撃は通じない!気をつけて!げほっ!」

 

 「マキマ、貴女はここで終わりです」

 

 「二人とも……信じてるよ!」

 

 私がそう言ってスターターとピンを引っ張ると、二人は復活して応えてくれた。

 

 「りょーかい!」

 

 「ワン!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「パワー達は大丈夫なのかぁ!?よ〜くも俺たちを地獄に落としてくれやがって!」

 

 「全く……私の腕も姫野先輩の腕もとれちゃったし、お返しにあんたの腕!ぶっ潰しちゃおうかなぁ!」

 

 レゼはそう言うと、腕を爆発させながら勢いよくパンチを放ち、右肩についてる腕を複数本破壊した。

 

 (爆発のパンチ……腕が取れてしまったのは厄介ですね。体制を立て直すことも含めてここは一旦場所を移しましょうか。)

 

 サンタクロースは複数本の左腕を絡めて大きく振り下ろし、デパートの屋上を破壊してデンジとレゼを地上に落とした。

 

 「痛ぇ……」

 

 「ケホッ、ケホッ……やることが派手すぎない?私が言えたことじゃないけど。」

 

 破壊の衝撃で生まれて煙が晴れると、そこには切られた腕が復活したサンタクロースがいた。

 

 「ふふ……見てください。闇の中で瞬時に傷が治りました。半年の寿命だった体もここまで回復するのですね。まるで貴方達のように。」

 

 「喋ってんじゃねえ!」

 

 そうデンジが言って斬りかかると、サンタクロースが集めた複数の人形達が、デンジとレゼに襲いかかった。

 

 「私たちの邪魔しないで!」

 

 しかし、その人形達はレゼの爆発により一掃された。

 

 「……爆弾の武器人間、厄介ですね。ならこれならどうです!?」

 

 そういうとサンタクロースは人形達の見た目を本物の人間のように変え、人間のように振る舞わせた。

 

 「え?」

 

 「あれ?勝手に体が動く?」

 

 「う、腕が!?腕が変なことに?う、うわぁぁぁ!」

 

 「マジかよぉ〜!?スッゲーわるのやつが使ってくるんやつじゃん!」

 

 サンタクロースの作戦に狼狽えるデンジだが、元スパイであるレゼは構わず人形達を吹っ飛ばし続けた。

 

 「ちょ、レゼ!?」

 

 「あれはただ単に人形を人間らしく振る舞わせてるだけだよ。そうじゃないとしてもやらなきゃこっちが殺される。

 ならさっさとあいつを殺して、人形が増えないようにする方が最も死者を減らせる。

 それが現実だよ、デンジ君。」

 

 レゼの言葉を聞いたデンジは黙った。チェンソーの悪魔になったデンジが、どのような表情を浮かべたかは察することができなかった。

 

 

 

 

 「まずいよ……デンジ君。夜が来た。」

 

 その後必死に戦い続けるも、ついに夜が訪れた。

 そして日が落ち、闇によって力を増したサンタクロースは、黒紫の肌をしたまさしく悪魔というのに相応しい見た目となった。

 

 「ふふふふふ、これが闇の力なのですね」

 

 「ちょっとキモくなってんじゃねぇか〜?」

 

 「いやー、最初っからキモかったと思うけどなー」

 

 軽口を聞いた後、サンタクロースはデンジを思いっきり殴り飛ばした。

 

 「残念、デンジ君を遠くにやったのは失敗だね。これで遠慮なく全力がだせる……。

 

 喰らえ!ナパーム弾!」

 

 そういうとレゼは小指を切り飛ばして闇の悪魔に向けて爆発させた。そして爆炎がサンタクロースを包む。

 

 「ギャアアアアア!」

 

 しかし、その爆炎は消えることなくサンタの身を燃やし続けた。

 

 「へっへっへ!ナイスだレゼ!俺も光の力でぶっ殺してやるぜぇぇぇぇ!」

 

 殴り飛ばされたデンジ。彼は近くにあった車にガソリンをぶち撒けて、その車を鈍器がわりに掴んで燃えるサンタクロースに叩きつけた。

 

 「これが俺のぉ!光ん力だぁぁぁ!ギャアアアアア!」

 

 思い切り叩きつけられた車は質量がそのまま武器となり、サンタクロースを襲う。

 その上ぶちまけられたガソリンと車の中のガソリンが引火して、思い切り爆発してデンジとサンタクロースに大ダメージを与えた。

 

 

 

 

 

 

 「あのサンタクロースを倒したか……。私の助力なしでこの速さとは……。まぁ、いい。潰しあって疲弊してくれたのは好都合だ。」

 

 デンジ達の戦いを見ていたクァンシはポツリと漏らした。

 

 「ク……クァンシさまぁ。もう帰りましょうよぉ。地獄に送られて命があったんです。それだけでもう十分ですよぉ。」

 

 泣きながらピンツィが言った。

 

 「ここで帰ったら、まさしく地獄に送られ損だ。逆に考えろ、あれより酷いことにはならない。

 それに……せめて地獄に送りやがったあいつにはやり返さないと気が済まない。」

 

 「ハロウィン!」

 

 会話を終えると、クァンシはサンタクロースと話していたデンジとレゼの首を不意打ちで刎ねた。

 

 「……クァンシ。貴方も私の人形に加えます。」

 

 「仕事だ、コスモ」

 

 「ハロウィン!ハ〜ロ〜ハ〜ロ〜ウィ〜〜〜ン!」

 

 コスモはかめはめ波の要領で、宇宙の悪魔の力をサンタクロースに浴びせた。

 そして膨大な知識量でサンタクロースの脳を破壊して、再起不能に追いやったのだった。

 

 「さて、あとはデンノコの心臓を回収するだけだな。」

 

 そう言って、デンジに近づこうとするクァンシ。

 

 「待ちなさい!」

 

 その瞬間、3人の人間の姿が見えた。それは先ほどボロボロになったはずなのに、完全に回復しているマキマ、そして岸辺と吉田の3人だった。

 

 「全部隊!クァンシさんを包囲!」

 

 そう言うと、遠くに離れていたデビルハンター達が大量にクァンシを取り囲み、悪魔や武器を構えた。

 

 「寿命……1000年使用!!!」

 

 そう言うとマキマは囚人達の寿命と天使の悪魔の力を使用して、超強力な槍を召喚した。

 

 流石に形成不利と悟ったクァンシは剣を捨てて、降参の意を示した。

 

 「降参する。私が逃げると思うなら四肢を切ってもいい。だから私の女を殺すな」

 

 「わかりました……我々公安は、クァンシさんの降参を受け入れましょう。

 みんな、武器を下ろしてください。安心してくださいクァンシさん。貴女と仲間の魔人の皆さんの安全は保証します。

 ……魔人の皆さんの人権と、教育の機会もね。」

 

 マキマは微笑みながら言った。


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