バトラーズ〜召しませお嬢様〜Sweet School of Life***   作:夏憐

3 / 14
朝2

右京:

  「お疲れ様でございました、小鳥お嬢様」

小鳥:

  「…………」

 

ここ、本当に学校……?

 

門をくぐってここまでたっぷり5分はあったんじゃないかな……と思う。

目にも鮮やかな森を抜け、開けた先に見えたのは……まさに『白亜の城』。

 

右京:

  「転校手続きの件に関しては、ご安心下さい。紫堂が既に連絡しております」

小鳥:

  「……はあ、そうですか。それは、どうもありがとうございます……」

 

車を降りて間近で見ると、尚一層迫力がある『城』を見ながら気のない返事を返す。

右京さん?は、後で説明してくれるって言ってたけど……こんな所に連れてこられて大丈夫かな。

ホント一体、何が起きてるんだろう……。

 

紫堂:

  「お待たせしました、お嬢様」

 

車を降りた後、ふいとどこかへ行っていた紫堂さんが戻ってきた。

 

小鳥:

  「あ、あのっ。学校は……先生はなんて……!」

紫堂:

  「なんら問題なく、小鳥お嬢様の件に関しましては快く承諾してくれました。寮にある私物なども、後ほどこちらにお持ちしますのでそれもご安心ください」

小鳥:

  「あ……よかった」

 

……て、よくないんだ!

 

小鳥:

  「すいません、本当に何かの間違いだと思います。おふたりが……ええっと……ご主人様?とかに怒られる前に、本物のお嬢様を捜したほうがいいかと!」

 

さっきから何度も何度も言おうとしたんだけど、全然聞いてもらえなくて。

でもでも、本気でここは否定しないと!!

 

小鳥:

  「あのですねっ、ホントに私はお嬢様なんかじゃ……」

右京:

  「この世に、小鳥お嬢様はひとりしかおりません」

 

尚も言い募ろうとする私を、右京さんは少し強い口調で遮った。

 

小鳥:

  「…………」

右京:

  「お嬢様はひとりしかおりません……」

 

右京さんは繰り返す。じっと私を見て。

なぜだろう……今度は悲しそう?

 

紫堂:

  「そうでございます。私達の目の前にいますね」

 

そう言って、紫堂さんはまたもやバッチリ決まったウィンクをした。

うわー、さっきはミラー越しだったけど、直接見たらなんかこう……迫力あるなぁ。女の人いっぱい泣かせてそう。

 

小鳥:

  「そんなぁ……」

右京:

  「とにかく、一度応接室へ参りましょう。そこで詳しくご説明いたします」

 

あ、右京さん戻ってる。

……さっきのは気のせいだったのかな。

と、そんなことより!

ここで動かなかったら、また両脇を固められちゃうんだろうな。

とりあえず、このおふたりの雇い主さん?に、人違いだって伝えて、分かってもらおう───

 

そう硬く決心をして、私は『城』へと入って行った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定