バトラーズ〜召しませお嬢様〜Sweet School of Life***   作:夏憐

7 / 14
昼2

(大広間に移動)

 

右京:

  「こちらがお嬢様の身の回りのお世話をさせていただく新崎と、鈴蘭屋敷の専属シェフです」

 

シェフ:

  「はじめまして、小鳥お嬢様。よろしくお願いします」 。

小鳥:

  「は、はいっ。こちらこそ、よろしくお願いします」

シェフ:

  「何か召し上がりたいものがあれば、なんなりとおっしゃってください。私が必ずご用意いたします」

小鳥:

  「ありがとうございます」

シェフ:

  「それでは、さっそくディナーの準備に取り掛かりますので、私はこれで失礼します」

小鳥:

  「は、はい。お忙しいところ、わざわざありがとうございました」

 

(シェフ、立ち去る)

 

さつき:

  「私は小鳥お嬢様の、直接の身の回りのお世話をさせていただく、新崎さつきと申します。

   どうぞ、なんなりとお申し付けくださいませ」

右京:

  「屋敷に関して分からないことがありましたら、この新崎になんでもお尋ねください」

小鳥:

  「はい分かりました。よろしくお願いします」

 

よかった……!このお屋敷、男の人ばかりだったらどうしようって思ったところなのよね。

歳もちょっと上の『お姉さん』って感じで近そうだし、明るそうな雰囲気も好感持てる。

この人が側にいてくれるなら、安心かも。

 

右京:

  「……それから───」

??・3:

  「龍哉~!例のお嬢様が今日来るって、ホンマか!」

??・4:

  「ああ」

??・3:

  「楽しみやなぁ。清楚で可憐なお嬢様なんやろ?めっちゃ可愛いんやろな!」

 

右京さんが何か言いかけたところへ、誰かが大きな声で話しながら広間へ入ってきた。

 

??・3:

  「で?どこにいはんの?」

紫堂:

  「目の前にいるじゃないか」

??・3:

  「お邪魔してます、紫堂さん。……って、は?またまたー冗談キッツイわ」

 

紫堂さんの知ってる人なんだろうか……。

良く見たら白嶺学園の制服着てる!?背が高いなー。何センチあるんだろう……。

あ、目が合った。挨拶……したほうがいいのかな。

 

小鳥:

  「こ、こんにちは、……狭山小鳥です」

??・3:

  「ええ!?この子がお嬢様?ホンマに?めっちゃ地味やん」

紫堂:

  「鉄太!」

??・3:

  「ぐはぁっ!」

 

うわっ。脇腹に拳が……!い、痛そう……。

私、地味って言われるのは慣れてるから別にいいのに……!

 

??・3:

  「ちょっ!……紫堂さん、なにしはんの!口から内臓らしき物が出かけたで……」

紫堂:

  「なんだ、内臓らしき物ってのは。出すなら正真正銘、内臓を出せ」

??・3:

  「……って、出せるかっ!だいたい、話がちゃうやん。

   俺は、可愛いお嬢様が来るっちゅーから見に来たのに!」

 

そう言ってその人は後ろを振り返ると、もう一人部屋へ入ってきて……。

 

??・4:

  「……ん?可愛いじゃないか」

??・3:

  「龍哉まで……。どこがやねん。兄弟揃って目ぇおかしいんとちゃうか」

紫堂:

  「……よく言った。だが、それ以上続けてみろ。しばらく、出入りできないようにしてやる」

 

こ、恐い。紫堂さんの背中に、何か焔が見えたような……!

 

小鳥:

  「あ、あのぉ……。私、本当に地味なので……ええっと、その人の言うことは非常にとても正しいというか……

   だから怒らないでください……」

紫堂:

  「……お嬢様は、優しい方ですね。ですが、大変失礼いたしました」

小鳥:

  「い、いえ。ホントに気にしないで……」

 

私に向ける顔は優しいのに、容赦なく拳を突き出す紫堂さんってば……フェミニスト?

本当にいるんだ、そんな人。

 

右京:

  「……藤盛」

??・3:

  「あ……いやーそのー……なんや、そないに睨まんといてください」

 

心なしか右京さんのこめかみが引きつってるような……。

 

右京:

  「もういい。藤盛、ついでだからお前も自己紹介を」

??・3:

  「はい、右京さん」

 

そう言って私の方へ向き直り、ピシっと居ずまいを正した。

 

鉄太:

  「はじめまして、お嬢様。俺の名前は藤盛鉄太。

   白嶺学園の3年生で……このお屋敷のシェフに弟子入りさせてもろてます。よろしくお願いします」

小鳥:

  「は、はいっ。こちらこそ、よろしくお願いします」

 

藤盛……先輩、関西の人なんだね。独特の言葉遣い。

 

紫堂:

  「龍哉お前もだ」

 

??・4:

  「えぇ、兄さん」

 

後から入ってきた人は、優雅に一礼して……『兄さん』?

 

龍哉:

  「はじめまして、小鳥お嬢様。私は紫堂龍哉。

   鉄太と同じく、白嶺学園の3年生です。以後お見知りおきを」

小鳥:

  「こ、こちらこそ、よろしくお願いします。……て……紫堂……?」

 

えと……「紫堂」……って言った?同じ苗字でこの話し方……。

まじまじと正面から顔を見てみると、ど、どーしよ。見つめられてる!?

 

龍哉:

  「今日からは毎日が楽しい日々になると、私がお嬢様に約束しますよ」

小鳥:

  「え───」

 

そう言ってウィンク。

 

紫堂:

  「龍哉はね、私の弟なんですよ。

   鉄太とツルんで何かと屋敷に出入りすることもあると思うのでよろしくお願いします」

小鳥:

  「そ、そうですか……」

 

そっか、兄弟なんだ。そう言えば話し方だけじゃなくて見た目も似てるかも。

すっごいチャr……モテそう。

 

鉄太:

  「なぁ龍哉ぁー俺めっちゃ腹減ったんやけど。はよ行こうや」

龍哉:

  「わかったよ、鉄太。ではお嬢様、また明日……」

小鳥:

  「きゃっ!」

 

な、なっ……手の甲にキスとか、初めてされた……!

 

紫堂:

  「龍哉!」

龍哉:

  「紳士として、正しい挨拶の仕方をしたまでですよ、兄さん。では失礼」

紫堂:

  「こら、龍哉! 私だってまだお嬢様の手にキスをしていないのに、お前ってヤツは」

小鳥:

  「……『まだ』ってなんですか!?」

 

大げさに天を仰ぎ見る紫堂さん……うん、間違いなく同じ遺伝子を持ってるよね。

 

右京:

  「……弟の教育は兄の責任だと思うが?」

紫堂:

  「まぁまぁ右京様。真面目過ぎもどうかと思うのですけれどね」

右京:

  「紫堂、お前まで!」

紫堂:

  「……っと、これ以上右京様を怒らせないためにも持ち場に戻らせていただきます。

   ……それでは、お嬢様。ごきげんよう」

 

(紫堂、立ち去る)

 

右京:

  「申し訳ございません、お嬢様。騒々しい者ばかりで……。どうぞ、お気になさらないように……」

小鳥:

  「はぁ……い、いえ!賑やかなのはいいと思います。私なら大丈夫です!」

 

だって、今まで……今朝までひとりぽっちで静か過ぎるぐらいだったんだもん。

賑やかなのってホントに久しぶりで、何だか嬉しいよ。

 

でも、手にキスとかはちょっと……困るな。

まだ心臓がうるさいぐらい驚いたんだから……。

 

右京:

  「それから───」

 

ん?今何かキラキラしたものが通ったような……。

 

右京:

  「クリス、戻ったのか」

??・5:

  「…………」

 

わっ……どこの国の人だろう。

海外の人を見るなんて滅多にないけど……こんな綺麗な人いるんだ。

 

右京:

  「今朝話しておいただろう?さあ、クリス。小鳥お嬢様にご挨拶を」

??・5:

  「…………」

右京:

  「クリス」

 

その綺麗な人は興味なさそうにちらっと私を見ると、どうでもいいような口調で……。

 

クリス:

  「……クリス・ブレア」

小鳥:

  「え?」

クリス:

  「オレの名前」

小鳥:

  「あ、はい。狭山小鳥です。よろしくお願いします!」

クリス:

  「…………」

 

(クリス、立ち去る)

 

あ、あれ?もう行っちゃった……。

とってもそっけない挨拶だったな。

 

右京:

  「……申し訳ありません、お嬢様。クリスはイギリスから日本に来てまだ日が浅く、言葉があまり分からないのです」

小鳥:

  「そうだったんですか」

 

だから、あんな仏頂面だったのかな?

私が英語をしゃべれれば、もう少しコミュニケーション取れたのかも。

 

……英語ガンバらなきゃ。

 

右京:

  「彼はクリス・ブレアと申しまして、白嶺学園とイギリスにある姉妹校との交換留学生で現在2年生になります。

   私の知り合いの縁ということもあり、こちらのお屋敷に住まわせてもらっております」

小鳥:

  「そうなんですか」

 

留学してくるぐらいだから、多少日本語もわかると思うんだけど……。

さっきほとんどしゃべらなかったのは日本語がわからなかったからなのかな。それとも無口なのかな。

 

小鳥:

  「ふぅ……」

右京:

  「お嬢様、お疲れでございますか」

小鳥:

  「はい、い、いえ、あのっ……はぁ……実は疲れました……」

 

嘘言っても仕方がない。ホントに今日は朝からいろいろあったんだもん。溜息も出ちゃうって。

 

右京:

  「それは気がつきませんで申し訳ありません。では、新崎。小鳥お嬢様をお部屋にお連れしてくれ」

さつき:

  「かしこまりました、右京様。小鳥お嬢様、どうぞこちらへ」 。

小鳥:

  「あ、はい」

右京:

  「何かありましたら、いつでもお呼びください」

小鳥:

  「分かりました。あの……これからよろしくお願いします」

右京:

  「ありがたいお言葉です、小鳥お嬢様───」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定