観測者は、二人と離れてからしばらくして空を見上げた。
「厄介な」
『そうだね~』
謎の空間が世界を覆い、周囲百キロ程度を包み込む。
「規則追加か。逃がさないための逃走不可と、参加者と出会ったら即時戦闘の真剣勝負。それになんとなく相手に情報が知れる情報周知ね。なかなか面倒なものを……」
『そうだね。ま、観測できるだけマシじゃない?』
発生した効果は、逃走不可と真剣勝負に情報周知。この空間から脱出するには、強引に空間を破壊するか、条件を満たすほかなく。後者はまだしも、前者は観測者でも割に合わない労力が必要になるだろう。
「ロックウィルとかいうやつか。能力の割に大剣振り回すのが得意と、あとタフネスとか」
『天賦の無名ねえ。大層な異名持ちだね。能力は把握してたけどそっちは確認してなかったな~』
羊さんは、参加者全員に強化と改造を施しているが、当人の人生や記憶などに関しては最低限しか手を出していないのでわからないことが多い。おまけだが観測者も、詳しい情報は近くで直接視認するか、遠距離では戦闘に支障がでるほどの集中力を要するので、外に出ていない情報は詳しくはない。
「ある程度はわかるが、詳しくはもっと近づかねえと……でも出会いたくないな」
『能力が能力だしね。自分にも影響してるから手は限られるだろうけど、頻繁に規則を変えられたら戦いにくいだろうし……ま、もっと厄介な能力者はいくらでもいるから、あなたは大丈夫だとおもうけどな~』
観測者は嫌がっているのに対し、何やら期待したげにそういう羊さん。
観測者もその場限りの戦いであれば、勝てるには勝てるだろう。それどころか、連戦や横やりが入らないという条件をいくつか入れれば、理論上この大会で観測者に勝てるものは上位の一握りだけだ。だが世の中そんなに甘くなく、邪魔立てはしょっちゅうで、疲弊した時などは狙いどころで休む暇などありはしない。
「一色 空、ルミネ・シュネージュ、ミストレア、エトワール・スレイヤー、田中 圭一、ギルバルト・ホーエンス、デルサネス、神崎 アリス、カルネ・ネークロイツ、糸永 縫人、オウカ、カナタ、秋晴 日和、ヒメカ、ヒヨリ、四季 秋奈、シロ・ラモール、エンキ、リン・フォーファイム、海林……」
『範囲が広いだけあって随分と多いね』
軽く観測者が確認しただけでも、これだけ多くの参加者がこの空間に閉じ込められていた。隠れている参加者や勝手に入ってくることも考えればもっと多くなるだろう。
「どうするかな?とりあえず様子見でもしたいが」
『であったら問答無用で戦闘開始だからね。しかも軽くとはいえ情報も漏れるし、観測で様子見ながら慎重に動かないと連戦するはめになるよ』
一度戦いが始まれば、居場所がバレて立て続けに戦闘をさせられることになるだろう。なので極力顔を出さずに、おこぼれを回収するほうが効率がいい。
「巻き込まれて乱戦ってことにもなりかねんし」
『一対一なんて条件出されてないからね。あくまで真剣勝負、手を抜くなってだけだし』
巨大な攻撃に巻き込まれて強制戦闘開始となればまた話が変わってくる。おこぼれどころか逃げることで精一杯になるだろう。
「てかすごく戦いたくなってきたんだが。まさかこれ相手を認識しただけで影響出るのか?」
『そうみたいね。過剰な強化を施して戦闘意欲を引き出してるみたい』
条件がそろえばそろうほど影響を強く受けるらしく、様子見をしようと思っていた観測者は引っかかってしまっていた。
「しくじったな、これだから情報系の攻撃は嫌なんだ。今は抑えられるが、相手に攻撃されると我慢できんかもしれない。解除も現実的ではなさそうだし」
『いくら耐性の高い多元存在でも、マシンガンみたいに連続して受け続ければね、こうなるわよ。ま、一定以上はほぼ影響でないから抑えようと思えば抑えられるよ』
この空間にいる限り、永遠と能力の影響を受け続けることになる。そのため、解除した先から再度かけなおされキリがなくなるのだ。とは言え直接叩き込まれているわけではないので耐性と回復で拮抗し、その影響は一定の水準を超えることはない。
「え~と、とりあえずだな。臨機応変ってことにしよう」
『逃げたわね』
どうにか気持ちを落ち着かせた観測者はそう言い、移動を開始したのだった。
名前だけですが、投稿キャラを使わせてもらいました。
少し聞きたいのですが、当作品に出てくるキャラの強さは……?
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バケモノ
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凄く強い
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まぁまぁ強い
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普通
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弱い
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凄く弱い
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ザコ