愛を知らない高校生と魔人族の姉妹   作:ニック

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第1話

本当に物語は些細なものからだった

放課後、屋上で物語でもあるような告白から始まったのだ

 

「瀬川くんのことが好きです。私と付き合ってください」

「……」

 

容姿はそこそこであるのだがそれでも日頃のカースト的にはそんなに高くなく、野球オタクとアニメ、ゲーム好きってことでとある少年。瀬川匠は少し動揺していた

生まれて初めての告白

女子と話すこともできないこともないのだがアニメが好きってだけでオタクと判断されているタクミはこの少女と結構仲がよく、隣の席が話しているのもあったしな

でも相手が問題なのだ

黒髮の少女、名前を白崎香織という少女が問題なのだ

学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる

そしてたくみとは普通であればつりあわないくらいのは人気が高い少女

でも、なんだかの理由で明らかに好意を漏らしていたことは分かっていた

だから遠回しに告白までいかないようにしてきたはずだ。しかしこの結果になったこと。そして断らないといけないことに少し罪悪感を覚えていた

 

「……ごめん」

「っ!」

「悪い。白崎とは付き合えない。本当に悪い」

 

多分こんなことは二度とないだろうなっと思いつつ香織に頭を下げる匠

すると少し涙目になる香織が少しだけ決心をつけたように次の言葉を紡いだ

 

「……どうしてだか聞いてもいいかな?」

「理由?」

「うん。ダメかな?」

 

その言葉にタクミは小さく息を吐く

タクミにとって、その言葉は自分の首を絞めることにも繋がるのだから

 

「白崎って俺の家庭って八重樫から聞いたか?」

「えっ?ううん。聞いてないけど」

「そうか。……俺って恋愛ってあんまり好きじゃないんだよ恋愛もしたことはないし、好きな人もいたことがない。というよりも俺は家族ってものを知らないんだ」

 

タクミの家族構成が原因だった

タクミは義理の父親がいることは幼馴染のシズクから聞いていた。タクミは本当の父親の顔すら見たことがないらしい

別にそれならいい。でも問題はその母親だ

再婚が3回。一応タクミが知っている限り離婚を知っている限りは三回している

だから一番小さい義妹を除いてあまり家族仲がよくないことは知っていて休日は基本的に朝早くに出てバイトや野球をすることによって時間を潰していることを話していたことがある

家に居場所がないっということもそうだがどこか人間不信気味になったのはいうまでもない

 

「白崎のことは人間性もそうだし、見た目だっていいとは思う。でも付き合うってなると話は別なんだ。俺は白崎を恋愛という目では見たことがない。いや他の女子だってそう。誰も恋愛ということで見れないんだよ」

「……」

「だから俺の問題。俺にとって友達を。ましてや彼女になる人物なら傷付けたくないから」

「……そっか。それなら今まで通り友達のままいてくれないかな?」

 

こんな理由でも明るいままの白崎に罪悪感を抱いてしまう

それでも、タクミ付き合うことは出来ない

まだ、人を好きになることができないのだから

 

「それは当然。しばらくの間は普段通りにできないかもしれない。俺って結構顔に出るから」

「うん。それじゃ……また月曜日ね」

「あぁ。またな」

 

といい白崎が先にその場から離れる

目には光る何かが下に落ちながらその場を離れていくのであった

 

 

週明け、告白から2日の休みが明け登校日

日頃の憂鬱な月曜日より数倍面倒な月曜日を迎えていた

普段から誰より早く登校しそして睡眠を取るのが基本的なタクミのスタイルである。そうでもあるのだが、珍しいほとんど寝てばかりいたタクミはその日は唯一寝れなかった

告白慣れしたことがある人ならまだしもタクミは初めて告白されたのでどうやっても寝れなかったのだ。それもタクミは自分に評価が低いので尚更だ

ため息を吐いた瞬間ガラガラと教室のドアが開く

するとそこにはポニーテールの印象的な少し柔らかな目をした少女が俺の方を見ていた

 

「あら。今日は起きているのね」

「……おはよう。八重樫。朝練終わりか?」

 

彼女の名前は八重樫雫。彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでおり、雫自身、小学生の頃から剣道の大会で負けなしであるがとあることから裏に可愛いもの好きの少女であることは分かっている。

なお香織の親友であり、タクミの唯一といっての父親の手がかりなのでもある

 

「いえ。あなたに少し聞きたいことがあったから」

「……そうか。まぁ白崎のことだろうけど」

「そうね。本当に振ったの?」

「あぁ。断ったな」

 

するとそうといいタクミの隣の雫の席につく。

 

「……香織泣いていたわよ」

「それほど本気だったってことだろ。俺も初恋相手に振られたとき泣いた覚えがあるし恋愛ってそんなものだろ。自分に好きな人がいるままでその相手と付き合っても長持ちはしない。俺の両親みたいにな。……それだから振るしかなかった。本気って分かっていたし傷つけるとは言え余計に傷つける選択なんてできるわけねーだろ」

 

タクミがぶっきらぼうにいうと八重樫は少し苦い顔をする

八重樫は俺の最初の父さんが縁があったらしい

なので時々であるでタクミの顔を見に師範である八重樫の親父さんと縁がある分長い縁である

 

「……ちゃんと香織のことも考えてくれていたわけね」

「考えるさ。俺が多分そいつに出会ってなければ白崎のことを好きになっていただろうし」

「……」

「いっとくけど俺も白崎ことは好きだぞ。ただ俺は人と付き合うということが信じられないだけ。即ち八重樫と同等ってこと。つーか付き合い的には八重樫の方を優先的になるだろうし、それに俺には好きって感情は理解できないから」

 

おそらく目の前にいる雫のことをいつもならからかってくるタクミがこんなにも静かなのは珍しい

そして隣人がいつもとは違うってことも雫は理解できた

なお、雫は当然ながらタクミの気持ちなんて理解できないのだが

そんな話をしていると教室の扉が開きまたクラスメイトが入ってくる

 

「んじゃ。ちょっと寝るわ。さすがに2日寝てないときつい」

「……あなた本当に大丈夫なの?」

「その前に八重樫と話しておきたかっただけだからな。まぁ今から寝るけど。それじゃあおやすみ」

 

と匠が睡眠を取るため机にうつ伏せになり睡眠を取る

いつもなら授業までには起きるのに珍しくタクミはずっと睡眠をとったままであった

なお雫は少し苦笑しタクミの分までノートを取っていた

しかし、そのノートはタクミが見ることがなく終わることになる

 

 

昼休みも相変わらず爆睡しているタクミに親友である南雲ハジメは苦笑していた。

実はタクミのバイト先はハジメの母親の漫画家のアシスタントであり、タクミ自身将来的に漫画家になりたいと思っているのもあるので働きながら学んでいることもある

おととい、昨日と漫画の締め切りが近く泊りがけでハジメの母親の漫画を書いていたことは知っており、あとは物語の構成を鍛えれば人気漫画家になれるだろうというのがタクミの腕だ

とハジメが思っていた中で一人の少女がタクミの方に近づいていた

 

「雫ちゃん。タクミくんは起こしても大丈夫かな」

「今日はやめておきなさい。どうやら結構きてるらしいから。多分今日は放課後までこのままよ」

「珍しいね。タクミくんが授業中に寝るなんて」

 

ともちろん香織と雫の会話である。

どこか今日の香織は元気がないとクラスメイト全員が気づいていた。

しかし、それよりもタクミの違和感は誰もが拭えないのである。

誰から見ても真面目で明るい生徒であるとクラス全員答えるくらいには印象も悪くはない。アニメ好きって一面もあるが野球が好きで中学生まで硬式のチームに入っていたとも聞いている。ただ怪我の影響で断念しざるを得なくなったが今でも草野球で大人に混じって外を駆け回っているのはクラスの共通認識だ

嫌っているのは数人いるがそれも気にしていない

だって家族ですら味方がいないのだから

そのうちの一人天之河光輝は香織に話しかけようか迷っていたが一度あまりタクミたちに関わらないように言ったところ絶対零度の視線を向けられながらタクミから

『人を自分の道具扱いするなよ』

と怒気を含んだ言葉を話しかけづらくなっていた。その時の言葉はかなり重さがあり、そして光輝自身幼馴染とはいえ話かけづらくなったのはタクミの仕業。そして何よりも許せないのは雫や香織と今では光輝以上に話していることだった

そんな視線はいと知らず二人は相変わらずタクミに向けられている

 

「……雫ちゃん。私やっぱり諦めないよ」

「香織」

「何が相手だろうと負けない。タクミくんの隣に立ちたいもん」

 

と一度振られているにも関わらずまた積極的にアピールすることに決めた香織に雫は少し笑顔になる。

ハジメにもタクミとは雫と香織みたいな関係でよく小学校のころから遊びに行く仲だ。最近でもハジメは外を出なさすぎといい平日限定で遊びに連れていかれる。でもそれが嫌ではなく、さらに休日は基本的に自由にしていることもある

タクミにとって休日が一番嫌いであることを知っているのに休日は誘ってこないのだ

 

……せっかくだし今日は僕の方から誘ってみようかな

 

そんなことをハジメが考えている時だった

急に幾何学模様の純白を魔法陣が現れ光輝の周りを発光する

そそれと同様にタクミだけを包み込んだ赤色の魔法陣が発光していたのは誰にも気付いていない

その二つの魔法陣の異常さに気づいた愛子先生は咄嗟に「皆! 教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった

この瞬間非日常的な日常生活が始まるのもいと知らずタクミは相変わらず夢を見ていた

 

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