酒呑み二本角の鬼が召喚されました 作:酒呑童子?
めちゃくちゃになった教室の片付けが終わったのは、昼休みの前だった。魔法が使えない為、人力で修理する事になっていたので思ったよりも時間がかかってしまった。……なんてことはなく、私の分身でパパパッと終わらせたのさ。
シュヴルーズは爆風に吹き飛ばされてから二時間程で意識を取り戻したが、先ほどのルイズの呪文が効いたのか「錬金」の講義は行わなかった。魔法にもそれなりに興味があったんだがね。残念だ。
「はい! 片付けしゅーりょー! んぐ、んぐ……ぷはぁ! 軽めとはいえ、ひと仕事した後の酒は美味い! 労働ってのは何物にも代えられないスパイスってぇもんだ!」
私が気持ちよく呑んでいると、ルイズが暗い顔で話しかけてきた。なんだいなんだい? 愚痴なら聞いてやらんでもないが……
「……わかったでしょ? 私が『ゼロ』と呼ばれている理由……魔法の成功確率ゼロの落ちこぼれ。他のメイジが鼻歌を歌いながらできる魔法も出来ない情けない奴がアンタの主人なのよ……」
「……ありゃ失敗とも言えるし、成功とも言えるかもね」
「……どういう意味よ」
流石にこれだけじゃ不貞腐れたまんまだね。もう一押しと言ったところかな?
「いいかい? まず、物ってのはとーーーっても小さな粒の塊のあつまりで出来てるんだ。私が能力で見たところ、錬金ってのはその粒の種類を変えているのさ」
「小さな粒の塊……それが私の失敗魔法と何の関係が?」
よし、食いついた! ここからが正念場だね。
「ところがだ。ルイズの起こすあの爆発、粒の種類を変えてるんじゃなくて、粒そのものを消滅させてるのさ。本来その粒って、形は変われど、絶対に消える事は無い。……ルイズの起こす爆発を除けばね。多分、本当は爆発は副産物で、消滅が本来起こしている魔法なんじゃないかな? ……ま、推測の域を出ないけどね」
「……そんな冗談ある訳ないでしょ。失われた虚無の魔法じゃあるまいし」
「そうかねぇ? でも、ゼロってのはもう必要ないものかもね! 私を喚んだのも、契約したのも魔法なんだろ? ならゼロじゃない! うぇひひ!」
「そう……ね。スイカを喚べたんだから、こんなところで挫けてられないわ!」
「その意気やよし! ところで、朝は聞きそびれたんだが……厨房ってどこだ?」
この後ルイズに軽くゲンコツされた。なんでかねぇ……?
「……ほら、ここが厨房よ。く れ ぐ れ も ! 粗相のないように!」
「うぇひひ! あんなに高価な飯を残すルイズ以外の貴族サマとは違って私はお残しをしないのさ! 食えるだけ食う!」
私の宣言にルイズが呆れてそのまま食堂に向かった後、後ろから大きな気配がした。
「がははははは! 嬢ちゃん、分かってるじゃねぇか! 全く、ほとんどの貴族のガキ共は最高級の食材を残すだけじゃ飽き足らず、こんな豪華な飯をささやかな糧呼ばわりだ! ヴァリエールのご子女とかはそうでもねぇがな!」
お! このおっちゃん、分かってるねぇ!早速たかるとしますか!
「うぇひひ! おっちゃん! 酒のつまみに合うもんよろしく! あ、私は料理酒よりも強い酒飲んでるんだ!ワインとかに合うやつとは違うのをお願いするよ!」
「がははは! じゃあこの若豆(枝豆)を食え! この前試しに食ってみたんだが、どうにもワインには合わなくてね! 貴族サマはワインしか飲まねぇ。だから使い道に困ってたんだ!」
「……うん! 美味い! 炒った豆じゃないのもいいね! 私は炒った豆がダメで、触れるだけで火傷しちまう! ま、死にはしないけどね!」
……うん!労働というスパイスもいいけど、酒を呑むならツマミがないとね! これは……枝豆かな? 記憶のものよりも美味いし、最高級ってのは間違いなく嘘じゃないね!でも、枝豆ってワインよりもビールに合うような……? でも、最高級クラスなんだし大抵の酒には合うか。
……こんなにも美味いもんを貰ったんだし、このまま去るのもなんかねぇ……そうだ!
「なぁおっちゃん。手伝えることは無いかい? こんなに美味いもん貰ったんだ。何かしないと申し訳なくて夜しか眠れなくなっちまうよ!」
「ん〜……そうだな、確か配膳の仕事が少し遅れ気味だった筈だ。 嬢ちゃんが良ければ手伝ってもらえるかい?」
「もちろん! あそれ、パパパッとな!」
私は能力の応用で程よいサイズのメイド服──たまたますれ違ったメイドのものと合わせた──を即興で仕立てて一瞬で着替える。
「うおっ!? ただの気のいい飲兵衛だと思ったらメイジだったのか!」
「おっと、私はメイジじゃないよ。ましてや、あのひよっこ達のお仲間でもない……ただの使い魔さ」
「……こりゃあ1本取られたな。人を見る目には少し自信があったんだが、物の見事に騙されちまった!」
「うぇひひ……こんなんでポンポン驚いてちゃ、寿命が縮んでポックリ死んじまうよ?」
「それもそうだな!」
渡されたデザートのケーキが並んだ銀のトレイを持ってメイドの1人───シエスタと言う名前らしい───と食堂に出る。そのケーキをシエスタがはさみでつまみ、一つずつ貴族達に配って行く。
金色の巻き髪にフリルのついたシャツを着た気障ったらしいメイジの姿が見えた。薔薇をシャツのポケットに挿して髪を手でかきあげている。周りの友人が、口々に彼を冷やかしている。
ん〜、記憶にもこんなやりとりが。まぁ口に入っているもん飛ばさなければ楽しむのはいい事さ。
「なぁ、ギーシュ! お前、今誰と付き合ってんだ?」
「教えろよ、ギーシュ!」
あの気障ったらしいメイジはギーシュというらしい。彼は愛でる様に薔薇を撫でた。
「付き合う? 僕は特定の女性には縛られないのだよ。薔薇は多くの女性を楽しませる花だからね」
キザったらしい奴がキザったらしいセリフを言うとここまでお似合いになるとはね……一つ勉強になったかもしれないよ。
まぁ、言葉そのものにいい感じはしないけどね。
その時、ギーシュのポケットから小さなガラス製の小瓶が落ちた。中には紫色の液体が入っている。……密度のばらつき加減からして水と何かを混ぜて作った香水かな?まぁ落としたのなら『こっそり』教えるのが優しさってもんさ。きっと匂いか何かを気にしてるんだろうさね。それをバラしたら彼がしょうもない理由でバカにされちまう。
私は足元から分身のチビ萃香(メイド服)を降ろし、チビ萃香がとてとてと歩いて小瓶を持ち上げ、ギーシュのズボンからよじ登ってこっそりとポケットに入れ、クイクイとズボンを軽く引っ張る。
(? ……ゼロのルイズの使い魔……? ! これは……危ない危ない。彼女が気の利いた事をしてくれなければ危うくあらぬ誤解を生むことになるところだった……)
……何か変な気配がしたけど気にしないでおこう。
さて、ギーシュ達にケーキを配り終えて……っと、次は……ん?
「それでは、失礼します。ゆっくり味わって食べてくださいね」
ケーキを配り終えて立ち去ろうとしたシエスタだが、一人の男子生徒に呼び止められた。
「おい、そこのメイド!」
「え? ……は、はい! 何かご用でしょうか、貴族様」
「何かご用でしょうか、じゃない。あれはなんだ? どうしてこの『アルヴィーズの食堂』に、下賤な亜人が働いているんだ?」
私の方を指差しながら、そう詰問する。……おいおい、そりゃ失礼にも程があるんじゃないかい?
シエスタはさっと顔を青ざめさせて、怯えた様子だったが、料理長のマルトーからあらかじめ『面倒事になるから答えなくていい』と言われてしまっているのと、ルイズが先程から話さないでできるだけ穏便に済ませてと視線で釘を刺されているため、しどろもどろになってしまった。
「も、申し訳ございません! ですが、それは……その……」
「理由なんてどうでもいい!とにかく、あいつのくさい臭いが食事に移って食えたもんじゃない。さっさと追い出せよ!」
「その発言、取り消しなさい。ロレーヌ」
そこで、遂に耐えかねなかったのかルイズが声を上げて席を立った。
「そいつは私の使い魔よ。その扱いによそから口を挟まれる謂れは無いわ。それに、スイカは衛生的な筈よ」
この学院における使い魔の食事は、主人が用意するのでも、自給自足させるのでも、各メイジの判断に任されることになっているらしいね。
そんで、主人が提供する場合には、常識の範囲内でなら学院の調理場へ注文してもいいことになっている。私の場合は常識の範囲内で食べたし問題ない。あ、食べさせる場所にしても、基本的には自由だぞ?
巨体だったり衛生的な問題などで、食堂へ連れ込んでは迷惑になるような使い魔ならともかく私は──見た目は──人間に限りなく近い亜人であるのだし、衛生的にも何ら問題は無い。
なによりも、メイジにとって使い魔とは大切なパートナーであり、そのあつかいに対して他人がみだりに口を差し挟むことは、大変に非礼な振る舞いであるとされているそうだね。
「使い魔だと? 平民が?」
ロレーヌと呼ばれたその男子生徒は、ルイズを軽蔑したような目で見た。そこまでこいつが偉いとは思えないけどねぇ?
「この『アルヴィーズの食堂』も、最近は格が落ちたものだ。田舎者が多くなったし……」
そう言いながら、他国からの留学生達にちらちらと揶揄するような視線を向けていく。
ただ、彼らの中でも最も目立っているキュルケと、こちらは目立たないがその親友であるタバサという少女には、決して目を向けようとはしなかった。
どうやらこのガキは、自分よりも劣る(と思い込んでいる)者たちに対してはとにかく高圧的で尊大な、侮蔑したような態度を取る輩なのである。つまり、クズ野郎って事だ。
最後に私の方を見て、ふんと鼻を鳴らした。
「ゼロには魔法の腕前ばかりか、常識や衛生観念さえないと見えるな。どうしてもその臭い使い魔と同じ場所で、亜人の平民と同じ目の高さで食事をしたいというのなら、君の方が出て行ったらどうだ?」
確かに、ルイズが私をここに入れたり、その席を用意させたりしたのは、彼女の独断には違いなかった。
とはいっても、普通ならば別にそのくらいのことは、大した問題になるわけでもない。
使い魔を自由に出入りさせても構いませんか?と、後でルイズから教員に伝えておけば、それで通るだろう。
とはいえ確かにここは”貴族用”の食堂であるのだから、彼女が学院の規律を乱すような行為をしたのを咎めただけだと言い張れば、教師も強くは出られない。
そう考えているからこそ、ここまで侮辱するような態度を取っているのだ。……嫌いだね、ああいう手口は。
ルイズの顔がかなり険しくなる。こりゃ私同様に相当ご立腹だ。
彼女の実家であるヴァリエール公爵家は、トリステインでも屈指の有力な家系であるってルイズから聞いた。
それを敵に回すつもりなのか、とでも言えば、この頭お花畑も引き下がったかもしれない。
しかし、名誉ある自分の家系や優秀な身内のことを誇りに思いこそすれ、その威を借りて頼り切るような真似は、ルイズのプライドが許さなかったみたいだね。
同様に、ここまで言われて黙って引き下がることも、許せるものではないんだろうね。
「あんた。ロレーヌ! そこまでいうのなら……!」
「ん〜、待ったルイズ。貴族同士の決闘って禁止されてるんだろ? 昨日話してくれたじゃないか。だからその杖を下ろしな。……さて、ここで問題だ、ガキ。使い魔と貴族が決闘する場合は?」
「ふん。そんなもの規則にないのだから やっていいという事だ。なんでそんな事を聞くんだ?」
「そりゃあ、やる事は一つだろう? ……決闘以外に何があるのか聞きたいね!」
「け……、決闘だ!」
「それも亜人の平民が、貴族に対して仕掛けたぞ!」
「あのロレーヌと、ヴァリエールの使い魔とが勝負をするって!?」
数人がようやくそう声を上げると、たちまち歓声が巻き起こった。
「ち、ちょっと。待ちなさい! そんなことは認めないわ、取り消しよ!」
はっと我に返ったルイズはあわてて叫んだが、熱狂した周囲の群衆の耳には、既に彼女の言葉など届かない。
「け……『決闘』? 決闘だとッ!? 平民風情が、このぼくに対して……!!」
ロレーヌは、しばし顔を真っ赤にして、怒りに歪んだ形相となっていたが。
じきにそれが収まると、今度は一転して残忍な笑みを浮かべた。
(ハッ! まさかこのメイジの学び舎に、自分から貴族に挑もうだなんて無謀な平民がいようとはな!)
この角の生えた平民はただのバカか、相当な田舎者で無学な故に、メイジを知らないのか。
いずれにせよ、正式な決闘である以上はこの無礼者をどれだけ嬲ろうが、もし仮に殺してしまったとしても、罪に問われる心配はない。
この屈辱の返礼を存分にして余りある、いい気晴らしが飛び込んできたというものだ。
……なーんて、考えてるんだろうね。相手の力も測れないおバカさんは。
「いいだろう。そちらから挑むというのであれば、是非もない。平民ごときに挑まれてそれを避けたというのでは、ぼくの家名に傷がつく!」
にやついた笑みを努めて抑え、精一杯の渋面を取り繕うと、重々しく頷いてみせる。こうして見ると、貴族ってやっぱりダメな奴が多いのかね?
「だが、この貴族の食卓を穢れた平民の血で汚すわけにはいかぬ。覚悟が決まったら、『ヴェストリの広場』へ来るんだな」
「はぁ〜……任された仕事があるとはいえ、こんな状況なら仕事はあってないようなもんだね」
周りを見れば、周りにいる生徒たちの多くが、いそいそと食事を口に運び始めている。
せっかくの見世物を逃したくないから、早く食べ終えて広場のいい席に陣取ろうというのだろう。
中には、ほとんど食べずに席を立って、早々にロレーヌの後を追っていく者もいた。全く、おっちゃんが悲しむぞ?
「ス、スイカさん……、なんてことを……」
「ん? なんだいシエスタ」
振り返ってみると、シエスタが青ざめて、かたかたと震えている。なんだい、そんな心配そうに……
「こ、殺されちゃうわ。貴族を、本気で怒らせたら……」
そう言うと、耐えかねたかのように踵を返して、厨房の方へ走り去ってしまった。……あんな弱っちいのに負ける可能性なんてどこにもないっていうのにねぇ……?
そんな事を考えていると、ルイズが近寄ってきた。
「ああ、あんた!? 何勝手に、決闘の約束なんてしてんのよ! 相手は風のラインのメイジよ!?」
「おいおい、忘れちゃ困るよルイズ……使い魔になる為の約束、しただろ?」
「お酒とお風呂に…………喧嘩!!」
「全く、さっきまで忘れていたってのかい? それに、売られた喧嘩は全部買う! ……ってのが私の信条さ。あと……」
私は冷たく笑い、ルイズに言う。
「私はああいったクズ野郎と嘘吐きと卑怯な奴がこの世で最も嫌いなんだ。 根っこから叩き潰さないと気が済まない! もしかしたらここ壊しちまうかもしんないね!」
「そ、それはそれで困るわ!」
私の発したどす黒いオーラにルイズが一瞬ビクッとした。
「ん〜っと、あっちだな。んじゃルイズ、あいつのぐちゃぐちゃに汚れた泣き顔をお土産にしてくるから待ってろよ〜!」
「ちょ、ちょっと待ちなさいってば〜!」
私は能力で霧になってあのカスの所に向かう。お、ルイズが追っかけてるね。喧嘩がそんなに見たいのか! 類は友を呼ぶっていうけど、この場合は合ってるのかね?
決闘の場である『ヴェストリの広場』は、魔法学院の敷地内において『風』と『火』の塔の間に位置する、いわゆる中庭だった。
ここでは時折逢引をする男女の姿が見かけられるほか、決闘(本来は禁止されているが、まだ若く血気盛んな生徒同士の間ではしばしば起こる)の際に用いられる場所としても定番である。
かなりの広さがある上に、西側に位置しているために昼でもあまり日が差さず、公平な条件での戦いが行いやすいからだ。
普段は閑散としている広場は、既に噂を聞きつけた学院中の生徒たちで溢れかえっていた。
私が姿をあらわすと、彼らの間からわっという歓声が巻き起こる。
彼らの注ぐ視線には、熱狂、憐憫、嘲笑……さまざまな感情がこもっていた。
杖を弄くりながら悠然と待ち構えていたロレーヌは、彼女の姿を見ると、小馬鹿にしたような笑みを浮かべた。
「やっと来たか。怖気づいて逃げ出したかと思ったがね?」
「ん〜、ハンデを考えてたのさ。正直無いとつまらないからね」
「決闘とは公平にやるものだ。ハンデなど認められない。……さて、諸君。決闘だ!」
ひときわ大きな歓声が、周囲から巻き起こる。
ロレーヌはにやりと唇の端を歪めながら杖を下ろすと、対戦相手の方を一瞥した。
「……もっとも、これがそんな大層な名で呼び得るような代物であればだがね」
広場の中央で、おおよそ30歩分ほどの距離を置いて、萃香とロレーヌが向かい合う。
「賤しい平民なぞに名乗るいわれはないのだが、これも作法だ。このヴィリエ・ド・ロレーヌが身の程を教えてやろう、平民」
「では、始めようか」
「いつでもいいよ」
ゴミ……うーん、ピッタリの名前が決まらないね。まぁいいや。そいつが杖を振って呪文を唱える。
しばらくして呪文が完成すると、地面が盛り上がり、人間よりもやや大きい不格好な人型となって動き出したのだ。
「ふ〜ん……そういう事、できるんだ」
「どうやら初めて見たか、平民は無学でいかんな…これがゴーレムというものだ、もちろん名前くらいは知っているのだろうな?」
「ん〜……ルイズからは風の魔法を使うって聞いたんだけど?」
「ふん。貴様のような賤民ごときに、誇りある我がロレーヌ家の『風』を見せてやる必要などあるものか。それに、そいつに勝てるかどうかも怪しいものだな!」
ロレーヌは、自身の得意とする風の魔法ではあっという間に片が付いてしまいつまらない。無粋な『土』系統の魔法ではあるが、ここはひとつゴーレムでも使って、じっくりと嬲りものにしてやろうと考えたのだ。
得手ではないが、それでも人間大の土ゴーレムくらいなら、どうにか作ることはできる。
土ゴーレムの体は平民の兵が素手や剣などの武器で倒すには骨の折れる土でできており、拳などの要所には固い石も混ざっていて、打撃力もそれなりにはある。
これに負けるようならそれでよし、もし向こうが健闘してどうにか倒したとしても、直後にもう一体作るなり、風の鎚で叩きのめすなりして、はかない勝利の希望を叩き潰して心をへし折ってやる算段だ。
(精々がんばって、いい見世物になるんだな!)
「……さてと。ハンデも決まった。……私はここから一切動かない。チカラも使わない。使うのは……この左腕だけさ。あんたにはこれでも過剰な気もするけどね。あ、右腕は酒飲むのに使うから……ぷはっ!」
私はドカッと座り込んで伊吹瓢の酒を飲み、左手で指を指す───
余談ですが、ここの萃香の能力は原子までしか見えていないので、錬金の詳しいメカニズムは分かっていません。
もしかしたら錬金すると、内部の電子、陽子、中性子の数を変える為にそれらを生成、消滅をさせているのかもしれませんし、周囲の分子から電子等を外しているだけかもしれません。
まぁ……これ以上だと作者の手に負えないレベルのお話なのは確かです。