~異次元大会~   作:バトルマニア(作者)

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話し合い

 ルイスを倒した観測者は、その姿が完全に消失するのを見とどけた後に二人の方に振り返った。

 

「倒した……のか?」

「そうだ。退場もしただろ?にしても攻撃してこなかったな」

「恩人に剣を向けるわけないよ」

 

 光の粒子になり退場したルイスの事を言い、そして隙をついてこなかったことを指摘した。しかし流石にそこまでする気はないのと、そもそも勝てる気が無かったことも合わさり何もしてこなかったようだ。

 

 

「聞きたいんだが、お前らは本気で優勝する気はあるか?」

「……いや、出来たらってだけで、そこまででもない」

「私も」

 

 遠慮気味にそう返す二人。それがどういった意図があるのかは、想像に難くなかった。

 

「じゃあ俺の協力をしてくれないか?ここでの戦い方を教えてやるから」

「それは、かまわないけど……裏切りとかは、考えないの?」

 

「正直裏切られても大した障害にならないから問題ない」

「そう……」

 

 ミツヒデの質問に、さっとそう答える観測者。あんなものを見た後なのでわかりきっているとは言え、直接言われて内心気を落とす二人。

 

 

「早速だが、多元存在としての感覚を付けてもらう」

 

「それって……ッ!?」

「ッ!?」

 

 観測者はそう言うと、二人の肩を掴みエネルギーを流し込む。それに驚いた二人は息が荒くできているのかすらわからなくなり、焦点も定まらず一瞬で倒れる寸前まで追い詰められるような状態になった。

 

「こ、これ……はっ!?」

「ほっといても身につくが、それじゃ他の参加者と同じだ。優位性を取るために強引に引き出している。そうでもしなきゃ勝つどころか生き残る事すらできないし、乱入者相手じゃ逃げる事すらできないからな。まぁ専門じゃないがすぐ終わらせるから我慢してくれ」

 

 膨大な情報量に押しつぶされそうになる二人は、今にも意識が途切れそうだった。しかしそれに合わせて自身の存在が最適化され、意識と無意識の間を行ったり来たりを繰り返す。

 

「分かると思うが、多元存在ってのはあらゆる存在への干渉権を持つものの事だ。お前らの感じているそのすべてに干渉可能で、同時にくらう可能性がある現象でもある」

 

 後から説明するのが面倒だと思った観測者は、苦しんでいる二人をよそに勝手に説明を開始した。

 

「そして何より、存在構造の複雑さと密度は他の追随を許さないほどに高い。このお陰で微細な影響、状態異常や自然環境などに高い耐性を持つ。特に改変や支配に関しては、自ら無防備で受け入れに行かない限り、影響を受けることはないに等しい」

 

 何事にも例外はあるがな、と現状を見ながらそう付け足す観測者。そして最後の仕上げに入る。

 

「最後に多元存在の技である。一般流を叩き込んでやる。俺が知ってる範囲だが戦力アップにはもってこいだからな」

 

 能力を使い最適化に手を出す観測者。

 実はこの最適化自体は多元存在自体の能力を利用しているだけで、観測者が直接操っているわけではない。あくまで力を認識させるためにちょっかいをかけているだけである。そのためこれ自体は誰でもできるのだが、より深い層へのちょっかいは専用の能力と極められた技術が無いとできない。

 

 

「いつ見ても驚かされる。これだけ弄ってんのに苦痛や不快感止まりだ。その上で最適化の速度が増して安定してきてやがる。効かなくなるのも時間の問題か」

『まぁ~ね。慣れという名の耐性を得ることは別におかしな話じゃないでしょ。完全な無効化なんてのは無理だけど』

 

 作業も終盤に差し掛かり、余裕が出始めた観測者に羊さんが話しかけた。

 

(どんどん意味わかんなくなってきやがる。観測で見えてるはずなのに理解が追い付かないぞ)

『見えてるだけでもすごい事よ。多元存在ってのは、常に構造が変動して最適化され続けてるからね。随時その場と状況に適応して成長し続けてる的な感じかな』

 

 誰もが超成長を持ち合わせているようなものである。ルイスとの戦いで彼がそれに気づいていれば、観測者は二人を守り切れなかっただろう。それどころか勝つにしろ逃げるにしろ深手を負い、優勝など夢のまた夢になっていた可能性が大いにあった。

 

 

「こんなもんか、気分はどうだ?」

『聞かなくても分かるとおもうけどな~』

 

「な、なんとも……言えない気分です……」

「気持ち悪い……」

 

 強引に叩き込んだ感覚と知識のせいで体調不良を訴える二人。だが一過性のものなのですぐ収まるだろうと話の続きをする観測者。

 

「まぁこれで最低限は強くなった。最初の100時間は優勢を保ってられる。それ以外は相当な手練れか乱入者、俺みたいな元々が多元存在でなければ負けはしないだろうな。勝てるわけでもないが」

『まぁ初めだしね。気付かないとついて行くのでやっとだし、後半で気付いても手遅れだし……まあ頑張れ』

 

 観測者は説明をしながら、羊さんはうんうんと頷く。そこで二人から質問が飛んできた。

 

 

「確かに強くなった……というより、万能感を凄いけど」

「これで勝てると思えないね」

 

「だから勝てないって言っただろ。お前らは二人で組んで倒せる奴を倒しながら、自分らは倒されないようにして、あとは適当に場外に行くなりして退場しといてくれ。そしたら点数が消えるだけで済む」

 

 もっともであるし観測者もそう言っている。しかし意外に冷静なので観測者は安心していた。

 

「このリストに書いてあるヤツを狙ってくれ」

「「特殊型?」」

 

 リストを見た二人は、頭に?マークを浮かべる。

 

「能力が強力な類ですか……」

「無効化とか反射とか、明らかに強そうな奴らなんだけど……」

 

「確かにそうだ。だが存在に慣れてない今だと楽に倒せる。逆に言えば、存在が安定しだすと一気に凶悪な相手になるんだ。知識や情報は武器だろ?」

 

 そう言うと、二人は納得した顔をして

 

「なるほど……今なら一方的に叩けると」

「相手がこっちに慣れる前に倒せってこと?」

 

「多元存在の特性の一つ、何にでも干渉できるは、マジもんのチートだ。能力と違ってその場にあるものしか干渉できなかったり、性能自体は劣るが単純に反撃や壊すだけなら十分すぎる。元の世界じゃ嫌われる代表格になるほどには強力だ」

『絶対とか完全とかを問答無用で崩しにかかってくるんだから当然ね。それを差し引いても相手の優位性を簡単に詰めてくるし、構造の隙を突いてくるなんてされたらたまったもんじゃないわ』

 

 要は、超能力戦で多元存在とそれ以外が戦えば、得意技や特性を全潰しされた挙句、急所にクリティカルヒットを当ててくるようなものである。しかも多元存在にとってその程度の攻撃は、通常攻撃に過ぎないのだ。

 

 

「あとはそっちでどうにかしてくれ」

「わかった。約束は守る」

「うん、私も」

 

 そうして観測者は、二人と別れたのであった。

 

 

少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?

  • バケモノ
  • 凄く強い
  • まぁまぁ強い
  • 普通
  • 弱い
  • 凄く弱い
  • ザコ
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