転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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44話 公安対魔特異4課の休暇

 

 

 

 

 公安デビルハンター本部にあるフードコートにて、私はデンジ君と話をしていた。

 世界の刺客からの攻撃を乗り切ったから、それの労いを兼ねてご飯を奢ったのだ。

 

 「刺客達との戦いお疲れ様!よく頑張ったね!早川家のみんなとかデンジ君はどんな調子?」

 

 「アキのやつはさっき見舞いに行ってきました。なんか悪魔の力?を使えば両腕くっつくそうで、姫パイも安心してましたよ!」

 

 「おお!それは良かった……。両腕取れちゃったら姫パイも泣いちゃうだろうしね。」

 

 「まぁ、その後姫パイを不安にさせた罰として、病院食を姫パイと一緒に食ってやりましたけどね!」

 

 「酷い!」

 

 そんな感じで私はデンジ君とやり取りをして、話はついに旅行の話になった。

 

 「デンジ君、そういえば刺客を倒したからさ。もう安心して旅行に行けるけど、デンジ君はどうしたい?」

 

 「え?旅行!?超行きます!」

 

 そう言った後、デンジ君は少し考えた後、気まずそうな顔をした。

 

 「あ……でもそうだった。パワーが今……家で一人じゃやばい感じになっちゃってて、俺がいないとダメな感じで……。」

 

 「確かにパワーちゃんは闇の悪魔との戦いがトラウマになっちゃってたからね。公安の施設でパワーちゃんの面倒見てもらうってのも手だけど……どうする?」

 

 私は答えを予想しつつも、デンジ君の意思を尊重するために尋ねた。

 

 「…………いえ、俺が面倒見ます。よくわかんねえけど、こういうのって他のやつに任せるよりも俺がやった方がいい気がするんで。」

 

 少し悩んだ後、デンジ君は答えた。原作と同じように、デンジ君にとってパワーちゃんは大切な存在になっているようだ。

 

 「そっか……。よしよし、デンジ君偉いね。」

 

 私はデンジ君の頭を撫でながら言った。

 

 「ちょ!?ま、マキマさん!?」

 

 「ああ、ごめん、つい。嫌だった?」

 

 「い、いえ!全然構いません!ただ、何で撫でられたのかなって思いまして……」

 

 「そりゃデンジ君が偉いと思ったからだよ。デンジ君旅行楽しみにしてたでしょ?それでも旅行じゃなくて、パワーちゃんの為にそばに残ることを選んだ。

 私はそれが凄い立派だと思ったんだ。」

 

 「そっすか?」

 

 「うん!そうだよ、デンジ君の良いところだと思うよ。

 ま、旅行はまたの機会に行けるしね。そうだ!パワーちゃんが復活して、銃の悪魔の討伐が終わったら、いつか二人で旅行とか行ってみない?」

 

 「え!?マキマさんと二人でデートォ!?行きます行きます!」

 

 デンジ君は凄いノリノリで返事をしてくれた。私もデンジ君と一緒に旅行行きたかったし、嬉しい限りだ。

 ……まぁ、銃の悪魔を倒した後という条件をつけちゃったけどね。

 公安のみんなとの江ノ島旅行に、銃の悪魔の討伐に、デンジ君との旅行デート!やることが沢山ある。でも今はデンジ君との貴重な食事に集中しよう。

 私はそう思い、楽しく二人の食事を過ごしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マキマとの食事から数日、デンジは自分の部屋で目を覚ました。パワーをあやしてる最中に寝てしまったらしく、布団ではなくリビングで寝ていた。しかしアキの優しさからか、その体には毛布がかけられていた。

 

 「おはよう」

 

 毛布をかけた人物が、デンジに対して声をかける。

 

 「パワーの奴、夜中も叫んでて寝れなかったぜ。」

 

 頑張ってデンジがパワーの面倒を見た、その事実に対して早川アキはデンジの変化を読み取り、思わず頬を緩めた。

 

 「しっかし両腕くっついてよかったなぁ。これでまたアキの飯が食えるぜ。片手じゃ作りづれぇしな」

 

 「……まぁな。今回被害が少なかったのは本当に奇跡だ。

 特異4課での欠員も退職届を出したコベニだけで済んだ。最悪、闇の悪魔だけであの場の全員が死んでた可能性もあったしな。」

 

 「そっか、じゃあ今度あったらお前もちゃーんとマキマさんにお礼言っとけよ。」

 

 「何でお前が偉そうなんだよ」

 

 アキが呆れ顔で言うと、パワーの発作がおこり、再び騒いで喚き始めた。

 

 「ぎゃああああああ!」

 

 「また始まった」

 

 「はぁ……」

 

 

 

 

 

 デンジとアキはパワーをあやして、三人で食事を取ることにした。

 

 「こんなことの後でもマキマは旅行に行くらしい。まぁ、伏さん達や月本は闇の悪魔に遭遇してないし、そのメンバーのためってのもあるんだろうが。やっぱりマキマは強いな。

 ……で、何でお前はマキマと行かなかったんだ?」

 

 「へへん、そりゃ俺が偉いからだよ!偉い俺はパワーの面倒を見ることにしたんだ、マキマさんにも褒めてもらったんだぜ?」

 

 「マキマに言われたから残ったのか?」

 

 「うんにゃ、マキマさんには公安の施設にパワーを預けてもイイって言われたけど、自分で決めた。」

 

 

 

 そんなふうに二人が雑談をしていると、インターホンのチャイムが鳴った。

 

 

 ピンポーン

 

 

 「ん?誰だ?」

 

 アキが玄関に移動すると、そこには姫野と荒井が立っていた。

 

 「おいっすー!アキ君!飲みに来たよー!」

 

 「違うでしょ先輩!早川先輩失礼します!パワーが大変だと聞いて、お見舞いに参りました」

 

 「ああそうだそうだ!お見舞いねお見舞い。はい、私が買ったお見舞い品のビーフジャーキーと酒!」

 

 本来旅行に行ってるはずの姫野と荒井、二人の登場に思わずアキは驚いた。

 

 「酒とビーフジャーキーって、完全に俺と飲む気じゃないっすか。

 てか二人とも何でここに?江ノ島に行ったんじゃ……」

 

 「いやぁ、同じ班の仲間であるパワーちゃんが大変なことになっちゃってるじゃない?それを放っておくのも薄情だなーって思ってさ。

 なので優しい姫野先輩は、江ノ島旅行よりもパワーちゃんを優先したのです!

 それにアキ君抜きで江ノ島行くのもアレだし。」

 

 「そうか……。しかし荒井、お前まで旅行よりも見舞いを優先するとは意外だったな。」

 

 「まぁ、四課で残った新人職員の数少ない同僚ですから。

 コベニちゃんは闇の悪魔の一件で、辞めてしまってもう4課では3人しか同期は残ってませんし。」

 

 荒井は少し寂しそうにしながら言った。パワーを単なる魔人ではなく、新人の仲間のうちの一人と自然に考えている荒井に対して、アキは荒井が変わったと感じた。

 最初の頃はパワーを『魔人だから信頼できない』とハッキリと言っていたにもかかわらず、今では大切な仲間と思っている。

 そこまでアキが考えていると、そんな自分は荒井よりも遥かにデンジやパワーへの対応が変わっていることに気づいた。

 二人と出会った時はひたすら叱ってばかりで、うまくやっていけるわけがないと考えていたが、今ではすっかり家族のような存在だ。

 

 「あの……早川先輩?俺なんか変なこと言いましたかね?」

 

 荒井の一言で我に帰り、知らぬうちに笑顔を浮かべている自分に気がついた。

 

 「いや、悪い。ちょっと微笑ましく思ってな。」

 

 「なになになになに?何があったの?」

 

 「いやな、俺も荒井も、みんな変わったなって思っただけだ。」

 

 「ふーん。あ!変わったといえば大ニュース!

 実はあのコベニちゃんが……何と食べ物を分けたんだよ!」

 

 姫野が大はしゃぎで報告する。

 

 「何だ姫野。もう既に酒が入ってたのか。」

 

 「早川先輩!姫野先輩にもコベニちゃんにも失礼すぎますよ!」

 

 「でもコベニだぞ?」

 

 「………そうですけど!そのコベニちゃんが食べ物を分けたんですよ!」

 

 「そうそう、これが証拠です。ジャーン!」

 

 そう言うと姫野は車のおもちゃと飴を複数取り出した。

 

 「これは……?」

 

 「コベニちゃんが新しい車を買いに行った時に貰った飴とおもちゃだそうです。

 再就職に忙しくて来れないので、代わりに渡して欲しいと頼まれました。」

 

 「そうか……コベニは家庭の事情で色々あったんだったな。

 おっと、いつまでも玄関で話してるのもあれだな。中に入ってくれ。」

 

 「はいはーい。」

 

 「失礼します」

 

 そしてアキは同じ班の職員である二人を家にあげたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ところ変わって江ノ島。快晴の素晴らしい天気の中、デンジ君達をのぞいた私たち公安対魔特異4課の職員達は、慰安旅行に訪れていた。

 

 「海綺麗だなぁ……デンジくんと行きたかったなぁ。」

 

 「あーあ、来ないって知ってたら私も姫野達みたいに、行かないでお見舞いの体でデンジ君家に上がり込んでたのになぁ。

 誰かさんが教えてくれなかったからなぁ。」

 

 私が江ノ島の海を眺めながら座っている隣で、同じように座り、デンジくんを求めているレゼちゃんが、私に対してチクチクと口撃をする。

 

 「ごめん!まじでごめん!」

 

 「許して欲しいなら休暇、デンジくんと一緒に取らせて欲しいなー。」

 

 「うごごごご、武器人間二人が同時に休んじゃうのは……。その……。」

 

 「あー!首痒いなぁ!」

 

 レゼちゃんは首元を掻くようにピンのところに手を持ってきて、露骨な脅迫をしてきた。

 

 「待って待って待って!わかったからぁ!何とかするからそれだけはやめてぇ!」

 

 「よし!言質とった!」

 

 レゼちゃんは嬉しそうにガッツポーズをする。本来デンジ君が来ないという情報、そのことをレゼちゃんにも共有する必要があったのだが、お互い忙しくて伝えられなかったのだ。

 いやレゼちゃんが忙しいのは私が仕事を割り振ってるからだし、全部完全に私のミスなんだけど。レゼちゃんが怒ってるのも当然だ。

 

 「おーい、マキマさんにレゼさん。二人とも泳がないんですか?」

 

 そう声をかけてくるのは、特異4課の伏さんだ。

 

 「あ、はーい!泳ぎまーす!」

 

 私は両手を振って元気よく挨拶を返した。

 

 「……レゼちゃん。デンジ君がいないのは残念だけど、せっかくだし泳ごっか!」

 

 「まぁ、いつまでもウジウジしてても仕方ないしね。

 任務とかじゃない暖かい海でのバカンスか……。そういえば昔にやってみたいと思ってたっけ。よーし!全力で遊ぶぞー!」

 

 そう言うとレゼちゃんは駆け足で海に走っていった。

 

 「あ、ちょっと、私も行くー!」

 

 私は元気いっぱいになったレゼちゃんの後を追い、海へと向かっていったのだった。

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