転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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5話 パワーちゃん確保

 

 

 時は少し遡る。マキマがデンジと出会う少し前、1人の魔人が公安に通報された。

 

 その魔人は赤いツノを生やし、牧場に住む牛を殺し、その血を吸っていたという。その情報を得た偽マキマは、その魔人のところへ向かった。その魔人に心当たりがあったからである。

 

 

 

 

 「確かここら辺で待ってれば来るはず……。」

 

 私は郊外にある道路の上で車から降り、これからくるはずの待ち人、いや待ち魔人を待っていた。と言っても相手は私がここにいることなど知らないのだが。

 

 「本当に来るんですかマキマさん?」

 

 付き人でガタイのいい方、黒井さんが私に尋ねた。運転が得意な方の月本さんは今日は休みだ。

 

 「うん、そのはずだよ。私の契約した悪魔の力でわかる範囲だと。」

 

 私は答える。実際には私が契約してる悪魔じゃなくて、私の支配の力なんだけどね。支配の力で小動物の視界を借りて、待ち人の位置を確認してる。

 

 「うん?お、見えた見えた!黒井さん、念のためにギリギリ目視できる範囲まで離れといて。」

 

 「俺の本来の役目って護衛だと思うんすけど…‥」

 

 黒井さんが困り顔で言う。

 

 「え!?守ってくれるの?代わりに戦ってくれるの?うっれしー!」

 

 「すんません、素直に離れます。それじゃあ、ご武運を!」

 

 「あははは。あ、ちゃんと車も持っていってね。巻き込まれると徒歩で帰る羽目になるから。」

 

 「はーい。」

 

 黒井さんは車に乗り、来た道を戻りその場を離れた。

 

 

 

 

 「うおおおおぉぉぉぉ!待て待て待て待てぇぇぇ!血ぃぃぃぃいいいい!

 そこのクルマ止まれぇぇえええ!」

 

 大声で叫びながら、全裸で赤いツノを生やした女の魔人、パワーちゃんが全力疾走して来る。大方、黒井さんの乗った車を発見してそれを追ってきたのだろう。

 

 「ストップストップ!そこの魔人さん、ちょっといいかな。」

 

 「うん?おお、ここにもちょうどよく人間がおるのう!女ぁ!勝負じゃあ!」

 

 パワーちゃんはそう言うと、走りながら腕から血を出して槍を作り、それを私に向けてぶん投げてきた。

 

 「危な!?」

 

 パワーちゃんが投げた槍を後ろに飛んでかわし、距離を取る。

 まさかなんの躊躇いもなくぶっ殺しにかかって来るとは思わなかった。いやなんで思わないんだ私、パワーちゃんだぞ?岸辺先生が100点くれるパワーちゃんだぞ?ちなみに私は岸辺先生に点数貰うどころかため息つかれた。

 

 私をガン無視で殺しにかかってくるパワーちゃんを止める為に、私は支配の悪魔の力で鎖を召喚する。といっても、原作のマキマさんが使っていたものとは違う。

 マキマさんが使っていた、ただの鎖とは違い鎖の先端の部分に手足にはめる輪っかのついた手錠のようにしてある。普通に相手を拘束するのにも使えるので、私の戦闘でのメインウエポンにしている。

 私はこの手錠(本来はただの鎖だけど手錠の方が警察っぽくて、かっこいいのでそう呼んでる)をパワーちゃんの片腕にはめて、それを思いっきり引っ張りすっ転ばせた。

 

 「がぁ!な、なんじゃこの鎖は!?」

 

 「悪魔の力だよ、悪魔と契約して戦うデビルハンター。聞いたことない?」

 

 何一つ嘘をつかず、まるで人間であるかのような印象をパワーちゃんに植え付ける。

 万が一私が悪魔とバレたら、絶対パワーちゃんのことだ。それをネタに脅迫してくるかも知れない。そうでなくてもパワーちゃんが些細なことでうっかり秘密をボロボロと漏らしまくって、公安中に私の正体がバレる未来が見える……。

 

 未来!最低!未来!最低!ぴぇんぴぇん

 

 そんな未来を回避するためには、パワーちゃんに私が支配の悪魔だと知られてはいけない。なので香水とかつけまくって、悪魔の匂いを誤魔化して今日はパワーちゃん確保に挑んだのだ。

 ちなみに付き人の黒井さんからは『臭いが…‥少しキツいかも知れないです。』って言われた……。『森の中に出現した魔人の任務だから、万が一私が遭難しても警察犬とか使って見つけやすいように対策したんだ』って必死に誤魔化したら納得してくれた。

 頑張って勇気を出して指摘してくれた、あの黒井さんの生温かい目が忘れられない。

 

 「はあぁぁぁぁ!?手錠!?悪魔の力の手錠!?」

 

 急に出てきた手錠にパワーちゃんは困惑している。

 

 「ウヌはただの人間のふりをしてワシを騙したのか!?何もしてないこのワシを!?こんの詐欺師がぁ!」

 

 「何もしてないって……今死ねって叫びながら槍投げてきたよね?」

 

 「えっ……?いや別にワシそんなことしてないんじゃが……。何言っとるんじゃウヌは……怖ぁ……」

 

 パワーちゃんはドン引きしながら私に言ってきた。こ、これがリアルのパワーちゃんか!すこし感動したわ……。

 

 「ウヌは自分が何をしとるのかわかっとるのか?

 何もしていない者に対して悪戯に暴力を振るい!

 その上で平然と人を騙し!

 挙句の果てに、ありもしない罪をでっち上げて人に被せようとする始末!

 今すぐその命をワシに差し出して詫びるがいい!言っとくが抵抗は無意味じゃ、ワシには警察官の友達が1000人おるからのぉ」

 

 パワーちゃんが堂々と、淀みなく私に言ってくる。あまりにも堂々としすぎてこっちが悪いんじゃないかという気がしてくる。てか警察官の友達が1000人かぁ……可愛いなぁ。

 

 「奇遇ですね、私も警察のお友達はたくさん居ますよ。なんなら私も警察の1人です。総理大臣とも面識ありますし。」

 

 「は?ワシは大統領とマブダチなんじゃが?てかワシが大統領じゃ。大統領権限で死ね!」

 

 パワーちゃんは自分の腕につけられた手錠を引っ張り、私を引っ張ろうと画策する。

 だがこちらは中身がいかに偽物のポンコツであろうと支配の悪魔、素手で弱体化したポチタ版チェンソーマン(デンジ君のふりバージョン)の体を貫通して殴り抜き、心臓を抜きとれる腕力を誇る。引っ張られるぐらいじゃびくともしない。

 

 「なんじゃこの馬鹿力は!?びくともせん……。ウヌはゴリラか!?」

 

 「言っとくけど、君に私は倒せないよ。私の目的は君を確保すること、こっちに従うなら命までは取らないから大人しく投降しなさい。」

 

 「うるさい!ワシには人質を救い出すという崇高な目的があるのじゃ!こんな所で捕まるわけにはいかんのじゃあ!」

 

 パワーちゃんはそう言い、なおも激しく抵抗を続けた。

 

 「残念だけど、こっちにも君を捕まえなきゃいけない理由があるんでね!少し眠ってもらうよ!」

 

 そう言うと私は手錠の鎖を思いっきり上に引っ張り、パワーちゃんを宙に浮かせた後、背負い投げの要領で鎖を肩に背負い、大きく弧を描く軌道でパワーちゃんを地面に叩きつけた。

 

 「ぐぎゃ!」

 

 そこからさらに思いっきり鎖を縮め、パワーちゃんをズルズルと引きずりながら私の下に引っ張り、首を絞めてパワーちゃんの意識を落とした。

 

 

 

 

 人質……やはりニャーコを人質に取られているんだろう。

 いつもの私だったらパワーちゃんのことを考えて、ニャーコを救ってあげに行くかも知れない。だがそれはデンジ君の役目だ。

 

 私はこの世界に転生してからずっとデンジ君を探して来た。原作通りにデンジ君が武器人間になったら辛い戦いに身を置く事になるため、それを回避したかったからだ。

 しかしポンコツな私ではデンジ君を全く見つけられない。そんな中、ゾンビの悪魔が出現したと言う情報も入ってきた。

 もはやここまで来たら、下手な原作ブレイクは諦め、原作をなぞりつつデンジ君をフォローして守る方向にシフトするべきだろう。

 原作をなぞる上で、ニャーコの救出はデンジ君とパワーちゃんが仲良くなる上で欠かせない。だから私が救うべきではないのだ。

 

 

 

 私はトランシーバーで黒井さんを呼び戻し、パワーちゃんを車に乗せて先に帰ってもらった。私にはやるべきことがある。

 

 

 

 周りに家がなく、ぽつんと立っている少し大きな家。私はそこに向かっていた。

 

 「ここがあのコウモリのハウスね。」

 

 私はポツリと呟き、支配の力を使いニャーコの視界を借りて部屋の中を探る。

 

 おお、コウモリの悪魔が寝てる。真昼間だからやはりそのイメージでコウモリの悪魔も寝てるのかな?

 私は抜き足差し足岸辺足で家に近づいた。説明しよう!この音を出さないで早く走る岸辺足は、岸辺先生との修行中に先生から逃げ抜くために編み出したのだ!結局岸辺先生から逃げられなかったけど……。

 私はこの岸辺足を駆使して部屋の中に入り、コウモリの悪魔の目の前に立つことができた。

 えぇぇ……。コウモリの悪魔どんだけ鈍いんだろうか、その耳は飾りか?ここまで弱いのなら支配することぐらい余裕そうだ。

 私は支配の力をコウモリに使い、ニャーコの世話をする様に思考を誘導した。

 ニャーコちゃん少し痩せてたなぁ、コウモリの悪魔め。ニャーコちゃん用にキャットフードの餌をたくさん残してから私はその家を後にした。

 

 

 

 

 

 

 そのあと私は、パワーちゃんを公安メンバーにスカウトするために、ホラー映画の力を用いて調教することになるのだが、それはまた別のお話。

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