バトラーズ〜召しませお嬢様〜Sweet School of Life***   作:夏憐

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夜1

(コンコン)

 

小鳥:

  「は、はいっ!」

 

いけない!いつの間にか寝ちゃってた!うわっ、もう真っ暗だよ!

 

……。

…………。

……あれ?気のせい?ノックの音が聞こえたと思ったんだけど……。

しばらく待ってみてもしんと静まり返ったまま。

 

小鳥:

  「ん……と、いま何時なんだろう……?」

 

徐々に目が慣れ、窓から入る光でなんとか照明のスイッチを見つけ、時計を見る。

うわー、結構寝ちゃってた!いくら寝不足気味とは言え、初めて来た家でくつろぎすぎなんじゃないの?って感じだよね。

 

時間がわかると急にオナカも空いてきたし……。

晩ゴハンってどうするのかな。いつもはバイト先で調達してたんだけど……。

そう言えば、夕方会ったシェフが「ディナーの準備がある」とかって言ってたなぁ。

 

小鳥:

  「ディナーかぁー……」

 

年に一度、誕生日にだけ食べることが出来る───だって高いから!───ファミレスの『スペシャルハンバーグ』を思い出す。

目玉焼きとトロットロのチーズが乗ってて、熱々の鉄板にソースが落ちてジュウジュウ言うんだよね……。

 

小鳥:

  「グウゥ~」

 

……鳴っちゃった。

もしかして食いっぱぐれたりしないよね!?

 

小鳥:

  「やだ!まだまだ成長期なのにー!」

 

横にはカンベンだけど、上にも前……にももうちょっと伸びて欲しいし……。

 

小鳥:

  「よし、下へ行ってみよう」

 

そうっとドアを開け廊下に出てみると、そこもやっぱりしんとしてて。さすが広いお屋敷って感じ。

 

小鳥:

  「べ、べ、別にコソコソする必要ないんだから!」

 

自分の家……だもんね。……って、実感ないけど。

そうやって廊下の角を曲がると……。

 

小鳥:

  「きゃっ!」

??・6:

  「!?……失礼!」

 

ここの廊下って、毛足の長いカーペットが敷いてあってまったく足音がしないものだから、誰かが来てるなんて全然気が付かなかったよ。

ぶつかって鼻打っちゃった。

 

小鳥:

  「あ、いえ。私こそゴメンなさい。……あ、あれ?」

 

右京:

  「お嬢様、こんな所に!」

小鳥:

  「あ、右京さん」

 

出会い頭にぶつかってビックリしてるところへ、後ろから右京さんに声を掛けられた。

 

右京:

  「お部屋にいらっしゃらないのでお探ししました」

小鳥:

  「よかった、私オナカペコペコで……。あの……それよりどうして……先生が?」

 

そう、さっき私とぶつかったのは、今日担任として教壇に立ってた先生だった。

 

右京:

  「……真治何をしている。お嬢様を呼びに行くよう言っておいたはずだが」

真治:

  「すみません。ノックしたのですが返事がなかったので、ご自分で下へ行かれたのかと」

 ・

 ・

 ・

小鳥:

  「…………え?」

 

そう言えば、先生に応接室で待ってる右京さんたちのところへ案内された時も、知り合いっぽいなって思ったっけ。

でも、どうしてここに?

 

右京:

  「おや、真治。お嬢様に説明していなかったのか。

   改めまして、お嬢様。私の息子で現在白嶺学園でお嬢様の担任をしております、右京真治です」

小鳥:

  「右京……先生?って……息子って……ええぇーーーっ!」

 

真治:

  「教室で自己紹介して時に気付いてるかと思っていましたが……」

小鳥:

  「そ、そうですね……」

 

そう言って、右京……先生は苦笑いを浮かべた。

だよね……。『右京』ってあまりない苗字でわかりそうなのにね。

ちゃんと聞いていればの話だけど……。

まさか、隣の人と話してたから聞いてませんでした───とは言えない……よね。

 

言われてみると、目元が似てるかな。先生と右京さん。

 

真治:

  「それにしても───」

 

な、なに?急に温度が下がったような感じ。

 

真治:

  「大隈家のお嬢様ともあろう方が、先ほどのような大声を出すとは何事です」

小鳥:

  「ご、ご、ごめんなさいっ!」

真治:「これからは立派なレディになっていただくため最大限努めさせていただきますので、どうか小鳥お嬢様も常にそこのところを自覚していただきたく存じます」

小鳥:

  「……ハイ……」

 

反射的に謝っちゃったけど……。

前言撤回、この真面目さはそっくりかも。

確か学校では「狭山さん」って呼んでたのに、今「小鳥お嬢様」って……。

紫堂さん兄弟も似てるって思ったけど、右京さん親子も同じ遺伝子を持った者同士だね、うん。

 

真治:

  「わかっていただければよろしいのです。あと───」

小鳥:

  「グウゥ~」

 

わ、バカ!私のオナカ!何もこのタイミングで鳴らなくても!

 

右京:

  「……」

真治:

  「……」

 

ほら、右京さんも先生も目が点になってるじゃない!

 

小鳥:

  「……ゴメンナサイ……」

 

う、うぅ……穴があったら入りたい……。恥ずかしくて死にそう……。

 

右京:

  「お待たせいたしました、お嬢様。夕食のご用意が整いましたので、どうぞ食堂までお越しください」

小鳥:

  「……はい、分かりました……」

 

しっかりと聞こえたはずなのに、ノーコメントですか……。いっそ何か言ってくれた方が恥ずかしくないのに……。

そう思ってはみたものの、聞こえないフリをするのも優しさかもしれないと無理やり思うことにした。

 

小鳥:

  「あきれて何も言えないだけだったりして……」

 

真治:

  「……何か?」

小鳥:

  「!?」

 

無言のまま慌てて首を横に振る。

あぶない、あぶない……ついついひとり言が声に出ちゃった。長い間ひとりぽっち生活を送っていたせいかな。

 

右京:

  「では、参りましょう」

小鳥:

  「はいっ!」

 

ディナー♪ディナー♪

 

スキップしたいぐらい足取りも軽く、右京さんに食堂へと案内されたんだけど……まさか「ディナー」があんなものだは、一般庶民の私には想像の範囲を超えてて……。

───思い出したくもないほど、それはそれはヒサンなものだった……。

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