転生したので、偽マキマさんはデンジ君を推します   作:フィークス2号

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7話 圧迫面接・夢バトル・そしてお見舞

7話 圧迫面接・夢バトル・そしてお見舞

 

 

 

 私はパワーちゃんを叱った後、お偉いさんの対応をしていた。

 部屋の光源は窓の光だけで、全体的に暗く、私に対してプレッシャーをかけたいのか、偉い人たちが一列に並んで私を問い詰める構図となっている。味方は後ろで私を見守ってるアキ君だけだ。

 

 「願わくば日本の敵は悪魔だけであって欲しいものだがな。」

 

 「マキマ君……君にあげた部隊の犬は育っているかね?」

 

 偉い人の言う犬、それは私が部下にしている悪魔のことだ。ようはパワーちゃんとかエンジェル君とかそういうの。

 みんなちゃんと人格があるのに犬扱いするなんて嫌な奴らだ。これだからお偉いさんは好きになれない。

 

 「期待に応えられそうなのが『1人』、そしてまだ未熟ですが潜在能力は計り知れないのが『1人』……と言ったところです」

 

 私は『1人』と言う部分をしっかり強調して言う。大事な大事な仲間なんだから、家畜扱いペット扱いはしない。いや、ペットも家族的な考え方を貶める気はないが、このお偉いさんはペットを家族並みに大切に扱わないタイプの人だろうし……。

 

 「随分と肩入れするんだな。君の仕事は犬を育てて使うことだ。くれぐれも情は入れてくれるなよ」

 

 私はそれに対してニコリともせず真顔で対応した。

 

 

 

 

 アキ君と部屋を出て、公安本部に戻るために私たちは車に乗ることにした。

 

 「アキ君、運転は私がやるよ」

 

 「ええ?そんな悪いですよ。」

 

 「いやいや、アキ君にはデンジ君の面倒を頼んじゃったし、これくらいやらせてよ。それに私の車だし。」

 

 「そうですか、じゃ遠慮なく。」

 

 そう言うとアキ君は車の助手席に乗り込んだ。

 

 そして他愛もない話をして、話題はデンジ君についてになった。

 

 「マキマさんはどうしてそんなにデンジに期待するんですか?」

 

 「うーん、彼の実績とかデビルハンター向きな精神とか、それと彼の能力とか……色々かな?」

 

 「でも実際のところ、使えません。公安は目標や信念がある者だけしかいない。でもアイツはダラダラ生きたいだけだと言ってました。公安に相応しくないですよ。」

 

 アキ君はそうつまらなそうに言う。

 

 「今のデンジ君は、銃の悪魔を倒した直後のアキ君みたいなもんだからね。」

 

 「はあ?」

 

 私がそう言うとアキ君は困惑しながら聞き返した。

 

 「デンジ君はね、今まで夢見てきた夢を掴んだ直後なんだよ。棚ぼたな感じだけどね。だからデンジ君自身も戸惑ってて、とりあえず今の状況を維持すること、今の生活を堪能することで精一杯なんだよ。

 アキ君も、もし銃の悪魔を殺すことができても、そんなすぐに次の夢とか目標なんて思いつかないでしょ?」

 

 私はアキ君にそう言う。

 

 「……マキマさん、アイツの叶えた夢って一体なんなんですか?」

 

 アキ君が私に尋ねる。

 

 「うーん、飢えに苦しまなくて、まともな家に住めて、ヤクザにこき使われずに借金から解放されることかな?これで彼の家族だった悪魔がいれば文句はないんだろうけど……その悪魔はデンジ君の心臓をやってるからね。」

 

 それを聞いたアキ君が少し引きながら言う。

 

 「あいつ……どんな人生送ってきたんすか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 デンジは絶体絶命の危機に立たされていた。後ろには動けないパワーとニャーコ、そして前にはヒルの悪魔がいた。

 

 「み〜〜んな俺のヤる事見下しやがってよお……。復讐だの、家族を守るだの、猫救うだの、あーだのこーだの……。

 

 みんな夢持ってていいなア!じゃあ夢バトルしようぜ!夢バトル!!

 俺がてめーをぶっ殺したらよお〜…!

  テメェの夢ェ!胸揉む事以下な〜!?」

 

  デンジは周りと違い、大きな夢や目標を持っていないコンプレックスや悩みを爆発させ、その怒りをヒルの悪魔に向けながら叫んだ。

 

 「吠えててカワイイわあ!いいわ!私が食べてあげる!」

 

 「ぎゃッハ!いいぜ!俺に夢バトルで勝ったらなア!」

 

 強気で勝負を続けるデンジ、しかし彼の劣勢は明らかだった。

 デンジの戦いを見ていたパワーは、ふとデンジとパトロールを開始する前に、マキマから緊急時の回復用に輸血パックを渡されていたことを思い出した。

 

 (デンジの輸血パックは……あ、コウモリの悪魔に握りつぶされ、血を搾られた時に一緒に潰れてしまったのか。じゃがワシの分の輸血パックはまだ残っておる!)

 

 パワーは必死に力を振り絞って、輸血パックの血を飲み干し、体力を回復させた。

 

 「デンジィ!ワシもその夢バトル参加じゃ!ワシはもうニャーコを助け終わったからのぉ〜!!

 取り敢えずマキマへの嫌がらせじゃ!ワシの夢はマキマに野菜を食わせ返してやることじゃああぁぁぁ!」

 

 

 そう叫びながらパワーは血で剣を作り、ヒルの悪魔に斬りかかった。

 

 「ぐっ!うるさい犬が増えて煩わしいわね!まずはお前から始末してあげるわ!」

 

 そう言うとヒルの悪魔は舌を突き出してデンジの腹を貫いた。

 

 「いただきまぁす!」

 

 「させるかぁ!」

 

 しかしパワーがすかさず血で槍を作って発射し、ヒルの舌を切り落とす。

 しかしデンジを咄嗟に救うために放った血の槍の分、血液を失ったためパワーは貧血状態に陥ってしまう。

 

 「んもぉぉおオ!さっきから邪魔くさいのヨォ!でも……もう限界みたいね……。」

 

 ニタニタとヒルの悪魔は笑いながら言う。

 

 「貴方達と遊ぶの楽しかったけど、もう飽きたわ。それじゃあね。」

 

 ヒルの悪魔が大口を開けて動けないデンジとパワーにかぶりつこうとする。

 

 

 

 「コン」

 

 

 その時だった。巨大な狐が現れて逆にヒルの悪魔にかぶりついたのだ。

 

 「こいつはヒルの悪魔だね、飲み込んでいい?」

 

 「よし」

 

 その狐の正体は早川が呼び出した狐の悪魔だ。デンジの目に4人の男女が映る。

 

 なにやら早川の指示する声を聞きながら、デンジは『夢バトル』とうわ言のように繰り返したのだった。

 

 「安心せいデンジ。この夢バトル、ワシらの勝ちじゃて!」

 

 パワーのその声を聞いて、デンジは安心して眠りについたのだった。

 

 

 

 

 

 

 夕方の静かな病院、そこに私は向かっていた。目的はコウモリとヒルの悪魔と死闘を繰り広げたデンジ君のお見舞いだ。

 部屋に入るとデンジ君はスヤスヤと寝息を立てて眠っていた。

 

 

 「……デンジ君お疲れ様。」

 

 私はそうポツリとつぶやいた。

 支配の力で今日の戦いを私は見ていた。デンジ君のお腹にヒルの悪魔の舌が刺さった時など、心臓が止まるかと思ったものだった。その時に助けに入ってくれたパワーちゃんやアキ君には感謝の思いでいっぱいだ。

 

 私はボロボロになったデンジ君を見て、とても胸が苦しかった。腕を吹っ飛ばされる……。その痛みは私も公安のデビルハンターとして働いているので、何度かそういう目に遭ってることからその苦痛は理解できる。あれは人が体験するような辛さではない。

 私は何度も何度もこの第二の人生で悪魔や犯罪者と戦い、地獄のような日々を味わってきた。もしこんな苦しみを仕組んだものがいたなら、私はその仕組んだものに対して絶対にキレる自信がある。

 それは誰だってそうだろう。デンジ君だって……いや、デンジ君は今までの環境があまりにも酷すぎたし、すごいポジティブだから気にしないかもしれない。

 だが……デンジ君を心から愛しているポチタはどうだろう。ポチタはデンジ君のために自分の心臓をあげるくらい、デンジ君を愛している。ポチタにとってデンジは、『誰かに抱きしめてほしい』という願いを叶えてくれた存在だ。そしてポチタはデンジ君がもっと子供の頃からずっと支えあって生きてきた家族のような存在だ。きっと……ポチタとデンジ君をこうなる前に見つけることができず、公安の職員として危険な目に遭わせ続ける私のことを許さないだろう。

 

 私はこの第二の人生で、デンジ君と出会えることをモチベーションに生きてきた。何度も辛い目にあったし、挫けそうにもなった。それでもデンジ君と出会うことを楽しみにしていたからこそ、今の自分があると言えるだろう。私はデンジ君には多くのものを貰った、前世でも……そして今世でも。

 だが私はデンジ君になにが出来るだろうか、原作の真マキマさんはデンジ君に多くのものを与えた……与えたものを奪い、デンジ君の心をへし折るために。

 私がデンジ君にしてあげられること、それは原作の真マキマさんよりも多くの幸せをデンジ君が体験できるようにすること、そしてその幸せが奪われないようにすることだろう。私は固く決意した。

 

 「ポチタ……いや、チェンソーマン。君は私を許さないだろうね。

 私がもっとしっかりしていれば、君たちともっと早く会えていれば、こんな過酷な運命を歩まずに済んだのに……。

 でも私はデンジ君が幸せな夢を見続けられるよう、精一杯私も頑張るつもりなんだ。私なんかじゃあまりにもポンコツで力不足かもしれないけど、それでも私なりにデンジ君を幸せにできるよう努力するよ。」

 

 

 スヤスヤと眠るデンジ君の髪を撫でながら私は言った。

 

 

 




 ポチタ「な、なんか知らないけどめっちゃ謝られてる……私がマキマさんのこと許さないとか言われてるんだけど心当たりが全くない。どうしよう……」
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